著者
菊池 信彦 内田 慶市 岡田 忠克 林 武文 藤田 高夫 二ノ宮 聡 宮川 創
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s17-s20, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
9

関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)は、2020年4月に、「コロナアーカイブ@関西大学」の運用を開始した。コロナアーカイブ@関西大学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下における関西大学関係者の日常の記録や記憶を、ユーザからの投稿によって収集するコミュニティアーカイブプロジェクトである。KU-ORCASでは、コロナアーカイブ@関西大学を、昨今の歴史学の一つの潮流ともなっているパブリックヒストリーの実践として位置づけることで、収集の結果として蓄積されるアーカイブ資料だけでなく、アーカイブするという行為そのものも重視している。本報告では、コロナアーカイブ@関西大学のデジタルアーカイブシステムの構築とともに、資料収集の現状、そしてデジタルパブリックヒストリーとしての実践について、今後の展望を交えて報告する。
著者
河上 邦彦 泉 武 宮原 晋一 卜部 行弘 岡林 孝作 名倉 聡
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, pp.95-104, 1999

黒塚古墳は奈良盆地の東南部,奈良県天理市柳本町に所在する全長約130mの前方部を西に向けた前方後円墳である。周辺一帯には多数の前期古墳が集中して分布し,大和古墳群と呼ばれる。1997年8月~1998年5月,1998年7月~1999年2月にかけて,奈良県立橿原考古学研究所・天理市教育委員会を主体とする大和古墳群調査委員会によって学術発掘調査が実施された。埋葬施設は後円部中央に南北に設けられた内法長約8.3mにおよぶ大規模な竪穴式石室である。石室石材は川原石と大阪府柏原市に産出する芝山玄武岩・春日山安山岩板石を使用する。石組の排水溝を備えているほか,石室の構築にあたっては前方部に向かってのびる切り通し状の作業道(墓道)を設けていたことが判明した。石室内におさめられていた木棺は,クワ属の巨木を使用した長さ6.2m,最大直径1mを超える割竹形木棺である。中世に大規模な盗掘を受けているが,それ以前に石室が大きく崩壊していたことが幸いし,盗掘は基本的に石室床面付近にはおよんでいない。結果として,副葬品の大半は後世の撹乱を免れ,奇跡的に埋葬当時の状況をとどめていた。副葬品は三角縁神獣鏡33面,画文帯神獣鏡1面のほか,大量の鉄製武器・武具・農工具類など豊富である。三角縁神獣鏡33面はすべて舶載鏡で,鏡式の上では三神三獣鏡を含まず,現在までに知られる最古の組み合わせである。7種15面の同笵鏡を含み,京都府山城町椿井大塚山古墳出土鏡との間に10種の同笵鏡を分有する。棺内副葬品は画文帯神獣鏡1面と若干の刀剣類のみで,それら以外はすべて木棺と石室壁体との隙間に置かれていた。また,三角縁神獣鏡はいずれも木棺側に鏡面を向け,西棺側に17面,東棺側に15面,棺北小口に1面を,棺の北半部をコの字形に取り囲むように配列していた。前期古墳の豊富な副葬品の内容と,副葬時の配列方法が具体的に判明する貴重な資料である。同時に,作業道(墓道)・排水溝の存在や石室壁体の構築状況,副葬品の配列状況などから,古墳祭祀の具体的復元に向けての良好な資料が得られた。築造時期は古墳時代前期前半と考えられる。
著者
宗林,正人
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, 1962-11-30

本種の生活環には完全生活環と不完全生活環の2型があり, 完全生活環ではウシコロシに産みつけられた卵は冬を越し, 3月下旬ふ化し, 4月中旬幹母の成虫が現われる.第2代はすべてはねを有し, タケ, ネザサなどの中間寄主に移住する.夏季高温時にも中間寄主上によく繁殖し, 多数のはねの無い胎生雌虫の世代をくり返し, 10月下旬にはねの有る産雌虫が現われてウシコロシに帰り両性雌を産下する.11月になれば雄虫が現われてウシコロシに帰り両性雌と交尾する.両性雌は11月中旬から産卵をはじめる.不完全生活環においては10月下旬から11月上旬中間寄主上に現われるはねの有る胎生雌虫は中間寄主の他の株に移り, はねの無い胎生雌虫を産下する.このはねの無い胎生雌虫は冬季低温時にも産子をつづけて冬を越す.ネザサに寄生した本種は常に葉の気孔からのみ口針をそう入し, ほとんど細胞内を貫通して進入し, その先端は細脈のし部のみにそう入されて平行脈にはそう入されない.このような事実はネザサの葉の構造, 特に気孔の分布, 表皮の角皮化, 平行脈および細脈の組織的差異と口針の長さなどに基因するものと思われる.
著者
吉行 瑞子 林 良恭 水澤 孝
出版者
農大動物研究会
雑誌
Animate (ISSN:13451987)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-10,図巻頭2p,中付1枚, 2010-03
著者
下出 眞知子 吉永 充代 林 縝治 鈴木 はる江 雑賀 保至
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.101-107, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1

維持透析患者のたんぱく摂取基準量は1.0~1.2g/kg/日 (2007年度基準) であるが, たんぱく摂取量が増えると血清リンが上昇する問題が生じる. 本研究は外来通院透析患者77例の標準化蛋白異化率nPCRの1年間平均をたんぱく摂取量とし, 0.6~0.8未満 (L群), 0.8~1.0未満 (M群), 1.0以上 (H群) の3群で血液データ, 栄養状態, 精神的負担度を比較し, 透析患者のたんぱく摂取量を心身健康科学の視点から検討した. 結果, 血清アルブミン, BMI, エネルギー摂取量および精神的負担度の不安尺度と健康生成志向尺度は3群間に差はなかった. 血清リン, カリウム, 尿素窒素はnPCRの低い群ほど有意に低く, KDQOL-SFでは社会生活機能, 心の健康, 腎疾患の日常生活への影響, 腎疾患による負担においてL群で有意に良好であった. nPCR 1.0未満は, 栄養状態を損なわず, かつ精神的負担が少なく, 血清リンを抑えられるたんぱく摂取量と考えられた.
著者
櫻井 秀彦 丹野 忠晋 増原 宏明 林 行成 山田 玲良
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-18, 2019 (Released:2019-10-29)
参考文献数
25

本稿では医薬品卸と薬局間の医療用医薬品の納入価格の影響要因について実証研究を行った。降圧薬の薬価とその卸価格の差の薬価に対する割引率を分析対象とした。薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていた。強い系列卸をメイン卸とする薬局は,そのメーカーの医薬品を割引されない一方で,弱い系列や非系列の卸をメインとする薬局は大きな割引を得ていた。また,特許で保護されている薬剤には数量割引が確認された。更に,複数の薬剤を一括して取引して価格を決める総価取引は,割引率に大きな影響を与えないことが示された。
著者
高原 幹 板東 伸幸 今田 正信 林 達哉 野中 聡 原渕 保明
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.11, pp.1065-1070, 2001-11-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
12
被引用文献数
9 7

尋常性乾癬7例に対する扁摘の効果とその病理学的特徴について検討した. 7例の内訳は男性3例, 女性4例であり, 年齢は9歳から46歳であった. 扁摘による効果は3例が消失, 2例が著効であり, 治療効果は約70%に認められた. 病理学的な検討として, CD20抗体と抗ssDNA抗体による扁桃組織の免疫染色を行い, B細胞, T細胞, BT混合領域の面積とB細胞領域のアポトーシス細胞数を測定した. その測定値を習慣性扁桃炎, IgA腎症, 掌蹠膿疱症と比較した. 結果は, 乾癬と掌蹠膿疱症において有意なT領域の拡大, Bリンパ濾胞の縮小, リンパ濾胞内でのアポトーシス細胞の増加が認められた. このような結果から, 乾癬の中には, 臨床的のみならず組織学的にも掌蹠膿疱症と同様に扁桃病巣感染症の特徴を持つ症例が存在することが示唆された. また, 掌蹠膿疱症, IgA腎症, 乾癬症例における消失群と著効・改善群を比較すると, 消失群では有意にT領域の拡大を認めた. このような結果から, T領域の測定は術後の扁摘効果を反映する組織学的検査に成り得る可能性が期待された. 今後症例数を増やし更なる検討を加える予定である.
著者
小林 豊 喜多 敏明 柴原 直利 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.73-78, 1999-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

再発性口内炎に清熱補血湯が奏効した四症例を報告した。清熱補血湯の使用目標は「血虚と血中燥熱があり, そのために口舌に瘡を生じ, びらんし, 痛み甚だしく, 長く癒えないもの」といわれている。症例は全てが女性であったが, 妊娠や分娩を契機に, あるいは月経のたびに再発性口内炎が増悪する傾向がみられた。また, 一例はベーチェット病の急性増悪による発熱や炎症など全身症状が治まった後に発症した再発性口内炎症例であった。これら血虚が悪化しやすい状態に伴った再発性口内炎に清熱補血湯が有用である可能性が示唆された。
著者
小林 由利子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-11, 2005-03-15
被引用文献数
1

This paper analyzes the MA in Drama and Theatre Education at University of Warwick in England. The objective of this paper is to clarify the characteristics of Neelands' drama sessions. He is the director of this program and a leader in Drama Education in the UK and the world. This study found: (1) Neelands uses the drama technique of "Teacher in Role" to create dramatic situation effectively. (2) He structures the drama session to invite participants to go into the dramatic scene without their noticing it. (3) He brings out their insight.