著者
木村聡
雑誌
臨床検査
巻号頁・発行日
vol.44, pp.443-445, 2000
被引用文献数
1
著者
山田 嘉重 木村 裕一 高橋 昌宏 車田 文雄 菊井 徹哉 橋本 昌典 大木 英俊
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.237-247, 2021

<p> 目的 : SARS-CoV-2感染予防は, COVID-19流行を阻止するために非常に重要である. そのため, 手指の消毒と個人防護器具 (PPE) の装着に加えて新たな予防対策を講じる必要性がある. その予防策の候補の一つとして, エピガロカテキンガレート (EGCG) を代表とするカテキンの使用が挙げられる. 分子ドッキング法により, 選択的にSARS-CoV-2スパイクタンパク質とEGCGが結合することで, スパイクタンパク質とACE2受容体との結合を抑制する可能性が報告されている. 本研究では, SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対してEGCG単独, 4種混合カテキンおよび緑茶が実際にスパイクタンパク質とACE2との結合抑制に効果を有するのかを調べることを目的とした.</p><p> 材料と方法 : 本研究では, 異なる状態のカテキン (EGCG, 4種混合カテキン, 粉末緑茶) を使用した. 溶液の濃度はEGCG溶液 (EGCG) と4種混合カテキン溶液 (4KC) で1, 10, 100mg/m<i>l</i>, 2種類の緑茶溶液Ⅰ (PWA) と緑茶溶液Ⅱ (PWB) では1, 10mg/m<i>l</i>とした. SARS-CoV-2スパイクタンパク質抑制スクリーニングキットを使用し, TMB基質で発色後の撮影とELISAによる検討を行った.</p><p> 結果および考察 : 各種抑制溶液において100mg/m<i>l</i>の濃度が最もSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果が強く, 濃度の減少に比例して抑制効果が減少するのが観察された. それぞれの結合抑制率の割合は, EGCGでは12~89%, 4KCは11~88%, PWAでは10~47%, PWBでは11~47%であった. 本研究結果において, EGCGだけでなく4KCやPWA, PWBでもスパイクタンパク質とACE2との結合抑制効果を有することおよび, その結合はカテキンの濃度に依存することが判明した.</p><p> 結論 : 本研究によりEGCG単独だけではなく, 4種カテキン混合状態および粉末緑茶溶液においてもSARS-CoV-2スパイクタンパク質とACE2との結合に対して濃度依存的に抑制効果を有することが確認された. カテキン配合溶液は, SARS-CoV-2感染に対する新たな予防法の一つとなることが期待される.</p>
著者
二宮 敬虔 上杉 邦憲 川口 淳一郎 横田 博樹 村中 昇 滑 孝和 北出 賢二 小笠原 雅弘 木村 雅文 土橋 雅之 NINOMIYA Keiken UESUGI Kuninori KAWAGUCHI Junichiro YOKOTA Hiroki MURANAKA Noboru NAMERA Takakazu KITADE Kenji OGASAWARA Masahiro KIMURA Masahumi DOBASHI Masayuki
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-45, 1986-03

To support the operation of onboard AOCS (Attitude and Orbit Control System) of "SAKIGAKE" and "SUISEI", ground support software for attitude control and orbit correction was developed. The software, named POPS (PLANET-A AOCS Operation Software), has the function of (1) generating the commands for RCS thruster control and HGA (High Gain Antenna) despin control, (2) simulating spacecraft attitude dynamics to confirm the generated RCS control commands. (3) performing orbit correction analysis to provide the optimum &lrtri;V-maneuver under various maneuvering constraints, (4) estimating RCS fuel consumption, and (5) conducting the calibration of RCS thrusters. In this paper the functions of POPS are described in detail. The operational results of "SAKIGAKE" and "SUISEI" in orbit are also presented.
著者
田中 智哉 木村 圭介 觀 公子 新藤 哲也 笹本 剛生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.119-124, 2021-08-25 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

チョコレート中のカフェイン,テオブロミンおよびテオフィリンの同時分析法を検討した.試料にアセトニトリル–水(1 : 1)を加え,超音波抽出(15分間,50℃)を2回行い,得られた抽出液をOasis HLB SPEカートリッジで精製し,LC-MSで測定することによりこれらの同時分析が可能であった.検討した分析法は真度97.4%~100.2%,併行精度1.0%~2.8%,室内精度2.0%~7.9%であり,定量性は良好であった.既存の分析法に比べ,本法は簡便かつ選択性の高い分析法であり,チョコレート中のカフェイン,テオブロミンおよびテオフィリンの分析に有用である.
著者
島 五郎 木村 邦彦
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3-4, pp.280-283, 1952 (Released:2018-03-27)

アイヌ指紋各型の出現頻度は(1)総数に就いては尺側蹄状状が多く, 渦状紋が少なく, (2)隻手に就いては, 他の多くの人種と異なって, 左手より右手に尺側蹄状紋が多く, 渦状紋が少ない。この特徴は他人種に類例の稀なアイヌ指紋の特異点である。撓側蹄状紋も左手に比して右手に特に少なく現われる。以上の如き特異点を有するアイヌと和人-(1)総数に対する頻度はアイヌに比して尺側蹄状紋が少なく, 渦状紋が多く, (2)隻手に就いては男性では右手に尺側蹄状紋が少なく, 渦状紋多く, 女性では尺側蹄状紋と渦状紋が左右の手に略相半ばして現われ, 明らかにアイヌと異った特徴を有する和人-との第一代雜種の指紋は(1)総数に就いての頻度はなお強くアイヌ的特徴を有っているが, (2)隻手に現われる指紋各型の頻度には和人的特徴が強く見られるようである。(昭.26.11.8記)
著者
岸田 俊二 内田 晴久 磯村 雅夫 佐山 和弘 山田 明 岡田 至崇 笠井 秀明 坂上 護 梶川 武信 内海 和明 高田 俊和 木村 英樹 江部 広治 首藤 直樹 加藤 芳秀 上松 敬禧 佐藤 理夫 小原 宏之 須田 不二夫 原 一広 和泉 茂一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.741-743, 2010-08-10
参考文献数
5

<p>温暖化と資源の枯渇を克服し,持続可能な社会を築くことが人類喫緊の課題である.持続可能な具体的社会像と,今後10〜20年に開発すべき技術群を描いた.自然エネルギーへの大胆な転換と画期的な省エネルギー技術の普及が必須で,特に,太陽光からの燃料の直接生産の実現がキーとなる.これらの産業技術は新たな経済発展のテコになると期待される.</p>
著者
木村 浩彰 三上 幸夫 牛尾 会 澤 衣利子 上田 健人
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.590-595, 2017-08-18 (Released:2017-10-03)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

リハビリテーション医学は物理療法(physical therapy)とともに発展してきた.電気刺激療法は物理療法の1つである.電気刺激療法は骨格筋に対して最初に臨床応用され,治療と機能回復に用いられている.治療を目的とした治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation:TES)と,機能回復を目的とした機能的電気刺激(functional electrical stimulation:FES)は厳密に区別される.電気刺激療法は,筋力増強や鎮痛,麻痺筋の機能制御などに使用されるが,運動障害以外にも創傷治癒促進や排尿機能改善,嚥下機能改善に用いられる.また,筋肉を刺激することで疑似的に運動した効果が得られ,糖や脂質代謝を活性化し,肥満や糖尿病,サルコペニア,寝たきり患者にも適応が拡大されている.
著者
木村 友子 小川 安子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.851-860, 1985-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

肝臓を調理し食べやすくする目的で, 女子大学生210名にレパーに関する意識調査ならびに調理操作上の前処理として, 超音波照射処理による適当な血抜きと, 煮熟後の鶏肝臓の脱臭効果について調べ, さらに洗浄処理後の肝臓を調理し, 官能検査を行い検討し, 次の結果を得た.1) 意識調査では肝臓の喫食率は65.2%であり, 喫食者の肝臓の調理法は, 焼く>炒める>煮る>揚げる>ペースト>その他 (茄でる, 和える) の順位で喫食頻度が高く, また好まれない理由は, 味が悪い>臭み>外観>食べず嫌い>感触>その他 (体質的に合わない) の順位であった.2) 鶏肝臓の血抜き効果においては, 超音波洗浄処理法は, 単なる水洗い処理法よりも効果が著しかった.超音波照射処理時間数は一般的な若鶏肝臓は10分間, 老鶏 (メス, 品種 : ピルチ) の肝臓は5分間が適当と思われた.また洗浄洗液には0.5~1.5%の食塩水が有効で, 洗浄液のpHの影響 (0.2Mリン酸-0.1Mクエン酸の緩衝液を用いた場合) は, pH5.6, 7.0より, pH 3.4, 4.4, 8.0の場合, やや効果的であったが, 嗜好面や外見上, 食用には供しにくくなるものと思われた.3) 鶏肝臓の脱臭効果については, 超音波洗浄処理した肝臓は, 対照の単なる水洗い処理した肝臓より臭みが緩和されることを認めた.4) 官能検査においては, 一般的な若鶏肝臓を用い, 調理法として煮る, 茄でる場合に, 下処理として超音波10分間照射処理したものが, 対照の単なる水洗い処理のものよりおいしく, 臭気が少なく, 総合評価にも, 有意に好まれ, 効果的であった.しかし炒め焼きの調理法では両者間に有意差なしの判定で, 強いて超音波照射の必要はないものと判断される.またパネル者間では老鶏 (メス, 品種 : ピルチ) の肝臓は, においが少ないが, 外観 (色) ・感触・総合に, 一般的な若鶏 (100日生育鶏) の肝臓に比すれば, 好まれない傾向であった.
著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
大町 麻子 石岡 克己 寺尾 晶 木村 和弘
出版者
Japanese Society of Pet Animal Nutrition
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-22, 2007

肥満した7頭のビーグル犬(平均体重20.7±1.3kg、体脂肪率34.2±3.1%)において24時間絶食時の血中グルコースおよびインスリン濃度は各々96.5±1.1mg/dLと1.24±0.52ng/mLであった。これらの犬を4ヵ月の食事制限により減量させると体重は17.0±0.9kg、体脂肪は23.7±2.1%と減少した。この時グルコース濃度は変化しなかったが、インスリン濃度は0.55±0.26ng/mLに減少した。減量群は肥満群に比ベインスリン感受性が改善されており、エネルギー摂取量の抑制で肥満度の低下と病態の改善が可能であることが示された。
著者
木村 亮介
出版者
琉球大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、琉球列島におけるヒトの移動史を解明するために、大規模な現代人ゲノムデータの集団遺伝学解析を行うとともに、宮古島における無土器時代およびグスク時代の古人骨ゲノム解析を行う。また、琉球列島集団と日本本土を含む周辺集団との関係だけでなく、琉球列島内の各集団の関係についても詳細に明らかにする。さらに、頭蓋顔面形態における集団間の違いを明らかにする。琉球列島集団と本土日本集団の間における頭蓋顔面形態の違いを明らかにするだけでなく、琉球列島内の集団間における差異についても、特に宮古島集団に焦点を当てて詳細に解明する。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
松岡 亮輔 木村 守 有満 和人 兒嶋 高志
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.147-154, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
29
被引用文献数
1

卵白タンパク質は, 栄養機能は高いことは知られているものの, 健康機能についてはほとんど研究されていなかった。そこで, 卵白タンパク質が良質なタンパク源という特徴に着目し, 基礎的な研究を行ったところ, カゼインと比較して, 体タンパク質量, 筋肉量を増加させるとともに, 体脂肪量および内臓脂肪量を減少させることが示された。しかし, ヒトが卵白を多量に継続摂取することは比較的困難であったため, 卵白を乳酸発酵させることで, 風味を良くした「乳酸発酵卵白」を開発した。内臓脂肪が多めのヒトを対象とした試験を実施したところ, 「乳酸発酵卵白」は内臓脂肪型肥満を改善し, その効果は, 主にオボアルブミンによる脂質の吸収抑制によって引き起こされている可能性が示された。この「乳酸発酵卵白」は血清LDL-コレステロール濃度が高めの被験者で, 血清LDL-コレステロール濃度を低下することもわかった。卵白「乳酸発酵卵白」は, 生活習慣病の予防に活用できるタンパク源として, 人々の健康維持・増進に貢献することが期待された。
著者
木村 俊之 高 建 坂下 幸司 黎 暁紅 浅岡 佐知夫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-50, 2012-01-01
参考文献数
27
被引用文献数
8

ノルマルヘプタンを原料としてヘビーナフサ異性化触媒の開発を行った。ライトナフサ異性化触媒として開発されたPd/ナノサイズAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>/H-BEAゼオライト複合触媒はノルマルへプタンにおいてもナノアルミナ複合効果を発揮したが,高転化率では分解反応が進行した。そこで触媒の残留塩素除去処理を行ったところ,高転化率,高選択性を発揮したことから,残留塩素が塩化アルミニウムのような強い酸点となり,分解活性点として働くと考えられた。また,複合化したナノアルミナは,ゼオライトの強酸点をマイルド化し分解反応を抑制する効果があることが明らかとなった。ナノシリカとの複合化ではその効果が現れなかったことから,ナノアルミナの塩基性によって,ゼオライト表面の強酸点が中和されたと推測された。アルミナ複合触媒は,塩素除去処理を行うことで分散性が約2倍になったことから,ナノアルミナが有する塩素吸着能がパラジウムの分散性に効果的に働いたと推測された。