著者
杉浦 真治 山崎 一夫 石井 宏幸
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.12-14, 2002-01-10 (Released:2017-08-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

ゴマフシロキバガScythropiodes leucostola(Meyrick)(チョウ目ヒゲナガキバガ科)の幼虫が,ナラメリンゴタマバチBiorhiza nawai(Ashmead)(ハチ目タマバチ科)によってコナラの芽に形成された虫えいに穿孔し摂食しているのが観察された.これまで,虫えいを摂食するチョウ目では10科が知られているが,我々の知る限りヒゲナガキバガ科では初めての記録である.ゴマフシロキバガは様々な樹種の葉を食べることが知られており,これまで報告された多くのえい食者と同様,機会的えい食者であると考えられた.また,摂食された虫えいから,ナラメリンゴタマバチの成虫が多数羽化してきたことから,ゴマフシロキバガの幼虫による摂食が虫えい形成者に与える影響は少ないものと考えられた.
著者
松澤 芳昭 保井 元 杉浦 学 酒井 三四郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.57-71, 2014-01-15

近年,SqueakやScratchをはじめとするビジュアルプログラミング言語による入門教育の実践が広く行われている.しかしながら,既存の環境はCやJavaなどのテキスト型言語への移行が考慮されていないため,学習の発展性に課題がある.本研究では,OpenBlocksフレームワークを利用して,ブロック型ビジュアル言語とテキスト型言語(Java)の相互変換ができるプログラミング教育環境「BlockEditor」を開発した.文科系大学生向けプログラミング入門授業の学生約100名に対して実証実験を行った.15週の授業で課した36題の課題解答過程において,学習者に2つの言語を任意に選択できる環境を与え,言語選択率を測定した.その結果,プログラミング学習の進行に沿ってブロック言語からJavaへ緩やかに移行していくこと,およびそのタイミングには個人差があることが定量的に示された.プログラミングに苦手意識を持つ学生ほどブロック型言語の選択率が高く,言語の相互変換環境が言語の交ぜ書きを促進し,Javaプログラム構築能力習得の足場かけとなることが示された.
著者
田中 圭介 神村 栄一 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.108-116, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
36
被引用文献数
4

近年,マインドフルネス・トレーニング(MT)は,全般性不安障害や心配への介入法として注目されている。MTは,マインドフルネス傾向や脱中心化,注意の制御を媒介して,不安や抑うつに作用することが示唆されている。しかし,これらの媒介変数が,心配に作用する過程については,いまだ検討されていない。本研究では大学生を対象に質問紙調査(N=376)を行い,心配に対する注意の制御,マインドフルネス傾向,脱中心化の影響について検討を行った。共分散構造分析の結果,注意の制御を外生変数とした場合に最もモデル適合度が高いことが示された。さらに,注意の制御は,マインドフルネス傾向と脱中心化を媒介して,心配の緩和に繫がることが明らかとなった。これらの結果から,MTが心配に作用する際には,注意の制御の増加が体験との関わり方(マインドフルネス傾向,脱中心化)を改善し,心配を低減させる作用プロセスが想定される。
著者
杉浦 健
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.352-360, 2000-09-30
被引用文献数
1

本研究の目的は, 拒否不安と親和傾向という2つの親和動機と対人的疎外感との関係, 及びそれらの関係の発達差や男女差を調べることであった。中学生366名, 高校生528名, 大学生233名を対象に親和動機, 対人的疎外感及び自我同一性についての質問紙調査を行った。その結果, 拒否不安と親和傾向は高い正の相関を示すにもかかわらず, 拒否不安は対人的疎外感と正の関係を, 親和傾向は負の関係を示した。また, 結果には男女差, 発達的差異があった。(1)女子において, 拒否不安は成長に伴い漸減した。(2)男子では, 拒否不安は中学生で対人的疎外感と負の関係を示したのに対し, 大学生では正の関係を示した。(3)拒否不安と親和傾向の相関は, 中学生の方が, 高校生, 大学生よりも高かった。これらの結果から, 2つの親和動機の変化は, 対人関係を適応的に維持していくための発達課題を示しているのではないかと考えられた。
著者
鈴木 隆司 岡野 安宏 杉浦 城春 猪越 幸雄
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.163-170, 1998 (Released:2010-02-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

The concentrations of medically used radionuclides in activated sludge samples were measured for 10 waste water treatment plants (WWTP) in Tokyo from October 1983 to March 1994. The nuclides 99mTc, 67Ga, 111In 123I 131I and 201Tl, among others, could be detected, but these concentration levels were lower than the legal concentration limits in Japan. The excess activated sludge is usually incinerated at WWTP; then the resulting ash is transported for reclamation in Tokyo Bay. Internal and/or external exposure doses were evaluated for the following cases: (1) The dose of the public attributed to radioactive iodine and 201Tl, which were released from the incinerator by burning sludge; (2) The dose of the workers during the process of transport and reclamation of the ash. As a result, the effective doses were sufficiently lower than the dose limit 1mSv/y. The decay of the radionuclides were calculated over a period of curing of the landfill. It was found that the radionuclides had decayed out to approximately one nuclide. The effective dose of the public can therefore be ignored. Moreover, it was clarified that the effective dose of the public resulting from 99Tc is negligibly low in value at the present time.
著者
佐野 佑樹 澤 俊二 杉浦 徹 木村 圭佑 松本 隆史 櫻井 宏明 金田 嘉清
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.955-959, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
22

〔目的〕回復期リハ病棟における認知尺度と行動観察尺度を併用して用いる有用性を検討すること.〔対象〕当院回復期リハ病棟に入院した60名.〔方法〕行動観察尺度のNMスケールを用いて,認知症の重症度を4群に分類した.次に,各群間における入退院時のMMSE,NMスケールの比較と関連性を求めた.〔結果〕認知症が重度群の場合,MMSEでは失語症や鬱傾向により評価不十分だが,NMスケールでは有意な差が認められた.また入院時の軽度群と中等度群のみ相関が低かった.〔結語〕一方の評価だけでは信頼性が乏しいこと,また認知尺度は失語症や鬱傾向の影響を受けることがあるため,日常生活の様子を観察して評価する行動観察尺度は有効であった.
著者
高橋 浩平 内田 学 石村 加代子 櫻澤 朋美 村田 厚 石田 美幸 福井 隆弘 増田 智子 杉浦 康幸 岩田 知子 田村 清隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.839-842, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕脊椎圧迫骨折患者の食事摂取状況を把握し,エネルギー摂取率とリハビリテーションの帰結である歩行能力との関連性を調査する.〔対象〕受傷前歩行が自立していた脊椎圧迫骨折患者31名とした.〔方法〕入院後7日間のエネルギー摂取率(摂取量/消費量)を評価し,1.0以上を充足群,1.0以下を不足群とした.歩行能力の指標であるFunctional Ambulation Category (FAC)を群間で比較した.〔結果〕対象全体の74%に摂取量の不足を認めた.充足群の方が歩行訓練開始時と退院時のFACが有意に高く,エネルギー摂取率とFACの間に関連性を認めた.〔結語〕脊椎圧迫骨折患者では,入院後食事摂取量が不足することが多く,それが歩行能力に影響を与えていることが示唆された.
著者
石川 康代 杉浦 絹子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.237-248, 2011-07

本研究は,男性のもつ月経観と月経の知識を測定する尺度を開発し,これを用いて男性のもつ月経観と月経に関する知識の現状を明らかにすること,ならびに男性に向けた月経に関する教育や情報提供のあり方について示唆を得ることを目的とした。月経観尺度,月経の知識尺度,月経に関する情報の入手方法,月経に関する情報提供に関する意見・考えで構成した無記名自記式質問紙による調査を行い,男子大学生および既婚男性計170名の回答を分析した結果,以下のことが明らかとなった。月経観尺度および月経の知識尺度は,内的整合性,弁別性いずれもおおむね良好な尺度であった。月経観尺度は第I因子「面倒」,第II因子「我慢」,第III因子「羞恥心」,第IV因子「誇り」で構成され,累積寄与率は51.96%であった。1項目あたりの平均得点は,「我慢」5.64±1.01,「面倒」4.52±1.40,「誇り」4.16±1.13,「羞恥心」3.18±1.08の順に高かった。月経の知識尺度は第I因子「気分の変化」,第II因子「留意」,第III因子「活動」で構成され,累積寄与率は54.03%であった。1項目あたりの平均得点は,「留意」5.75±1.07,「活動」5.21±1.06,「気分の変化」3.97±1.13の順に高かった。男子大学生群と既婚男性群間には,月経観尺度および月経の知識尺度の尺度総得点および下位尺度得点すべてにおいて有意差はみられなかった。また,対象の背景変数と両尺度の総得点および下位尺度得点にも関連はみられなかった。尺度のいずれかの項目に「わからない」と回答した者は計68.8%に及んだ。月経に関する情報源は,対象の大半が小中学校時,保健体育の教師からと回答しており,また月経について妻と話すことがある既婚男性では25.0%と少なかった。男性が月経について知っていたらよいと思うことについての回答は,多いものから「月経時に起こりやすい症状や心身の変化」(64.1%),「月経時のタブー」(62.4%),「月経時の過ごし方」(58.8%)の順であり,これらは「わからない」の回答が多かった項目と相応していた。以上より,男性が身近な女性の月経時の不調などを理解し配慮ができるよう,学校教育の場やマスメディアなどを通じて,より具体的かつ正確な月経に関する情報を提供していく必要性が示唆された。
著者
杉浦 正利 木下 徹 山下 淳子 滝沢 直宏 藤村 逸子 成田 克史 大室 剛志 大野 誠寛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第二言語(外国語)で、読んだり書いたりする際に、単語の連続(連語)をどのように処理しているのかを観察した。読解時の視線をミリ秒単位で記録する視線計測装置による実験で、英語では連語の頻度の差により母語話者と学習者の処理は違うという結果が得られたが、フランス語では頻度の差は影響するが母語話者と学習者で処理に差はなく、ドイツ語では頻度の差は母語話者にも学習者にも影響しないという結果が得られた。また、英文を書く際には、書く過程と書いた結果とでは必ずしも連語は一致しないという結果が得られた。
著者
阿部 朝美 杉浦 信之 秋池 太郎 伊藤 健治 有賀 明子 金田 暁 中野 雅行
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.110-111, 2007-06-07 (Released:2013-08-21)
参考文献数
3
被引用文献数
3 3

症例は50歳代女性。高熱に対し近医にてA型インフルエンザと診断されリン酸オセルタミビルを2回内服。翌日より血便を認め当院紹介入院。大腸内視鏡検査ではSDJ付近より脾彎曲部にかけて発赤および潰瘍形成が断続的に見られ一部は全周性であった。生検では虚血性腸炎の典型像とは異なる病理像であり大腸潰瘍と診断された。今後同様の症例に遭遇する機会は増えると思われ報告する。
著者
榎本 祐嗣 長尾 年恭 古宇田 亮一 山辺 典昭 杉浦 繁貴 近藤 斎
雑誌
日本地球惑星科学連合2022年大会
巻号頁・発行日
2022-03-24

日本列島および取り囲む近海には、水溶性メタンガス田やメタンハイドレート賦存域が拡がっていて、その地域で発生する大地震の巨大エネルギーはメタン/メタンハイドレートを賦活化しガス田火災や津波火災を引き起こす可能性がある。実際、歴史地震史料を辿るとそのような事例をいくつか挙げることができる。例えば1923年大正関東地震で起きた被服廠跡の惨劇は、従来周辺で発生した火焔を巻き込んだ“火災旋風”と理解されてきたが、南関東ガス田由来のメタン火焔の噴出による激甚火災を裏付ける資料や証言がある(榎本ほか,2021)。1855年安政江戸地震では夜中だったため大地の割れ目から火が噴き出る様子が目撃された。このとき起きた同時多発火災の発生域は大正関東地震のそれと重っている。その火災発生域の地下の比較的浅いところに、シルト層がキャップロックとなるメタン溜が存在する(。このメタンが地割れでできた新生面との電気相互作用で帯電・静電気着火して地表に火焔となって噴き出したと考えられる。図に示す資料は被服廠跡で起きた惨劇の真因を物語る。新潟や長野地域にも水溶性ガス田が存在していて、1828年越後三条地震や1847年善光寺地震でも地中から火焔が吹き出し、街中の火災を誘発した。一方1993年北海道南西沖で起きた津波は、海底から巻き上げたメタンバブルを運び、奥尻島青苗港の岸壁に衝突して舞い上がった帯電ミストにより静電気火災が発生、飛び火して青苗の街を焼き尽くした。2011年東北沖地震で起きた津波火災件数のうち24%は原因不明とされているが、青苗港で起きたと同様な原因である可能性がある。以上に述べた自然火災害は、しかしながら国の被害想定に含まれていない。対策が立てられないままでは、過去に起きた地震火災害が繰り返される懸念をぬぐえない。首都圏直下地震や南海トラフ地震発生の可能性が増すいま、地下/海底に賦存されるメタン/メタンハイドレートが誘発する地震火災害の想定と対策の実施にむけた活動は喫緊の課題であろう。例えば避難先と指定されている場所でのメタンモニタは欠かせない。沿岸に林立する石油タンクを津波火災の危険からどう守るか、課題はいくつも見えてくる。 具体的な課題を一つあげておこう。東京都は地盤沈下を防止するため、1972年末から天然ガス採取を全面停止、1988年6月から東京都の平野部全体を鉱区禁止地域に指定し揚水を規制した。そのため、東京駅の地下駅(たとえば京葉線)や、上野の新幹線駅などは、地下水位が上昇し地下筐体が浮き上がってきた。このことは地下水位の上昇だけでなく、南関東ガス田由来の天然ガスもかつてないほど蓄積され圧力上昇している可能性が高く、ガス漏れの監視あるいはガス抜きの対策を実施することが、迫る首都直下地震での火災発生被害低減につながるのではないだろうか。まず重要なことは防災・減災に携わる専門家のあいだで、この自然火災害に対する危機意識を共有し、対策の立案・実施が必要なのだが猶予はあまりない。図の説明左図:帝都大震災画報其九「厩橋より本所横網町方面大旋風之惨状」に描かれた被服廠跡の火焔竜巻、大正十二年(すみだ郷土文化資料館提供)、右図:絵葉書「斯如き電車路本所方面」(個人蔵)、石畳は剥がれ、レールは右上に曲がり土砂が噴き出している。1000℃を超える火焔が噴き出したためと考えられる。
著者
平手 博之 笹野 寛 藤田 義人 伊藤 彰師 薊 隆文 杉浦 健之 祖父江 和哉
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.769-774, 2009 (Released:2009-06-11)
参考文献数
11

血清ナトリウム異常は単にナトリウムの過不足をあらわしているのではなく、水に対する相対的な変化をあらわしている。ナトリウムの動態は水の移動に連動している。ナトリウム濃度異常を管理するに際しては体内水分量過不足の評価、体内総ナトリウム量の評価、血漿浸透圧、尿中ナトリウム濃度などを手がかりにして動態を理解する必要がある。中枢神経症状がみられるような重篤な濃度異常は補正を必要とするが、原疾患に対する治療に加え、ナトリウムの絶対量の増減、水分増減の関係をもとに、高張塩化ナトリウム液、生理食塩水、0.45%塩化ナトリウム液、5%糖液、水制限、利尿剤などを組み合わせ、急激な補正自体も重篤な神経系合併症を発症するリスクを伴う事を念頭に置き、適度な速度と十分なモニタリング下に適切な補正管理をおこなうことが重要である。
著者
山中 泰彦 森田 政明 洞口 公俊 山吉 孝雄 杉浦 渉
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.119-126, 2003-02-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
18
被引用文献数
4 3

The effects of germicidal radiation on water has shown many good properties, and the method is applied to several purposes including and purifying drinking water, pure disinfecting water. In this paper we discuss the theoretical and practical results of germicidal effects on both of using a cylindrical germicidal tank with a germicidal lamp in the center on still and flowing water. We are describe the water transmission properties that we developed for the germicidal radiation. The four tables below show the results of our experiments.Table 1 Index of natural water and permeation rate (τ)Table 2 The properties of dissolving material in cooling tower waterTable 3 Germicidal time for E-coliTable 4 Experimental results of twin-type circulation water disinfection