著者
亀谷 富夫 森田 達志 田中 功 越田 英夫 五十嵐 豊 堀上 健幸 永井 忠之 加藤 正義
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.41-44, 1994

症例は56歳の男性。1975年頃よりアルコール依存症 (酒1升/日) 有り。1978年より糖尿病を指摘され, 1985年よりインスリン治療を受けたがHbA<SUB>1c</SUB>は9.2~12.8%とコントロール不良であった。1990年11月までに6回の低血糖昏睡をおこした。内因性インスリン分泌は著明に低下し, 糖尿病3徴を認めた。はっきりとした歩行障害, 痴呆, 尿失禁は認めなかったが, 頭部CTスキャンとMRIでは脳萎縮を伴わない著明な脳室拡大を認めた。しかし脳脊髄圧は正常であった。RI cisternographyにて48時間後にも脳室内停留を認めたことより, 特発性正常圧水頭症と診断された。本邦での報告例はなく, 低血糖と正常圧水頭症との関連性を示唆する興味深い症例と思われた。
著者
森田 裕子 水村 亮介 橘 義貴 金澤 秀子
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.541-545, 2013-06-05
参考文献数
14
被引用文献数
2

Cation exchange resins (calcium polystyrene sulfonate, Ca-resin and sodium polystyrene sulfonate, Na-resin) have been used as agents to improve hyperkerlemia. For removing <sup>137</sup>Cs from the human body, the adsorption ability of the resin for <sup>137</sup>Cs was examined and evaluated. Resin (0.03 g) and <sup>137</sup>Cs (ca.1 kBq) were introduced into 3 mL of water, the Japanese Pharmacopoeia 1st fluid for a dissolution test (pH 1.2) and 2nd fluid (pH 6.8), respectively, and shaken. After 1-3 hours, the <sup>137</sup>Cs adsorption (%) of Na-resin was 99% in water, 60% in a pH 1.2 fluid and, 66% in a pH 6.8 fluid. By adding potassium, the <sup>137</sup>Cs adsorption (%) of Ca-resin was reduced. However, the <sup>137</sup>Cs adsorption (%) of Na-resin was almost unchanged. These results show that both resins have adsorption ability for <sup>137</sup>Cs in the stomach and the intestines. Therefore, the proposed method will be an effective means in the case of a radiological emergency due to <sup>137</sup>Cs.
著者
神田 藍 川崎 淳史 森田 理恵子 武者 愛美 櫻田 大也 小林 江梨子 佐藤 信範
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.313-318, 2013-07-31 (Released:2013-08-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

As the number of chronic kidney disease patients increases every year, a concomitant increase in drug use among patients with renal impairment is anticipated in daily clinical practice. For patient safety, drug information should be useful and meet the needs of medical workers. The aim of this study was to investigate the problem of the descriptions in package inserts of prescription drugs regarding: 1) drug administration to patients with renal impairment, and 2) effects of the drug on the kidney (hereinafter “information on renal function” ). Also, we evaluated the usefulness of the renal function information for medical workers. For this survey, 337 prescription drugs that require careful attention for use in patients with renal impairment were selected. We extracted “the information on renal function” described in the package inserts of these 337 prescription drugs from the website of Pharmaceuticals and Medical Devices Agency. We compared the contents of the information regarding the pharmacokinetics of patients with renal impairment described in the package insert with those described in the corresponding interview form. In 44.8% of the 337 package inserts, information on pharmacokinetics in patients with renal impairment was not included. Only 21.2% of the inserts contained useful information on drug administration to such patients, such as clear dose adjustment. Therefore, our survey suggests that the package inserts do not provide sufficient information on “renal function” for medical workers. In conclusion, improvement of the information regarding “renal function” in the prescription drug package inserts is necessary in order to meet the needs of medical workers. (Jpn J Clin Pharmacol Ther 2013; 44(4): 313-318)
著者
北本 友佳 森田 聖 山藤 知宏 鯉江 基哉 石田 雄大 福島 光夫 安田 浩一朗
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.317-322, 2015-05-30 (Released:2015-06-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

SGLT2阻害薬による薬疹が臨床経過より疑われた2型糖尿病の1例について報告する.症例は63歳女性.食物アレルギーあり.シタグリプチン50 mg/日及びグリメピリド0.5 mg/日にてHbA1c 8 %台と血糖コントロール不良でありルセオグリフロジン2.5 mg/日追加.内服8日目,頚部に紅斑が出現し,四肢・体幹に拡大.ルセオグリフロジンの内服を中止するも改善せず.近医受診しステロイド内服するも改善せず,当院受診し入院.皮膚科診察にてルセオグリフロジンによる薬疹疑いと診断.プレドニゾロン40 mg/日点滴にて,皮疹改善.ステロイドを漸減し,プレドニゾロン10 mg/日内服にて退院.臨床経過及び生検結果より,ルセオグリフロジンが原因の薬疹が疑われた.SGLT2阻害薬内服後に皮疹を認めた場合,速やかに皮膚科を受診するよう患者への説明が重要と思われる.
著者
森田 伸子
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
no.10, pp.59-77, 2001-09-14

長い間オーラルの世界に生きていた圧倒的多数の民衆を、文学の世界に導きいれ、その正当な市民として位置付けること。これが近代教育が自らに課してきた課題であり、少なくとも先進諸国においては、この課題は19世紀末から20世紀初めの国民国家の体勢が整うと歩を同じくしてほぼ達成されたとされる。そのとき文字とは何を意味したのか、文字を読むこと,あるいは文字を書くことに何が求められたのか。さらに、こうしたことと、近代教育思想に通低する書物への断罪はどうかかわるのか。ヨーロッパの教育思想における文字の審級を、19世紀末のフランス公教育における作文教育をめぐる議論をとおして考察する。

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著者
天野 恵美子 アマノ ミエコ 名武 なつ紀 ナタケ ナツキ 小山 信弥 大豆生田 啓友 オオマメウダ ヒロトモ 城倉 登代子 ジョウクラ トヨコ 辻 伸枝 森田 智子 西村 醇子 井田 瑞江 田口 幹比古 タグチ ミキヒコ 相澤 志保 天田 ユカリ アマタ ユカリ
出版者
関東学院大学図書館
雑誌
Library talk : 関東学院大学図書館報
巻号頁・発行日
vol.34, pp.4-6, 2010-11

The Missing Piece Meets the Big O (天野恵美子),ピーターラビットのおはなし(名武なつ紀),ゴムあたまポンたろう(小山信弥),トーマスのもくば(大豆生田啓友),さっちゃんのまほうのて(城倉登代子),くまのコールテンくん(辻伸枝),私の船長さん(森田智子),ワニくんのむかしばなし(西村醇子),すてきな三にんぐみ(井田瑞江),ちりめん本(田口幹比古),パパのカノジョは(相澤志保),いろいろへんないろのはじまり(天田ユカリ)
著者
宮崎 慎一 野田 裕之 森田 照美 甲斐 弦 大廻 あゆみ 小林 富成 長嶋 茂雄 高橋 雅春 水尾 仁志 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.606-613, 2016-11-20 (Released:2016-11-29)
参考文献数
26
被引用文献数
3

鳥取県の山間部に居住する92歳の一人暮らしの男性が急性E型肝炎を発症した.患者には海外渡航歴や輸血歴はなく,発症前3カ月以内の豚レバーやホルモン,猪や鹿などの動物の肉や内臓の喫食歴,魚介類の生食の既往も無かった.しかし,7~8年前から猪胆(乾燥した猪の胆囊)を猟師より入手し,胆囊粉末を冷水に溶き,その胆汁液を生薬として飲用していたことが判明した.飲み残しの胆汁液はなかったが,保管されていた猪胆18個中7個からHEV RNAが検出され,患者から分離された3a型HEVと塩基配列が99.8%一致するHEVが同定された.加えて,リン酸緩衝液で溶出した10%胆汁液のHEV RNAタイターが4.6×105 copies/mlに達するものもあり,猪胆からの感染が強く疑われた.猪の肉やレバーの喫食後のE型肝炎症例はこれまでに多く報告されているが,猪胆が感染源と考えられる症例の報告は今回が初めてである.
著者
山本 研一 森田 義郎 川上 良策 小沢 透
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.1372-1376, 1960

著者らは低級炭化水素から重油までの原料油を用いて, これらと水蒸気との高温における反応の研究を行なっているが,その一部として従来ほとんど研究の行なわれていない多成分系触媒による灯油と水蒸気の反応の研究を行なった。この反応は800℃ 以上の高温で水蒸気の共存の下に強い還元気流と酸化気流にさらされるので,使用できる触媒は著しく制限される。そこで適当と考えられる幾つかの触媒を取り出して比較したところ,ニッケル・バナジウム系触媒が最もよい結果を示した。また優秀な触媒幾種類かについて接触条件を定め,理論的に推定される極限値との比較も試みたが,その結果はかなり優秀なものであった。触媒のニッケル含量は5wt%で一応活性の大きなものが得られたが,それ以上にニッケル含量を増加しても,ほとんど効果がないことがわかった。次に反応前後における触媒層内の温度分布について調べたが,触媒層に達する前に灯油の分解がおこり,そのフラグメンツ(切片)が触媒層において水蒸気と反応するものであることが推定された。
著者
高倉 裕 河辺 達也 森田 日出男
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.37-43, 2000-02-20
被引用文献数
4

水,本みりん,煮切りみりんおよびエタノール溶液に豚肉(ヘレ部)を浸漬した時の浸漬液の成分分析を行い,可溶性成分の溶出抑制効果の解明を行った。さらに,加熱処理後の豚肉切断図を電子顕微鏡で観察し,豚肉の筋線維崩壊抑制効果について解明を行った。(1) 豚肉に含まれる可溶性成分の溶出を抑制する調理効果に寄与する浸漬液中の成分は,エタノール及び糖であるが,エタノールまたは糖単独では可溶性成分溶出抑制効果は低く,本みりんのように両成分を含有する調味料がもっとも豚肉の可溶性成分溶出抑制効果が高かった。(2) 豚肉を加熱する前にあらかじめ浸漬調理を行なうと,浸漬液の成分によっては加熱処理した豚肉の筋線維が崩壊するのを抑制する効果があることが明らかとなった。筋線維崩壊抑制効果は豚肉内部で発現しており,エタノール成分が重要な役割を果たしているものと考えられる。(3) 豚肉の筋線維崩壊抑制に寄与する成分は,エタノール及び糖であるが,エタノールまたは糖単独では筋繊維崩壊抑制効果は低く,本みりんのように両成分を含有する調味料が最も筋繊維崩壊抑制効果が高かった。
著者
長岡 朋人 安部 みき子 蔦谷 匠 川久保 善智 坂上 和弘 森田 航 米田 穣 宅間 仁美 八尋 亮介 平田 和明 稲原 昭嘉
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.31-48, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
57
被引用文献数
3 4

本研究では,兵庫県明石市雲晴寺墓地から出土した明石藩家老親族の人骨1体(ST61)について,形態学,古病理学,同位体食性分析の視点から研究を行った。板碑から人骨は明石藩の家老親族であり,1732年に77歳で亡くなった女性である。本研究の結果,(1)骨から推定された性別は女性で,死亡年齢は50歳以上で,墓誌の記録を裏付けるものであった。(2)頭蓋形態を調べたところ,脳頭蓋最大長が大きく,バジオン・ブレグマ高が小さく,頭蓋長幅示数は75.3で長頭に近い中頭,また上顔部が細長いものの顔面全体が大きく,いずれの特徴も徳川将軍親族,江戸庶民,近代人とは異なっていた。(3)炭素・窒素安定同位体分析の結果,ST61の主要なタンパク質摂取源は,淡水魚,または,陸上食物と海産物の組み合わせと推定された。当時の上流階級の人骨のデータの積み重ねは今後の江戸時代人骨の研究に不可欠であるため,今回一例ではあるが基礎データの報告を行った。
著者
森田 茂介
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.65, no.765, pp.22-27, 1950-08-20
著者
森田 均 藤田 米春
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.327-334, 2001-12-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

Digital technologies have revolutionized textual practices. How does language on computer screen work differently from language on the page? We analyze the potential of new forms of text, new forms of rhetoric, and new approaches to literary theory.
著者
白木 啓三 今田 育秀 佐川 寿栄子 緒方 甫 浅山 〓 森田 秀明
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.279-288, 1982-09-01

ヒトの上肢あるいは下肢が切断された時には, 体温調節の重要な役割を演じている体表の面積がかなり減少することになる. 体の一部分を喪失した患者の体温調節機序に特異性があるとすれば, リハビリテーション医学においても重要な関心事となる. 両股離断者(BHD)では夏期に著しい多汗を示すことが観察されていたが, 実証的に裏付けがなされていなかった. 2名のBHD(体表面積の40%喪失)を26℃, 30℃および33℃の人工気候室にて安静にせしめ各々の分割体熱測定を行った. 中性温域ではBHDの呼気からの水分喪失量は正常対照者より増加したが, 皮膚からのそれは低下した. 熱負荷(33℃)によりBHDの中心部体温および皮膚温は対照者よりも上昇し, このことが汗量の増加に関係することが実証された. BHDの体温調節は中性温域ではよく保持されるが, 温熱負荷により影響を受け易いことが判った. 更にBHDでは体表面積当りでは正常者より高い産熱があること, 体中心部から被殼部への熱伝達性が高いことおよび体熱放散が様式変化することが判明した.
著者
赤澤 真理 伊永 陽子 田村 隆 森田 直美
出版者
京都
雑誌
総合文化研究所紀要 (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.240-217, 2016

前号に引き続き、江戸後期の有職故実家である松岡行義の著作、『源氏類聚抄』(宮内庁書陵部蔵本(函号))の翻刻を呈する。本書は、『源氏物語』に示された建築・調度・装束等に関する有職故実書である。松岡行義(一七九四―一八四八)による有職故実書は、平安期文献を重視する原点回帰の姿勢、絵画や図面等により対象を視覚化することに特徴がある。本書は、管見の限り、松岡行義による『源氏物語』の有職故実書のなかで、最も大部である。本書は、『源氏物語』の読解のみならず、平安期における生活文化への探求、一九世紀における有職故実学の諸相を知る上でも重要となろう。研究ノート