著者
松浦 正樹 深林 太計志 立蔵 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.329, pp.7-12, 2003-09-29
参考文献数
12

女声のような高ピッチ音声の分析精度を改善することを目的として,線形予測分析・合成により線形予測残差(以下これを残差と呼ぶ)そのものを利用してピッチ周期を可変伸長処理し,ピッチ周期毎に窓を掛け波形を分離して,フレーム内の波形を一括線形予測分析する方法を既に提案している.この方法で残差そのものを利用可能にするのは,残差へのオールパスフィルタリング処理により,残差のピッチ周期毎への分離が残差のもつ有用な音声スペクトル包絡情報の一部に悪影響を及ぼすことなく容易に行えるためである.本論文では,この提案法について,オールパスフィルタのパラメータや'0'系列挿入位置等の種々の分析条件,声門開口比による分析精度を検討し,分析条件の制約が厳しくないことを示す.

1 0 0 0 OA 天塩日誌

著者
松浦武四郎
出版者
巻号頁・発行日
1861

1 0 0 0 蝦夷日誌

著者
松浦武四郎 著
出版者
時事通信社
巻号頁・発行日
vol.上, 1984
著者
大迫 廣人 春田 厚 坪井 陽子 松浦 宏司 小宗 静男
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.514-517, 2001-05-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

耳かきによる機械的刺激が外耳道湿疹の原因となり, その繰り返す慢性炎症が癌誘発の一因と考えられた外耳道癌症例を経験した. 外耳道肉芽腫を伴う外耳道湿疹が軽快せず平成9年7月生検を行った結果, 左外耳道癌と診断された. 外科的治療および化学療法, 放射線治療を行うも効を奏せず腫瘍が拡大進展し, 約8ヵ月後には対側の右外耳道に癌が発症した. 最終的に不幸な転帰をとったが, 両耳の病巣についてDNA遺伝子解析を行いその結果P53遺伝子の異常により両外耳道癌は転移性癌ではなく全く独立した重複癌ということが判明した.
著者
松浦 智之 當仲 寛哲 大野 浩之
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.359-360, 2018-03-13

ツイッター分析は、ニュース番組でも頻繁に用いられるなど、その需要は増加している。しかしその手法を調査しても、大企業等が大きな予算や設備を導入して行う事例が殆どであり、個人の例は殆ど報告されていない。本研究では個人等がコンピュータ1台で行える手法を研究した。第1報では、本手法の概要及び、分析の前段階であるツイート収集方法を説明する。重要なことは、世界の全ツイートの収集を目指すのではなく、目的の分析テーマに応じて適切なクエリを発行し、受信するツイートを絞り込む点にある。本手法の有効性検証のため、Twitter社のサービスを停止させる程に大量に発生する「バルス」ツイートを収集し、NTTデータ社の収集結果と比較する。
著者
松浦由生子 石川大樹 大野拓也 堀之内達郎 前田慎太郎 谷川直昭 福原大祐 鈴木千夏 中山博喜 江崎晃司 齋藤暢 大嶺尚世 平田裕也 内田陽介 佐藤翔平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第49回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2014-04-29

【目的】近年,膝前十字靭帯(ACL)再建術後の再断裂例や反対側損傷例に関する報告が増えている。我々もサッカー選手において反対側損傷率が高いことを報告したが(谷川ら,2012),その詳細については未だ不明な点が多かった。そこで本研究ではACL再建術後に反対側ACL損傷を来たしたサッカー選手の詳細を検討し,その特徴を報告することを目的とした。【方法】対象は2003年1月から2012年10月までに当院にて初回ACL再建術を行い,術後1年以上経過観察しえたスポーツ選手612例(サッカー選手:187例,その他の競技選手:425例)とし,それぞれの反対側損傷率を比較した。さらに,サッカー選手187例を片側ACL損傷173例(男性151名,女性22名:片側群)とACL再建術後に反対側ACL損傷を来たした14例(男性11名,女性3名:両側群)に分けて,片側群と両側群の比較を行った。検討項目は,①初回受傷時年齢,②初回受傷側,③競技レベル,④競技復帰時期,⑤術後12ヶ月のKT-2000による脛骨前方移動量の患健差(以下,KT患健差),⑥術後12ヶ月の180°/s,60°/s各々の膝伸展・屈曲筋力の患健比(%)とした。なお競技レベルはTegner Activity Score(TAS)にて評価し,筋力測定には,等速性筋力測定器Ariel(DYNAMICS社)を使用した。また,両側群(14例)を対象として初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較を行った。項目は①コンタクト損傷orノンコンタクト損傷,②オフェンスorディフェンス,③相手ありorなし,④ボールありorなしとした。なお,相手に合わせてプレーをしていた際を「相手あり」とし,相手に合わせず単独でプレーをしていた際を「相手なし」とした。統計学的分析にはSPSS Ver.20.0(IBM社)を使用した。サッカーとその他の競技の反対側損傷率の差,片側群と両側群の初回損傷側の比較にはχ2乗検定を用い,その他の項目はWilcoxonの順位和検定を用いて比較した。さらに両側群の初回受傷時と反対側受傷時の受傷機転の比較にはMcNemar検定を用いた。有意水準5%未満を有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】対象者に本研究の趣旨を説明し,書面にて同意を得た。また当院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】反対側ACL損傷率はサッカー選手7.49%(14例),その他の競技選手3.29%(14例)であり,サッカー選手が有意に高かった(p=0.02)。片側群と両側群の比較において,初回受傷時年齢は片側群28.5±9.5歳,両側群26.7±8.7歳(p=0.32)であった。初回受傷側に関しては,右下肢受傷が片側群49.2%,両側群64.3%で2群間に有意差を認めなかった(p=0.82)。TASは片側群7.5±1.0,両側群7.9±1.1(p=0.12),競技復帰時期は片側群9.3±2.0ヶ月,両側群9.6±2.0ヶ月(p=0.56),KT患健差は片側群0.0±1.2mm,両側群0.5±0.8mm(p=0.14)であった。膝筋力の患健比は180°/sでの伸展筋力が片側群87.2±15.3%,両側群86.4±10.0%(p=0.62),屈曲筋力が片側群88.2±18.9%,両側群87.8±14.8%(p=0.56),60°/sでの伸展筋力が片側群84.4±19.5%,両側群86.6±10.8%(p=0.98),屈曲筋力が片側群86.6±18.2%,両側群91.6±11.5%(p=0.32)でありいずれも有意差を認めなかった。両側群の受傷機転において,初回受傷時では相手あり4名,相手なし10名であったのに対し,反対側受傷時で相手あり11名,相手なし3名であり有意差を認めた(p=0.02)。その他の項目に関しては有意差を認めなかった。【考察】本研究においてサッカー選手がその他の競技選手と比較し,有意に反対側損傷率が高いことが示された。多種目の選手を対象とした先行研究での反対側ACL損傷率は約5%と報告されているが,本研究でのサッカー選手の反対側損傷率は7.49%であり,やや高い傾向にあった。両側群の受傷機転に関しては,初回損傷時よりも反対側損傷時の方が,相手がいる中での損傷が有意に多かった。サッカーは両下肢ともに軸足としての機能が要求される競技であるため,初回再建術後に軸足としての機能が回復していないと予測困難な相手の動作への対応を強いられた際に,反対側損傷を起こす可能性が高まるのではないかと推察した。以上のことから,サッカー選手に対しては初回ACL再建術後に対人プレーを意識した予防トレーニングを取り入れ,軸足としての機能回復や予測困難な相手の動きに対応できるagility能力を高めておくことが反対側ACL損傷予防には重要であると考えた。【理学療法学研究としての意義】本研究では,サッカー競技におけるACL再建術後の反対側ACL損傷は対人プレーでの受傷が多いという新しい知見が得られた。サッカーに限らず,反対側ACL損傷率を減少させるためには,スポーツ競技別に競技特性や受傷機転などを考慮した予防トレーニングを行っていくことが重要であると考える。
著者
日下部 明彦 野里 洵子 平野 和恵 齋藤 直裕 池永 恵子 櫁柑 富貴子 結束 貴臣 松浦 哲也 吉見 明香 内藤 明美 沖田 将人 稲森 正彦 山本 裕司 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.906-910, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
13

死亡診断時の医師の立ち居振る舞いは,その後の遺族の悲嘆に大きく影響を及ぼすと考えられているが,現在の医学教育プログラムのなかには,死亡診断時についての教育内容はほとんど含まれていない.われわれは遺族アンケートを基に「地域の多職種でつくった死亡診断時の医師の立ち振る舞いについてのガイドブック」(以下ガイドブック)を作成した.本ガイドブックを用い,横浜市立大学医学部4年次生に対し授業を行い,授業前後で死亡診断時の困難感,自己実践の可能性を評価するアンケート調査を行い解析した.有効回答を得た39名において死亡確認についての困難感についての項目は,「死亡確認の具体的な方法」が最も高く,89.5%であった.しかし,授業前後では,死亡診断時における自己実践を評価する項目で有意な改善がみられた.死亡診断時の医師の立ち居振る舞いについての卒前教育にわれわれが作成したガイドブックは有効な可能性が示唆された.
著者
松浦 信夫 竹内 正弘 雨宮 伸 杉原 茂孝 横田 行史 田中 敏章 中村 秀文 佐々木 望 大木 由加志 浦上 達彦 宮本 茂樹 菊池 信行 小林 浩司 堀川 玲子 菊池 透
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.427-434, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
25

小児において適応が認められていない,経口血糖降下薬メトホルミンの有効性,安全性を評価するために,臨床試験を行った.47名が試験に登録され,38名が試験を終了した.HbA1c値を指標とした主要評価項目では38名中30名(78.9%)が有効と判定された.HbA1c値,空腹時血糖など7項目を指標とした副次評価項目を経時的に比較検討した.試験開始前に比し12週,24週終了時でのHbA1c値,空腹時血糖は有意に低下した.乳酸値を含めた臨床検査値に異常なく,有害事象は47例中16例に,副作用は1例に認めたが,試験を中止するような重篤なものは認めなかった.
著者
松浦 良充
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.66, pp.83-100, 2015-04-01 (Released:2017-06-10)
参考文献数
2

The concept of “KYOYO Education” (which means liberal and general education in Japanese) is controversial. Colleges and Universities in Japan have experienced large-scale reforms since the 1990s up to now, and the renovation of liberal or general education in undergraduate colleges has been one of the most important issues. After World War II, the idea and system of general education were introduced to Japanese Colleges and Universities, but they did not accommodate themselves to the Japanese higher education system. The system of general education in Japanese undergraduate colleges was formally and legally abolished in 1991 and the “KYOYO Education” instead of general education made a dashing appearance on the higher education scene in its place. KYOYO is a unique Japanese concept - though one which has been influenced by Western educational ideas, for example, paideia (in Greek), humanitas or artes liberales (in Latin), Bildung (in German), or in English culture, liberal arts, liberal education and general education. Recently “KYOYO Education” is sometimes used as an interchangeable term for general education, though it is simultaneously believed that the concept means liberal education. This paper examines the concept of “KYOYO Education” in relation to the historical development of the two concepts of general education and liberal education in the United States.
著者
松浦 英子
出版者
東洋大学大学院
雑誌
東洋大学大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
no.55, pp.249-269, 2019-03

本論文では、明治時代に取り入れられた折り紙教育が、学校教育から消えたとされる時期とその理由を明らかにすることを目的として、複数ある説を検証した。折り紙が教育現場に取り入れられてから消えていくまでの経緯を、幼児教育と小学校教育の両方から文献資料によってたどった。1876(明治9)年、日本で最初の幼稚園が設立されると同時にフレーベルの教育法が輸入され、その中の一つであった折り紙教育も始まった。そして1890(明治23)年に尋常小学校でも折り紙教育が始まる。その後幼稚園教育では、継続的に折り紙が模倣であるとして批判されてきていたのに対して、小学校教育ではそれほど強い批判がない中で、1958(昭和33)年の小学校学習指導要領で図画工作の教育制度から折り紙という文字が消えたことが明らかになった。Origami education began in Japan in the Meiji period(1876). This study aims to investigate why and when origami education disappeared from the school education system. Several views were investigated, both in kindergarten education and elementary school education, including the history of origami —from introduction until its disappearance after being incorporated into education —using reference documents.In 1876, the first kindergarten in Japan was founded. At the same time Froebel's educational system was imported, which contained origami education. The elementary school also started with origami education in 1890. After that, origami has been continuously criticized in kindergarten education as being imitational, although there was not such strong criticism at the elementary school level. However, in 1958, the word "origami" disappeared from the Art and Handicraft education system in the Course of Study for Elementary Schools.
著者
松浦 藍
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.313-320, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
8

本研究は,絵画作品鑑賞において,色彩の感情効果学習が生徒の絵画作品鑑賞に与える影響を考察したものである。筆者が指導する生徒308名が,9週にわたり授業開始10分間,週1作品の郷土作家絵画作品を鑑賞した。その上で生徒が絵画作品の題名とその根拠を思考し,作品の主題を予想した。郷土作家絵画鑑賞のワークシートの中から,生徒が記述した造形要素に関する単語数をカウントした。10分以降の授業において,9週の内4週を色彩の感情を考える表現活動や鑑賞活動に充て,造形要素等の記述に見られる傾向の推移について考察を行った。その結果,色彩の感情効果学習を経ることで,生徒が絵画から受け取る主題の根拠として挙げた造形要素やイメージの広がりを示す記述が増えていた。このことから,絵画からイメージすることに課題がある生徒が,自分の考えをまとめ表現する手立てとして色彩の感情効果学習が期待できることが分かった。
著者
松浦武四郎 [著]
出版者
[製作地不明]
巻号頁・発行日
0000
著者
新倉 聡 松浦 誠司
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.211-220, 1999-12-01
被引用文献数
2

日本における栽培ダイコンの採種関連形質に関して遺伝的変異を知る目的で, 在来品種を中心に23品種群219系統を用い, 自家不和合性遺伝子S, 自家不和合性程度ならびに一莢粒数を調査した.検定交配ならびにPCR-RFLPによりS対立遺伝子はS^<201>〜S^<237>の37種類が同定された.S対立遺伝子の種類から供試品種群の類別を数量化理論IV類からの主成分分析より試みた結果, 形態形質や古来の地理的分布により従来類別されている品種群との対応は認められず, S遺伝子は日本の栽培ダイコン系統分化に対してほぼ中立であったことが示唆された.自家不和合性程度は, 人工開花自家受粉を行った交配花数あたりの結実莢数, すなわち自殖結実率で評価した.供試系統には0%から100%までの遺伝的変異が認められたが, 品種群間の差は認められなかった.また蕾受粉における一莢粒数では, 0.9〜6.2粒までの遺伝的変異が認められた.なお, これら3形質間には相関関係は認められなかった.以上の結果を基に, ダイコン遺伝資源における採種関連形質評価の重要性と, これら形質の選抜上の留意点について考察した.
著者
文 康一 土井 智晴 小倉 庸敬 山本 孝次 葭谷 安正 松浦 由貴
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp._2A1-Q12_1-_2A1-Q12_2, 2011

The small tricycle type electric vehicle: MEGURU-1 was made by the Yodogawa Manufacturing Ltd. in Osaka Prefecture Moriguchi City in 2009 fiscal year. In this year, the Yodogawa company and Osaka Pref. College of Technology will produce a second model of the vehicle. In this paper, we show that development and evaluation of MEGURU-2. MEGURU-2 is the motorcycle with sidecar in the security standard of the road transport vehicle in Japan. We design the body of MEGURU-2 to suit the security standard of the road transport vehicle in Japan. The power source of MEGURU-2 is the sealed lead acid battery. It is important that knowledge of basic performance of the use battery. There we research the charge and discharge performance.
著者
梶本 卓也 中井 裕一郎 大丸 裕武 松浦 陽次郎 大沢 晃 Abaimov Anatoly P. Zyryanova Olga 石井 篤 近藤 千眞 徳地 直子 廣部 宗
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.265, 2005

中央・東シベリアの永久凍土連続分布域には、近縁2種のカラマツ(L. gmelinii, L. cajanderi)が優占する疎林が分布している。これまでの調査から、成熟した林(100年生以上)では、根が全現存量に占める割合は30-50%と北方林の中でも顕著に多く、同化産物のアロケーションが根にかなり偏っていることがわかっている。このことは、個体の成長や林分発達が地上部の光獲得競争よりも地下部での土壌養分、とりわけ窒素をめぐる競争に支配されていることを示唆している。本研究では、こうした点を裏付けるために、中央シベリアの成熟した林(約100年生)や山火事更新直後の若齢林(10年生前後)を対象に新たに伐倒・伐根調査を行い、既存のデータも加えて、アロケーションや根系発達が時系列でどう変化するのか検討した。その結果、100年生林では根が現存量に占める割合はやはり30%以上と高く、各個体の根系水平分布面積は樹冠投影面積の3-5倍に達していた。また林分レベルで推定された根系分布面積合計、単位土地面積当たり1を大きく上回り、根系がすでにほぼ閉鎖していることが示唆された。一方、更新直後の実生や若木では、根の割合は個体サイズとともに低下し、成長良好な大きめの個体で15-20%と成熟木よりかなり少なかった。この永久凍土地帯では、山火事更新後、コケや地衣、低木等林庄植生の回復に伴って、地温が低下し活動層の厚さも徐々に減少する。そして、もともと限られた無機態窒素の利用も制限されていく。こうした根圏環境の時系列変化を踏まえてカラマツ個体のアロケーションを考えると、土壌養分吸収の制限が少ない山火事後の更新初期段階では地上部の成長に偏っているが、数10年を経ると地上部から根へ大きくシフトし、その時期を境に地下部での個体間競争が起こって、やがては根系が閉鎖した林分状態に達することが推察される。
著者
真鍋 勝 後藤 哲久 田中 健治 松浦 慎治
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.38, pp.p115-120, 1981-03

わが国で発見されたKAは,マイコトキシンという言葉が使われだした10数年前からこの範ちゅうに入っているが,実験動物に対する毒性が弱く,これによる事故が報告されていないことから余り問題にされていなかった。近年突然変異原性を有することがAmes testで明らかにされたことより,現在わが国の発酵工業で使用されている麹菌の中よりAsp. oryzae(149株),実験室保存のAsp. flavus(46株),Asp. tamarii(9株)について,KAとAFの産生能を検討した。1. Rec-assay法を使用してKA,AFを含む13種のマイコトキシンのDNA作用を検討し,KAとAF-B1を含む7種が陽性であることを明らかにした。2. 供試菌204株についてAF産生能を試験した結果,Asp. oryzaeとAsp. tamariiの全供試菌株には産生が認められず,Asp. flavus46株中24に産生が認められた。3. KA産生能試験は,坂口培地を使用し,30℃,14日間培養し,培養液を硫酸第二鉄で呈色し比色定量した。Asp. flavusとAsp. tamariiの全供試菌は,KAを産生し,最高産量は40mg/ml培養液以上であった。Asp. oryzae149菌株中105株にKAの産生が認められ,残りの44株(約30%)に産生が認められなかった。
著者
永見 佳子 松浦 美由紀 宮田 恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.65, 2011

当院ではこの度、子どもに分かりやすいパンフレットを作成し、キワニスドール(以下人形)を使用した周手術期プレパレーションを試みた結果,有効性が得られた。BR 扁桃摘出術を受けた3歳~7歳の子どもとその家族、手術室看護師を対象に独自に作成した選択・記述式のアンケート調査を行った。倫理的配慮は、文書で説明し同意を得た。プレパレーションの方法は、まず外来看護師は親と子どもに作成したパンフレットと人形を渡す。その時に、パンフレットは親子で読み、人形は子ども自身にみたて、顔を書いてもらうよう説明する。そして入院後、病棟看護師は、手術前後に行う処置についてパンフレットと人形を用いて説明する。また,手術室看護師も術前訪問で同様に説明する。BR アンケートの結果より、パンフレットは大半の子供が見ていることが分かり、「これからどのようなことをしていくのかよく分かった」という意見がきかれた。パンフレットは、手術を受ける子どもと親にとって、これから行う入院から手術、退院までの流れを知るよい情報源となった。そして、これから自分の身に起こる出来事を正面から受け入れるものであった。また子どもは、人形に医療行為を真似るというよりも、自分の身に起こる出来事を一緒に立ち向かう仲間とし不安の軽減をはかったと考える。そして、周手術期プレパレーションは、各部署が一人の子どもの入院から退院までの流れや内容を具体的に把握し表現することで一貫した看護を提供できた。そして,手術室看護師は小児看護に関して経験が乏しいため、作成したパンフレットは術前訪問で十分に活用でき、一貫した手術室看護を提供できるようになった。BR 今後は、どの小児の周手術期プレパレーションにも対応できるパンフレットを作成し、外来と病棟、手術室で連携した看護を展開していきたい。