著者
小林 雄一郎
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.33-38, 2012-11-10

本研究の目的は,アソシエーション分析とクラスター分析を用いて,学習者による誤りの共起関係を明らかにすることである。具体的には,「ある誤りを犯す学習者は,他にどのような誤りを一緒に犯す可能性があるのか」という情報を大量に蓄積し,それらをいくつかの典型的なタイプへと統計的に分類する。
著者
小林 勇人
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.4, pp.144-164, 2007-06-23 (Released:2012-09-24)
参考文献数
33

本稿は,ジュリアーニ政権のもとで全米の約1割に相当する公的扶助受給者数を大幅に削減したニューヨーク市のワークフェア政策の特徴を明らかにする.ジュリアーニは,連邦政府による1996年福祉改革法成立後に抜本的な福祉改革を実施し,組織再編成を行うとともに情報管理システムを導入し,業績べ一スの民間委託契約を通して就労支援プログラムを展開した.同市の公的扶助制度の主要な就労促進プログラムには,「技能査定と就労斡旋斡旋(Skills Assessment and Placement: SAP)」,「雇用サービス就労斡旋 (Employment Services Placement: ESP)」, 「就労経験プログラム(Work Experience Program: WEP)」があった.SAPは公的扶助申請者に対して申請期間中に行われる就労斡旋プログラムであり,申請が受理されて受給者になると受給者にはESPによって就労斡旋プログラムが提供された.申請者や受給者はこれらのプログラムへの参加を義務付けられたが,民間団体の就労支援プログラムでも就労できない受給者は,WEPを通して市に雇われ就労義務を果たすことになった.SAPが申請者を就労へ迂回することで貧困者・失業者による福祉の申請を抑制した一方で,ESPでは雇用能力の高い受給者に有利なサービスが展開されたため,雇用能力の低い受給者はプログラムに滞留し,プログラムへの参加を拒めぼ公的扶助から排除されるに至った.
著者
小林 和男 古田 俊夫 石井 輝秋
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

日本海中央部の大和堆の北西麓、北大和堆との間に存在する断層崖の下部に転在する岩石片を海洋科学技術センターの運航する「しんかい2000」によって採取した。乗船した本研究代表者小林の目視観察およびビデオ記録の解析から、これらの岩石は母船「なつしま」の曵航テレビによって確認された近傍の崖から落下したものであることはほゞまちがいない。採取された7個の岩石(合計約5キログラム)のうち、3個は泥岩であって崖の表層をつくる堆積岩の破片である。あとの4個は密度が大きく、安山岩、デイサイト及び安山岩質玄武岩の熔岩で、日本列島のような島弧または大陸起源の岩石であることがわかった。一方、研究船白鳳丸のKH86-2航海(昭和61年4〜5月)において、大和堆東方の大和海盆中央に位置する拓洋第2海山から多量の火山岩がドレッジにより採取された。その岩石学的性質は現在分担者の1人石井と山下(大学院生)により研究中であるが、海洋中の海山に特有のアルカリ玄武岩であって、大和堆山麓の岩石とは明らかな差異がある。白鳳丸のこの航海では男鹿半島北西沖の日本海盆西翼の磁気異常が詳しく測定され磁気異常縞模様とそれを切る僞断層が同定された。また、拓洋第2海山などの上で測られた磁気異常はかなり大きい。これに対し、大和堆の上で見られる磁気異常はその山体の大きさに比すれば著しく小さく、大和堆をつくる岩石が磁化の小さい安山岩、デイサイト、花崗岩などから成ることを示すと考えられる。大和海盆の磁気異常は日本海盆ほど整列していないので、島弧火成活動が海盆底にまで及んでいると思われる。大和堆は現在の島弧活動が起こるには海溝から遠すぎるので、その火成活動は大和海盆拡大以前(おそらく15Ma以前)であったと思われる。
著者
軽野 宏樹 木實新一 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.49, pp.1-8, 2003-05-16
被引用文献数
7

ALAN-K (Advanced LeArning Network in Kyoto)プロジェクトは京都大学が京都市教育委員会・京都市内の公立学校と協力し、コンピュータを用いた新しい学習環境の構築を目指して昨年9月に発足した。その活動の一つとして、昨年度はオブジェクト指向のプログラミング環境Squeakの機能の一つであるSqueakToysを用いたワークショップを2つの小学校で実施した。その活動で我々の目指すものはアラン・ケイ氏らの理念[1] [2]に影響を受け、実際に最初の2回のワークショップはアメリカから研究員を講師として招いて行い、その後には独自の課題を設定した連続ワークショップを実施した。本稿では、我々のプロジェクトの活動紹介とその考察を行う。The ALAN-K(Advanced LeArning Network in Kyoto) was started in September, 2002 by Kyoto University with the Kyoto City Board of Education and some public schools in Kyoto to achieve new learning environments supported by computer. In the last school year, we had several workshops in two elementary schools. These workshops were based on SqueakToys, which is a part of the Squeak system, an object oriented programming environment. Our visions in this project is largely influenced by the visions of Alan Kay[1],[2] and his colleagues and two of them had visited Kyoto as instructors in the first 2 workshops. After that experience, we designed and practiced a series of original workshops. This paper describes the start-up phase of the ALAN-K project.
著者
四柳 宏 田中 靖人 齋藤 昭彦 梅村 武司 伊藤 清顕 柘植 雅貴 高橋 祥一 中西 裕之 吉田 香奈子 世古口 悟 高橋 秀明 林 和彦 田尻 仁 小松 陽樹 菅内 文中 田尻 和人 上田 佳秀 奥瀬 千晃 八橋 弘 溝上 雅史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.117-130, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
69
被引用文献数
3 3

B型肝炎ワクチンは諸外国では乳児期に全員が接種を受けるユニバーサルワクチンである.しかしながら我が国では任意接種(セレクティブワクチネーション)となっており,母児感染防止の場合のみワクチン接種が健康保険でカバーされている. こうしたセレクティブワクチネーションのみでは我が国のB型肝炎を制圧することは困難である. 本稿では平成23年6月2日に第47回日本肝臓学会(小池和彦会長)において行われたワークショップ「B型肝炎universal vaccinationへ向けて」の内容を紹介しながら,ユニバーサルワクチネーションに関してまとめてみたい.
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
小林 隆人 谷本 丈夫 北原 正彦
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-12, 2004-06-30
被引用文献数
1

オオムラサキ(鱗翅目,タテハチョウ科)の保護を目的とした森林管理手法の確立に必要な資料を得るため,面積の広い森林が連続的に分布する栃木県真岡市下篭谷地区と都市化が進んで面積が狭い森林がパッチ状に分布する伊勢崎地区において,森林群落のタイプとその面積,寄主植物であるエノキの本数,エノキの根元で越冬する本種の幼虫の個体数,夏季における成虫の目撃個体数を調査した.両地区とも,アカマツ-クリ・コナラ林およびクヌギ,コナラ,針葉樹,タケの人工林などがパッチ状に分布し,アカマツ-クリ・コナラ林の面積率が最も高かった.本種の寄主植物であるエノキの母樹(樹高2m以上)は,森林地帯,農家の屋敷地,荒地に小集団で存在した.母樹の本数は両地区ともアカマツ-クリ・コナラ林で最も多く,他の森林群落および土地利用では少なかった.地区別の本数は下篭谷地区と比べて,伊勢崎では顕著に多かった.当年,1年生など発芽して間もないエノキの椎樹は,森林の部分的な伐採から1年ほど経た比較的新しい林縁部に見られた.下篭谷では,胸高直径が15cm以上25cm未満のエノキにおける本種の越冬幼虫の個体数が,他のサイズのエノキよりも有意に多くなったが,伊勢崎では幼虫個体数はエノキのサイズの間で有意に異ならなかった.一方,木の周囲の森林および落葉広葉樹二次林の面積と越冬幼虫の個体数との間には,両地区とも有意な正の相関が認められた.成虫の確認個体数は下篭谷地区で多く,成虫の多くはクヌギ林およびその付近で確認された.以上の結果から,落葉広葉樹二次林に対して土地利用の変換を伴う部分的な伐採を行うことは,エノキの密度を増加させる反面,本種の越冬幼虫や成虫の密度を減少させることが示唆された.このような両者の相反する生息条件を満たすには,クヌギ林とエノキが備わったある広さの落葉広葉樹二次林を伐期が異なる小班に区分することが必要である.
著者
林 昆範
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.47, pp.34-35, 2000-10-16

"Characters" can indicate the symbol of a culture. Printing typefaces are important media of cultural communication. Chinese printing technologies began from the Tang Dynasty; extended and developed by the Sung Dynasty for the Civil Service Examination System, home school and publication. The Sung typefaces, which used in the Xylographic Books, are the source of printing typefaces.Be it oiental or western culture, initial-printing typefaces was enlightened by the writing typefaces. Printing typefaces extend the human minds and handiwork abilities. We can utilize the calligraphic arts to observe the esthetic senses or formative notions. The first step of this research intended to carry out historical investigations.
著者
大村 知子 山内 幸恵 平林 優子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.39-44, 2009-01-15

We asked 58 young women to select their preferred pant size after trying on pants of various sizes. The wearers and third party observers assessed how well the pants fit at different parts of the body. The results were as follows: 1. Fifty percent of the wearers selected a smaller size than their actual size as their preferred size. 2. As to size selection, wearers whose waists were larger than that of the standard size preferred a good fit at the waist. 3. Regarding the degree of fit in each region, the observers tended to assess the degree of fit over the entire body, while there was no correlation between the degree of fit at the waist and that at the hip among the wearers.
著者
青木 賢人 林 紀代美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.243-257, 2009-05-01 (Released:2011-08-25)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

2007年3月25日に発生した能登半島地震の被災住民である石川県輪島市と志賀町の中学生およびその保護者に対して,地震発生時の意識と行動に関するアンケート調査を行った.あわせて,地震発生以前の災害に対する知識,認識や経験,すなわち防災に対するレディネスを調査し,これと被災時の意識・行動との関係を,被災前後の比較が効果的に行える津波に焦点を当てて分析した.その結果,避難訓練や防災情報などから学んだ内容がとっさの行動として表出したり,直接・間接の被災経験が津波からの適切な避難行動に結びついたりするなど,被災以前のレディネスが適切な被災時の意識・行動の励起を強く規定していることが確認された.その一方,災害に対する警戒感が低かった能登では住民のレディネスは十分ではなかったため,住民の多くが適切な想起や行動が行えなかった課題も浮き彫りとなった.これらを踏まえ,今後の地域防災力強化のためには,学校教育,社会教育などのチャンネルを通じた防災教育の充実と,地域環境に応じた防災へのレディネスの構築が必要であることを指摘した.
著者
木村 恵理子 藤堂 浩明 杉林 堅次
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.319-324, 2012-03-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

Human beings are exposed or otherwise a subjected to a various chemical compounds. Various nanomaterials are contained in the chemical compounds which are used in many fields. Nanomaterials are also used in cosmetics: titanium dioxide and zinc oxide are examples. Consumers who apply cosmetics to their skin as well as workers at industrial plants may thus be exposed to these nanoparticles. Therefore, it is of great importance to evaluate the safety of these nanoparticles. In this review, we describe the possibility of nanoparticle penetration to skin following exposure, which makes it urgent to evaluate the safety factors. In general, it is necessary to take account of the desquamation rate of the stratum corneum and the permeation pathway and size of nanoparticles when considering such penetration. One layer of the human stratum corneum is peeled off per day. Therefore, a chemical compound of which the skin penetration is lower than the desquamation rate does not permeate through the skin, when the compound infiltrates the stratum corneum. Hence, compounds with a molecular weight of more than 500 Daltons do not permeate through the stratum corneum. However, we must also pay attention to the appendage routes, although the aforementioned layer is the primary permeation route of nanoparticles. The contribution of appendage routes must be taken into consideration.
著者
石根 幹久 花田 恵介 徳田 和宏 竹林 崇 藤田 敏晃
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.780-787, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
26

脳卒中患者の上肢機能と麻痺手の使用頻度はしばしば正の相関があるが,一方で乖離があることも報告されている.しかし,先行研究には高次脳機能障害による影響を検討した報告はほとんどない.今回,脳卒中発症後に麻痺側上肢の運動機能は向上したにもかかわらず,日常生活での麻痺手の使用行動に繋がらなかった70歳代男性を経験した.詳細な神経心理学的な検討を行ったところ,運動無視や無為を認めた.本例においては,これらが麻痺手の使用頻度に影響を与えていた可能性が考えられた.
著者
林 洋一郎 内藤 知加恵
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.189-211, 2023 (Released:2023-05-24)

This article aims to clarify the common forms of hypotheses and explain how they are tested in industrial and organizational psychology, social psychology, and other disciplines. There are four types of testable hypotheses: main effect, moderation, mediation, and moderated mediation. Main effect hypotheses predict the relationship between two variables, for example, predictor X and outcome Y. Main effect provides a basis for the other three types of hypotheses. Moderation hypotheses focus on a variable, such as moderator W, which affects the association between two or more variables. Moderation hypotheses predict that the relationship between X and Y will change as a function of moderator W. Mediation hypotheses indicate the presence of an intervening variable, namely, mediator M that transmits the effect of X on Y. In other words, it is concerned with the indirect effect of X on Y through M. Finally, moderated mediation hypotheses refer to the notion that the indirect effect of X on Y through M is moderated by a fourth variable Z. These four types of hypotheses could be constructed from multi-level perspectives as well as a single-level perspective. Furthermore, how each type of hypothesis can be statistically tested is explained with reference to specific empirical studies. Finally, clarifying the form of the hypothesis will help reviewers and readers understand what researchers attempt to reveal. Such manuscripts can elicit a variety of comments from reviewers and readers, resulting in meaningful research publications.