著者
藤林 真美 齋藤 雅人 大田 香織 松本 珠希 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1-2, pp.86-93, 2008-06-30 (Released:2017-01-26)

女性の就業率が増加し,多忙で不規則な生活を強いられることと相俟って,簡便で即効性の保湿・栄養効果があり,尚且つ爽快感や心地よさなどの心理的作用を期待できるスキンケアが求められている.本研究では,化粧水などの液状製剤を含浸させたシート型コスメティック・フェイシャルマスクによる心身のリラクセーション効果を自律神経活動の観点から評価することを試みた.14名の健康な若年女性(年齢21.2±0.8歳)を対象に,フェイシャルマスクを15分間装着させ,マスクの使用前・使用中・使用後の心電図を胸部CM_5誘導より測定した.自律神経活動は,心拍のゆらぎ(心電図R-R間隔)をパワースペクトル解析し,非観血的に交感神経活動と副交感神経活動を弁別定量化した.また,フェイシャルマスク使用前後に,Visual Analog Scale(VAS法)を用いて主観的心理反応(さわやかさ,うるおい感)も計測した.その結果,マスク使用前と比較して,心拍数は,使用中(p<0.05),使用後(p<0.05)に有意に低下した.総自律神経活動は,使用中に有意に増加(p<0.05),副交感神経活動については使用中(p<0.05),使用後(p<0.05)ともに顕著な増加を示した.また使用感スコアは,フェイシャルマスク使用後,さわやかさ(p<0.01),うるおい感(p<0.01)ともに顕著な上昇を認めた.これらの結果から,フェイシャルマスクの総合的な質感が,直接的あるいは間接的に自律神経系に作用し,副交感神経活動の亢進により,心拍数を減少させたことが考えられた.また短時間のフェイシャルマスクの装着により,肌のうるおい感と心理的な爽快感を生み出すことから,心身のリラクセーション効果も得られることが推察された.
著者
新谷 裕 中谷 壽男 平出 敦 行岡 秀和 森田 大 西内 辰也 池内 尚司 林 靖之 松阪 正訓 木内 俊一郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.131-137, 2003

病院外心停止(OHCA)症例に関する検討は盛んに行われてきたが,小児のOHCAに関する検討は不十分である。われわれは大阪府全域で発生したすべての病院外心停止患者(OHCA)の蘇生に関わる事項をウツタイン様式を用いて網羅的に集計しているが,このデータを用いて小児に関する集計結果を報告する。1998年5月から1年間にOHCAは5,047例記録されたが,うち小児(15歳以下)は147例であった。その発生頻度は10万人当り年間10.3で大人(16歳以上)より有意に少なかった。しかし,乳児の発生頻度は10万人当り年間79で,大人より有意に多かった。心原性心停止,目撃のある心停止の割合が大人より少なかったが,bystanderによるCPRの割合は多かった。1か月生存率は大人より高かった。小児のOHCAのおよそ半数が乳児であるが,そのうちの41例に乳幼児突然死症候群(SIDS)の疑いがもたれた。この数値は従来の死亡統計に基づく17という値より多かった。小児のOHCAの内訳は,乳児(0歳)が68例,幼児(1-6歳)が43例,学童(7-15歳)は36例であった。乳児では内因性の心停止が多く,幼児,学童と年齢が上がるにつれ外因性が多くなった。小児のOHCAの内容は乳児,幼児,学童で明らかに異なっていた。このことは小児のOHCAのデータを解析する上で重要である。
著者
松本 忠彦 白川 康太郎 横山 勝 福田 寛文 サルカ アナマリア ダニエラ 小藪 助直 山崎 寛章 数馬 安浩 松井 宏行 丸山 亙 永田 佳代子 田邊 史子 小林 正行 新堂 啓祐 森下 了 佐藤 裕徳 髙折 晃史
出版者
Springer Science and Business Media LLC
雑誌
Scientific Reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
no.9, 2019-06-05

がんに遺伝子変異を導入する酵素の分子スイッチを発見 --リン酸化によるDNAシトシン脱アミノ化酵素の活性制御機構--. 京都大学プレスリリース. 2019-06-07.
著者
小林 厚史 塚越 秀行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.2A2-R03, 2019

<p>This paper describes the development of a flexible cable type robot aimed to travel in the sand available for rescue operation or marine resource exploration. To realize it, we have developed a robot made of soft tube material driven by pneumatics, inspired by the garden eel capable of diving in the sand quickly and deeply. In this study, we propose a new structure thinner than the previous one, aiming to dive into 350mm of depth with the reduction of consumed air, enhancement of response, and improvement of insertability. Finally, we verify the validity of the proposed structure through the experiment by the prototype.</p>
著者
持田 秀之 小林 透 立石 靖 生駒 泰基
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.62, pp.71-75, 1996-05-15
被引用文献数
1

カンショの前作としては,収量面ではイタリアンとラッカセイが適していること,カンショーバレイジョ,カンショーキャベツの1年2作体系では線虫密度が高くなり,低収となることがわかった。さらに,カンショーイタリアンにおける多収は,イタリアン跡地土壌の高いカリ含量と好適な養分バランスによってもたらされていることを示唆する結果を得た。
著者
山田 浩久 宮原 育子 櫛引 素夫 林 玉恵 山口 泰史 初澤 敏生
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.237-247, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は,2020年8月8日の13:30~15:00に「Post COVID-19に向けた東北の観光戦略」をテーマにオンラインで開催された北東支部例会の報告である.参加者は北海道から九州まで,非学会員を含めて41名を数えた.広域からの参加が認められたことは,Post COVID-19に対する関心が地域を選ばないことの現れであると思われるが,それを支部例会で議論することができたのはオンライン開催のメリットである.会場では,東北地方を対象にして,震災復興事業とCOVID-19対策の両立,国と県の施策のずれ,航空機と新幹線への影響に関する報告があった後,東北地方のインバウンド旅行に大きな影響力を持つ台湾の観光情勢について報告がなされ,総合討論において活発な意見交換が行われた.</p>
著者
竹林 由武 高垣 耕企 広瀬 慎一 大野 哲哉 小幡 昌志 川崎 友也 シールズ 久美 杉浦 義典 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.145-154, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、不安障害・大うつ病性障害の脆弱性と指摘されている「嫌悪的な事象に対するコントロールの知覚」を測定するAnxiety Control Questionnaire(ACQ)の日本語版を作成し、その妥当性を検討することであった。385名の大学生がACQ日本語版とそのほかの指標に回答した。探索的因子分析の結果、ACQ日本語版は「嫌悪的な刺激や状況に対するコントロールの知覚」と「不快な感情/身体感覚に対するコントロールの知覚」からなる2因子パタンであることが示された。ACQ日本語版は、高い内的整合性と再検査信頼性を示し、抑うつ・不安症状と負の相関、内的統制と正の相関があった。また、過剰な心配を統制した場合に、ACQ日本語版は不安症状との有意な負の相関を維持したが、抑うつ症状との相関は弱くなった。以上から、ACQ日本語版は、十分な信頼性と妥当性の一部をもつ尺度であることが明らかになった。
著者
小林 幸雄
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

縄文時代の繊維質胎漆製品である"赤い糸"は、糸の製作技術、漆などの膠着材や彩色用赤色顔料などの素材、さらには工程全体に関わる技術などが体系的に具現化されている。それらの技術内容には、縄文時代の人々の生活や文化を復元する上で有効な情報が含まれている。本研究では、縄文時代の"赤い糸"を自然科学的手法によって具体的に検討し、製作技術に関わる材質や技法などの知見を得ることができた。
著者
林 美都子
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.25-32, 2020-08

国際化やIT化が推進される現代社会においては,西暦の利便性が高く,元号の不自由さが強調されることもあるが,元号にどのような心理的機能があるのかについては十分な検討が行われていない。本研究では,林(2020)にて平成生まれの大学生64名を対象に行ったのと同じ,大正,昭和,平成,令和の元号イメージに関する調査を,昭和生まれの社会人24名を対象に,潜在的な好感度を測定するIATと人名に関する好感度アンケートとを用いて行った。本調査の結果,昭和生まれの社会人においても平成生まれの大学生同様(林,2020),自分の生まれた元号は内心特別に好まれ,また,元号によって主観的に「時代」に意味づけやイメージづけがなされており,元号の心理的機能は昭和世代においても健在であることが示唆された。さらに,調査時点で最新の元号である令和に対するIAT値がもっとも高かったことから,「元号には,赤子が生まれたときに名前をつけ,その健やかな成長と未来を願うのと類似の心理的な機能が含まれている」(林,2020)ことがより明確に支持されたと考えられる。
著者
服部 和裕 山本 明美 笹井 みさ 谷内 昇一郎 小島 崇嗣 小林 陽之助 岩本 洋 難波 恭子 八重島 智子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.20-30, 2003
被引用文献数
1

腸内にBifidobacteriumが少ないアトピー性皮膚炎患児15例を予備的な菌叢の検索から選択し,うち投与群8例に対してビフィズス菌凍結乾燥末(Bifidobacterium breve M-16V株)を経口投与した.腸内細菌叢の変動とアレルギー症状の推移を観察し,対照群7例と比較した.投与群では,ビフィズス菌末投与1カ月目の時点で,腸内のBifidobacterium占有割合の有意(P=0.0173)な上昇と,総好気性菌占有割合の有意(P=0.0499)な低下を認め,さらにアレルギー症状も有意(皮膚スコアでP=0.0176,総合スコアでP=0.0117)に改善した.一方,ビフィズス菌末の投与はアトピー性皮膚炎の症状改善を対照群に比較して有意に促進したが,自然排泄便を検体とした腸内細菌叢の変動と,アレルギー症状の推移の間には,明確な相関を認めなかった.
著者
山下 真一 藤本 宏涼 林 銘章 室屋 裕佐 何 輝 ラドスロウ ワーフ 勝村 庸介 村上 健
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.503, 2004

近年、国内では高エネルギーイオンビームのRBE特性を活用した癌治療が行われるようになった。高エネルギーイオンビームによる放射線分解の理解は放射線治療の基礎の観点から重要であるが、これに関する報告はほとんどない。本研究ではGeV級重イオンビームによる水の放射線分解G値の測定と、イオンの飛跡に形成されるトラック構造について、低エネルギーイオンビームの場合と比較検討した。