著者
松本 拓己 伊藤 喜宏 松林 弘智
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.427-443, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The 2004 Mid Niigata Prefecture earthquake (MJ6.8) that occurred on October 23, 2004 is the 2nd largest intra-plate earthquake after F-net, the broadband seismograph network of the National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention (NIED) was established with a dense and homogeneous distribution all over Japan. We determined moment tensor solutions of the main shock, aftershocks, and earthquakes occurred around mid Niigata prefecture from January 1997 to October 22, 2004, using a surface wave with an extended method of the NIED F-net routine processing. The horizontal distance to the station is rounded to the nearest interval of 1km, and the variance reduction approach is applied to a focal depth from 2km with an interval of 1km. We obtain the moment tensors of 117 events with MJ exceeding 2.8 and spatial distribution of these moment tensors. The focal mechanism of main shock, aftershocks, earthquakes before main shock, is mainly of the reverse fault type with P axes trending WNW-ESE. But the focal mechanism of 15 percent aftershocks is the strike-slip type. There are high dip angle reverse faults, in deep part, and low dip angle reverse faults in shallow part.
著者
松本 昭彦 MATSUMOTO Akihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.92-100, 2014-03-31

歌枕「末の松山」について、それを「波が越す」という有名な措辞がある。古くは『古今和歌集』巻二十・第一〇九三番歌に、「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波も越えなむ」とあり、「仮名序」にも和歌表現の歴史を言う中で、「あるは、松山の波をかけ」とある。この東歌の表現は、『万葉集』巻七・第一三八二番歌「泊瀬川流る水沫の絶えばこそ我が思ふ心遂げじと思はめ」等の類型表現と同様、「非現実的現象の非実現性」を、恋心の永続性の譬喩とするものだが、仮定の上下が逆になっている。わざわざ上下が逆転した作りになっているのは、貞観津波によって「末の松山を波が越える」ことは、実現一歩手前まで行ってしまったので、類型通りでは、自らの恋心の誓いにならないと感じられたためと思われる。つまり、この東歌の、そしてこの措辞の背景には、貞観津波で末の松山に津波が迫ったという事実があったはずなのである。この措辞が都に伝わると、一気に広まったが、やがて津波の知識・記憶は薄れ、元々の意味とは別に、面白い表現として使用され、「歌枕」となったものであろう。
著者
峯 篤史 松本 真理子 伴 晋太朗 矢谷 博文
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.115-123, 2022 (Released:2022-04-27)
参考文献数
18

CAD/CAMレジン冠が保険導入されて8年をむかえようとしている.この間,本治療法の向上のために日本補綴歯科学会会員は,基礎研究データおよび臨床エビデンスを蓄積してきた.本稿ではその成果である「現在推奨されている接着技法」,「全臨床アウトカム」をまとめ,それらの最新情報から導かれる「具体的な臨床術式」および「患者説明のあるべき姿」を提案する.CAD/CAMレジン冠の治療を成功させる要素は多岐にわたり,歯科医はこれらを総合的にマネージメントする必要がある.さらに,新規メタルフリー治療として日本からの発信を達成するために刷新すべきドグマや臨産官学民連携について吟味したい.
著者
名倉 昌巳 松本 伸示
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.234-245, 2021 (Released:2021-07-16)
参考文献数
31
被引用文献数
1

Despite the accidental and purposeless nature of “biological evolution,” there is no end to the “Naturalistic Fallacy” borrowed for value judgment during social change. A previous study shows that elementary school students hold many misunderstandings concerning “biological evolution”; for example, several misconceptions such as “Lamarckism” and “teleology” (which are frequently applied even by university students). It has been pointed out that modern biology, which floats in a great sea of knowledge, should be integrated by “biological evolution.” Therefore, in this study, based on this “unified understanding of biology,” lower secondary school science was integrated from the viewpoints of “acquisition of scientific evolutionary concepts” and “elimination of misconceptions,” in order to examine the learning content and structure of biology education. By analyzing the data obtained from descriptions of the two tasks in the classes of two units (genetics and ecosystem) among lower secondary school students, it was suggested that a “unified understanding of biology” contributes to avoiding misuse of “evolution”. In conclusion, we proposed a curriculum that uses evolution as an overarching theme to integrate five units (classification, cells, genetics, evolution, and ecosystem) to create a new biology course.
著者
山岡 武邦 沖野 信一 松本 伸示
出版者
Society of Japan Science Teaching
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.179-188, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
13

本研究は,理数系学部に在籍する国立理科系大学生319名を対象に,素朴概念の形成過程や,その克服の過程を明確化させることを目的として,2013年から2018年にかけてアンケート調査を行ったものである。調査対象者319名が記述した434個の素朴概念を分析した結果,次の6点が明らかとなった。(1)素朴概念を抱く時期は,男女ともに小学生の時期が多いこと,(2)素朴概念を抱く時期は,女子の方が男子に比べて幼い時期であること,(3)素朴概念を形成する分野ごとの男女比率は,物理分野は相対的に男子多く女子が少ない。生物分野は女子が相対的に多く男子が少ない傾向があること,(4)素朴概念が形成される原因について分野別に比較をすると,物理分野は実体験を基にした理解,化学分野は直感的理解や不可視を根拠にした理解,生物分野は他の助言を根拠にした理解,地学分野は漫画や映画等に基づく理解の割合が,相対的に多い傾向にあること,(5)素朴概念の形成に関する原因は,性差や発達段階の差によらないこと,(6)素朴概念を克服した方法について分野別に比較をすると,物理分野は数式による証明,化学分野は学校での実験等による実体験との照合,生物分野は学校での実験等による実体験との照合とSNSやテレビ番組,地学分野は発達段階に応じた理解の割合が,相対的に多い傾向にあること,が明らかとなった。
著者
戸山 彩奈 松本 裕史 渋倉 崇行 幸野 邦男
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2019-1905, (Released:2019-12-28)
参考文献数
42
被引用文献数
2

Using self-determination theory as a framework, the present study examined the effects of female college athletesʼ perceptions of controlling behaviors by coaches on their motivation toward sports. Specifically, this study examined whether basic psychological needs (satisfaction and frustration) mediated the relationships between perceived controlling coach behaviors and athletesʼ motivation. Female college student-athletes (N=243) completed questionnaires assessing perceived controlling coach behaviors, as well as their motivation (intrinsic motivation and amotivation) and perceptions of psychological need satisfaction and frustration. Structural equation modeling indicated support for a mediational effect. Specifically, the results indicated that controlling coach behaviors significantly predicted psychological need frustration, which, in turn, predicted amotivation. Therefore, it is suggested that controlling behaviors by coaches increase psychological need frustration and facilitate amotivation in female college athletes.
著者
君付 隆 松本 希 柴田 修明 玉江 昭裕 大橋 充 野口 敦子 堀切 一葉 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.158-163, 2011 (Released:2012-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

語音聴力検査における最高明瞭度は聴覚閾値の上昇に伴い低下する。しかし、どの程度の難聴で最高明瞭度がどの程度になるか明らかな基準はない。今回、604 耳において純音聴力検査閾値と最高明瞭度の相関関係を解析した。明らかな相関関係を認め([最高明瞭度]= - 0.92 ×[聴力レベル] + 117.04、R = - 0.83)、閾値の上昇に伴い最高明瞭度は低下した。伝音難聴では聴力レベルと比較して最高明瞭度値が良好であった。聴神経腫瘍では、中等度以上の難聴症例で純音聴力検査の悪化以上に最高明瞭度が低下していた。スピーチオージオグラム曲線の傾きは正常、伝音難聴、内耳性難聴、後迷路性難聴において差を認めなかった。ロールオーバーの陽性率は内耳性難聴で 60.6%、聴神経腫瘍で 56.6%と差を認めなかった。
著者
名倉 昌巳 松本 伸示
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.397-407, 2019-11-29 (Released:2019-12-20)
参考文献数
17

本研究の目的は中学校の新入生に「生物多様性」の理解と,その多様性の解析手法である「進化思考」の形成過程を探ることにある。現行(平成20年改訂学習指導要領準拠)の中学校第1学年理科教科書における「生命編」の最初には,近隣のいろいろな環境に生息する「身近な生物」を観察しながら,顕微鏡の使い方など基本的技能の習得が目的とされてきた。平成29年改訂の新学習指導要領では,そこに「分類」の記述が加わり,「生物多様性」の理解が重視されるように改訂された。しかし,中学校現場では「身近な生物の観察」も通り一遍で終えられることが多い。そこで,新入生による初めての観察実習として,科学的な見方・考え方という観点を踏まえた授業を展開した。一方,「生物多様性の理解には進化に関する知識の習得が重要」であり,かつ「分類思考と系統樹思考を柱とした進化思考が多様性の解析手法の基盤である」という2つの提言がある。そこで,本研究ではその2つの提言に基づいて,「身近な植物」としてのタンポポの「分類」を手始めに,雑種タンポポ出現による「多様化」や,水中の小さな生物の「系統的分類」を事例に,進化の入門編を意図した授業を開発した。ワークシートの記述分析や質問紙調査の結果から,「生物多様性」や「科学的進化概念」の理解を一定程度促進することが明らかになった。
著者
藤木 哲也 三木 康弘 松本 圭司
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.215-219, 2010-06-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

ポリヒドロキシアルカン酸 (Polyhydroxyalkanoate) は, 多くの微生物が菌体内に蓄積する熱可塑性高分子であり, かつ環境中の微生物により水と二酸化炭素にまで分解されることから環境調和型プラスチックとして種々の応用が期待されている。ポリヒドロキシアルカン酸の1種であるPHBHはR-3-ヒドロキシブタン酸 (3HB) とR-3-ヒドロキシヘキサン酸 (3HH) から成る共重合ポリエステルであり, 植物油や脂肪酸等を炭素源として微生物によって生産される。PHBHはその3HH組成比によって硬質から軟質の幅広い物性を示すため広範な用途が期待されることから, われわれは工業規模での生産研究および加工研究を行ってきた。
著者
佐藤 隼 佐藤 俊秀 仲川 祐司 林 志洋 松本 頌 城山 英明 松尾 真紀子 鎗目 雅
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.108-118, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

リンの下水からのリサイクルは一部自治体で進められているが,まだ全国的に進んでいるとはいえない.本研究ではステークホルダーに聞き取り調査を行い,各ステークホルダー間の問題認識を分析し,普及を進めるための施策を検討した.下水からのリン回収が進まない理由として,大きく次の3つの問題が考えられる.現状ではリサイクルすれば赤字になるというコストの問題,生産量が十分に確保できないという問題,安定的な取引先が必要という販売のノウハウの問題である.他方,閉鎖海の環境保全や循環型社会の構築といった他の政策目的も重要である.今後の施策としては,コスト削減のための技術開発,環境政策目的との同床異夢や一定の量の確保を可能にするための自治体との連携の強化が重要である.
著者
又吉 宏昭 川井 康嗣 白源 清貴 大竹 由香 松本 美志也 坂部 武史
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.494-497, 2010-09-25 (Released:2010-10-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

カルバマゼピン内服中に高度の低ナトリウム血症を生じ,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が疑われた症例を報告する.75歳の女性で,特発性三叉神経痛の治療をカルバマゼピンの内服と下顎神経ブロックで行っていた.下顎神経ブロックの効果が減弱し,カルバマゼピン600 mg/日でも痛みがコントロールできなかったので,下顎神経ブロックの目的で入院した.入院当日夜に痛みが増強し,血圧が上昇した.カルバマゼピン100 mgを追加した.翌日から気分不良,全身倦怠感,嘔気と頭痛が生じた.血清ナトリウムが119 mEq/Lと低下していた.尿量が減少しており,血漿浸透圧が低値で,尿浸透圧は高値であった.カルバマゼピンを中止し,水分摂取を制限した.入院8日目に血清ナトリウムは 135 mEq/Lに改善した.その後,下顎神経の高周波熱凝固を行い,痛みは消失し,カルバマゼピンを中止した.カルバマゼピンによるSIADHの頻度は低いが,注意すべき副作用である.三叉神経痛で,薬物療法の副作用が生じた場合は,高周波熱凝固術は有意義であると考えられた.
著者
小川 博士 髙林 厚志 池野 弘昭 竹本 石樹 平田 豊誠 松本 伸示
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.345-356, 2019-03-25 (Released:2019-04-12)
参考文献数
32
被引用文献数
3

我が国の理科教育では,科学や理科学習に対する態度の低迷が問題となっている。本研究は,実社会・実生活との関連を志向する真正の学習論に着目し,中学校理科において,単元開発及び実践を行い,科学や理科学習に対する態度の向上に有効であるかを明らかにすることを目的とした。この目的を達成するために,中学校第2学年の生徒132人を対象として,「電流と磁界」の単元開発を行い,授業を実施した。学習効果を検証するために,「科学や理科学習に対する態度」に関する質問紙を用いて事前事後調査を行った。また,単元後の生徒の感想記述を分析した。その結果,「科学に関する全般的価値」や「科学に関する個人的価値」などにおいて,事後の平均値の方が事前のそれよりも有意に高かった。また,生徒の感想記述を計量テキスト分析し,コード化した。コード間のJaccard係数を算出したところ,「科学の内容」と「日常生活」や「日常生活」と「有用感」などの関連度が高かった。以上のことから,実社会・実生活との関連を志向する真正の学習論に着目した中学校理科授業が,生徒の科学や理科学習に対する態度の改善に一定の効果があることが明らかとなった。
著者
吉岡 照高 松本 亮司 奥代 直巳 山本 雅史 國賀 武 山田 彬雄 三谷 宣仁 生山 巖 村田 広野 浅田 謙介 池宮 秀和 内原 茂 吉永 勝一
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.8, pp.15-23, 2009 (Released:2011-07-13)

1. ‘麗紅’は1984年に果樹試験場口之津支場(現 果樹研究所カンキツ研究口之津拠点)において、‘清見・アンコールNo. 5’に‘マーコット’を交配して育成された品種である。1996年より‘カンキツ口之津32号’の系統名でカンキツ第8回系統適応性・特性検定試験に供試した。その結果、2004年1月26日付けでタンゴール農林9号‘麗紅’と命名、登録された。また、2005年12月7日付けで種苗法に基づき品種登録された。登録番号は第13542号である。2. 樹勢は中庸で、樹姿は直立性と開張性の中間である。枝梢は長く、太さは中位で密生する。雄性不稔性で、花粉を形成しない。かいよう病に対する抵抗性はやや弱いものの、栽培管理上の問題はない。また、そうか病に対する抵抗性は強い。3. 果実は平均200g程度で、扁円形~扁平形である。果皮は濃橙色~淡赤橙色で、果面は平滑である。果皮の厚さは平均2.4mmと薄い。剥皮性は容易~やや容易である。果肉色は濃橙色で、果肉は柔軟、多汁である。1月下旬における果汁の糖度は平均12.4%、酸含量は平均的な大きさの果実では1.10~1.30g/100mLとなる。成熟期は1月中下旬である。4. 各地の試験地において果実の肥大は良好で、栽培適地は広いと思われるが、1月以降も樹上越冬ができる温暖な地域での栽培が望ましい。また、雄性不稔性で花粉を形成しないが、周囲の他品種花粉の受粉により含核数が著しく多くなるので、無核果あるいは少核果生産のためには、周囲には多量の花粉を形成するような品種を植栽しないことが重要である。
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001695, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論Iでは,遺伝子研究,トランスレーショナルリサーチ,核酸医薬,iPS研究,介護・福祉など,多様性を増す脳神経内科領域の臨床と研究について,最新トピックスを交えて取り上げる.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)