著者
松井 克明
出版者
八戸学院大学
雑誌
八戸学院大学紀要 (ISSN:21878102)
巻号頁・発行日
no.61, pp.21-35, 2020-12-18

本稿は、青森県三戸郡田子町にゆかりのある映画監督相米慎二の映画作品を分析し、相米監督は地方(とくに北海道、東北地方)についてどう考え、どう描いていたのかを考察する。大間町を舞台とした『魚影の群れ』(1983年)では南部藩の「抑圧された側への目線」、『光る女』(1987年)、『風花』(2001年)では北海道に希望を描き、「ユートピア的開墾地」に地方の原風景を見た。
著者
原田 敦 松井 康素 竹村 真里枝 伊藤 全哉 若尾 典充 太田 壽城
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.596-608, 2005-11-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
67
被引用文献数
7 8

老年病の需要増加に対する有限の医療・介護資源をいかに合理的に活用するかが問われている. 本稿では, 骨粗鬆症・骨折の疫学と費用を述べ, 次いで費用対効果の研究を介入法別に総説した. 骨粗鬆症性骨折による生命予後及び機能予後の悪化, 並びにQOL低下の存在は多くの研究から明らかで, 骨粗鬆症治療の効果はQOLを考慮した質調整生存年 (QALY) によって測定され, 費用・効用分析にて解析されるべきである. 従って, その費用対効果は, 単なる得られた生存年ではなく, 獲得されたQALY当たりの費用で評価されるのが適正で, QALYも得られ, 費用も節減が最も望ましいが, 妥当な費用閾値を越えなければ費用対効果は良好とされる.骨粗鬆症・骨折における治療の費用対効果は, 対象の有する骨粗鬆症性骨折リスクと介入法の効果及び費用に依存しており, 特に骨折リスクとしての年齢と介入費用の影響が強かった. 高価な治療であっても高齢であれば, 平均骨折リスクの女性では合理的費用対効果が認められ, 安価で効果のある治療なら, 閉経直後の正常女性でも合理的費用対効果が得られる. さらに介入効果として薬剤中止後の効果残存にも費用対効果は大きく左右され, 効果残存のない薬剤では, 最も安価でかつ最大の効果のある場合以外は, 費用対効果を得るのは困難とする報告もあった.介入法ごとの費用対効果を現時点の文献をもとに検討すると, HRTに関しては, 有益作用を有害作用が上回った最近の報告を元にした検討はまだ発表されていない. アレンドロネートは既存脊椎骨折のある高齢骨粗鬆症女性で十分な費用対効果が認められ, 効果は対象が高齢の方が優れており, 既存脊椎骨折を有する方が脊椎骨折のない場合より優れていた. リセドロネートも65歳以上の骨粗鬆症女性では既存骨折にかかわらず, 良好な費用対効果を示し, 既存骨折があれば70歳以上ですべて費用節減に至った. カルシウムとビタミンD併用は大腿骨頸部骨折リスクを減少し, 高齢女性で費用節減に到達した. ラロキシフェンは乳癌抑制作用も合わせると, 既存骨折の有無にかかわらず, 骨粗鬆症女性における費用対効果はどの年代でも良好であった. ヒッププロテクターは, 高齢者においては男女とも費用節減で, 特に高齢女性では大きい費用節減とQALY獲得が予測された.このように骨折リスクの高い高齢者にも費用対効果が十分期待できる介入法がいくつかあり, それらによる積極的な治療は医療経済的にも大いに有意義であると考えられる.
著者
福村 浩一 中原 毅 小串 美由紀 倉持 龍彦 関 貴弘 堀井 京子 寺田 紀子 上野 信一 松井 則明
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.137, 2008

【はじめに】近年、携帯電話や電磁調理器具などの急速な普及により、それらから発せられる電磁波による健康への影響を不安視する声が聞かれる。透析装置においても電磁波を発する装置であり、透析患者は4~5時間装置の側での治療を余儀なくされる事から、透析中における装置からの電磁波の発生強度を測定し、その安全性を検討した。<BR>【目的】透析装置から出る電磁波を測定し、その数値からICNIRPの電波防護指針をもとに透析中の安全性を検討する。<BR>【方法】当院で用いられている透析装置(DCS-72、DCS-26、DCS-27、DBB-26、DBG-02、TR-3000M)の待機時(プライミング終了後)と作動時(透析中)に放出される電磁波の強度を、アルファラボ社製トリフィールドメーター100XEを用いて測定し、また患者の透析時における電磁波の暴露量(頭部、腹部、下肢)からその安全性を比較検討した。電磁波の測定方法は透析装置のディスプレイ画面より0cmから10cm間隔で電磁波の強度を測定し、最終的に測定表示が0になるまでの距離を測定した。<BR>【結果】DCS-72では待機時が、0~20cmで100mG以上、30cmで25mG、1.3mで0mGとなった。透析時では0~20cmで100mG以上、30cmで25mG、1.5mで0mGとなった。DCS-26では待機時が0cmで50mG、10cmで6mG、50cmで0mGとなった。透析時では0cmで100mG以上、10cmで50mG、90cmで0mGとなった。DBB-26、DBG-02ともに透析時では0cmで60mGと高い値を示したが、10cmでの測定値は一桁を示し、他の装置では0cmでも待機、透析時ともに低値を示し、待機時で30cm、透析時で40~60cmで0mGとなった。又、患者の頭部、腹部、下肢で透析時に受ける電磁波の強度を測定した結果、頭部で0~2mG、腹部、下肢では0~0.5mGであった。<BR>【考察】測定の結果からICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の定めた国際ガイドライン値(安全値4mG未満、許容値16mG未満)に当て嵌めると医療従事者が通常の操作をするパネルからの位置では、測定結果から特に問題はないと思われ、透析中における患者についても安全性をクリアしていると思われた。<BR>【まとめ】電磁波については、生体に影響が有る、無いの二極論があるが、実際に「電磁波過敏症」と呼ばれる諸症状がある事も事実であり、長時間装置の側で治療を受ける透析患者の電磁波の暴露量は重要であり、科学的根拠がなくても事前回避の措置を定めるという原則の考えが重要であると考えられた。

2 0 0 0 OA 硫酸塩還元菌

著者
松井 三郎 立脇 征弘
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.229-244, 1989-04-30 (Released:2010-03-18)
参考文献数
59
被引用文献数
2 2
著者
田村 幸雄 松井 正宏 吉田 昭仁
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

外装仕上材からそれらを支える2次部材に変動風圧力が伝達され,最終的に構造骨組を通じて地盤へ伝達されるプロセスを詳細に追い,従来の耐風設計で行われている構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の妥当性を検討した。特に,外装材と構造骨組の区別が付かないモノコック構造体や,大スパン屋根の外装材を支持する部材と構造フレームなどにおける構造物全体の挙動と局所的な風圧力が荷重効果に与える影響について検討し,両者を別々に評価する手法を提案し,耐風設計への応用を示した。
著者
田村 幸雄 松井 正宏 吉田 昭仁 小林 文明
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の原子力発電施設やLNGタンクなどは全て海岸線に沿って建設されており,米国中部の竜巻常襲地域の竜巻発生確率などと較べても,これら我が国の高危険度施設の竜巻遭遇確率は遥に高い。本研究では,従来から設計では採り上げられていなかった竜巻等のシビア・ローカルストームの,原子力発電施設,大規模液化天然ガス貯蔵施設,使用済核燃料再処理施設,有害産業廃棄物処理施設など,被害が発生した際に周辺地域,住民に甚大な悪影響を与える重要施設に対する影響と対策,設計・施工に対するガイドラインを検討した。
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
松井 美由紀 乗松 貞子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-9, 2012-12-01 (Released:2013-03-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

Physiological and psychological effects of illumination with different colored lights on humans were investigated in order to improve lighting conditions in medical treatment environments. Women (n=12) participated in an experiment in which they were exposed to illumination using 900 lx and 200 lx white fluorescent lamps, and a 200 lx lamp covered with a green cellophane transparent film. Physiological variables such as heart rate, HF values, LF/HF ratio, and Chromogranin A in saliva, as well as psychological variables such as subjective feelings of relaxation were measured using the Visual Analogue Scale test and the short version of the Japanese Profile of Mood. Participants subjected to stress conditions created by using the Uchida–Kraepelin test under white fluorescent lighting and then tested after 15 min of rest following stress in all three lighting conditions. Results indicated that there was a suppression of sympathetic activity, an increase in parasympathetic activity, as well as an improvement in physiological responses when using the 200 lx green light. There was also an improvement in psychological reactions and the feeling of relaxation, as well as a reduction in anxiety-tension, fatigue and confusion.
著者
松井 輝昭
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

厳島神社の社殿が建つところは、オオナムチ・スクナヒコナの神の故地と伝えられる。熊野修験の支援でこの地に熊野本宮の写しが創られ、新たな来世往生の霊場が生まれることになった。中世前期の厳島大明神は、来世往生の願いを叶える神として信仰を集めた。ところが、厳島大明神は室町時代後期頃には、新たに現世利益の神へとしての神格を持つようになっていた。さらに、戦国時代初頭には、福徳の願いを叶える弁財天の評判を得ていた。しかし、厳島神社の神仏習合観が大きく変容しても、その基底には海の神龍神への信仰が伏流していたことが知られる。海上社殿にちなむ厳島神社信仰の本質は、神仏習合観が大きく変容しても変わるものではなかった。
著者
干場 一矢 ポヌ ジョジアヌ ドドビバ ジョルジ 伊藤 紘 佐瀬 佐 松井 裕史 藤田 豊久
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.134, no.11, pp.151-157, 2018-11-30 (Released:2018-11-08)
参考文献数
35
被引用文献数
2

Recently, calcined dolomite has been used as an anti-bacterial material in various applications for improving public health. Generally speaking, calcined dolomite exhibits anti-bacterial effects due to its strong alkalinity after hydration. There are authors who have reported that the calcined dolomite can generate Reactive Oxygen Species (ROS), although there are other authors who were not able to detect it. Since the anti-bacterial mechanism of the calcined dolomite is not yet very clear, it was subject to ESR (Electron Spin Resonance) spin trapping method in order to confirm the generation of the hydroxyl radical. In this work, the hydroxyl radical was detected from calcined dolomite - hydrogen peroxide (H2O2) suspension. It was found that dolomite, calcined at the relatively higher temperature between 800℃ and 1000℃, enables faster H2O2 decomposition. The results of this work indicate that calcined dolomite suspension generates hydroxyl radicals in the presence of H2O2.
著者
松井 洋子
出版者
日本学士院
雑誌
日本學士院紀要 (ISSN:03880036)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.273-285, 2018
被引用文献数
1

2 0 0 0 存在の風景

著者
松井 吉康
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-68, 2002

Da Parmenides zuallererst die Frage, ob <i>ist</i> oder <i>nicht ist</i>, stellt, diskutieren viele Forscher die Frage, was denn das Subjekt dieses Seins sei. Diese Fragestellung ist bei Parmenides aber völlig irreführend, da für ihn das Sein überhaupt kein Subjekt akzeptiert. Das Sein ist für ihn nur das Nicht-Nichts. Kein bestimmtes Ding kann also Subjekt des Seins werden, weil es nie ganz nichts wird, auch wenn es allein verschwindet. Parmenideisches Denken konzentriert sich also nur auf dieses Sein, das kein Subjekt akzeptiert, und die Frage, was in Wahrheit ist, stellt er überhaupt nicht. Dies ist die Ebene, von der aus Parmenides die Landschaft des Seins vernimmt. Es gibt weder ein Werden noch ein Vergehen. Alles ist jetzt zugleich in einem. Und weil im Denken das Nichts steckt, kann diese Landschaft nur durch das Denken, das Licht des Nichts, bestrahlt werden. Deshalb gehören Sein und Denken zusammen.
著者
神前 裕 時 暁聴 松井 大 新保 彰大 藤巻 峻
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.60-77, 2015-09-30 (Released:2015-12-26)
参考文献数
115

Throughout the history of research on animal learning, it has been widely acknowledged that the temporal relationship between events exerts a critical influence on the acquisition of a conditioned response. Until more recently, however, no explicit and systematic studies had investigated how animals learn the temporal relationship itself. In this article, we first review some basic functions of temporal information in classical conditioning. We then focus on one influential learning theory, temporal coding hypothesis, which posits that animals can automatically encode temporal relationships between events and express learned behaviour through integration of multiple temporal relationships acquired across contexts. After reviewing basic results supporting the temporal coding hypothesis, we present an alternative explanation of some temporal coding-like phenomena on the basis of AESOP model combined with the potentially different contributions of motivational and sensory US representations in higher-order conditioning. In a second article (Fujimaki, Shimbo, Matsui, Shi, & Kosaki, 2015), we will discuss interval timing in operant conditioning and neural substrates of timing behaviour.