著者
中村 恵子 斎藤 まさ子 内藤 守 小林 理恵 田辺 生子 盛山 直美
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-12, 2019-09

本研究の目的は、ひきこもり支援者の体験と求める支援について明らかにし、ひきこもり支援のあり方について考察することである。ひきこもり支援者3名を対象として、半構造化面接を行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。 全体分析の結果、ひきこもり支援者の体験と求める支援について、【本人の生きづらさと傷つき感:社会性の乏しさと自分は駄目だという思い】、【本人や親への傾聴によるエンパワーメント:本人に見合った時間の中でのエネルギーの充足】、【本人と親との関係の調整:相互理解と親の変容からはじまる本人の変容と相乗効果】、【社会参加へのプロセス:意欲や自信をはぐくむ本人の困り感や必要性を伴った社会体験の積み重ね】、【本人や親を孤立させない支援:相談しやすい環境と専門家や支援機関による連携】、【支援者を孤立させない支援:支援者どうしの共助とサポート環境の整備】の6つのシンボルマークからなる空間配置が示された。ひきこもり支援において、社会参加に向けた支援や、本人や親、支援者を孤立させない支援が求められる。
著者
小林 和雄 大高 泉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 30 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.423-424, 2006-08-10 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

科学的な思考を科学的な探究(問題解決)の全過程における一連の思考と考えるならば,これらの諸過程における生徒の実態を把握することは科学的な思考力を育成するために不可欠である。その過程の主要な要素である仮説を設定するには「仮説」とは何かの認識が必要であり,そのような視座からAnton E. Lawsonらは未知の課題に対する問題解決のための仮説演繹的推論を行うには,「仮説」と「予想」の区別が重要であることを指摘している。本稿では,A E. Lawsonらが米国の高校と大学の生物教科書に対して実施した「仮説」と「予想」の定義に関する研究を参考にして,日本の中学生,高校生,大学生の「仮説」と「予想」に対する認識を質問紙法で調査したものである。その結果,A E. Lawsonらの定義するような「仮説」と「予想」の区別ができる生徒や学生は,非常に少ないことが明らかになった。
著者
林 裕子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.202-213, 2007-06-29 (Released:2017-12-29)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿では,生命の設計図を解明する巨大科学プロジェクトであったヒトゲノム計画を日米比較する事により,日本の科学技術政策決定過程を分析する。高度な専門知識を有する科学者が,政治アクターにどの様に関わり,科学技術分野で政策決定が行われているかを,境界組織を含むプリンシパル・エージェントのフレームワークで検証する。具体的には,米国では,科学技術関連省庁内の政策決定に権限を持つ地位に専門知識を有する科学者を配置する制度や,複数の科学評価機関が「統制された科学的市場(Regulated Scientific Market)」をプリンシパルに提供する制度が,政治と科学の媒介機能を生み出している。しかし,こうした機能を持つ制度が日本にはまだ整備されていない事を指摘する。
著者
竹林 永人 池沢 聡 岩見 健太郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.140, no.12, pp.374-379, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
9

In this paper, an optical pressure-sensitive membrane based on plasmon resonance absorption has been designed, fabricated, and demonstrated. The membrane utilizes plasmon resonance on a gold island film embedded in a polydimethylsiloxane (PDMS) layers, and the shift of the resonant wavelength was used as an indicator of pressure-induced strain of the membrane. The membrane with total thickness of 100 µm were prepared with spin-coating of PDMS and vacuum evaporation of gold island film with the nominal thickness of 10 nm. Pressure sensitivity of the fabricated membrane was demonstrated from the measurement of absorbance spectra and the maximum sensitivity of 0.35 nm/kPa was achieved by applying pressure up to 35 kPa. Plasmon resonance mode attributing to the pressure sensitivity has been analyzed through comparison between electromagnetic simulation and membrane stretching test. From the stretching test, red shifts of the resonant wavelength were obtained for both parallel and perpendicular polarizations to the tensile direction with the sensitivities of 0.372 and 0.134 nm/%, respectively. From the electromagnetic simulation, these red shifts can be attributed to both gap-mode and deformation-mode resonances of the gold island film.
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.567, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)

いつもなら“第○回情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)にご参加,ご発表頂いたみなさまありがとうございました。”から始まることが多い実行委員長の振り返り記事は,今年において,特殊にならざるを得ない状況となりました。COVID-19によって,我々は未知のウィルスに対応するという試練を与えられ,INFOPRO運営を直撃しました。学協会におけるもっとも重要な活動の一つに,年次大会を開いて会員が参集し,情報交流を通じて知己を得ることがあり,INFOSTAの看板シンポジウムであるINFOPROがその役割を果たしてきました。その開催が危ぶまれたというのは,学協会の存続にかかわることでもありました。委員長としては,他の学協会大会の様子や判断を観察しながら,委員と共に様々なオプションを検討し,判断材料を整えていきました。個人的な気持ちとしては,1990年代より電子ジャーナル化という,今でいうデジタルトランスフォーメーションの端緒に携わり,現在オープンサイエンスという科学の変容を志向する調査研究と実践に邁進して来ましたので,今回はむしろデジタルトランスフォーメーションの千載一遇のチャンスであり,何も挑戦せずに単に中止や縮小するという選択はあり得ませんでした。その一方で,INFOSTAのリソースは限られており,また,スケジュールの都合もありましたので,理想的あるいは独善的なオンライン開催を行うわけにもいきませんでした。委員長として現実的な落としどころを見つける必要があり,慎重に検討を重ねました。その結果として,INFOPRO2020自体は誌上開催としつつ,Plusとして希望者によるオンライン発表の機会を作り,電子ポスターやプロダクトレビューも加えた紙とオンラインのハイブリッドと開催となりました。運用においても,zoomの導入を中心として手探りながらも段取りつけて当日を迎え,今後のオンライン開催の目途をつけ,また,課題を見つけることができました。この経験と得られた知見はINFOSTAにとって大きな資産となったのではないでしょうか。より詳しい,開催までの経緯や当日の裏話等については,本号の座談会記事をご覧いただきたいと思いますが,何より嬉しかったのは,致命的なトラブルは全くなく,また,他のイベントで多くで経験したような遅延や座長や発表者の戸惑いもほとんどなかったことです。最後の最後に委員長の閉会の挨拶で,マイクトラブルが起きたのはご愛敬ですが,本当に最後に唯一起きたトラブルだった思います。これも一重に山﨑会長を筆頭とするINFOSTA三役,理事のご英断をはじめとする,実行委員,そして事務局のみなさまのご尽力とチームワークがあってのものでした。特に川越副委員長におかれては,特別講演の調整やリハーサルの指揮を含め様々にご尽力いただきました。この場を借りて関係の皆様に厚く御礼申し上げます。今回のこの経験,知見を生かして,来年のINFOPRO2021に向けてインフォプロの新たな出発をより確実かつ魅力的なものにできるよう,みなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。また,今回のINFOPROはINFOSTAの歴史の特異点であり,また大きな転換点となる可能性が非常に高いと思われます。そこで,このインシデントとその対応について様々に記録して後世に残すことが重要と考え,通常の特別講演や一般発表の聴講記事に加えて,電子ポスターや運営の裏側を語る座談会に関するものやアンケート結果など,会誌編集委員会との連携によりさまざまな記事を企画しました。それらの記事も是非ご覧いただき,奇譚のないご意見や今後に向けた示唆を賜ればと思います。COVID-19は学協会の変容を確実に進め,また,その変容はまだ緒に就いたばかりともいえます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。(INFOPRO2020 実行委員会委員長 林 和弘)INFOPRO2020 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(ジー・サーチ),委員:矢口 学(科学技術振興機構),小山信弥(関東学院大学),鷹野芳樹(クラリベイト),廣田拓也(クラリベイトジャパン),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事(正):増田 豊,担当理事(副):佐藤京子,棚橋佳子,吉野敬子,谷川 淳
著者
林 智子 上野 英二 伊藤 裕子 岡 尚男 尾関 尚子 板倉 裕子 山田 貞二 加賀美 忠明 梶田 厚生 藤田 次郎 小野 正男
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.356-362, 1999-10-05
参考文献数
18
被引用文献数
8

食品中のβ-カロテン及びトウガラシ色素の逆相TLC/スキャニグデンシトメトリーによる分析法を検討した. 食品から抽出後,β-カロテンはそのまま, トウガラシ色素はけん化して, C18カートリッジを用いて精製し, TLC (プレートは逆相C18, 展開溶媒はアセトニトリル-アセトン-<i>n</i>-ヘキサン=11:7:2) を実施した. 両色素ともに良好な分離と安定した<i>Rf</i>値が得られた. TLC上のスポットにスキャニングデンシトメータを用いたところ, 良好な可視部吸収スペクトルが得られ, 本法はβ-カロテン及びトウガラシ色素の分析に有効であることが明らかとなった.
著者
林 拓世@水野
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.7, pp.1874-1885, 2008-07-01

日常生活からのストレスは慢性化しやすく,時に重大な疾病を引き起こすが,評価方法については未発達段階である.本研究では,情動ストレス負荷時における生理学的信号解析として,脳機能と自律神経機能の客観的評価を行った.被験者は健常成人22名とし,大学生用ストレス自己評価尺度によりストレス群と非ストレス群に分類した.測定には脳波と心電図を用い,情動ストレス負荷として安静刺激,快刺激,不快刺激の視聴覚動画像刺激を用いた.脳波周波数解析の結果,両群ともに不快刺激は安静刺激及び快刺激と比較して,相対パワースペクトル値が高値を示した.更に不快刺激は,ストレス群では相対パワースペクトル値が有意に経時的減少を示し,非ストレス群では有意な一時的,または継続的な増加を示した.自律神経機能では,非ストレス群はストレス群と比較して反応性がより高く,特に非ストレス群では安静刺激は他の刺激と比較して副交感神経機能が有意に高かった.これらのことから,ストレスと脳機能の間に関連性が示され,更にストレス時における脳機能活動は生体抵抗性と類似した傾向を示すことが分かった.
著者
高橋 いず美 青山 誠 佐々木 亮介 小林 万里子 中山 紀子 山崎 彰久 天満 美希
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0892, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】我々、理学療法士(以下PT)が臨床場面で筋力を測定する方法として、現在では徒手筋力検査法(以下MMT)が使用されることが多い。MMTの判定には主観的要素が含まれているため、的確な判断には熟練を要するとされている。これまでMMTの検者間信頼性を検討した研究がなされ、高い信頼性が得られたとする報告も多い。しかし、足関節底屈(腓腹筋)の測定は徒手による抵抗ではないうえに、上肢による免荷がどれだけか、どこまでバランスの崩れを許すのかといった判断が検者の主観的なものであり、純粋に腓腹筋筋力を検査しているとは言い難く、特に3(fair)以上の判定においての信頼性に疑問が残る。そこで今回は、MMTにおける足関節底屈筋力(腓腹筋筋力)の測定について、検者間信頼性を検討することを目的に調査した。【対象と方法】被検者は下肢に既往歴のない成人14名(男性6名、女性8名)、平均年齢59.3±9.8(50~87)歳とした。検者は経験年数5年以上の理学療法士(以下PT)3名(男性2名、女性1名)、平均経験年数9.6年とした。3名の検者は各被検者に対し、MMT第6版で規定された方法に準じ、左右の腓腹筋の筋力を測定した。測定した結果は3名の検者間では知らせず、3回の測定は少なくとも30分間以上の間隔をあけて実施した。検者間信頼性は分散分析を用い、危険率5%を有意水準とした。【結果】被検者全員の足関節底屈筋力はすべてMMTで3以上であった。3名のPT間で、MMTの結果が左右とも一致した人数は14名中3名(21.4%)で、左右のどちらかだけ結果が一致したのは28脚中8脚(28.6%)であった。また結果が一致していたのは、すべてMMTで5レベルと判断された被検者(脚)であった。95%信頼区間による検定では、右足がF1=3.36、左足はF1=8.32となり、左右ともに検者間信頼性はなかった。【考察】今回の研究では検者3名、被検者14名と少数であったが、一般に経験があるとされる経験年数5年以上のPTにおいても、検者による測定結果のばらつきがみられたことは、腓腹筋に対してのMMTの測定は、検討の余地がある事項であると考えられる。今回ばらつきがみられた要因としては、踵を持ち上げる高さ、バランスをとる程度とされる上肢による支持、正しい形を崩さずに行える、という点についての判断が検者により差がみられたことが挙げられる。しかし現在、MMTは簡便で誰もが行える理学療法評価の手技として、最も頻繁に実施されている検査の一つであることも事実であり、今後はより客観的で簡便な足関節底屈の測定方法の検討が必要と思われた。
著者
村井 宏生 藤澤 和郎 岡崎 新太郎 林 仁幸子 河北 亜希子 安冨 素子 眞弓 光文 大嶋 勇成
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.566-573, 2013 (Released:2013-12-11)
参考文献数
8
被引用文献数
8 5

【目的】教職員がアナフィラキシーを理解し初期対応を可能にするための教育は学校生活の安全のために必要不可欠である.教職員に対するエピペン®の実技指導を含む講習の有効性を検討した. 【方法】福井市の小中学校教職員を対象に,食物アレルギーとアナフィラキシーに関する講習とエピペントレーナーを用いての実技指導を行った.講習会前後でアナフィラキシー対応に関する意識の違いをアンケート調査により比較検討した. 【結果】講習前には,エピペン®認知度は97%であったが,使用法まで理解している者は29%にすぎなかった.使用に対する不安は,使用のタイミングが82%と最も多く,使用後の保護者からのクレームが68%であった.養護教諭や現場の教諭がエピペン®を施行するとした割合は,講習前の41%,28%から,講習後には63%,48%と著増した.実技指導により使用への抵抗感が軽減したとの回答が増加した. 【結論】講演会に実技指導を加えることは,アナフィラキシーに対する理解を深め,エピペン®使用の不安を軽減する上で有用と考えられた.

1 0 0 0 IR 全訳五弦譜

著者
林 謙三
出版者
奈良学芸大学
雑誌
奈良学芸大学紀要 人文・社会科学 (ISSN:04695569)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.59-76, 1965-02

In the Yomei Library in Kyoto City are kept the score of go-gen 五絃, of five-stringed lute which have not been played. This score contains 28 musical pieces of T'ang dynasty, most of which though lost, make the precious materials for the study of ancient music. In 1940, I made public my first article* concerning this score. What 1 have written here now are the text and its unabridged tranalstion and the short explanation of it. *Go-gen-fu, a score of five stringed lute (ch. wu-hsien) and the clue to its interpretation (Journal of the Acoustical Society of Japan, no. 2), 1940
著者
國友 博史 小山 修司 東出 了 市川 勝弘 服部 真澄 岡田 陽子 林 則夫 澤田 道人
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.653-661, 2014 (Released:2014-07-23)
参考文献数
23

In the detective quantum efficiency (DQE) evaluation of detectors for digital radiography (DR) systems, physical image quality indices such as modulation transfer function (MTF) and normalized noise power spectrum (NNPS) need to be accurately measured to obtain highly accurate DQE evaluations. However, there is a risk of errors in these measurements. In this study, we focused on error factors that should be considered in measurements using clinical DR systems. We compared the incident photon numbers indicated in IEC 62220-1 with those estimated using a Monte Carlo simulation based on X-ray energy spectra measured employing four DR systems. For NNPS, influences of X-ray intensity non-uniformity, tube voltage and aluminum purity were investigated. The effects of geometric magnifications on MTF accuracy were also examined using a tungsten edge plate at distances of 50, 100 and 150 mm from the detector surface at a source-image receptor distance of 2000 mm. The photon numbers in IEC 62220-1 coincided with our estimates of values, with error rates below 2.5%. Tube voltage errors of approximately ±5 kV caused NNPS errors of within 1.0%. The X-ray intensity non-uniformity caused NNPS errors of up to 2.0% at the anode side. Aluminum purity did not affect the measurement accuracy. The maximum MTF reductions caused by geometric magnifications were 3.67% for 1.0-mm X-ray focus and 1.83% for 0.6-mm X-ray focus.
著者
藤川 光利 吉野 博 高木 理恵 奥山 博康 林 基哉 菅原 正則
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.652, pp.499-508, 2010-06-30 (Released:2010-08-26)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

The aim of this study is to develop the measurement method of multi-zonal airflow rates via human expiration (CO2). The adopted method measures multi-zonal airflow rates based on system identification theory. Also, it is a simple and cost effective method that is suitable to apply in domestic places. In addition, the method will only have minimal interference in the daily life of the residents concerned. As a step toward the practical use of this measurement method, several experimental studies were carried out in a full-scale test house and an existing house in order to investigate the accuracy.
著者
小林 元気
出版者
留学生教育学会
雑誌
留学生教育 (ISSN:13452398)
巻号頁・発行日
no.23, pp.33-41, 2018-12

本稿の目的は,日本人大学生の短期留学志向の形成要因を明らかにすることである。個人の留学志向の社会的選抜性に関しては,海外事例を中心に一定の先行研究の蓄積があるが,日本人を対象とする研究では特定の大学にサンプルが限られており,「日本社会において誰が留学を志向しているのか」という全体的な問いはまだ十分に検討されていない。そこで本稿は国内の大学生が実践する短期留学に分析対象を定め,大規模な全国統計調査の個票データを用いて二次分析を行う。学生の出身家庭の社会経済的要因や所属大学の入試難易度の効果,就職達成に対する不安感の有無を考慮に入れて,留学志向を規定する要因を検討した。その結果,世帯年収の効果に加え,所属大学の入試難易度や就職不安のメンタリティーの効果が有意に存在し,それらが複合的に関連しながら短期留学の意欲や機会を形成していくメカニズムの存在が示唆された。The purpose of this paper is to reveal the factors that affect the motivations of Japanese university students to engage in short-term studies abroad. Although, there has been some prior research mainly on overseas cases that have examined the students' orientations for studying abroad related to social selectivity, the studies analyzing Japanese youth, were limited and collected at a specific university. Therefore, this study used a large-scale national statistical survey data on university student life to consider the factors that affect the orientations to studying abroad, such as the students' family background, the university's academic ranking, and employment anxiety. Results showed that factors of students' family income and universities' ranking also affected students' expectations for short-term studies abroad. Moreover, the students' level of employment anxiety also had effects. These analyses confirmed that the opportunity and incentive for short-term studies abroad are formed in a complex manner based upon these factors.
著者
林 秀紀 櫛 勝彦 志水 瞭斗
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1_64-1_69, 2020

木の玩具には様々な教育的な効果があると言われている。幼児の保護者や保育士への調査では、木には、「やさしさ」「温かみ」「心地よさ」があると言うような意見が多く寄せられ、情操教育としての効果が示唆されている。筆者らのこれまでの研究成果においても、木の玩具は子どもの身体能力や知的能力の成長を促す教育効果が実証された。しかし、発達段階において獲得する能力と玩具との関係性についてさらに明らかにする必要があった。そこで、(有)レインディアのおもちゃファイルを調査分析し、「子どもの成長に効果的な遊びと木育玩具の年齢別対応表」を作成した。これをデザインガイドとして木育玩具をプロトタイピングした結果、対象のユーザ像が明確になり、要件定義やデザイン評価が容易になった。この他、初めて木の玩具をデザインする学生らにも、子どもの教育効果を考えたデザイン提案がし易くなるという効果が見られた(図1)。