著者
藤野 直樹 小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.195-211, 1997-06-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
26
被引用文献数
3

Kaimondake Volcano, situated in the Ibusuki Volcanic Region of southern Kyushu, is an undissected volcano which consists of a basal stratovolcano and a small central volcano. We established the eruptive history of this volcano by tephrochronology. Kaimondake Volcano started its eruption ca. 4 ka, and the latest eruption occurred in A. D. 885 (ca. 1.1ka). For about 2,900 years during this period, the volcano had been active, and 12 major eruption deposits (Km 1-Km 12) were recognized. The repose periods between these eruptions were estimated to range from 100 to 400 years. The mode of eruption of this volcano was mainly scoriaceous sub-plinian type, and was frequently associated with phreatomagmatic eruptions because the volcano originated from the shallow sea or near-shore environment. Lava flows were often associated with the scoria eruptions. Submarine lava flows which flowed southeastward are topographically divided into three; among them the lowest one is the most voluminous and is thought to have flowed out in the early stage, probably before Km6 eruption period. Among the 12 major eruption deposits, Km1, Km9 (ca. 2 ka), Km11 (ca. 1.5 ka), and Km12 (ca. 1.1 ka) were voluminous, and largely contributed to the formation of the volcanic edifice. During the latest eruption (Km 12), a central volcano was formed in the summit crater. This central volcano is not a simple lava dome, but a mound of complex volcanic materials with a composite structure. It consists of a basal scoria cone associated with fluid lava flows, which is later capped by viscous lava dome, and then subsequently penetrated by volcanic plug around the summit. The summit crater, which is named Hachikubo, had been thought to be a collapse crater, but it was geologically proved to be a large explosion crater which was successively enlarged during the eruption of Km12a. The total amount of volcanic products was calculated to be 3.1 km3 and 2.3 km3 for tephra and lava flows, respectively. Although there are no systematic relations between eruption volumes and the preceding repose period, the eruption materials containing tephra were more voluminous in the later stage than in the early stage, while those of lava flows were exceptionally large in the early stage of volcanic history.
著者
小林 哲郎 柏木 悠 相馬 満利 藤戸 靖則 平野 智也 山岸 道央 和田 匡史 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.182_2, 2016

<p> 【目的】全力クロール泳におけるキックが水平速度(SV)、ストローク頻度(SR)、ストローク長(SL)、ストロークサイクル内の水平速度変動(IVV)に及ぼす影響を明らかにすること。【方法】被験者は日本代表経験者を含む男子水泳選手5名(身長;175.2 ±6.5cm、体重;78.1 ±7.5kg、50mベストタイム;23.82 ± 0.73s)であった。試技はクロール泳の通常の泳ぎ(スイム)と足首をロープ固定した腕によるストロークだけの泳ぎ(プル)で、25m全力泳をそれぞれ行った。デジタルビデオカメラ(60fps)を用いて選手右矢状面より水中映像撮影を行った。分析区間は右手の1ストロークサイクルとし、選手の右大転子点よりSVを算出した。【結果及び考察】SVはプルに対してスイムで約20%の速度増加がみられ、SRには有意差がなく、SLはスイムの方が大きい値を示した。IVVは、スイムとプルでそれぞれ7.84 ±1.76、9.73 ± 1.87%であり、スイムの方が統計的に有意に小さい値を示した(p<0.05)。スイムはキックにより1ストロークあたりの距離を大きくすることで高い速度を得ていることが推測された。</p>
著者
小林 哲郎 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.58-71, 2006-08-25 (Released:2017-02-08)
被引用文献数
1

The development of social capital in an online community was investigated by creating survey data of online game players. The results showed that the frequency of collective communication, the homogeneity of members, and the openness of the online community had positive effects on trust, while the size of community and community hierarchy had negative effects. This shows that participation in online communities can create social capital. Furthermore, the results showed that online social capital influences real-life behavior. For example, reciprocity online facilitated offline social participation, even after controlling for offline social capital and other real-life determinants. These results demonstrate the positive contribution of collective online communication to a democratic social system.
著者
小原 雄治 加藤 和人 川嶋 実苗 豊田 敦 鈴木 穣 三井 純 林 哲也 時野 隆至 黒川 顕 中村 保一 野口 英樹 高木 利久 岩崎 渉 森下 真一 浅井 潔 笠原 雅弘 伊藤 武彦 山田 拓司 小椋 義俊 久原 哲 高橋 弘喜 瀬々 潤 榊原 康文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動では、支援課題の公募を行い、領域外有識者による審査委員会により選考し、支援を行った。経費上限設定など多くの採択ができるように努めた結果、応募188件、採択93件(採択率49.5%)となった。支援の成果として2017年度に54報の論文発表がなされた。②大規模配列解析拠点ネットワーク支援活動においては、最先端技術を提供するためにそれらの整備や高度化を進めた。遺伝研拠点では染色体の端から端までの連続した配列完成を目指して、ロングリードシーケンサー(PacBio Sequel)、長鎖DNA試料調製技術、さらに1分子ゲノムマッピングシステム(Irysシステム)の最適化を進め、実際の試料に応用した。東大柏拠点では、1細胞解析技術を整備し支援に供するとともに、Nanopore MinIONを用いた一連の要素技術開発を進めた。九大拠点では微生物ゲノムのNGS解析最適化を進めた。札幌医大拠点ではLiquid Biopsyによる体細胞における低頻度変異検出技術開発を進めた。③高度情報解析支援ネットワーク活動では、支援から浮かび上がった課題を解決するソフトウェアの開発を進めた。支援で特に活用されたものは、真核2倍体用denovoハプロタイプアセンブラPlatanus2(東工大)、染色体大規模構造変異高精度検出アルゴリズムCOSMOS、変異解析結果の信頼性を評価するソフトウェアEAGLE(以上、産総研)、エクソン・イントロン境界におけるスプライソソーム結合頻度の解析パイプライン(東大)、であった。また、CLIP-seqデータの解析パイプライン、高速オルソログ同定プログラムSonicParanoid、ロングリード向けアラインメントツールminialign(以上、東大)は今後の活用が予想される。高度化等の成果として48報の論文発表がなされた。
著者
田中 昌一郎 粟田 卓也 島田 朗 村尾 敏 丸山 太郎 鴨井 久司 川崎 英二 中西 幸二 永田 正男 藤井 寿美枝 池上 博司 今川 彰久 内潟 安子 大久保 実 大澤 春彦 梶尾 裕 川口 章夫 川畑 由美子 佐藤 譲 清水 一紀 高橋 和眞 牧野 英一 三浦 順之助 花房 俊昭 小林 哲郎 日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.65-75, 2011 (Released:2011-03-29)
参考文献数
19
被引用文献数
8

日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会の緩徐進行1型糖尿病分科会(旧日本糖尿病学会緩徐進行1型糖尿病調査委員会)では委員会委員の所属する施設において発症から5年以内の新規受診糖尿病687例を前向き(2004年4月~2009年12月)に登録し膵島関連自己抗体(glutamic acid decarboxylase[GAD]抗体,insulinoma-associated protein 2[IA-2]抗体およびinsulin autoantibodies[IAA])の測定を行った.2型糖尿病と思われる症例で膵島関連自己抗体が一種でも陽性の場合には緩徐進行1型糖尿病:slowly progressive IDDM(以下SPIDDM)と病型区分した.その結果,1)2型糖尿病と思われる症例の10%(49/474, 95%信頼区間:8-13%)にSPIDDMが認められた.2)膵島関連自己抗体陰性の2型糖尿病に比しSPIDDM例の自己免疫性甲状腺疾患の合併頻度,HbA1c値,初診時のインスリン治療の頻度は有意に高く,BMIは有意に低かった.3)SPIDDMではGAD抗体の頻度(69%,34/49)はIA-2抗体の頻度(39%,19/49)やIAA(29%,14/44)の頻度に比し有意に高かった.4)SPIDDMでは急性発症1型糖尿病に比し膵島関連自己抗体の単独陽性例が高頻度だった.以上の結果から2型糖尿病と思われる症例に高頻度にSPIDDM症例が含まれる可能性があること,SPIDDMは2型糖尿病や急性発症1型糖尿病と異なる臨床的特徴を呈することが全国規模調査で明らかとなった.
著者
松田 圭悟 大山 航 若林 哲史
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J100-A, no.12, pp.435-443, 2017-12-01

本研究では,訓練偽筆を含まない学習データを用いた組み合わせ分割署名照合法を提案する.提案手法は,まず,ペン先のx, y座標,筆速,筆圧の時系列で構成されるオンライン署名情報を入力し,筆速,筆圧をそれぞれストローク幅,濃度値に反映させた署名画像を生成する.次に,オンライン署名時系列及び生成された署名画像のそれぞれをストロークの重心位置で分割する.入力されたオンライン署名時系列及び生成された署名画像とそれぞれの分割署名をオンライン用,オフライン用の手法で照合し,照合スコアを判定用SVMで真偽判定する.判定用SVMの学習には真筆同士,真筆と偽筆の照合スコアを含む学習用データを用いる必要があるが,本論文では偽筆クラスの学習サンプルとして第三者の真筆を用いるランダム偽筆学習を提案する.また,偽筆サンプルの削減のために,One-class SVMとk-meansクラスタリングを用いた効果的なサンプリング手法も提案する.多言語署名を含むSigCompデータセットを用いた評価実験の結果,訓練偽筆を含む学習用データセットを用いて学習した場合と同程度の精度の署名照合が実現できた.
著者
菊池 英明 工藤 育男 小林 哲則 白井 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1502-1511, 1994-08-25
被引用文献数
19

音声を利用したマルチモーダルインタフェースのベースシステムとなる音声対話インタフェースにおいて,ユーザに発話のタイミングに関する自由を保証するための割込みの扱いについて検討した.ユーザに割込みを許すとき,従来のように1文を単位としてシステムの発話を計画するのでは,計画した発話内容と実際に発話した内容あるいはユーザが受け取った内容の間に差異が生じる.そこで,発話の計画の単位を,1文中の伝えるべき情報と定め,対話中に話者間でやりとりされる発話権を管理することにより,どの情報が受聴されたかを常に把握する方式を提案した.実験の結果,提案した方式によって,システムが計画した発話とユーザが受聴した発話の差異をなくしながら,スムーズな割込みへの対処が被験者の半数以上に認められた.また,割込みに対処することにより,ユーザのタスク完了までの所用時間は7%減少し,積極的な話題提起数が21%増えるなど,インタフェースの利便性が向上することが確認された.
著者
岩田 聖也 大山 航 若林 哲史 木村 文隆
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.136, no.12, pp.1668-1676, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
18

The authors have conducted studies on Arabic telop recognition to develop a system for video retrieval by keyword to index and edit Arabic broadcast programs received daily and stored in a big database. This paper describes a dedicated OCR for recognizing low resolution telop in video images. A telop recognition system consisting of text line extraction, word segmentation and segmentation-recognition of words is developed and the performance was experimentally evaluated using datasets of frame images extracted from AlJazeera broadcasting programs. Character recognition of moving telop is difficult due to combing noise caused by the interlacing of scan-lines. A technique to detect and eliminate the combing noise to correctly recognize the moving telop is proposed. This paper also proposes a technique based on insertion operation with minimum edit distance between successive two telops to connect them. The method to connect the moving telops is necessary for automatic language translation. The proposed method using edit distance for bi-gram sequence of telops (Method-B) is shown to be robust to recognition error of characters and successfully connect the telops.
著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>
著者
小林 哲生
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.26-29, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

1.はじめに 光ポンピング法により生成したアルカリ金属原子のスピン偏極を用いて極微弱な磁界の計測を可能とするのが光ポンピング原子磁気センサ (Optically pumped atomic magnetometer:OPAM) である(1)(2)。光ポンピング法とは,近接した二つのエネルギー準位における電子の占拠数
著者
尾木 雄貴 大山 航 若林 哲史 木村 文隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット
巻号頁・発行日
vol.113, no.432, pp.95-96, 2014-02-06

本人確認は,個人情報の保護や不正アクセス防止に重要な問題である.そのため,安全性の高いバイオメトリクスへの期待が高まっている.その中でも署名照合はデータ取得に対する社会的受容性が高いため,数多くの研究が行われている.しかし,それらの多くは単一言語に特化している.本研究では,複数の異なる言語の署名に対して同じ手順を適用し異なる言語の署名に対しても性能が安定した署名照合の手法を提案する.提案手法では,1つのオンライン署名データから2パターンの画像を生成する.各画像から濃度こう配特徴を抽出し,それぞれのマハラノビス距離を求める.得られた2つのマハラノビス距離を新たに2次元特徴ベクトルとし,これをあらかじめ真筆,偽筆の2クラス分類を行うように学習させたSVMで識別する.この手法により,中国語8.87%,オランダ語8.90%の等価エラー率が得られた.