著者
岡安 健 高橋 高治 野本 彰 葛山 智宏 小川 英臣 高田 将規 木村 倫子 森田 定雄 石倉 祐二 小川 直子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1371, 2009

【目的】<BR>近年、糖尿病やASOなど末梢循環障害による下腿切断患者は増加傾向にあり、下腿義足に全面支持式ソケット(Total Surface Bearing以下TSB)を処方することが多い.TSBは荷重を切断端全面で支持し、装着時の不快感が少ないという特性はあるものの、切断端の変化が起こりやすい末梢循環障害によるTSB使用患者の適合修正に熟練を要するとされる.実際のTSB内圧分布特性は明らかではなく報告も少ない.そこで、本研究ではTSBの適合修正の指標となるTSB内圧分布を測定し検討することを目的とする.また、切断端の変化が起こりやすい仮義足装着時期に、当院で一時的に行っている孔(以下除圧孔)設置による簡易的な適合修正についても紹介する.<BR>【対象】<BR>対象者は本研究の目的を説明して同意を得た、感覚障害を認めない片側下腿切断者5名の5肢(男性5名).年齢54±8.0才、身長170.2±7.2cm、体重66.4±16.5kg、切断端長15.6±2.0cmであり、測定肢は右側4肢、左側1肢であった.<BR>【方法】<BR>熟練した義肢装具士がTSBを作製.作製義足装着下で、静止立位時の不快感をvisual analogue scale(以下VAS)にて0/10となる至適アライメントを確認.ニッタ社製圧力分布計測システム(以下I-SCAN)のセンサーをシリコンライナー周囲に留置し、荷重計にて90%以上の荷重量を確認した状態で片脚立位及びStep動作時のTSB内圧分布を測定、同時に動作時の不快感をVASにて測定した.その後TSBの脛骨末端部に直径2cm、3cm、4cmの除圧孔を設置し、各直径で同様の方法にてTSB内圧分布測定と動作時の不快感をVASにて測定した.<BR>【結果】<BR>対象者の静止立位時の接触面平均内圧(以下内圧)は3.83±2.4kpaであり、圧力分布は概ね均一の値を示していた.片脚立位時の内圧は7.4±2.7kpa、切断端末梢部の内圧は10.6±4.5kpa、脛骨末端部の内圧は20.1±6.2kpaであった.Step動作時の内圧は7.3±1.9kpa、切断端末梢部の内圧は11.6±3.5kpa、脛骨末端部の内圧は22.9±3.3kpaであった.各動作時のVASは全対象者0/10であった.除圧孔非設置と比較して、直径2cmと3cmの除圧孔設置では各動作で著名は内圧変化を認めず、各動作時のVASは全対象者0/10であった.直径4cmの除圧孔設置では、除圧孔部の圧力低下と除圧孔周囲の内圧上昇を3名の対象者に認めた.全対象者の不快感はVASで3~6/10であった.<BR>【考察】<BR>本研究の結果は、荷重時に切断端末梢部の内圧増加を認めるとともに、切断端全面のみならず脛骨末端部を含めた骨構造で支持し、装着時の不快感が少ないというTSBの特性を示唆している.今後は症例数を増やし、より正確な内圧分布を明らかにすると共に当院で一時的に行っている除圧孔によるTSB適合修正の効果についても検討する.
著者
木村 弘 御園生 義良
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.855-859, 1974-12-10

開腹手術後の患者の健康管理は医師として常に気を配つているところである。特に体力回復については補助的に注射して栄養補給を行なつているとはいえ,その主力は食物の経口摂取に頼つているのが現状である。1959〜1962年にLavenstein1,2)らが枯草熱の治療にペリアクチンを投与していたところ,偶然に食欲が増進し,体重が増加することに気づき,さらに喘息患者にこれを用いてその両効果を確認して発表以来Bergen3)など多くの人たちがペリアクチンの食欲増進,体重増加の効果を認めている。 わが国においてはペリアクチンは昭和36年3月より抗アレルギー剤として市販され,広く一般に使用されてきたが,昭和44年頃より小児科や結核科領域において抗アレルギー剤としてのみでなくさらに食欲増進,体重増加効果をも認める発表がなされはじめ,昭和46年1月からは食欲増進剤としても市販されるようになり今日におよんでいる。
著者
浅野 智 棚橋 弘季 木村 博之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.B06, 2009 (Released:2009-06-16)

情報デザインの学びに、人間中心設計プロセスの考え方を取り 入れ、調査をベースにデザインを考えるという試みは多く行われ てきた。特に最近ではエスノグラフィーの調査手法を取り入れた、 ワークショップも多く見受けられようになってきている。[1] その中で課題として挙げられるのが、調査のデータは揃ったが、 上手くコンセプト作成に結びつけることができないという状態 である。社会人のデザイナーであれば、過去の経験から自分なり の文法を編み出しているものであるが、経験の浅い学部生レベル であるとなかなかそうはいかないようである。 本研究は、真行寺ら[2]によって開発された「シャッフルディ スカッション」に注目し、その効果について検証しようと試みた。
著者
今野 誉人 岸田 茂也 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.400, pp.13-18, 1998-11-17
参考文献数
8
被引用文献数
2

これまでに我々は、ELF帯の磁場による生態影響として金魚の体色変化を確認してきた。本報では、体色変化と変動磁場による誘導電流の大きさとの関係を検討するため、商用周波数である50Hz、62mT曝露時に金魚に発生する最大誘導電流密度と、この2倍及び3倍の値と等価な交流電流を金魚に通電した。その結果、電流値が大きくなるにつれて短期間で体色変化が現れることがわかった。また、電流値が大きいと曝露後に体色変化から復帰するものが少なく、その後短期間で死亡する傾向が見られた。この傾向を確認するため、50Hz、62mTの磁場を金魚に曝露したところ、曝露しない金魚よりも、曝露した金魚では明らかに、生存期間が短くなることが判明した。
著者
井上 菜津子 木村 佳乃実 中馬 歩美 多田 俊子
出版者
徳島大学医学部
雑誌
JNI (ISSN:13483722)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.43-51, 2009-03

【目的】車椅子利用者の安楽に及ぼす影響の1つとして「声かけ」に注目して,バリアが車椅子利用者の体感にどのような影響を及ぼすのかを知ることとを目的とした研究を行った.【方法】対象者は,20歳代女性の看護学生で,車椅子利用時の体感に体重が影響することを考慮し標準体重に近い者を選定した.路面の状態については,観察,自走介助兼用車椅子に装着した振動計,座席用振動ピックアップを用い客観的測定を行った.声かけによる路面の状態による主観的反応の相違は,対象者60人を無作為にA群の「声かけあり群(n=30)」と,B群の「声かけなし群(n=30)」の2群に分けて把握した.【倫理的配慮】対象者に本研究の目的及び方法を説明し,同意書に署名してもらった.【分析方法】アンケート調査結果について2群を比較した.ゆれ・恐怖感・乗り心地の段階評価においてはウィルコクソンの符号順位和検定を行った.【結果および考察】路面の見かけと振動値は概ね一致していたが,見かけは平らであっても振動値は高い場所もあった.路面に対する反応は以下の通りである.1.振動が大きいところでは対象者の全身に振動を与え,不快をもたらしていた.2.傾斜があるところでは対象者に恐怖感をもたらしていた.3.声かけは対象者が振動を予測して,態勢を整えることに役立っていた.4.声かけは安心感や気分転換等にもつながっていた.以上のことから,車椅子利用者の介助に当たって声かけをすることは重要であることが明らかになった.また,多様な路面の性状下でも快適な車椅子利用ができるような介助の方法を探究していきたい.さらに,今回の結果は,車椅子以外にもシルバーカーや自走車椅子利用者の支援のあり方を示唆するものと考えられる.
著者
出口 善隆 徳永 未来 山本 彩 高橋 志織 小野 康 丸山 正樹 木村 憲司 辻本 恒徳 岩瀬 孝司
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.159-165, 2008-06-25 (Released:2017-02-06)
参考文献数
19

飼育下であってもクマの行動および生理学的特徴は季節と深く関わっている。そのため、環境エンリッチメントが行動におよぼす影響も季節により変化すると考えられる。そこで本研究では、春季から秋季において盛岡市動物公園で飼育されているツキノワグマ(雌3頭)に、環境エンリッチメントを行い、行動を調査した。環境エンリッチメントの効果の季節変化について検討することを目的とした。調査は、盛岡市動物公園のクマ舎の屋外運動場で行った。ツキノワグマの雌3頭を調査個体とした。クマは9時頃に運動場に出され、16時30分頃に寝室へ入れられた。運動場には岩、パーゴラやプールが配置されていた。給餌は1日に1回16時30分頃、寝室の中で与えられた。環境エンリッチメントとして、パーゴラとプールの横あるいは水を抜いたプールに樹枝を設置した。また、調査期間中、運動場内の10ヵ所にクリを3粒ずつ隠した。隠す場所は毎日変化させた。直接観察により行動を1分毎に記録した。エンリッチメント開始直後、1週間後、2週間後および1ヵ月後に行動を調査した。エンリッチメント処理により、春季には個体遊戯行動が、夏季には探査行動と個体遊戯行動が、秋季には探査行動がそれぞれ増加した(P<0.05)。また、摂取行動は、春季では開始前と比べ僅かに増加し、夏季では逆に減少しているのに対し、秋季では3倍以上に増加した。よって、エンリッチメントとして行った餌隠しの影響がいちばん大きく現れだのは秋季と考えられた。以上より、春季から夏季には、個体遊戯行動といった摂食にかかわらない行動を促す環境エンリッチメントが、越冬に備え摂食要求が強まる秋季には、摂食にかかわる行動を促す環境エンリッチメントが効果的であることが示唆された。
著者
村上 正樹 藤江 智也 松村 実生 藤原 泰之 木村 朋紀 安池 修之 山本 千夏 佐藤 雅彦 鍜冶 利幸
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.41, pp.P-2, 2014

【背景・目的】有機金属化合物はそれを構成する分子構造や金属イオンとは異なる生物活性を持ち得るため,生命科学への活用が期待される。メタロチオネイン(MT)は有害重金属の毒性軽減などに関与するが、誘導機構には不明な点が多い。本研究では,有機アンチモン化合物ライブラリーから見出された化合物(Sb35)によるMT誘導の特性について,ウシ大動脈由来血管内皮細胞(BAE)を用いて調べた。<br>【方法】BAEをSb35で処理し,MTサブタイプおよびMTF-1 mRNAの発現をReal-Time RT PCR法により評価した。金属応答配列MREおよび抗酸化応答配列AREの活性をDual Luciferase Assayにより測定した。<br>【結果・考察】Sb35は,BAEが発現するMTのすべてのサブタイプ(MT-1A,MT-1EおよびMT-2)のmRNA発現を濃度依存的に増加させたが,MREを顕著に活性化しなかった。しかしながら,転写因子MTF-1をノックダウンすると,すべてのMTサブタイプの発現が抑制された。一方,Sb35は転写因子Nrf2を活性化し,AREを強く活性化した。そこでNrf2をノックダウンしたところ,MT-1AおよびMT-1EのmRNA発現が有意に抑制された。MT-2の発現には変化は認められなかった。以上の結果より,Sb35はすべてのMTサブタイプの遺伝子発現を誘導するが,MT-1AおよびMT-1Eの誘導はMTF-1-MRE経路とNrf2-ARE経路の両方に介在されること,これに対しMT-2の誘導はNrf2-ARE経路に依存せず,MTF-1-MRE経路に介在されることが示唆された。Sb35がNrf2の活性化によってサブタイプ選択的にMT遺伝子の発現を誘導することは,この有機アンチモン化合物がMTの誘導機構解析の有用なツールであることを示している。
著者
木元 広実 守谷 直子 酒井 勝 辻 容子 木村 智信 佐々木 啓介 鈴木 チセ 川口 孝泰
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-7, 2017 (Released:2017-04-22)
参考文献数
20

著者らはLactococcus lactis H61の摂取により,春季,冬季におけるヒトの肌の状態の改善(乾燥の抑制等)を報告している。本研究では夏季におけるH61株の当該効果を調べるために,被験食品として,一般的なヨーグルト用たね菌で製造したヨーグルト(標準ヨーグルト),これにH61株を加えて発酵させたヨーグルト(H61ヨーグルト)を用い,二重盲検にて2013年6月上旬からこれらのいずれか85g/日を健康な中高年層の女性(22名:40歳~74歳)に4週間摂取させ,摂取前後及び摂取終了1ヶ月後に,頬及び前腕の水分量,頬の油分量,血管年齢を測定した。ヨーグルト摂取終了後,摂取終了1ヶ月後に肌の状態(17項目),体調(22項目)について自己評価をさせた。その結果,両方のヨーグルト群で,摂取4週間後に頬及び前腕部の水分量,頬の油分量が増加し,ヨーグルト摂取終了1か月後でこれらの値が低下する傾向が見られた。摂取ヨーグルトの違いは肌の機器分析項目,血管年齢に影響を及ぼさなかった。ヨーグルト摂取終了後,終了1ヶ月後の肌の状態,体調のカテゴリーにおける自己評価では,調査時期によらずいずれの項目においても改善度合いに両群で有意な差は認められなかったものの,摂取終了1ヶ月後でH61ヨーグルト群のみで,肌,体調の評価が高くなる傾向が得られた。自己評価の効果の数値化の検討も含め,今後サンプルサイズを大きくし,摂取期間を長くして夏季におけるH61株の効果を検証する必要がある。
著者
牛場 翔太 松本 和彦 宮川 成人 沖野 剛士 品川 歩 岡 優果 木村 雅彦 小野 尭生 金井 康 井上 恒一
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.358-363, 2020

<p>Since ion-sensitive field effect transistors (ISFETs) have been developed in 1970, much attention has been focused on FET-based biosensors. In particular, graphene is one of the promising candidates for FET-based biosensors owing to their high electron/hole mobilities and unique 2D nature. Herein, we report specific detection of biomolecules using sialylglycopeptide-modified graphene FET (G-FET) biosensors. In addition, we also present state-space models (SSMs) to analyze time-series data of G-FET biosensors. This computational approach helps to separate the response against target biomolecules from the baseline drifted data. G-FET biosensors open the door to a more versatile sensing platform for biomolecules and biological functions.</p>
著者
木村 秀 広瀬 敏幸 中野 基一郎 阪田 章聖
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.134-137, 2001-03-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
8

症例は21歳の男性, 交通事故にて胸部を打撲し近医を救急受診, 胸部X-P上両側緊張性気胸を認め, 気管内挿管と両側胸腔ドレナージを行ったが呼吸不全・全身状態が改善せず当院に転送された。胸部CTにて縦隔気腫, 皮下気腫, 外傷性血気胸を認め, 気管支鏡にて気管右側壁から右主気管支に及ぶ広範な気管断裂を認めた。右後側方切開にて開胸, 胸腔内には多量の血腫を認め, 肺尖部索状癒着が原因であった。この部位の止血は容易であった。術中所見は気管右側壁の断裂を伴う右主気管支完全断裂を確認し気管・気管支形成術を行った。術中縫合部からair leakを多く認めたがフィブリン糊と縦隔胸膜の縫合で対処した。術後4日間は分離換気用チューブにて人工呼吸を行った。術後経過は良好で, 左膝蓋骨骨折の治療を行い, 現在元気に社会復帰している。稀な気管・気管支の広範囲断裂で全身状態不良にもかかわらず適切な術中術後管理にて, 縫合部狭窄もなく完治した症例を経験した。
著者
木村 啓太郎 久保 雄司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.379-384, 2017-07-15 (Released:2017-08-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

納豆発酵過程での香気成分変動を明らかにするため,納豆菌接種前の煮豆および接種後3,7,12,18時間の納豆をサンプリングし,香気成分をGC/MSシステムによって分析した.香気成分一斉分析用に開発されたソフトウェアMetAlignおよびAIoutput2を用いてデータ解析した結果,38種の香気物質が同定あるいは推定された.この内23種は納豆菌接種前の煮豆からも検出された.煮豆に存在した成分のうち6種は発酵が進むにつれて減少あるいは消滅し,12種については発酵過程での変動は小さく発酵前後での違いが顕著ではなかった.5種は納豆発酵中に増加した.納豆の主要な香気成分であるピラジン類や短鎖分岐鎖脂肪酸を含む12種の香気成分は納豆菌の増殖が定常期に達した頃(12時間後)に急激な上昇が見られた.
著者
木村 清志 岩槻 幸雄
出版者
三重大学生物資源学部
雑誌
三重大学生物資源学部紀要 (ISSN:09150471)
巻号頁・発行日
no.13, pp.p21-24, 1994-12

三重県阪内川上流域から釣によって2個体のイワナが採集され,これらの標本を三重県天然河川からの記録として記載した。しかし,これらは近隣水系から移植されたものである可能性が高かった。