著者
松本 泰丈 田畑 千秋
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.143-154, 2012 (Released:2021-09-15)
参考文献数
8

2009年にユネスコによって「危機言語」として指定された奄美語の現況を,本土出身の研究者(松本)と島出身のnative speaker(田畑)という異なった立場を持つ二名が,それぞれの立場から粗描した。粗描の方法は「1960年代までの奄美語」,「1970~80年代の奄美語」,「1990~現代の奄美語」に分け,それぞれの時代における奄美語の状況を,両名の直接見聞をふまえて述べる。(結論的にいえば)両名は,1960年代まではシマユムタ(伝統的方言)が生きて使われていた時代,1970~80年代はトンフツゴ(奄美共通語)が急速に広まった時代,1990年~現代はシマユムタが急速に消滅している時代ととらえている。 また,論文末には,明治以降に奄美大島旧笠利村赤木名集落の人々によって再開拓されたトカラ列島諏訪之瀬島の言語事情についても現況を簡単に報告した。
著者
山田 岳史 菅 隼人 松本 智司 小泉 岐博 進士 誠一 松田 明久 山岸 杏彌 横山 康行 高橋 吾郎 岩井 琢磨 青木 悠人 町田 幹 内田 英二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.403-407, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
11

【背景】絞扼性イレウスの本態は消化管の虚血であるため,診断には造影CTが重要であるが,どのような所見が有用であるか明らかではない。【方法】術前に造影CTが施行された壊死性絞扼性イレウス15例と非壊死性絞扼性イレウス25例を対象に造影CT所見を検討した。【結果】70%以上の頻度で認められたものは腸間膜血管の拡張(70.0%),腸管壁の肥厚(72.5%),腸間膜浮腫(80.0%)であった。腹水,腸管壁の造影欠損,Kerckringの不明瞭化,腸間膜混濁は壊死群で有意に高率に認めた。【考察】絞扼性イレウスを造影CTで早期に診断するには,壊死性絞扼性イレウスで多く認められる,腹水や造影欠損よりも腸間膜血管の拡張,腸管壁の肥厚,腸間膜浮腫等の変化を見逃さないことが重要である。
著者
北田 暁彦 平島 秀水 小川 淳也 中野 美尚 松本 健俊 中村 潤児
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 = Journal of The Surface Science Society of Japan (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.580-585, 2004-09-10
参考文献数
18

The effect of step-edges on the dissociative adsorption of H<Sub>2</Sub>S has been studied on a Ni(111) surface using scanning tunneling microscopy (STM), Auger electron spectroscopy (AES) and low energy electron diffraction (LEED). Exposure of Ni(111) to H<Sub>2</Sub>S at room temperature results in the formation of S islands with the structures of p(2&times;2) and reconstructed c(5&radic;3&times;9) rect in the vicinity of step-edges. Subsequently, H<Sub>2</Sub>S dissociates on the terrace of Ni(111), leading to the formation of unique S species with a string structure. The STM observation indicates that the dissociation of H<Sub>2</Sub>S takes place on both step-edges and terraces. The dissociative adsorption of CO as well as formation of carbide islands also take place preferentially at the step-edges. It is thus suggested that a small amount of sulfur located at step-edges effectively deactivate CO dissociation in the methanation reaction.
著者
正富 宏之 百瀬 邦和 松本 文雄 冨山 奈美 青木 則幸
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-26, 2004
被引用文献数
1

タンチョウ Grus japonensis が生息する北海道東部と北部において、2004年4-5月に航空機を用いて繁殖状況を調査した。その結果、従来の分布域のほかに初めて道北のサロベツ原野に1繁殖番いを認めた。調査回数が前年より少ないにもかかわらず、繁殖番い数は282番いで8番い多く、前年比増加率2.9%を保ち、地方別では根室地方で減少したが十勝・釧路両地方で増加し、特に十勝では過去最多を記録した。繁殖番い密度は現存湿原面積1km2あたり平均0.54番いで、十勝と根室両地方で1.21-1.73番と高く釧路地方が0.45番いと低いのは従前と同様であった。営巣地点の環境は77.9%が、開けた湿原地や低・高木が散在する湿地などで、ハンノキを主とする湿地樹林内営巣は全体の5.2%(N=16)であった。また、営巣地点以外のツル目撃箇所のうち11.5%は、牧草地などの農地であった。5月の家族数は76組で、雛を98羽確認したが、根室地方では繁殖活動中番いのうち家族が37.3%に過ぎず、孵化の進行が他地方より遅れていた。今年の特色として、最初の営巣等に失敗して同一行動圏内で再営巣したと思われる例が33例あり、繁殖番いの11.8%と高い割合を示したが、原因等は不明であった。
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 五道 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】愛知県は温暖な気候で、多くの河川が走り、濃尾平野、岡崎平野、豊川平野が広がり、肥沃な農地に恵まれている。また、伊勢湾に面し、漁業や海運業が発達している。山には良質な檜や杉が育ち、豊かな土地柄である。この地は長く政治の中心であった京に近く、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康など天下統一を目指した戦国武将が生まれた土地である。江戸時代には、名古屋(尾張)に御三家筆頭で東海に君臨した尾張徳川家の居城があり、岡崎(三河)は徳川家康誕生の地で、東海道の要衝として繁栄した。また、県内を横切る東海道沿いには、参勤交代の大名や旅人が利用する宿場が9か所あり、それぞれの名物や土産物が作られ、商業が盛んであった。このような地の利と長年の風習が、今の「派手好き」「倹約家」などの県民性を生み出した。日常的には質素倹約を旨とし、堅実家で余計なものにお金を使わず、貯金をする傾向があるが、婚礼などの行事には、思いっきりお金をかけて嫁入り支度をし、派手な宴を開く習わしがあった。</p><p>【方法】県内を7地区に分け、聞き書き調査を平成24〜25年に、料理撮影を平成27〜28年に行った。聞き書き調査対象者は各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承している人とした。料理作成は各地区で郷土の家庭料理の保存活動を行っている団体・個人等に協力をお願いした。</p><p>【結果】今回は、一世一代の派手な婚礼などに伴う行事食ではなく、質素ながら、地元でとれる豊かな食材を生かした、季節や人生の節目を祝うハレの日の行事食について収録した。</p>
著者
時友 裕紀子 阿部 芳子 柘植 光代 松本 美鈴 坂口 奈央
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】山梨県の家庭で食べられてきた主菜について、魚料理を中心に、地域による特徴をまとめた。<br>【方法】「次世代に伝え継ぐ家庭料理」のガイドラインに沿い、山梨県の生活環境と家庭料理について平成25~27年に行った聞き書き調査を中心にまとめた。峡北(北杜市)、峡中(甲斐市)、峡西(南アルプス市)、峡東(山梨市)、峡南(南部町)、東部(上野原市)、富士五湖・富士山麓(山中湖村)を調査対象地とした。<br>【結果】山梨県では、富士川水系(笛吹川、荒川、塩川、早川など)や相模川水系(桂川、笹子川など)、多摩川水系、富士山の裾野の山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖(富士五湖)などの河川、湖沼、および水田や用水路から得られた淡水魚介類が食べられてきた。あゆ、やまめ、にじます、ひめます、うなぎ、こい、ふな、どじょう、わかさぎ、たにしなどが挙げられる。<br> 山中湖ではわかさぎ漁が盛んであり、わかさぎの素揚げの甘酢漬け、佃煮、てんぷら、から揚げ、塩焼きなど多様な料理があった。南アルプス市の甲西町ではふなやこいの甘露煮、どじょうの卵とじを食べた。富士川流域の南部町では、富士川とその支流で漁獲されたうなぎの蒲焼、やまめやあゆの塩焼き、もくずがにの塩ゆでまたはみそ汁が食べられていた。<br> 海産魚介類はいわし、さんま、身欠きにしん、するめなどを主な食材としてきた。米の収穫が終わった頃に、新米にさんまとしょうゆ、酒を入れて炊く「さんま飯」は、主食ではあるが、峡北地域の特徴的な魚料理である。山梨市の家庭ではほっけ、ますの焼き魚が日常の料理であった。現在甲府市で購入量の多いまぐろは昭和30年代から食べられていて、上野原市の市街地では生まぐろのブツ切りをよく食べていた。
著者
北澤 茂良 桐山 伸也 松本 祐二
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人工内耳装用者(CIR)のための音楽聴取支援装置として個人ごとの移調と速度調整の特性を学習獲得できる「懐名歌」を開発し、CIRの内観報告を多数得た。これを生かして人工内耳の音響シミュレーションを開発し、人工内耳音階の効果を確認し、音楽聴取できる人工内耳の可能性を検討した。 CIRが楽しめる音楽を提供するために、知名度、年代、主旋律の音程、リズム、などを考慮して15曲を選択し、音楽訓練を受けた女声・男声・口笛が演奏した。曲楽は、刺激電極数が最大化されるように移調を行った。
著者
松本 健一 福田 豊生
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-98, 2006-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
28

京都議定書の発効やポスト京都の議論などにより,先進国のみならず途上国でのCO2排出削減が地球温暖化抑制に向けて今後の重要な課題となる。CO2を削減する方法として,全世界で税率が一律の炭素税(一律炭素税)の導入が費用効果的であるが,一律炭素税は途上国に対して大きな経済的負担を課す。このような政策は途上国の反対にあうのは必至で,またUNFCCCの「共通だが差異のある責任」にも反するため,実現可能性は低い。 このような一律炭素税の問題点を踏まえ,本論文では各国で税率に差異のある炭素税の導入効果を環境的側面と経済的側面を考慮した政策的観点から議論する。差異のある炭素税は帰属価格の概念(帰属炭素税)により実現し,多部門・多地域応用一般均衡分析を用いたシミュレーションにより,一律炭素税導入によるCO2排出削減量やGDPへの影響と比較した。本研究では,世界経済を15産業部門・14地域に分割し,全ての産業部門を炭素税の賦課対象とした。 分析の結果,帰属炭素税はCO2削減効果ではわずかに劣るものの,一律炭素税とは異なり途上国のGDPにプラスの効果をもたらした。世界全体でのCO2排出削減政策の実施と途上国に対する過度な経済的負担の回避の重要性を考慮すると,帰属炭素税の方が一律炭素税よりも先進国・途上国間で経済的な公平性があり,政策的実効性が高いと言える。ただし,帰属炭素税では一部途上国で炭素リーケージが見られるため,その解決策の模索が今後の課題となる。
著者
中村 匡秀 松本 健一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

This paper addresses an issue of spontaneous software evolution, which is a modern form of software evolution observed in social coding platforms such as GitHub. In the spontaneous software evolution, feature additions and modifications of software are achieved by spontaneous proposals from individual developers, not by the request from the project manager. In this paper, we investigate project factors that can boost such spontaneous software evolution. Specifically, we first introduce a governance framework of the spontaneous evolution, inspired by a smart city execution model, and then consider relevant factors that can motivate developers to propose actions. Finally, we discuss necessary features for the governance framework from viewpoints of (1) motivation of developers, (2) individual sense of value, (3) skill and competency, and (4) characteristics, quantity, and deadline.
著者
三木 怜 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.829-835, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10

本研究は、商店街に立地し、地域との関わりを持つ小規模宿泊施設(以下、対象施設)に着目し、これらの交流機能や周辺店舗に依存する性質等が、商店街の活性化に寄与すると仮定を立てた。対象施設へのアンケート調査や、対象施設・商店街組織へのヒアリング調査から、対象施設が商店街へどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とする。アンケート調査より対象施設の運営主体は、商店街への帰属意識や商店街関係者との協力の程度が、開業時と比較して強くなっている傾向があることが明らかになった。また対象施設は4類型に分類でき、主要な開業目的が商店街や地域の活性化である商店街主導型3件と地域活性化主体型5件、地域活性化を目的としない多機能型5件と宿泊機能重視型10件であった。商店街主導型と地域活性化主体型では、宿泊者向けの商店街他店舗との交流を誘発するサービスを提供しているが、地域住民の商店街利用が増加するような影響はあまり確認できなかった。一方、多機能型は宿泊者以外の商店街利用が増加する効果もみられる等、結果的に商店街活性化に寄与していることが明らかになった。
著者
松本 俊英 川島 祐介 小寺 義男 三枝 信
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.51-59, 2021 (Released:2022-01-08)
参考文献数
14

卵巣明細胞癌(OCCCa)は抗癌剤療法に低感受性であるため,進行癌における予後は極めて不良である.そこで,我々はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)病理検体を用いたショットガンプロテオミクス法により,OCCCaの診断や分子標的となるタンパク質を網羅的に解析し,その結果Lefty-right determinant factor(LEFTY)の同定に至った.臨床検体による検索より,LEFTY発現はタンパク質レベル・mRNAレベルともに他の組織型に比してOCCCaで有意に高発現であった.また,OCCCa培養細胞を用いた機能解析の結果,LEFTYはTGF-β/Akt/Snailシグナルを介して上皮間葉転換(EMT)や癌幹細胞(CSC)化を誘導することにより,OCCCaの化学療法抵抗性といった生物学的特性を有する役割を担っている可能性を見出だした.以上,我々はOCCCaにおいてLEFTYが新規バイオマーカーとして有用である可能性とその発現意義を初めて報告した.
著者
人見 健文 陳 和夫 池田 昭夫 松本 理器 澤本 伸克 井内 盛遠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

【背景】良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)は、全身のてんかんと大脳皮質由来のふるえが主症状の疾患である。てんかんやふるえにおける睡眠・覚醒時の大脳皮質の興奮性変化は十分に分かっていない。【目的】BAFMEにおける睡眠覚醒の変化にともなう大脳皮質の興奮性変化を明らかにする。【方法】BAFME患者の脳波記録を解析し、てんかん性放電の睡眠・覚醒時の変化を検討した。【結果】時間当たりのてんかん性放電は軽睡眠・徐波睡眠・REM睡眠時では覚醒時に比べ減少した。【結論】BAFMEは、皮質興奮性の覚醒睡眠時の変容に関してBAFMEは進行性ミオクローヌスてんかんの一部と類似の挙動を示した。
著者
岩藤 百香 松本 正富 青木 陸祐
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.3_57-3_64, 2021-01-31 (Released:2021-02-20)
参考文献数
17

本研究は,治験のインフォームド・コンセント用説明文書が患者に与える印象に着目し,文書の改善に有用なビジュアルデザインの要件を抽出することを目的とした.先に,比較対象として一般的に用いられる様式の文書(一般モデル)と,同じ内容で言語による情報の質や量を保持しつつ,効率よい情報伝達の指針「ミニマム・エッセンシャルズ(可視性・注視性・記憶性・的確性・造形性・時代性)」に即したデザイン操作を行った文書(デザインモデル)を作成した.両モデルに対する印象評価の比較では,デザインモデルの満足度は高く,明るさ・暖かさ・にぎやかさなど精神を高揚させる印象尺度の評価に効果が認められた.また,新たに文書の印象を構成する「楽観性・親近性・明朗性」などの情動的な心因因子が把握され,患者の心を慰撫するビジュアルデザイン要素による心理的支援を行うことの有効性が認められた.
著者
松本 善三
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-23, 1984
著者
久野 文菜 近藤 拓弥 松本 拓磨 山本 玲 畑中 衛 濱川 礼
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.737-745, 2020-03-15

本論文では任意の画像から,画像内に存在する物体の図形の構造を考慮した絵描き歌を自動生成するシステムについて述べる.相手に物事を説明するシーンにおいて,口頭のみでの説明と比べ,それに絵を加えた説明のほうが聞き手に強い印象を与えることができる.しかし絵を描くことに対して苦手意識を持つ人は,絵を描いて説明するということに対し羞恥心を感じ,口頭のみでの説明を行わざるを得なくなる.そこで我々は絵を描くことに対して苦手意識を持つ人が気軽に絵を練習できる方法として絵描き歌を提案する.任意の絵に対して,いちいち絵描き歌を人が作成するのは非常に手間がかかるため,我々は任意の画像から自動で絵描き歌を生成するシステムを開発した.さらに物体の構造に着目することでより人間に理解しやすい絵描き歌手法を提案する.従来の絵描き歌の歌詞は物体を構成するパーツの形状をとらえて作成されており形状に対するユーザの理解を促進するが,絵を描くのに必要な『位置関係』については触れられていないため,本手法では従来の歌詞に加えてパーツの位置関係も明示することにより,さらに詳しく物体の特徴をとらえることを可能にした.ユーザは絵描き歌にしたい対象を撮影し,システムに入力する.システムはユーザが撮影した画像を受け取り,パーツ分けをする.その後パーツごとの構造(形状・位置関係)を取得し,それに合わせた歌詞を自動生成する.本システムについて評価を行った結果,本システムを利用することにより絵を描くことに対する苦手意識の低減につながることが確認できた.