著者
松井 陽吉
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.189-196, 2003-08

最近お茶類に人気が出てきているのは茶系飲料が生活の中に定着したことや、様々な生理機能が解明されてきたことにある。水分補給や香味を味わうことで生活の潤いとして利用され、三次機能と呼ばれる生理機能を期待して消費されている。お茶が今日のように世界中で普及したのは大規模茶園と機械化が貢献してきたが、そのため香味を画一化して大量の生産ができるような体系にしてきた。ウーロン茶は発展途上にあり将来は緑茶や紅茶のような道を歩むかもしれないが、少量生産で茶農家独自の製法で生産されており、香味の多様性と魅力から見ると一律の香味である緑茶や紅茶に比べておいしさにかかわる点が異なって感じられる。お茶のおいしさを極めていくと、緻密な感性で生産されているため香味が多様でレベルが高いウーロン茶に行き着く。さらによりおいしいものを目指してゆっくり楽しむというお茶本来の姿もウーロン茶の飲み方の中に見ることができる。
著者
水野 石一 村山 徹 大林 千穂 高橋 健太郎 宮田 陽子 安藤 美和 佐藤 倫明 井本 しおん 松井 利充 伊東 宏 千原 和夫
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.593-599, 1998-08-30
被引用文献数
3

53歳,女性。51歳の時に肺炎にて近医を受診し,頚部リンパ節腫脹,貧血,高ガンマグロブリン血症を指摘され,multicentric Castleman's disease (MCD)を疑われた。53歳の時に下肢のしびれ感,脱力感を認め,当科入院。多クローン性高ガンマグロブリン血症を認め,リンパ節生検にてリンパ濾胞間に形質細胞の浸潤を認めたため,MCDと診断した。また,胸部CTにてびまん性粒状影,経気管支肺生検にて形質細胞の浸潤を認め,lymphoid interstitial pneumonia (LIP)と診断した。また神経学的所見および神経電気生理検査から多発神経障害の合併と診断した。LIPに対しprednisoloneとcyclophosphamideによる治療を行ったが,一部に線維化が進んでいたためかあまり改善は認められなかった。肺合併症はMCDの予後を左右するため早期の発見と治療が必要である。
著者
松井 美穂 笠井 孝久 Matsui Miho 笠井 孝久 カサイ タカヒサ Kasai Takahisa
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.77-86, 2013-03

本論文では,小・中学生の時期に不登校を経験した青年たちへのインタビューをもとに,不登校経験がその後の生活にどのような影響を及ぼしているのか,すなわち不登校経験と現状のありようとの関連やその意味づけを明らかにすることを試みた。インタビュー内容を分析した結果,家庭や周囲のかかわりのあり方が,彼らの自分自身の問題との向き合い方に大きな影響を及ぼしていること,自分で認めている問題と,実際に問題の本質と考えられるものとの間にズレがあり,不登校が解消した後も扱えずに問題が継続されている可能性が示唆された。これらのことから,義務教育終了後の支援においては,日常の中で彼らの本質的な問題を見据え,働きかける支援者の存在が不可欠であること。彼らの育ちを支えるという視点に立ち,これまでの経過を踏まえその時々の彼らの状態に合わせてサポートをしながら,一緒に問題を考えていける場の必要性が示された。
著者
藤野 治 松井 正和
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.241-246, 1982-05-05
被引用文献数
1

炭素チューブをアトマイザーに用いたときのイッテルビウムのフレームレス原子吸光分析について基礎的検討を行いリン酸塩鉱物へ適用した.本法により検量線を作成した結果(10〜40)ppbの範囲で直線となった.一酸化二窒素-アセチレン炎に比較し,感度は約150倍高いことを示した.又共存塩類はイッテルビウム(35ppb)の(10^2〜10^3)倍にかけてほとんどの元素が干渉を示さなかった.しかし高濃度のカルシウムとリンが同時に共存すると,イッテルビウムの原子化速度は速くなり.ピーク吸光度が増大した.ゼノタイムやモナズ石試料は硫酸に溶解,希釈し,そのまま炭素チューブアトマイザーに入れて直接定量を行った.得られた含有値は誘導結合高周波プラズマ(ICP)発光分光分析による結果と極めてよく一致した.又アパタイト鉱物は硝酸に溶解後,10M過塩素酸において,0.1M ジ-2-エチルヘキシルリン酸-シクロヘキサン系で抽出分離し,有機相中のイッテルビウムを測定,定量した.
著者
山本 陽一 兪 善英 松井 豊
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.590-595, 2015 (Released:2015-02-25)
参考文献数
24
被引用文献数
2

Fund-raising activities on behalf of victims of the 2011 Great East Japan Earthquake during the year after the earthquake were investigated in residents of the South Kanto area (N = 749), which is adjacent to the disaster area. The percentage of people that raised funds was 67.4%. We investigated the effects of the following on fund-raising activities: demographic variables (sex, age, and educational background), trait empathy (empathic concern, perspective taking, and personal distress), former experience with fund-raising activities, effects of similarity to victims (e.g., experienced inconveniences because of the disaster, or had problems returning home), and psychological closeness to victims (e.g., have family members or acquaintances that suffered from the disaster, or that once lived in the disaster area). The results indicated that fund-raising activities were affected by former experience with fund-raising, similarity to victims, psychological closeness to victims, empathic concern, and being female. The relationship between fund-raising activities for victims and empathy are discussed.
著者
田村 幸雄 須田 健一 吉田 昭仁 松井 正宏
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集 平成19年度日本風工学会年次研究発表会
巻号頁・発行日
pp.40, 2007 (Released:2008-01-11)

2005年12月25日,JR羽越本線特急いなほ14号が寒冷前線の通過中の山形県酒田市付近において,突風に煽られて脱線し,死者5名,負傷者32名の痛ましい惨事が発生した。運転手や乗客の証言や当時の気象状況等から判断して,脱線に突風が大きく絡んでいたであろうことは明白である。しかし,事故から1年以上経過した現在(2007年2月)においても,突風が竜巻によるものかダウンバーストによるものか,あるいは他の原因によるものかを,気象庁は一切明らかにしていない。また,最近の一連の突風災害に対して社会が大きな関心を持つようになった最大の要因である当該脱線事故をもたらしたこの突風について,気象庁のHPに公開されている「災害をもたらした竜巻一覧(1971~2006)」にも「災害をもたらした気象事例(平成元~17年)」にも収録されておらず,まるで何事もなかったかの如き様子である。本報告は,脱線現場の直ぐ西側にあり,突風によって破壊した農機具小屋に作用する風力実験結果,および基礎,壁面,屋根面などの飛散状況の詳細な調査に基づいて,破壊と飛散のシナリオを検討し,当時の風況を推定したものである。
著者
和泉 潔 後藤卓 松井 藤五郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3309-3315, 2011-12-15

本研究は,金融実務家から要望が高い,数週間以上の長期的でしかも個別銘柄より広範な市場分析に,テキストマイニング技術で挑戦した.長期市場分析に有効なテキスト情報として,経済の専門家や金融機関がWeb上に発行するマーケットリポートを分析対象とした.そのために,定期的に発行されるテキストデータから時間的な特徴の変化を抽出し,テキストに関連する外部の時系列データとの関係性を見つけるテキストマイニング技術を新たに開発した.本技術を用いて実際に経済市場分析を試み,実際の市場動向をどの程度説明しているのかについて検証を行った.日本国債の2年物,5年物,10年物で運用テストを行った結果,既存のサポートベクタ回帰や計量経済モデルと比べて,どの市場でも安定して,ほぼ最高水準の運用益をあげることができた.
著者
幸地 省子 松井 桂子 飯野 光喜 高橋 哲 玉木 祐介 森川 秀広 福田 雅幸 君塚 哲 熊谷 正浩 斎藤 哲夫 猪狩 俊郎 山口 泰 越後 成志 手島 貞一
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.972-983, 1993
被引用文献数
29 2 2

The aim of this study was to clarify the factors which influenced the successful of bony bridging following bone grafts into the alveolar cleft with autogenous particulate cancellous bone harvested from iliac bone.<BR>The bone bridge build up in the alveolar cleft was assessed by periapical radiographs taken before and 18-23 months after the operation. Successful bony bridging defined as a bone bridge with a vertical height of greater than about 11mm, was observed in 123 of all 202 clefts. The frequency of successful bony bridging decreased with increasing severity of cleft type. Successful bony bridging was achieved in 81.8% of unilateral cleft lip and alveolus patients and in only 45.2% of bilateral cleft lip and palate patients. Moreover, the frequency of successful bony bridging was significantly negatively correlated with the width of the cleft. The present study has clearly shown at least two major determinants of successful bony bridging: 1) the cleft type, and 2) the width of the cleft.
著者
岡本 英樹 小島 摩里子 松井 知子 川波 弘道 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.165, pp.79-84, 2007-07-19

本稿では非可聴つぶやき(Non-Audible Murmur:NAM)を用いた話者照合法について,新たに収集したデータを用いて分析した結果を報告する.NAMとは,外部の騒音に対して頑健な体表接着型マイクロフォンを用いて収録したつぶやき音声を指す.これまでNAMの発声内容が他人に漏れ聞こえることがないという利点を活かし,NAMによるキーワードを利用したテキスト依存型話者照合法を提案してきた.今回は,新たに男性18名,女性9名のNAMを収録し,それらを詐称者セットとして用いて実験を行い,その性能を詳しく調べた.また,学習に使用する発声数,時期数をいろいろと変えて実験することにより,複数時期にわたって収録された音声を使用することの有効性を示す.また,話者照合システムを利用するユーザにとって登録時に必要となる発声数が少ないほど負担は軽減する.そのため,学習データに使用する発声数を減らして実験を行い,その性能の劣化の度合いを調べることにより,どのくらいの音声データが登録時に必要となるかを明らかにする.
著者
牛山 美奈 池田 龍二 新田 哲也 田實 裕介 宮脇 昭彦 山口 辰哉 下堂薗 権洋 牛之濱 風見 松井 竜太郎 杉原 一正 中村 典史 山田 勝士
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.143-150, 2008

In our hospital, hospital preparations of Azunol Saline Gargle (AS, saline solution containing 0.006% sodium gualenate hydrate), and Azunol Lidocaine Saline Gargle (ALS, AS with lidocaine) are used as a treatment for oral cancer with oral mucositis. However, little is known about the stability and microbiological safety of AS and ALS. In this study, the stability and microbiological safety of AS and ALS were assessed as the pH and the percent of sodium gualenate hydrate remaining in both preparations after exposure to various light and temperature conditions and the colony formation, respectively. As a result, we found that under fluorescent lamp lighting, AS and ALS were stable for 7 days at 4°C compared with 25t or room temperature. Furthermore, by light shielding, they were stable for at least 14 days at 4°C. Bacterial contamination of AS was prevented by preserving at 4°C for 14 days.<BR>We have demonstrated the stability and microbiological safety of AS and ALS and established an appropriate preservation method. This study provides useful information regarding the management of oral mucositis in oral cancer patients.
著者
市井 和仁 松井 洋平 村上 和隆 山口 靖 小川 克郎
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.625-636, 2002

これまで大気CO<SUB>2</SUB>濃度の予測等に用いられてきたシンプルモデルは,生物圏における炭素循環素過程の経年変動データが不足していたために,生物圏に関して十分な検証が行われていなかった。本研究では,過去20年程度のAVHRRデータを利用して全球NPPの変動を解析し,一方では炭素一エネルギー循環結合モデルを構築し,両アプローチの相互検証を行った上で信頼性を確認した上で,将来予測を行った。<BR>過去のNPPトレンドに関して,気候フィードバックを考慮したモデルでは,考慮しないモデルに比較して,衛星データの結果により近い結果を示した。従って,気候フィードバック効果を導入したことは,妥当であったと結論付けられる。しかし,衛星データから算出されたNPPのトレンドは,モデルから求めた値よりも依然として大きな値である。気候フィードバック効果を考慮したモデルと比較しても2.5倍の開きがあるので,双手法のさらなる改善が必要である。衛星データについては,不十分な大気補正や地表面BRDF補正等の様々なデータ品質の改善が必要である。4-SCEMについては,過去の大気CO<SUB>2</SUB>との不一致の改善や,窒素による肥沃化効果,水分条件の考慮等が必要である。<BR>将来のCO<SUB>2</SUB>濃度や気温の予測の結果,ISAM等他のモデルと比較して,2100年時点で大きな違いは見られなかった。しかし,NPP等の生物圏プロセスについても検証を行うことにより生物圏についても簡単ながら議論ができるようになり,モデルの精度向上と改善へとっながった。<BR>リモートセンシングデータは,過去20年以上にわたって高い時間・空間分解能の地表面等の情報を与えてくれる唯一のデータである。現段階では,衛星データを用いて生物圏等の経年変動や長期トレンドをモニタリングするためには,依然としてノイズが大きく精度が十分でないため,補正等によるS/N比の向上が非常に重要である。現在の地球環境の将来予測モデルでは,生物圏炭素収支の経年変動データが不足しているために,生物圏モデルに十分な制約を与えていない。今後,リモートセンシング等によるより精度の高いグローバルモニタリングにより,モデルにより強い制約を与え,さらには,大気CO<SUB>2</SUB>濃度や気温,各炭素循環プロセスにっいて,より正確な将来予測を行うことが可能となる。
著者
橋田 洋二 中島 欣也 関口 自然 松井 弘次
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1132-1138, 1969
被引用文献数
5

非対称型ジスアゾ染料合成のための基礎資料と,二つの別々な芳香環にある二つの官能基間の相互作用についての知見を得るため,各種のテトラゾ化ジアミンとR酸(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸)とのアゾカップリング反応の第1段反応の速度定数(k<SUB>1</SUB>),第2段反応の速度定数(K<SUB>2</SUB>)を分光光度計を用いて測定した。<BR>テトラゾ化ベンジジンの場合,K<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>が約650であるが,ベンジジンの二つのべンゼン環の間に-O-,-S-,-SO-,-SO<SUB>2</SUB>-,-CH<SUB>2</SUB>-,-CO-などの架橋基を導入すると,K<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>はかなり小さくなる。しかし,O-トリジン,O-ジアニシジンのテトラゾ化物の場合には大きなK<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>の値が観測されることがわかった。<BR>以上の結果の理由について分光学的資料とも関連して考察を行なった。
著者
喜多 一 森 幹彦 辻 高明 松井 啓之 大橋 俊夫
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.83-91, 2008-12-26
被引用文献数
1

近年、情報の生産、流通に関しては個々のエンドユーザが同時に生産者たり得る状況が出現している。このような流れは、具体物の伴う「ものづくり」の世界でも生まれ始めており、大量生産が中心の従来のものづくりのほかに、情報技術の高度化、普及に伴って多様なものづくりの形態が生じつつある。本稿では情報技術がもたらすこのようなインパクトについて、Webを活用したBTO型のマスカスタマイゼーションから、MITのFablabプロジェクトに見られるパーソナルファブリケーションまで様々なモデルを、背景となる技術的、社会経済的動向を踏まえて概観するとともに、筆者らが行っている諏訪・岡谷地域の工業集積との連携による利用者参加のものづくりを紹介し、そこでの課題について考察する。
著者
喜多 一 森 幹彦 辻 高明 松井 啓之 大橋 俊夫
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.108-117, 2008-04-26

近年,情報の生産,流通に関しては個々のエンドユーザが同時に生産者たり得る状況が出現している.このような流れは,具体物の伴う「ものづくり」の世界でも生まれ始めており,機械による大量生産が中心の従来のものづくりのほかに,情報技術の高度化,普及に伴って多様なものづくりの形態が生じつつある.本稿では情報技術がもたらすこのようなインパクトについて,Webを活用したBTO型のマスカスタマイゼーションから,MITのFablabプロジェクトに見られるエンドユーザ自身によるものづくりまでを,その背景となる技術的,社会経済的動向を踏まえて概観するとともに,筆者らが行っている中小企業集積との連携による利用者参加のものづくりを紹介するとともに,そこでの課題について考察する.