著者
松井(岡村) 徳光 大杉 匡弘
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.766-773, 2002-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

酒類は酵母のアルコール発酵力を利用して製造されている。最近, きのこがアルコール発酵するという興味深い現象が発見され, 酵母の変わりにきのこを用いて酒類が製造された。製成酒には疾病の予防効果を示す成分が検出され, お酒の機能性が強調された品質になっている。酒類の品質や製造方法の今後の展開を模索する上で本研究は貴重な情報を提供している。
著者
松井 由信 梅田 裕平 穴井 宏和
雑誌
経営課題にAIを! ビジネス・インフォマティクス研究会資料
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, 2014-11-20

At a retail store or wholesales, orderers must order their items adequately.For example, there are some situations such that they must order their items so as to reduce their order cost or to equalize the order quantity. In order to handle such problems unitedly, the Model Predictive Control (MPC) framework is effective, because the MPC is an optimal operation method of dynamical systems and the process of stocks can be seen as a dynamical system.In this paper, we propose a MPC framework for the inventory management and show its effectiveness by numerical examples.
著者
石黒 直隆 富岡 直人 本郷 一美 松井 章 上原 静 江上 幹幸 山岸 則夫
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、縄文時代から中世にかけての遺跡より拙土する古代犬とオオカミの骨に残存するミトコンドリアDNA(mtDNA)を分離・増幅して古代犬を遺伝子面で復原し、日本在来犬の遺伝的系統を明かにすることを目的とした。1)縄文時代(20遺跡)、弥生時代(2遺跡)、古墳時代(1遺跡)、中世(1遺跡)、オホーヅク分化期(6遺跡)より出土した古代犬の骨よりmtDNA198bpを分離し、日本在来犬の遺伝的系統を解析した。北海道から関東にかけての遺跡では、ハプロタイプM5が多いのにくらべ、西日本から東北地方にかけてハプロタイプM2が多く、縄文時代からかなり複雑な遺伝子分布をしていることが明かとなった。しかし、縄文犬と弥生犬を遺伝的に明確に区別することはできなかった。2)中国試料のDNA分析と日本在来犬との遺伝的関係:中国の3遺跡(上海馬橋、大旬子、河南花国庄)から出土した古代犬25点をDNA分析した結果、10サンプルより残存遺伝子が増幅された。系統解析の結果、クラスター3に属した現生犬のM20の1サンプルを除いて、全てが日本の古代犬に検出されたM5,M10,M11のハプロタイプであり、日本在来犬の遺伝的起源が大陸由来であることが明かとなった。3)ニホンオオカミの遺伝的復原と日本在来犬との関係:日本在来犬とニホンオオカミとの遺伝的な関係を明かにするため、ニホンオオカミのmtDNAを解析した。形態的にニホンオオカミと同定された6試料(高知県:仁淀村、熊本県産、国立科学博物館所蔵の3試料、縄文中期1試料)よりmtDNA(750bp)の増幅し系統解析した結果、ニホンオオカミは犬と大陸のオオカミの中間に位置した。
著者
海野 昌喜 松井 敏高 齋藤 正男
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.213-218, 2011-06-30 (Released:2011-07-13)
参考文献数
19
被引用文献数
2

X-ray crystallographic analysis of a metalloprotein requires knowing the electronic state of the metal center, if one wants to elucidate the exact function and/or reaction mechanism. As an example, we show our recent structural analysis of the heme oxygenase reaction intermediate which is involved in the third step of the heme degradation reaction. The reaction intermediate was crystallized under anaerobic condition, and the obtained crystals were frozen into liquid nitrogen. The absorption spectra of the single crystal before and after X-ray irradiation were compared with that of the frozen solution in 100 K cold nitrogen stream. The determined structure offers the first solid evidence for the presence of a water cluster in the distal pocket of this catalytically critical intermediate. This structure combined with the QM/MM calculation supports our proposal that the biliverdin is produced via Fe-OOH verdoheme intermediate.
著者
岡崎 章子 當具 摩弓 冨田 圭子 松井 元子 大谷 貴美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.1030, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】食べ物のおいしさは、食物本来の化学的・物理的性質のほかに、食べる側の食体験や社会的・文化的背景の影響を強く受ける。そのおいしさを評価するのに、前者は機器分析によるさまざまな客観的評価法が研究されているが、おいしさを表現することばについてはほとんど研究されていない。本研究の目的は、食べ物のおいしさの表現用語と文化的背景との関係を明らかにすることである。ここでは、まず日本で幅広い世代に知られる料理漫画「美味しんぼ」の中で使用される食べ物のおいしさの表現用語に着目し、分類した結果を報告する。【方法】料理漫画「美味しんぼ」(小学館)1~102巻(1983~2008年)を調査対象とし、その中で使用されている食べ物のおいしさを表現する用語を抜き出し、感覚別、調理法別、食品群別、料理国籍別等にカテゴリーに分類、分析した。【結果】食べ物のおいしさを表現する用語を抽出したところ、11,888語あった。感覚別で最も多かったのは味覚関連用語(4,135)で、それに次いで嗅覚(2,166)、触覚(1,967)、視覚(895)に関連する用語であった。また感覚(五感)には分類されないが、製造法や原産地など食の安心・安全性に関連した用語も抽出され、知識・経験に基づく用語もおいしさを表現する上で重要な役割を果たしていることが示唆された。料理国籍の違いによって表現用語に大きな差は認められなかったが、調理法の違いによる差が認められた。また、「美味しんぼ」では魚介類に関連する用語が多く、そのおいしさを表現するのに、生臭みなどの嗅覚関連用語や、鮮度、主食との相性などに関する用語が用いられた。今後は、例えば異なる文化的背景における魚介類のおいしさを表現する用語について、比較検討を行う予定である。
著者
上田 功 松井 理直 田中 真一 野田 尚史 坂本 洋子 三浦 優生 安田 麗
出版者
名古屋外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度の研究成果は大きく4つの領域に分けることができる。最初は音声産出の生理面である。松井は自閉症児に見られる外国語様アクセント症候群と呼ばれる障害に関して、ほぼ純粋にこの障害のみを引き起こしている言語障害者1名を対象に、その特徴と脳内機序に関するケーススタディを行った。行動レベルでは有アクセント語についてはほとんど誤りがなく、無アクセント語が有アクセント語に変異するというパターンが多くを占めること、またその時のアクセント核の位置が多くの場合に ディフォールトのアクセント位置 (後部から 2 モーラないし 3 モーラ目) に生じることが明らかとなった。続いて成人の外国語訛りとの平行性に関する研究領域で、野田は非母語日本語学習者の読解過程を調査し,どこをどのように読み誤るのか,わからない部分をどのように推測するのかを分析した。また,読解時に辞書を使用しても,適切な理解に至らないケースも分析した。このような読み誤りや辞書使用の問題点の中には,発達障害児に見られるものと共通するものもあると考えられる。田中は韓国語を母語とする日本語学習者の誤発音について、とくにリズム構造に焦点を当て分析した。韓国語話者が目標言語(日本語)における有標のリズム構造を極端に避けるのに対し、無標のリズム構造を過剰産出することを明らかにした。上記の分析結果をもとに、リズム構造の有標性と自閉症スペクトラム児のプロソディー産出との並行性について考察した。安田は日本人ドイツ語学習者の声帯振動制御に関して、音響的分析を前年度に引き続きおこなっている。次に三浦は語用論的側面に関して、小学生児童を対象にプロソディの特徴について、コーディングを行っている。最後に臨床応用面では、坂本がロボテクスの教育への導入が、学習不安の軽減に繋がる可能性を発見し、自閉症児の学習においてロボットを活用できる可能性を見いだしている。
著者
前田 夏実 松井 淳 宮﨑 勝己
出版者
奈良教育大学教育学部自然環境教育センター
雑誌
奈良教育大学自然環境教育センター紀要 = Bulletin of Center for Natural Environment Education, Nara University of Education (ISSN:21887187)
巻号頁・発行日
no.18, pp.9-19, 2017-03

"太平洋に面した紀伊半島南西部に位置する田辺湾岸において、2015年9月と12月にウミグモ類を調査した。干潮を挟んだ前後1~2時間程度かけて潮間帯にある転石裏面や海藻に付着するウミグモ類を探索した。田辺湾の北浜、南浜、江津良、阪田、鳥の巣、天神崎の6地点のうち、鳥の巣を除く5地点から2科3属7種(うち1種は同定疑問種)48個体のウミグモ類が採集された。すなわち、ホソウミグモ科からヒメツマリウミグモAnoplodactyluscarnatus(和歌山県新記録かつ種南限記録)、ズングリツマリウミグモAnoplodactyluscrassus(和歌山県新記録)、Anoplodactyluserectus?(同定疑問種)、ソコウミグモAnoplodactylusgestiens、ツマリソコウミグモAnoplodactyluspycnosomaの5種と、イソウミグモ科からフタイボイソウミグモAcheliabituberculata、フタツメイソウミグモAmmothellabiunguiculataの2種である。今回の現地調査と文献調査の結果を合わせると和歌山県産ウミグモ類は10科20属50種に達し、そのうち田辺湾からは3科5属9種が確認されたことになる。今回の調査は採集時期と方法が限定的であるので、和歌山県ないし田辺湾ウミグモ相の解明にはより詳細な調査が必要である。"
著者
柿本 多千代 松井 三枝 中澤 潤 吉田 丈俊 市田 蕗子
出版者
富山大学医学会
雑誌
富山大学医学会誌 (ISSN:18832067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.28-32, 2011-12

Bayley乳幼児発達検査-第3版(Bayley−Ⅲ)は乳幼児の発達を詳細に,かつ客観的に評価でき,世界標準で用いられることの多い検査である。しかし,日本版は未だ作成されておらず有用性は確かではない。本研究では,日本人健常12ヵ月児42名と36ヵ月児81名にBayley−ⅢとBayley式検査-第2版(BSID−Ⅱ),発達質問紙(津守式)を実施し,Bayley−Ⅲの有用性を検証した。米国の健常児と比較した結果,12ヵ月児では言語尺度の得点低下,36ヵ月児では微細運動の得点上昇が認められた。BSID−Ⅱよりは全体的に得点は高く,尺度間には高い相関が確認された。津守式では,両年齢ともに月齢相応の発達を示していた。Bayley−Ⅲの言語尺度においては,日本人小児には見合わない文法が認められたが,それ以外の教示や用具など実施上の不都合はなく,Bayley−Ⅲは日本でも使用可能な検査であった。
著者
上瀬 由美子 松井 豊
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.170-179, 1996-03-30 (Released:2016-12-04)

The purpose of this study was to investigate the course of stereotype changes on cognitive, affective, and behavioral components. The blood-groups stereotype widespread in Japan was used for the study. One hundred and four female undergraduate students (average age 20.2) attended a lecture given by one of the authors concerning the denail of the blood-groups stereotype. For three times the students responded to the questionnaires about blood-groups stereotype: immediatelybefore, immediately after, and three months after the lecture. Statistically significant changes werefound in cognitive and affective components of the attitude, but not in the behavioral component. Although in the cognitive component the attitude changed in support of the 'bookkeeping model', inthe affective component some of the students changed according to 'conversion model'. The cognitive component did not change when 'subtyping' was formed.
著者
松井 勇起
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.81-99, 2020-01-22 (Released:2021-01-22)
参考文献数
70

本論文では,メディア知識人としての加藤秀俊を論ずる.その分析枠組みとして,実感論争時の加藤の立場の独自性を扱う.1950 年代に多くのメディア知識人が参加した実感論争の際に,加藤は『中間文化論』で実感を肯定したことで,実感論を理解しない江藤淳と論争した.加藤の実感論はリースマンの思想的根源であるプラグマティズムの観点から論じられたところに独自性がある.プラグマティックな現実観察を前提とする加藤の実感論は,メディア知識人の言説の中で日本の消費社会論の嚆矢となった.加藤は他人指向型に対する共感するが,本論文によってメディア知識人はドイツ思想が強い東大で教育を受けたか否かで他人指向型に対して共感しやすくなるかが左右されることがわかった.戦後多くのメディア知識人が左派・マルクス主義の影響下にあった中で,加藤が高度経済成長を実感として掴んだ点に加藤のメディア知識人としての特徴があるといえる.
著者
松井 広志
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.503-518, 2013

近年, デジタルメディアによるコンテンツ受容に関して, 「物質」の対概念としての「情報」そのものに近い消費のあり方が伺える. しかし, ポピュラーカルチャーの現場では, 物質的な「モノ」という形式での受容が依然として観察される. ここには「ポピュラーカルチャーにおけるモノをめぐる人々の活動」という論点が潜んでいる. 本稿の目的は, この受容の論理を多面的な視点から, しかも日常的な実感に即して読み解くことである. 本稿ではその動向の典型を, ポピュラーカルチャーのコンテンツを題材としたキャラクターグッズやフィギュア, 模型やモニュメントに見出し, これらを「モノとしてのポピュラーカルチャー」と理念的に定義したうえで, 3つの理論的枠組から捉えた.<br>まず, 従来の主要な枠組であった消費社会論から「記号」としてのモノの消費について検討した. 次に, 空間的に存在するモノを捉える枠組として物質文化論に注目し, とくにモノ理論から「あるモノに固有の物質的な質感」を受容する側面を見出した. さらに, モノとしてのポピュラーカルチャーをめぐる時間的側面を, 集合的記憶論における「物的環境による記憶の想起」という枠組から捉えた. これらの総合的考察から浮かび上がった「モノとしてのポピュラーカルチャー」をめぐる人々の受容の論理は, 記号・物質・記憶のどれにも還元されず, 時間的・空間的に重層化した力学の総体であった.
著者
松井 美枝
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.483-497, 2000-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
94
被引用文献数
2 2

The term "jo-kou", which means female laborers working at spinning factories, has been used with discriminatory implications. The reality raised by this term leads us to imagine the group life of girls, the extremely hard work and the poverty, associated with a disdainful perception towards them. As a result, female laborers at spinning factories have also experienced severe social discrimination in neighborhood communities.The author proposes that these discriminatory conditions have been observed more strongly in the encounter with the neighboring residents outside of the factory rather than in labormanagement relations inside the factory. The author also asserts that a perspective which focuses only on matters inside factories tends to mask workers' independence and potential, which are necessary to clarify in this study. Therefore, this paper stresses an important perspective: that is, to direct our attention to the encounters of spinning female laborers with the neighborhood community outside factories.In the study area of Oda district at Muko county (since 1936, Amagasaki city) in Hyogo prefecture where the Kanzaki factory of Toyo Spinning Company was located, many reminiscences of spinning laborers are available, and the author adds personal interviews with neighboring residents. These narratives are helpful in clarifying the ways in which the residents viewed female laborers and how laborers shared their life world with the surrounding community. The impact of the neighborhood's discrimination of laborers and their reactions to it are also examined.The results obtained here are as follows: (1) The company's management was largely conditioned by the laborers' emotions that arose as a result of encounters with the neighborhood community. (2) The laborers' independence, which tends to be unclear if we focus on labor-management relations inside the factory, can be recognized through an analysis of relations between female laborers and the neighborhood community.
著者
松井 貴英
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.243-255,32, 2004-04-01 (Released:2009-12-09)

In Plato's Phaedo 74b2-3, at one stage of the argument for the theory of recollection, Socrates and Simmias agree that they have knowledge of equality itself. The aim of this paper is to answer the following two questions concerning this agree-ment : (1) What is equality itself, which they claim to know, the Platonic Form of Equality or some mathematical object different from Platonic Forms?(2) Is recollection a form of ordinary learning accessible to ordinary people or some kind of higher learning?In our approach to question (1), we deal first with 76b10-12. This passage suggests that only Socrates is capable of giving an account of Forms, including the Form of Equality, and this can be taken to imply that Simmias does not know this Form. The knowledge he has attained so far concerns only mathematical objects. This conclusion may be supported by 74c1-3, where the equality itself which Sim-mias is said to know is represented in the plural.As to question (2), Socrates says that whenever we recollect something through something like it, we necessarily recognize that the latter is defective in its similarity to the former (74a5-7), and this statement suggests that recollection is not simple concept formation, but rather a kind of higher learning, which requires reflective thought.Now in this process of recollection, where does Simmias, who doesn't have knowledge of Forms, stand? The 'Divided Line' in the Republic and the comparison with the slave boy in the Meno help us to answer this question : his state of mind corresponds to 'dianoia' in the 'Divided Line', but is nearer to 'noesis' than the slave boy in the Meno, who is supposed to have just begun his attempt to reach 'dianoia' starting from 'pistis'. Recollection is supposed to be a long and arduous process of learning in the journey toward 'dianoia' and 'noesis', starting from 'pistis'.