著者
松本 正生
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.17-58, 2021

埼玉大学社会調査研究センターがアニュアルで実施する「さいたま市民 : 政治に関する意識調査 (郵送調査) 」の結果を概観する。8年間の推移を確認すると、とりわけコミュニケーションのあり様の変化が顕著であった。スマートフォン保有者の急増というデバイスの変化は、ツールのレベルにはとどまらず、コミュニケーション・スタイルの変容、情報源の転換、さらに、ライフ・スタイルそのものの変質をも引き起こすに至っている。しかも、現今の社会の変容は、若者よりも中高年が担い手となっている。 政治意識に関しては、一貫して、政治不満や政治家不信の高さが目立った。ただ、表面的には一様な現象も、年齢による相違が見受けられる。政治への不満は、若者で低く中高年で高い。これに対し、政治家への不信では、逆に、若者で高く年齢が上がるにつれて低くなる「若高-老低」構図が存在した。わけても、18歳~29歳の最若年層は、政治への不満が低いにもかかわらず政治家不信は非常に高いという、やや不可解な特徴を示していた。一方、内閣支持率についても、「若高-老低」型が存在する。政治家不信と安倍内閣支持とが両立する若者の心性の背後には、どのような位相が介在しているのだろうか。This report presents an overview of the results of the "Saitama residents: Survey on Political Consciousness (postal survey)", conducted annually by the Saitama University Social Survey Research Center. Looking at the changes over an eight-year period, changes at the device level, namely the rapid increase in smartphone ownership, have not only resulted in an exchange of tools, but have also transformed the style of communication, improved information sources, and altered the quality of people's lifestyles. Furthermore, these social changes have been dominated by older people rather than the younger generation.In terms of political consciousness, there was a consistently high level of political dissatisfaction and distrust of politicians. Political dissatisfaction is low among the youth and high among middle-aged and older people. Conversely, distrust of politicians is high among the youth and is lower among older people, resulting in a "young high-old low" pattern. The youngest age group aged 18 to 29 years have an extremely high level of distrust of politicians despite low political dissatisfaction. On the other hand, there is also a "young high-old low" pattern in the cabinet approval rating. The mentality of young people to be compatible with both distrust of politicians and support for the Abe government.はじめに1.ライフ・スタイル 1-1.コミュニケーション・ツール 1-2.社会の情報源 1-3.家庭の環境2.政治意識 2-1.内閣支持・不支持 2-2.政治・政治家への評価 2-3.政治家不信と内閣支持 2-4.情報源と内閣支持まとめにかえて資料
著者
松本 亮司
出版者
農林水産省果樹試験場
巻号頁・発行日
no.35, pp.115-120, 2001 (Released:2011-03-05)
著者
須藤 圭治 今井 義廣 沖井 明 喜多 憲司 近藤 圭三 松本 初男 宮川 智 左古 多佳子 奥野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0405, 2008

【はじめに】ポートフォリオとは、学習者自身の意志で成果や情報を一元化したファイルのことを指す。その作成を通じて学習のプロセスを再確認し、新たな価値を見出すことをポートフォリオ評価という。鈴木らは、当事者の内省と主体性の発揮を促す面で医療者の卒前卒後教育へのポートフォリオ評価導入の有用性を説いているが、理学療法士の臨床実習においては未だ導入経験の報告がない。今回我々は、鈴木の提唱する「ポートフォリオ評価」を基軸にした臨床総合実習を試みたのでその経過を報告する。<BR>【方法】対象:臨床総合実習生1名。期間:実習期間8週、指導者2名が担当。報告会は、医師、作業療法士も同席する症例検討会型式で行い、実習生へのフィードバックは口頭及び用紙記入で行い、回収した用紙は学生に明示した。総括は実習終了時のレポート、感想文、成長報告会での意見を参考に行った。実習の進行は以下のとおり。第1週「目標書き出しシート」にもとづく「目標カード」の作成とオリエンテーション、第2週:主症例の評価開始、第3週:症例初期評価報告会、第5週:文献抄読の報告会、第7週:症例最終評価報告会、第8週:成長報告会。<BR>【結果】ポートフォリオはクリアファイル2冊分になり、内容の割合は症例関係5割、勉強会関係3割、自己学習2割であった。実習生の感想は「気づきのチャンスが増え、主体的に学習できた」「自身の成長過程がわかった」「実習後の取り組みに生かせる」であり、要望は「実習前、実習初期にこの評価の十分な説明があればよかった」であった。スタッフの感想は「振り返る機会になる」「自己の問題点と改善点が整理できている」「自身の目標を持ち続ける大切さを学べたのではないか」である一方で、「この評価法を理解していないため意見し難い」「勉強会が必要」との意見があった。<BR>【考察】一般的な臨床実習は症例の初期評価に始まり最終評価で帰結し、養成校の評価表にそって指導者が実習生を評価するものであるが、今回の試みは、この流れを踏襲しながらも、「ポートフォリオ評価」を導入する事によって実習生の内省が常に必要とされる点が特徴といえる。実習導入期の「目標シート」作成、展開期の報告会および多面的なフィードバッグ、最終週の成長報告会は、ポートフォリオの見直しを通じての自己省察を深める機会となった。課題としては、実習生に簡潔に説明できる当院での「ポートフォリオ評価」マニュアル作成とスタッフ内の周知の必要性があげられる。今後、実習施設でのポートフォリオ評価が浸透すれば、学内教育と臨床教育との連携を強化するための有効なツールになると考える。<BR>
著者
松本 慶蔵 岩垣 明隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.675-680, 1991-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

近年種々の抗生・抗菌薬が開発されているが,使用する際にはそれぞれの薬物の抗菌力,作用機序,体内動態,副作用,及び宿主側の状態を考慮した上で選択しなければならない.呼吸器感染症において用いられる薬物につき一般的な性質,喀痰内移行濃度などを踏まえて解説する.近年問題となっている多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や難治性の緑膿菌感染症などは適切な抗生物質の選択・使用が行われず安易に用いたことが一因である.
著者
石神 龍代 黒野 保三 絹田 章 冨田 靖延 林 尚臣 渡 仲三 松本 美富士
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.238-243, 1994-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

名古屋市立大学病院第二内科膠原病・リウマチ専門外来において米国防疫センター (CDC) 及び本邦厚生省調査研究班の診断基準を満足し, 長期経過観察が可能で, informed concent が得られ, かつ従来から報告されている各種薬物療法抵抗性の慢性疲労症候群症例8例に対して鍼治療を施したところ, 慢性疲労症候群の中心的症状である激しい疲労感は明らかに改善し, 随伴症状である様々な身体症状も一部の症例において改善がみられた。また, 免疫学的検査において低下していた末梢血γδT細胞比率が有意に回復した。以上の結果から, 鍼治療は従来からの薬物療法に加えて, 慢性疲労症候群の一つの治療法として有用であることが示唆された。
著者
松本 伊左尾 今井 誠一
出版者
新潟県食品研究所
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-3, 1990 (Released:2011-03-05)
著者
松本 慎一
出版者
Japan Pancreas Society
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.176-182, 2011

膵島移植は提供された膵臓から膵島細胞を分離し,分離された膵島細胞を移植するインスリン依存状態糖尿病に対する移植治療である.移植手技そのものは低侵襲であり,患者にとって優しい治療であるが,膵島を分離する技術は難しく,膵島分離の技術革新は重要な研究テーマである.我々は,膵島分離の成績を向上させるために,膵管保護技術,酸素化二層法膵保存,密度を調整した密度勾配遠心法などを導入した.その結果,最新のプロトコールを用いると膵島分離成功率は90%に達し,さらに,1名のドナーの膵臓を用いてのインスリン離脱が可能であった.膵島分離成績の向上は,直接膵島移植の成績に貢献し,膵島移植を標準治療とするために重要と考えられる.<br>
著者
松本 邦彦
出版者
山形大学法学会
雑誌
山形大学法政論叢 = Yamagata University, the journal of law and politics
巻号頁・発行日
no.33, pp.35-73, 2005

はじめに 2004年4月にイラクでおきた国際協力活動家の高遠莱穂子氏と今井紀明氏、ジャーナリストの郡山総一郎氏ら日本人3人の「人質事件」では、被害者とその家族に対して一部の政治家とメディアから集中的に批判・非難がおこなわれた。これについては、「在外邦人保護」をめぐる法的側面から、日本社会論について、またその重要な舞台の一つとなったインターネットについて、など各方面から分析・考察がおこなわれている。この「イラク人質事件」においては「自己責任」論が脚光を浴びたが、国際協力活動にたずさわる当のNGOの側がこの事件をどう受け止めていたかに着目すると、そこには単純な責任の有無ではとらえきれない状況が見受けられるように思われる。本稿は、「イラク人質事件」をめぐる言説について、被害者たちがおこなおうとしていた活動の側面つまり「NGO」「ボランティア」「国際協力」等の側面から整理をおこなうものである。なお文中で引用・参照する文献については、単行本は著者名・発行年『書名の一部』、新聞・雑誌記事は筆者名・掲載誌の発行年「記事名の一部」のような略号で示し、末尾に文献リストを付した。
著者
郷原 巧 Ankit JAIN 松本 悟志 荒巻 徹 伊藤 順子 渡邉 信 野口 良造 中嶋 光敏 市川 創作
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
バイオマス科学会議発表論文集 第14回バイオマス科学会議 (ISSN:24238333)
巻号頁・発行日
pp.91-92, 2019-01-09 (Released:2019-01-09)
参考文献数
3

Microalgal biocrude was produced by hydrothermal liquefaction (HTL) of native microalgae slurry using a bench-scale continuous flow tubular reactor. The native algae was harvested in an open raceway pond in Minamisoma city, Fukushima prefecture. The slurry of native algae was continuously injected to a tubular reactor by high-pressure pumps, and the temperature was increased gradually through preheating tubes. The slurry eventually reached the reaction tube, which was held at 350 °C and 19.5 MPa, where it was kept for 6 min. The yield of biocrude recovered in a tank No. 1 was 43.0 wt%. The higher heating value (HHV) of biocrude was 29.1 MJ/kg-dry (34.5 MJ/kg-daf) calculated by the chemical elements using Dulong's formula.
著者
御田 成顕 細谷 忠嗣 井上 裕香子 伴 和幸 冨澤 奏子 松本 七海
出版者
Association of Wildlife and Human Society
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-33, 2021 (Released:2022-02-01)
参考文献数
22

Zoos are expected to play a role in environmental education. However, zoos have not been able to provide sufficient opportunities for experiential learning to the age groups from the upper grades of elementary school to university students, who rarely have the opportunity to visit a zoo. Zoos are required to carry out various recruiting and public relations activities to increase the opportunities of coming to a zoo for these age groups. This study aimed to collect basic information relevant to pursuing the potential of zoos as a site of environmental education for these age groups. A questionnaire survey targeting 479 vocational school students in the city of Fukuoka was administered. As a result, zoos were generally recognized as a place for recreation. In contrast, some students interested in animals considered zoos to be a place for learning, and it is necessary to increase their satisfaction with this purpose. To enhance the role of the zoo as a place of environmental education, it is necessary to devise exhibitions in which animals can be enjoyed and to satisfy the basic requirements of visitors who visit for various purposes. It will be possible to promote the environmental education role of zoos by encouraging and arousing interest in the age group and connecting them to learning.
著者
梅枝 覚 廣 純一郎 成田 公昌 岩永 孝雄 毛利 靖彦 北川 達士 松本 好市 木村 光政 鈴木 康弘
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.151-157, 2002 (Released:2009-12-03)
参考文献数
26
被引用文献数
2

症例は58歳の男性.2000年3月,粘血便,肛門痛を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査で,直腸に多発性,不整形の潰瘍を認めた.生検では形質細胞の多い非特異性直腸炎の診断であった.4月に鼠径部リンパ節腫大あり,生検で肉芽腫性リンパ節炎と診断された.9月,粘血便,肛門痛,全身倦怠感増強にて来院入院した.肛門周囲,陰嚢に肉芽腫様皮膚病変を認めた.大腸内視鏡検査で直腸潰瘍直腸炎を認め,経肛門的超音波検査,CT,MRIで直腸壁の全周性の壁肥厚を認めた.梅毒反応(RPR定量)は128倍以上,梅毒反応(TPHA定量)は40,960倍,FTA-ABSIgMは5倍希釈(1+)であり,梅毒性直腸潰瘍,直腸炎と診断し治療を開始した.治療後3カ月で病変,血清抗体の陰性化を認めた.今回,直腸内視鏡検査での多発性不整形潰瘍および,経肛門的超音波検査,CT,MRIでの直腸の全周性全層性の肥厚は,梅毒性直腸炎に特徴的な所見と思われた.