著者
中田 正夫 前田 保夫 長岡 信治 横山 祐典 奥野 淳一 松本 英二 松島 義章 佐藤 裕司 松田 功 三瓶 良和
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.361-368, 1994-12-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
13 14

西九州には縄文早期の鷹島遺跡や数多くの縄文前期から中期の水中遺跡が存在する. これらの遺跡が水没したおもな原因は, 最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタシーに帰すことができる. 本論文では, このことを定量的に示した. この研究をさらに進めることは, 両極の氷床モデルや地殻とマントルのレオロジーを推定するのに非常に有益である.
著者
松本 俊太 松尾 晃孝
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.84-103, 2011 (Released:2017-06-12)
参考文献数
37

本稿はこれまで研究が手薄であった,国会議員個人の委員会での発言を分析する。 委員会の研究は,議事手続の一部としての観点や,与野党の対決の場としての観点からのものが中心であったが,本稿は,議員個人にとっての委員会という観点を追加し,委員会で発言することは議員の再選・党内での出世・専門性の発揮にとって有用であることを論じる。このことを実証するために,まず,Perlスクリプトにより衆議院の各常任委員会の会議録を解析し,議員の発言量を委員会ごとに測定し,議員発言のデータ・セットを作成した。次に,その発言量の決定要因についてTobit modelによる計量分析を行う。分析の結果,議員個人,政党政治,議員の専門性の活用という3つの側面が発言の量を決定する要因として重要であることを示す。併せて,1994年の小選挙区比例代表並立制の導入に伴っ て,議員の発言量のパターンが変化していることも示す。
著者
宮崎 さおり 松本 友希 岡田 知佳 岸田 太郎 西岡 信治 三好 規子 友岡 清秀 谷川 武 斉藤 功 丸山 広達
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.93-101, 2021 (Released:2021-04-14)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本研究では, トランス脂肪酸摂取量を推定するための食品成分表を作成することを目的とした。さらにこの成分表を用い, 実際の摂取食品についてトランス脂肪酸量を推定し得るか, 食事記録調査結果を対象に確認を行った。23文献に報告のある280食品のトランス脂肪酸量は平均値を求め, 食品成分表記載の各食品の脂質を乗じ可食部100 g当たりに含まれるトランス脂肪酸量を算出した。文献に報告のない食品の内, 312食品は置き換え法にて対応, 計592食品のトランス脂肪酸含有量を決定した。その食品成分表を用い, 糖尿病境界型の男女35名が実施した食事記録から1日平均のトランス脂肪酸摂取量を算出した。本対象集団が摂取していた可食部100 g当たりの脂質量が1 g以上の食品延べ4,539食品の内, 4,535食品 (99.9%) のトランス脂肪酸量が算出し得, 1日当たりの平均トランス脂肪酸摂取量は0.66 g (エネルギー比率: 0.33%) であった。本成分表は, 置き換え法による食品数の占める割合が高いこと等の限界に留意する必要があるものの, 多数の食品に対して数値を求めていることから, 異なる日本人集団や食事記録以外の食事調査法での応用も可能なものと考える。
著者
松本 泰
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.324-329, 2006 (Released:2009-10-15)
参考文献数
4

An authentication platform for electronic signature and electronic authentication, which is applied to electronic government, is utilized as the social infrastructures. In this paper, I explain such an authentication platform from technical, legal and business view with internal and external situation. Then, I present future problems.
著者
青地 克頼 今木 雅英 松本 和興 棚田 成紀
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.111-114, 2000-05-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
14

A case control study was conducted on the relationship between the serum Magnesium content(related to Magnesium that is relatively readily obtained from the body)and life-style related diseases(e.g., hypertension, heart diseases, diabetes mellitus, and liver diseases)among individuals who were employed at a large plant. The serum Magnesium content was significantly low in the group with a systolic pressure of 180 mmHg. No statistically significant difference was noted between the groups with a diastolic pressure below and above 95 mmHg. A comparison of the serum Magnesium contents between patients with is chemic heart diseases, diabetes mellitus, or hepatic diseases and the control indicated no statistically significant difference. Actually the serum Magnesium content of the control tended to be higher.
著者
近藤 宇智朗 松本 亮介 栗林 健太郎
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.19-20, 2018-03-13

インターネットが普及し、突発的アクセス増などに耐えられるサーバアーキテクチャが求められる中、起動やスケールアウトが容易なLinuxコンテナに注目が集まっている。筆者は、HaconiwaというLinuxコンテナランタイムを新しく開発した。特徴として、コンテナの様々な機能を作成時に自由に取捨選択して組み合わせができ、豊富なフック機構を備える。さらに、Haconiwaはスクリプト言語mrubyを内蔵しており、これらの設定をプログラミングにより統一的に記述でき、様々なシステムやアーキテクチャ的要求に応じたコンテナを作成可能になる。また筆者らはHaconiwaを中心に据えてシステムの循環を自動的に行い、安全な運用ができるウェブホスティングシステムも開発した。そのアーキテクチャについても応用例として論ずる。
著者
大和田 春樹 大森 博雄 松本 淳
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.534-541, 2005-07-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
14

黄土高原の降水は夏季集中型であり,7~8月に降水量が最大となる.5~9月の水蒸気輸送場解析によると,5月は低緯度側からの水蒸気輸送が黄土高原に達していないが,6月になると水蒸気輸送量が漸増し,7月に最大となる.8月には,中国南部からの水蒸気輸送は弱まり,東シナ海を経て南東方向から黄土高原東部に水蒸気が流入する.9月になると低緯度から黄土高原へ向かう水蒸気輸送量は減少する.この水蒸気輸送場の季節変化には,太平洋高気圧が関わっており,太平洋高気圧の西への張り出しが強まる7月は,華南~華北における東西方向の気圧傾度が増大し,ベンガル湾からの南西気流がより強く北方まで流入する.太平洋高気圧が北上する8月には,華南~華北における東西方向の気圧傾度が小さくなり,南西気流が中国大陸に流入しにくくなるが,北上した太平洋高気圧からの南東気流が黄土高原に流入する.黄土高原の降水量は,低緯度側からの水蒸気輸送量の増減に対応して季節変化するが,降水が極大となる7月と8月とでは水蒸気輸送場が大きく異なっている.
著者
松本 太 福岡 義隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.1-18, 2003-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
5 2

ソメイヨシノPrunus yedoensisの開花日に及ぼす都市の温暖化の影響にっいての研究は時系列的にみた研究が多く,水平的な都市の気温分布と開花日の観測を向一の都市において同時期に行った研究はほとんどみられない.そこで春の都市気候とソメイヨシノの開花日との関係を埼玉県熊谷市において調査した.その結果,熊谷市におけるヒートアイランドは市街地の地上構成物質の熱的性質(1/cρ√κの値)と密接に関係していることが明らかとなった.そして,ソメイヨシノの開花日の局地差は都市の気温分布とよい対応を示しており,ヒートアイランドが開花現象に影響を与えていることが明らかとなった.よって,ソメイヨシノの開花日は都市の温暖化などの気候環境を表す指標として有効であると結論された.また,観測から得た熊谷市における気温分布と開花日との〔空間的な関係〕を熊谷地方気象台における気温と開花日との〔経年的な関係〕に置き換えて評価することも可能であった.
著者
松本 欣三 Alessandro Guidotti Erminio Costa
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.126, no.2, pp.107-112, 2005 (Released:2005-10-01)
参考文献数
29

精神的緊張をはじめ,様々な心理的ストレスがうつや不安などの情動障害や,不眠などの睡眠障害の要因にもなるが,ストレスによりそれらが発症するメカニズムはまだ十分には解明されていない.近年,多くの臨床および前臨床研究から,神経ステロイドと呼ばれる一連のステロイドのうち,特にallopregnanolone(ALLO)等のγ-アミノ酪酸A(GABAA)受容体作動性神経ステロイドの量的変動と種々の精神障害の病態生理やその改善との関連性が明らかになりつつある.我々は雄性マウスを長期間隔離飼育し,一種の社会心理的ストレス(隔離飼育ストレス)を負荷したときの行動変化を指標に,ストレスで誘導される脳機能変化を薬理学的に研究している.隔離飼育マウスでは対照となる群居飼育動物と比較して鎮静催眠薬ペントバルビタール(PB)誘発の睡眠時間が短くなっており,この原因の一つに脳内ALLO量の減少によるGABAA受容体機能の低下があることを示した.また脳内ALLO量の低下は隔離飼育雄性マウスに特徴的に現れる攻撃性亢進にも関与し,選択的セロトニン再取り込み阻害薬フルオキセチンは脳内ALLOレベルを回復させることにより攻撃性を抑制することを示唆した.PB誘発睡眠を指標に検討したALLOをはじめとする脳内物質の多くは睡眠調節にも関わることから,脳内ALLO系のダウンレギュレーションを介したGABAA受容体機能の低下もストレス誘発の睡眠障害の一因であろうと推察された.また攻撃性のような情動行動変化にも脳内ALLOの量的変動が関与する可能性が高いことから,今後,脳内ALLO系を標的とした向精神薬の開発も期待される.
著者
松本 元成 大重 努 久綱 正勇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1822, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】肩こりは医学的な病名ではなく症候名である。「後頭部から肩,肩甲部にかけての筋肉の緊張を中心とする,不快感,違和感,鈍痛などの症状,愁訴」とされるが,明確な定義はいまだない。平成19年の国民生活基礎調査によれば,肩こりは女性の訴える症状の第1位,男性では2位である。このように非常に多い症状であるにもかかわらず,肩こりに関して詳述した文献は決して多くない。我々理学療法士が肩こりを診る場合,姿勢に着目することが多いが肩こり者の姿勢に関する報告も散見される程度で,統一した見解は得られていない。臨床的には肩甲帯周囲のみならず,肋骨,骨盤なども含めた体幹下肢機能についても評価介入を行い,症状の改善が得られる印象を持っている。本研究の目的は,肩こり症状とアライメント,特に肩甲骨,肋骨,骨盤アライメントとの関連性について明らかにすることである。【方法】対象は当院外来患者で,アンケートにおいて肩こり症状が「ある」と答えた女性患者18名である。肩周囲に外傷の既往があるものは除外した。アンケートにおいて肩こり罹患側の左右を聴取した。罹患側の肩こり症状の強さをVisual Analogue Scale(以下VAS)を用いて回答して頂いた。アライメント測定は座位で実施した。座位姿勢は股関節と膝関節屈曲90°となるよう設定した。①体幹正中線と肩甲骨内側縁のなす角②胸骨体と肋骨弓のなす角③ASISとPSISを結んだ線が水平線となす角を,左右ともにゴニオメーターで測定した。①②③の角度を肩こり側と非肩こり側について,対応のあるt検定を用いて比較した。有意水準はそれぞれ5%とした。またPearsonの相関係数を用いて肩こり罹患側におけるVASと①~③のアライメントとの相関関係を検証した。【結果】①の体幹正中線と肩甲骨内側縁のなす角は,非肩こり側で12.50±6.13°,肩こり側で3.11±7.76°と肩こり側において有意に減少していた。②胸骨体と肋骨弓のなす角においては有意差を認めなかった。③ASISとPSISを結んだ線が水平線となす角は,非肩こり側で7.83±7.74°,肩こり側で3.17±8.59°と肩こり側において有意に減少していた。VASと①②③のアライメントについては有意な相関を認めなかった。【考察】本研究の結果より,肩こり側は非肩こり側に比べて肩甲骨の上方回旋が減少し,骨盤の前傾が減少していることがわかった。座位姿勢において土台となる骨盤のアライメントがより上方の身体へと波及し,肩こりに何らかの影響を及ぼしている事が示唆された。身体アライメントと肩こり症状の強さにはいずれも相関を認めず,症状の強さは今回調べた身体アライメントの異常だけでは説明がつかないことがわかった。本研究の限界として肩甲骨の上方回旋,下方回旋,骨盤では前後傾以外のアライメントには着目できていない。またあくまで同一被検者内での肩こり側,非肩こり側の比較である。今後,他のアライメントについてあるいは,肩こり者と非肩こり者間での検討も必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】肩こりの理学療法において,肩甲帯周囲のみならず骨盤帯周囲に対しても評価,介入が必要となる場合があるかもしれない。また肩こり症状の強さについては,身体アライメントのみならず多角的な視点や介入が必要であることが示唆された。
著者
赤堀 将孝 亀山 一義 宍戸 聖弥 松本 圭太 谷川 和昭
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.170-179, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
34

本研究の目的は,地域連携を視野に,地域に関わる専門職種が抱く作業療法士の認識を明らかにすることであった.質問紙調査により,作業療法士という職種についての自由記述をKH Coderを用いて分析した.結果,地域包括支援センター職員から見た作業療法士の認識には「人」,「作業」,「生活」の3つがあった.さらに,法の定義を基準にした認識や他のリハビリテーション専門職との違い,認知症を有する人の支援を行う職種,望む生活を支援するといった認識などが階層的な構造を示していた.以上から,地域包括支援センター職員との関わりでは,生活動作だけでなく対象者の「その人らしい」生活を支援する視点が必要となることが改めて確認された.
著者
本村 友一 服部 陽 平林 篤志 松本 尚 横田 裕行 小出 麻記子 重山 香織 寺井 孝宏 松本 勉 笹山 実
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.466-473, 2016-06-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
11

目的:救急医療は消防指令への音声のみによる救急通報から起動される。「119番通報にリアルタイムの動画が伴えば,通報者の口頭指導に対する活動のタイミングが早まり,質が高まる」という仮説を検証することを目的とした。方法:スマートフォン(以下スマホ)動画伝送システムを使用して一般市民の模擬通報者14人(男性7人,女性7人)による通報訓練を行い,口頭指導活動の開始時間,活動の質(評価者が0〜3ポイントで採点)を評価した。結果:従来の音声通話(F群)と比較してスマホ動画伝送(S群)は,3例の模擬症例で口頭指導に対する活動などのタイミングの早期化は認めなかった。一方,口頭指導活動の質はS群がF群より有意に良好であった〔評価ポイントは,症例1で2.1±0.9,0.9±0.9(p=0.003),症例2で2.6±0.5,1.9± 1.0(p=0.045),症例3で2.6±0.7,1.6± 1.2(p=0.016)であった〕。結論:動画を伴った救急通報は,口頭指導に対する活動の質を向上させうる。
著者
松本 佐保
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.173, pp.173_112-173_126, 2013-06-25 (Released:2015-06-09)
参考文献数
62

Cultural diplomacy and cultural propaganda have been discussed by some scholars of British diplomatic history, but it is not clear what degree of influence these activities had upon the mainstream of diplomacy. This article attempts to explore the importance of cultural diplomacy for Britain in the first half of the twentieth century, including the world wars, by looking at the cases of British policy towards Italy and the United States. It begins by looking at Sir James Rennell Rodd, the British ambassador to Italy between 1908 and1919, who used his cultural diplomacy in order to persuade Italy to join the Allied side during the First World War. He helped to create the British Institute in Florence, which in 1917 came under the Ministry of Information (MOI) as part of the British propaganda effort. Once the war ended the MOI was dissolved, partly because the Foreign Office disliked its aggressive propaganda activities towards foreign countries. However, when it became apparent that Fascist Italy and Nazi Germany, which were more advanced in the field of political and cultural propaganda, were using cultural diplomacy to increase their influence in the world, the Foreign Office reluctantly had to organize some form of propaganda to counter their activities. This led to the establishment of the British Council in 1934, which was, in part, loosely modeled upon the British Institute in Florence. It attempted to concentrate upon purely cultural activities, but with another war approaching this line was breached and the Director, Lord Lloyd, increasingly used the Council for political propaganda and intelligence-gathering. The greatest challenge came in the United States where British propaganda had to avoid the excesses of the First World War and yet still promote Britain`s cause. In this environment the Council`s cultural propaganda became useful by emphasizing the common ethnic and cultural roots of the two countries. In addition, the Council proved useful in the post-war period as its activities could be used to promote democratic values and thus encourage other countries, such as Italy and Greece, to move away from both fascism and communism. This article therefore demonstrates the importance of cultural diplomacy and how it contributed to the mainstream of British diplomacy.