著者
鈴木 隆雄 岩佐 一 吉田 英世 金 憲経 新名 正弥 胡 秀英 新開 省二 熊谷 修 藤原 佳典 吉田 祐子 古名 丈人 杉浦 美穂 西澤 哲 渡辺 修一郎 湯川 晴美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.39-48, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
25
被引用文献数
4

目的 70歳以上の地域在宅高齢者を対象として,容易に要介護状態をもたらすとされる老年症候群,特に転倒(骨折),失禁,低栄養,生活機能低下,ウツ状態,認知機能低下(痴呆)を予防し,要介護予防のための包括的健診(「お達者健診」)を実施した。本研究では,その受診者と非受診者の特性(特に健康度自己評価,生活機能,ウツ傾向,主観的幸福感,転倒経験,慢性疾患有病率および身体機能としての握力における差異)を明らかにすることを目的とした。方法 調査対象者は東京都板橋区内在宅の70歳以上の高齢者863人である。「お達者健診」には,このうち438人(50.8%)が受診した。健診内容は老年症候群のさまざまな項目についてハイリスク者のスクリーニングが主体となっている。本研究では前年に実施された事前調査データを基に,「お達者健診」の受診者と非受診者の性および年齢分布の他,健康度自己評価,老研式活動能力指標による生活機能,GHQ ウツ尺度,PGC モーラルスケールによる主観的幸福感,転倒の既往,慢性疾患有病率,および身体能力としての握力などについて比較した。成績 1) 健診受診者における性別の受診者割合は男性49.0%,女性51.0%で有意差はなかった。受診者と非受診者の平均年齢は各々75.3歳と76.4歳であり有意差が認められ,年齢分布からみても非受診者に高齢化が認められた。 2) 健康度自己評価について受診群と非受診群に有意な差が認められ,非受診群で自己健康度の悪化している者の割合が高かった。 3) 身体機能(握力)についてみると非受診者と受診者で有意差はなかった。 4) 生活機能,ウツ傾向,主観的幸福感についての各々の得点で両群の比較を行ったが,いずれの項目についても非受診者では有意に生活機能の低下,ウツ傾向の増加そして主観的幸福感の低下が認められた。 5) 過去 1 年間での転倒経験者の割合には有意差は認められなかった。 6) 有病率の比較的高い 2 種類の慢性疾患(高血圧症および糖尿病)についてはいずれも受診者と非受診者の間に有病率の差は認められなかった。結論 今後進行する高齢社会において,地域で自立した生活を営む高齢者に対する要介護予防のための包括的健診はきわめて重要と考えられるが,その受診者の健康度は比較的高い。一方非受診者はより高齢であり,すでに要介護状態へのハイリスクグループである可能性が高く,いわば self-selection bias が存在すると推定された。しかし,非受診の大きな要因は実際の身体機能の老化や,老年症候群(転倒)の経験,あるいは慢性疾患の存在などではなく,むしろ健康度自己評価や主観的幸福感などの主観的なそして精神的な虚弱化の影響が大きいと推測された。受診者については今後も包括的な健診を中心とした要介護予防の対策が当然必要であるが,非受診者に対しては訪問看護などによる精神的な支援も含め要介護予防に対するよりきめ細かい対応が必要と考えられた。
著者
石黒 智紀 松井 照明 松本 圭司 渡邊 由香利 濵嶋 浩 池山 貴也 窪田 祥平 北村 勝誠 高里 良宏 杉浦 至郎 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.1207-1210, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
7

12歳,女児.既往に気管支喘息,アレルギー性鼻炎あり.自宅で作ったたこ焼きを4個摂取直後にアナフィラキシーショック,呼吸不全を認めた.開封後1カ月間室温で保存したたこ焼き粉を使用したこと,ダニ抗原特異的IgEがクラス6と強陽性であったことからパンケーキ症候群を疑った.被疑粉が破棄されていた為,冷蔵保存されていたたこ焼きから虫体数と抗原量の測定を試みた.ワイルドマン・フラスコ法によるダニの洗い出しとELISA法による抗原量測定を実施した.結果は,コナヒョウヒダニ430匹/gを認め診断に至った.ELISAではDer f 1 21.1ng/gを検出したが,これは虫体数に比して少なかった.検出されたダニ抗原量が少なかった原因として,加熱や還元剤による抗原性の減弱,ダニ抗原とグルテンとのジスルフィド結合による不溶化等が考えられた.パンケーキ症候群が疑われるが被疑粉の入手が困難な場合,調理された食品の鏡検を行うことで直接ダニ虫体を確認することを考慮すべきである.
著者
白樫 祐介 杉浦 丹 藤本 篤嗣 加茂 真理子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.14, pp.3343-3348, 2011-12-20 (Released:2014-11-13)

2008年12月から2010年10月に当科において,既存の治療のみでは効果不十分な重症アトピー性皮膚炎患者7名(男性6名,女性1名,年齢19歳~60歳,体重57 kg~90 kg)を対象とし,シクロスポリン1 日量100~150 mg(1.1~1.9 mg/kg)を1日1回朝食前に投与し,投与2週間後に日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎重症度分類による臨床症状の改善度と,副作用の有無を評価した.また,期間中に血中シクロスポリン濃度(C0:投与前,C1:内服1時間後,C2:内服2時間後,C4:内服4時間後)を測定し,ここからAUC0~4を算出した.結果全例で重症度スコアが38~65%(平均51%)改善し,血清Cr値や血圧上昇などの副作用は経験しなかった.Cmaxは768~1,379(平均1,010)ng/ml で,全例で内服1時間以内にTmaxに達し,AUC0~4は1,589~2,449(平均2,003)ng・hr/mlであった.これらの結果から,アトピー性皮膚炎に対してシクロスポリンを1日1回食前に投与し,内服1,2時間後の血中濃度を目安に投与量を調節する方法は,安全かつ有用な方法の一つであることが示唆された.
著者
杉浦 綾子
出版者
映画英語教育学会
雑誌
映画英語教育研究 : 紀要 (ISSN:13429914)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.81, 2015 (Released:2020-03-25)

Some literature claims that the use of a third person pronoun: he or she, is rude to the addressee in communication in English in case the person is within earshot of the speaker. The paper investigated the reason for the claim by analyzing conversation in an American drama series from the viewpoint of what impression or influence the use would have on the addressees. The analysis was made by employing indices used in pragmatics and sociolinguistics to identify these inherently vague elements objectively. The results showed that in case the use of the third person pronouns was inevitable, approx. 80% of it gave unpleasant impression or influence such as accusation, alienation and insult, and they often accompanied offensive gestures or strong tones. What was commonly observed was its effect of psychologically distancing the addresses. Further, it was also common that in the aforementioned cases, the positive politeness strategies used to build a good relationship between the addressors and addressees were not employed, therefore, it was likely that the unpleasant impression or influence was conveyed directly to the addressees. The paper concluded that these common elements were one reason why the use of the third person pronouns was considered offensive to the addressees.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。
著者
大瀧 悠嗣 北村 勝誠 松井 照明 高里 良宏 杉浦 至郎 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.490-498, 2022-12-20 (Released:2022-12-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2

目的日本の小児における木の実類アレルギーの増加が報告されているが,小児の救急受診患者の背景や誘発症状を検討したものはなく,当センターにおける状況を分析した.方法2016年2月~2021年10月に木の実類の即時型症状で救急外来を受診した29例(27名)について,原因食物,患者背景,誘発症状,治療を診療録から後方視的に検討した.結果原因はクルミ12例(10名),カシューナッツ12例,マカダミアナッツ3例,アーモンド1例,ペカンナッツ1例で,年齢中央値は3歳であった.15例がアナフィラキシー,うち5例はアナフィラキシーショックであった.13例がアドレナリン筋肉注射,うち1例がアドレナリン持続静脈注射を要した.11例が入院し,うち3例は集中治療室へ入院した.初発は22例で,そのうち14例が他の食物に対する食物アレルギーを有していた.結語木の実類アレルギーの救急受診患者は,年少児がアナフィラキシーで初発した事例が多かった.予期せぬ重篤事例を未然に防ぐため,何らかの医学的及び社会的対策が望まれる.
著者
深津 浩佑 土山 智之 谷口 賢 丹羽 一将 杉浦 潤 宮崎 仁志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.163-168, 2022-10-25 (Released:2022-11-03)
参考文献数
12

残留農薬の多成分一斉分析において,分析結果の品質を保証するためには内部品質管理が必要である.今回,複数の安定同位体標識化合物をすべての分析対象試料に添加して分析結果の品質を管理する方法を検討した.その結果,従来の管理試料を用いた品質管理の方法と比較して,高い精度で分析結果の品質を管理することが可能であった.安定同位体標識化合物を用いた管理方法では,分析結果の品質を対象試料ごとに評価することが可能であり,内部品質管理において有効な手法となると考えられる.
著者
村岡 伸哉 上野 豊 佐藤 哲大 小野 直亮 杉浦 忠男 金谷 重彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第37回情報化学討論会 豊橋
巻号頁・発行日
pp.O04, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
4

生体内高分子の反応を可視化する分子アニメーション作成には、静的な分子モデルが採用され、分子の動的な特性を考慮しにくいのが現状である。本研究では、高分子の基準振動解析の結果を用い、熱揺らぎを考慮した動的なモデルを構築する手法を考案したので、その結果について議論したい。
著者
福田 朱里 内海 真生 杉浦 則夫 佐竹 隆顕
出版者
日本水処理生物学会
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.9-18, 2007 (Released:2018-03-10)
参考文献数
28

筑波大学構内の沼沢「松美池」において淡水産巻貝有肺類であるサカマキガイ(Physa acuta Draparnaud)とヒメモノアラガイ(Austropeplea ollula Gould)は同じnicheを占める競争関係にあり、ともに歯舌を用いて大型水生植物表面の付着性藻類を摂食している。同じ資源を巡る複数種においては、その体サイズの相違によって食い分けを行うことで食性を分化させ種間競争を回避する方法が知られているが、松美池では両種のサイズ分布に年間を通じてほとんど差がないことが演者らにより明らかにされている。そこで本研究では同所的に生息している両貝において、餌となる池の付着性・浮遊性ケイ藻類と両貝が摂食したケイ藻類組成の季節変動を比較することで、両個体群が共存するために食い分けの戦略をとっているのか考察した。対応分析を用いて6-12月の貝の腸管内のケイ藻類と池の付着性・浮遊性ケイ藻類の属構成を解析した結果、貝の食性は付着性・浮遊性ケイ藻類の季節変動より変化に富んでいた。選択指数の解析により、選択的に摂食したケイ藻類の属数は、サカマキガイよりヒメモノアラガイのほうが多いことが示された。本研究により、サカマキガイとヒメモノアラガイの食性にわずかに違いがあることが明らかとなった。2種間で明確な食い分けはないと考えられるが、2種間の食性の違いが松美池で2種が共存するための要因の1つとなっているかもしれない。
著者
杉浦 芳夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.847-867, 1975-12-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
26
被引用文献数
3 1

本稿の目的は,名古屋とその隣接地域における1957年のアジアかぜの流行を,モンテカルロ法を用いて,空間的拡散過程の観点から分析することにある. (1) ランダム・プロセス・モデル, (2) 通勤,通学者数から拡散確率圏を設定したモデルI, (3) モデルIに密度効果をくみこんだモデルIIからの模擬発生パターンを,現実の発生パターンと比較した結果,主としてモデルIからは,距離と都市規模が,更に,モデルIIからは,密度が,アジアかぜの拡散を規定していることがわかった. しかし,現実の発生パターンを完全に説明するためには, (1) 通勤,通学者数を用いた確率圏の再考, (2) 人口規模別のコンタクト発生回数の検討, (3) 境界効果の設定, (4) 感受性に関係する変数の検出とモデルへのくみこみがなされる必要があると思われる.
著者
松井 晋 赤谷 加奈 松尾 太郎 杉浦 真治
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.143-146, 2010-08-25 (Released:2010-08-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Introduction of the snail-eating flatworm Platydemus manokwari has caused the extinction and decline of native land snails on tropical and subtropical islands. Here we report the first record of P. manokwari from Minami-daito Island in the oceanic Daito Islands (western Pacific) which support an endemic land snail fauna. Platydemus manokwari was found in July 2004, July 2008, and June 2009 on Minami-daito Island. To clarify the effect of P. manokwari on land snail survival in the field, we examined survival rates of snails experimentally placed in the areas where P. manokwari were found in June 2009. Despite the presence of P. manokwari, we found little evidence of predation, suggesting that the density of P. manokwari was not high enough to impact snails on Minami-daito Island.
著者
杉浦 孝広 森 庸介
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.628-631, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
6

ペースメーカー(PM)装着患者の増加に伴い,PMを装着した患者が手術を受ける機会が増加している.PM装着患者における麻酔では,患者の安全を守ること,PMの故障に伴う合併症の発生を防ぐことが重要である.術前評価は,PM因子としてPMの①適応,②種類と設定,③依存度を評価し,患者因子として一般術前検査に加えて,心疾患合併の有無を確認する.術前に,電磁干渉の発生や設定変更の必要性を考慮し,一時ペーシングや対外的除細動器を準備してペースメーカー不全に備えることが,適切な術中管理を行う上で大切である.すなわち,系統だった術前評価と準備を行い,重篤な合併症の発生を未然に防ぐ必要がある.
著者
鈴木 重人 伊藤 正裕 杉浦 孜
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.183-192, 1976-07-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
3
被引用文献数
3

本鉱物は,三波川帯中の各種銅鉱物をともなう蛇紋岩体の割れ目より発見された。細かな針状ないし長柱状をなし,特徴的なsky-blueの色を呈する。構造式(C=1)として, Mn0.019Ni0.231Cu7.770(SO4)3.904(CO3)(OH)6.232・48.4H2O または, (Mn,Ni,Cu)8(SO4)4(CO3)(OH)6・48H2Oをもつ。 本鉱物の光学的性質, X線回折,電子線回折, DTA-TG, IRパターンに見られる諸性質について報告した。また,産状の違いにより, X線回折およびDTAパターンに僅かな違いが見られ,これらについても検討した。 Nakauri, Shinshiro, Aichi Prefecture愛知県新城市中宇利
著者
杉浦 淳吉
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-13, 2003-06-25 (Released:2020-11-02)
参考文献数
14
被引用文献数
6

本論文では「説得納得ゲーム」という教育ゲームについて検討した.このゲームは,環境教育のツールとして開発・実践・改良された.このゲームの概略は以下のとおりである.1)プレーヤーは環境に配慮した消費行動を「アイディアカード」に書き出し,そのアイディアの内容を他のプレーヤーに説明し,さらに実行の「難易度」と多くの消費者が実行した場合の環境配慮の「社会的効果」をプレーヤー同士で評価する.2)プレーヤーを「説得する役割」と「説得される役割」に分け,説得する側は,説得される側に対して,アイディアカードに書かれた内容を実行するように説得する.説得される側は,理由をつけて断る.相手の説得に納得したら,カードに実行を約束する署名をする.3)一定時間で区切り,説得する側と説得される側の役割を交替する.それぞれの役割を2回ずつ経験し,最終的に獲得された署名の数に応じて得点を競う.以上のような説得的コミュニケーションに関わる諸要素を取り込んだこのゲームは,環境配慮行動の普及をテーマに設定された大学の授業および市民ワークショップにおける6つの運用事例における検討から,ゲームのバリエーションの設定により数人から数十人の単位での教育場面に適用可能であることが示された.また,環境教育に限らず,コミュニケーション教育や専門家教育のためのゲーミングとしての可能性や,研究ツールとしての可能性についても論じられた.