著者
田淵 篤 正木 久男 稲田 洋 森田 一郎 石田 敦久 菊川 大樹 遠藤 浩一 村上 泰治 藤原 巍
出版者
The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.260-263, 2000

症例は26歳, 男性. 3年前にアメリカンフットボールの競技中に左膝靱帯損傷をきたし, 保存的加療を受けた. 2カ月前から左足の冷感, 知覚障害を自覚し, 当科に入院した. 大腿動脈造影では左膝窩動脈の高度狭窄, 前脛骨および後脛骨動脈の閉塞が示された. CT, MRI検査では左膝窩動脈内腔に突出した腫瘤, 解離などが考えられた. 手術は後方到達法で施行, 左膝窩動脈外側からの圧排はなく, 切開を加えると狭窄部位は白色血栓であった. 血栓を摘除し, 膝窩動脈切開部は自家静脈にてパッチ閉鎖した. 狭窄性病変の病理組織学的所見は, フィブリンを主体とした器質化血栓および内膜からなり, 血栓および内膜内に肉芽組織の進入が観察された. 本症の成因として鈍的血管損傷後の治癒過程で壁肥厚, 血栓形成をきたし, 狭窄したと考えられた. 術後経過は順調であった.
著者
村上 タカシ
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.95-108, 2009

「芸術表現教育におけるPBL(Project-Based Learning)の実践研究」とは、芸術表現活動においては、美術作品(平面作品、立体作品、映像作品、パフォーマンス等の身体表現やワークショップ等)を制作しながら学ぶ造形活動と鑑賞活動があるが個人が個々の表現媒体で平面や立体作品等のビジュアルアーツ作品を創るという従来型の制作やパフォーミングアーツ(身体表現)とは異なり、現代の多様な表現形態を組み込みつつ、プロジェクト型のアートワークも「行為としてのアート」(作品)として捉え、芸術表現活動に位置づけ、大学内の実践授業としてもプロジェクト型授業の一環として学生参加のシステム構築や教材開発等を実践的に研究したものである。
著者
久木田 水生 神崎 宣次 村上 祐子 戸田山 和久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

28年度においては、主に次の調査・研究を行った。(1) 心理学、人類学、認知科学などの自然科学の諸分野における、道徳性に関する近年の研究について調査・研究。(2) 人工知能の分野における倫理や道徳に対する取り組みについての調査と検討。(3) 伝統的な倫理学において道徳性というものがどのようにとらえられてきたということについて調査。これらは本科研の主要な目的である、近年の科学の成果に基づいて道徳性の概念をアップデートして、新しい道徳性のモデルに基づく人工的な意思決定システム、行為システムをデザインするということに直接つながる調査である。上記の調査・研究の結果として以下のことが明らかになった。すなわち人間の道徳性は、霊長類など他の社会的な動物や、また言語を話す前の幼児にも見られる、協力的な行動・利他的な行動を選好する態度にすでにその萌芽が現れている。このことは従来の倫理学が考えてきた、「十分な理性的能力を有する人間(典型的には成年に達した人間)に特有のもの」ではないことが示唆される。その一方で人工知能の分野においては、技術の進展が目覚ましく、またその進歩の勢いに不安を抱く人々も多い。そこから「人工知能の倫理」、あるいは「ロボットの倫理」、「ロボット倫理学」というテーマが注目されている。そしてそれに即した研究の中には、人工知能やロボットに人間や社会の価値を反映させるということを目標としているものも多く、本科研の研究の方向性が社会的な重要性を持つものであることが確認できた。
著者
村上 直樹 MURAKAMI Naoki
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 = Bulletin of the Faculty of Humanities and Social Sciences,Department of Humanities (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.33, pp.99-120, 2016

ある制度論の論者は、「社会を記述するとは制度を記述することである。社会を説明することは、制度を説明することである」(志田・永田1991:69)と主張する。我々はこの主張に同意する。人々が社会と考えるものの中核にあるのは制度である。デュルケムも言うように、社会の学としての社会学は基本的に「諸制度およびその発生と機能にかんする科学」(Durkheim1895=1978:43)なのである。(ただし、デュルケムが考える制度と我々が対象としている制度は、必ずしも完全に重なり合うわけではない。)社会学は、制度を最重要の研究対象としなければならない。ただし、制度を説明することがそのまま社会を説明することになると言っても、制度イコール社会なのではない。例えば、財務省という一つの制度体、法廷での審理という一つの制度的相互行為、あるいは商法という一つのルール群が、そのまま一つの社会なのではない。社会は、制度よりも大きなまとまりである。では、この社会というまとまりは実質的にどのようなまとまりなのだろうか。本稿の主な目的は、多元的制度論の立場からこの問いに答えることと、社会の研究はどのような課題に答えなければならないのかを明らかにすることである。また、本稿は、グローバリゼーションと呼ばれている過程が世界社会や国際社会といった「大きな社会」を形成しているわけではないこと、並びにヨーロッパ統合が「社会の交差」という事態をもたらしていることも併せて指摘することになるだろう。
著者
加藤 信介 高橋 岳生 刑部 知周 村上 周三
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.68-74, 1996-02

特集 乱流の数値シミュレーション(NST)その12
著者
古村 健太郎 村上 達也 戸田 弘二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.303-313, 2016
被引用文献数
18

The purpose of this study was to translate the Experience of Close Relationship-Relationship Structure (ECRRS) and evaluate its validity. In study 1 (N = 982), evidence based internal structure (factor structure, internal consistency, and correlation among sub-scales) and evidence based relations to other variables (depression, reassurance seeking and self-esteem) were confirmed. In study 2 (N = 563), evidence based on internal structure was reconfirmed, and evidence based relations to other variables (IWMS, RQ, and ECR-GO) were confirmed. In study 3 (N = 342), evidence based internal structure (test-retest reliability) was confirmed. Based on these results, we concluded that ECR-RS was valid for measuring adult attachment style.
著者
井上 伸治 村田 真奈美 村上 浩徳 西田 好光 蝉 正敏 金田 忠裕
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.1-4, 2011-07-31

ロボカップジュニアに参加している子どもたちの要望や基礎研究を基に,ルール変更のため対応が必須となったサッカーゴールの塗り分け色を判別する,低価格なカラーセンサモジュールの開発を行った.市販のデジタルカラーセンサを使用し,レンズとして市販のアクリル球を用いるなど低価格化のため工夫した.また,外寸やインターフェースなどは従来のロボット教材との親和性を確保した.構造やアルゴリズムを工夫して子どもたちにも扱いやすく,実用的なセンサモジュールを開発し,商品化まで行うことができた.
著者
松橋 朋子 村上 照子
出版者
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.16, pp.11-18, 2011

本研究は、高齢者施設における災害対策の実態、災害介護教育に関する意識を把握することを目的とし、A県内の特別養護老人ホーム96ヶ所の介護職員480名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。263名から回答が得られ、以下のことが明らかになった。1.被災経験がある人は36.5%であり、災害の種類としては地震が多かった。2.91.6%の施設が年2回以上の防災訓練を実施していた。訓練の種類としては「避難訓練」「災害種類別防災訓練」「消火訓練」「通報訓練」「非常食調理訓練」「救護訓練」であり、97.3%が訓練が実際に活用できると答えていた。また、防災マニュアルについては91.3%の施設で整備されていたが、14.6%がマニュアルを読んでいなかった。3.防災体制・設備の把握状況では「災害発生時の連絡体制」「避難経路」について認知度が高く、介護職歴で有意な差は見られなかった。4.災害や防災に関して感じていることとしては、「不安」「訓練・日頃の備えの必要性」「防災意識の向上」の順に多くあげられた。5.介護職員の79.1%が介護福祉士養成施設における災害介護教育の必要性を認識していた。介護職員の73.8%が高齢者施設における災害介護研修の必要性を認識していたが、災害に備えた研修を受講していたのは27.8%であった。
著者
鈴木 誠 高橋 一揮 梁川 和也 佐藤 洋一郎 吉田 忠義 小野部 純 村上 賢一 武田 涼子 藤澤 宏幸
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P2406-C3P2406, 2009

【目的】<BR>垂直跳び(Vertical Jump:以下、VJ)は瞬発力の測定としてスポーツ現場では簡便に実施できる測定であり、跳躍高はプロサッカー選手の脚伸展筋力と相関が高いことがWisl&oslash;ffら(2006)の報告でもなされている.しかし、これは足関節の機能的・構造的安定性が補償されてはじめて行える動作であり、同部位に障害を負うと十分なパフォーマンスを発揮することが出来ないと予想される.そこで本研究はプロサッカー選手の足関節周囲筋の力時間曲線から得られた時間的指標とVJの跳躍高との関係性を足関節障害の有無によって比較検討することである.これは、足関節に障害を負ったスポーツ選手の競技復帰に向けた理学療法介入の具体的戦略として活用できると考えられる.<BR>【方法】<BR>対象は某プロサッカーチームに所属する選手で、重症度に関わらず足関節に障害を抱えている選手(以下、障害群)4名(22.5±3.3歳)、及び特に障害を抱えていない選手(以下、非障害群)13名(23.23±2.83歳)の計17名について調査を行った.測定の前に十分な説明を行った上で実験参加の同意を得た.測定肢は非障害群の場合、右下肢とした.測定項目は足関節背屈筋の反応時間(RT)・最大トルク到達時間(Max_tq_time)・最大変化率到達時間(MaxVtime)とした.また、VJは上肢を胸部前方で組み、反動を使わず股・膝関節屈曲90°を開始肢位として測定を行った.統計学的検定として、平均値の差の検定には2標本の差の検定を行った.また、VJの跳躍高と足関節筋力指標との関係を調べるためピアソンの積率相関係数(r)を求めた.有意水準は5%未満とした. <BR>【結果】<BR>VJの跳躍高は非障害群:47.1±3.5cm,障害群:46.5±2.9cmであり、有意差は認められなかった.足関節周囲筋の時間的指標は、RT(非障害群:0.14±0.03秒, 障害群:0.14±0.02秒)、Max_tq_time(非障害群:0.70±0.20秒, 障害群:0.49±0.08秒)、MaxVtime(非障害群:0.28±0.05秒, 障害群:0.25±0.03秒)であり、Max_tq_timeにのみ有意差を認めた(p<0.05).また、VJの跳躍高と足関節周囲筋の時間的指標との相関係数は0.5~0.8であり、有意ではないが関係性が示唆された.<BR>【考察】<BR>サッカー選手にとってジャンプ動作は相手選手との競り合いの中でもしばしば見受けられる動作であり、より高い跳躍高が求められる.今回の結果より、足関節周囲筋の最大張力だけではなく、それを短時間で発揮できる能力が足部の安定性を補償し、効率の良い脚伸展筋力の伝達に利用できると思われる.よって、早期より足関節周囲筋の筋力向上に加え、反応性を意識したような理学療法のアプローチを考慮し、下肢全体の協調性を高めていくような戦略をとる必要があると考えられる.
著者
久野 譜也 村上 晴香 馬場 紫乃 金 俊東 上岡 方士
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.17-29, 2003-08-01
被引用文献数
9 6

The ability to walk is just as important for the elderly as it is for young people. In fact, in the elderly, decreased mobility limits function in daily life and can lead to more serious situations (e.g., becoming bedridden). The elderly population has increased over the last decade, and many researchers have studied the mobility of the elderly. However, the focus of most studies has been to facilitate recovery of bedridden individuals and prevent the elderly from becoming bedridden, and particularly to prevent fall-induced fractures, which often cause the elderly to become bedridden. However, about 70-80% of the elderly population do not require care, and it is necessary to conduct research on the maintenance of activities of daily living to make it possible for the elderly to work or volunteer. From this perspective, mobility is an important physical factor. Mobility is dependent on muscle activity and it has long been known that aging reduces muscle mass. Therefore, it is feasible to assume that reduced muscle mass leads to decreased ability to walk, and we have proven that there is a close correlation between the two. When presenting the idea of strength training to the elderly, it is appropriate to focus on the maintenance and improvement of mobility, not on the training itself. The results of our research can be summarized as follows : Muscle mass decreases with age, with the legs being affected to a greater degree than the arms. Moreover, muscle atrophy is dependent on weakening of muscle fibers, especially fast-twitch (Type II) fibers. Reduced lower limb muscle mass increases the risk of falling and can decrease walking ability to a degree that can affect daily living activities. In order to improve reduced muscle mass in aging, it is important to use an exercise program that is designed to strengthen fast-twitch fibers, which can be followed even by the elderly. Since walking therapy mostly mobilizes slow twitch fibers, it is not effective in preventing and improving muscle atrophy. It is important to have an exercise program that is designed to mobilize fast-twitch fibers.