著者
金出 武雄 コンラッド ポールマン 森田 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1497-1505, 1993-08-25
被引用文献数
83 11

時系列画像からの特徴点追跡結果を用いて,3次元的なカメラの相対運動と対象物の形状を求める因子分解法は,線型な定式化を行い,数値計算的に安定な行列の特異値分解を用いたため,安定に運動と形状を復元することができる.本論文では,Tomasiと金出による正射影モデルにおける因子分解法の考え方を発展させ,より中心射影に近いscaled orthographic projectionとparaperspective Projectionへの拡張を行うと共に,特徴点追跡の不確かさを考慮に入れて復元の精度を高める重み付け因子分解法を示す.
著者
椋木 雅之 森田 裕士 馬場 雅志 浅田 尚紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.234, pp.43-48, 2006-09-05
参考文献数
13
被引用文献数
3

本研究では,シーン構成グラフを用いてドラマ映像の構造を表現する手法を提案する.シーン構成グラフでは,ショット,シーン,シークエンス,シチュエーションという概念を用いる.連続した映像区間をショット,意味的に一致するショットの集合をシーンと呼ぶ.同一シーン内におけるショットは同じ状況下で同じ対象群を撮影しており,この状況をシチュエーションと呼ぶ.さらに,ストーリー的に一致するシーンの集合をシークエンスと呼ぶ.このドラマ映像の構成を利用することで,映像を構造化することが可能と考え,これらの概念に基づく階層を画像特徴,音声特徴を利用することで抽出し,シーン構成グラフを作成することで,映像の構造を表現する.本稿では,シーン構成グラフを半自動生成する手法について述べるとともに,生成されたシーン構成グラフについて検討する.
著者
森田 明雄 一家 崇志 國弘 彩 鈴木 利和 大石 哲也 小林 栄人 中村 順行
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.111, pp.63-72, 2011-06

日本で栽培されている4つの白葉茶('星野緑,きら香'の2品種と'諸子沢,やまぶき'の2系統)の一番茶新芽の葉色値,遊離アミノ酸,カテキン類,カフェイン,有機酸および無機元素含量を,緑葉品種である'やぶきた'と比較した。その結果,葉色値は'やぶきた.の32.7に対して,白葉茶が0.6~8.1と非常に低い値を示した。遊離アミノ酸含量は,4つの白葉茶とも'やぶきた'に比べ1.8倍以上と高い値を示した。カテキン類含量は,'諸子沢,星野緑,きら香'が'やぶきた'の約3/4と低かったが,'やまぶき'はほぼ同程度であった。その他の成分では,シュウ酸とクエン酸,硝酸イオン,アルミニウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム並びにマンガンの含量がいずれの白葉茶においても'やぶきた'より高い値を示した。これらのことから,供試した4つの白葉茶品種・系統は'やぶきた' と比べて,非常に高い遊離アミノ酸含量を有する特性を持つことが明らかとなった。また,いくつかの有機酸,無機元素含量が高いなど特異な化学成分組成を有している可能性が示唆された。
著者
影山 芳之 町田 洋子 森田 敦
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.47-51, 2005-03-31
被引用文献数
1

要介護度1以上の高齢者が入所する特別養護老人ホームでは, 看護師やヘルパーが24時間体制で介護を行っているが, 夜間は監視体制が不十分になるために, 時として徘徊等から転倒事故が発生しているのが現状である. 夜間の転倒事故を防止するためには, 人感センサ等を部屋に設置し, 行動を監視することが考えられる. そこで本研究では, 簡単な構造の人体検出装置を介護施設に設置し転倒事故を防止するとともに, その有用性について検討した. 特別養護老人ホームにて夜間転倒事故を起こす入所者の部屋に人体検出装置を設置し, 観察を行った. 軽度の痴呆症状を呈する入所者の部屋に, 赤外線センサによる人体検出装置を設置し, 夜間に人体を感知すると既存のナースコールを鳴らすようにした. 人体検出装置設置後は, 介護者により入所者を観察, 記録した. 記録には, ナースコールの時刻とその時の入所者の状況, 排尿の有無, 睡眠時間や日常生活動作の変化などを記入した. また, 夜間巡回時に特に変化がある場合は, その状況も記録した. 結果, 月平均2件の転倒事故が, 取り付け後0件に減少した. また排尿が集中している時間帯が明らかになり, 検出装置取り付け以前の排尿誘導時間に1〜3時間のずれが生じていることも判明した. 検出装置取り付け後は, (1) 安心して睡眠が取れるようになった, (2) 昼夜逆転していた生活リズムが正常に戻った, (3) 表情が明るくなり活動的になった, などの変化が入所者に見られた. 今回使用した赤外線センサを利用した人体検出装置は, 簡単な構造で設置も誰にでもでき, しかも安価で維持費も安いという特徴を持っている. したがって今後, 特別養護老人ホームや医療施設などでは非常に有用であると思われる. しかも高齢者の行動を把握するだけでなく, 介護者の負担の軽減とそれに伴う安心感, 介護方法の改善などに大いに役立つと考えられる.
著者
布目光生 黒田由加 水岡良彰 森田眞弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.1-6, 2013-12-12

弱視者や識字障碍者でも読みやすいとされる DAISY コンテンツは,電子書籍端末や音声合成技術の普及により教科書などのコンテンツで徐々に広がることが期待されている.しかし,そのコンテンツ作成作業は,ボランティアベースで多くの時間がかかっていたため,エンドユーザが必要とする図書を,簡単に手早く作成することが困難だった.本報告では,こうした課題に対応するための音訳支援システムを提案する.音声合成技術の活用と,テキスト解析誤りに依存する読みやアクセント誤りの修正手段を Web アプリとして提供することで,視覚・識字障碍者のための朗読コンテンツを,音訳ボランティアや保護者・教職員などの作業者が簡単に作成できる環境の提供を目指す.また,従来の作業手順と比較し,本提案システムを活用した場合の作業期間に関する予備評価の結果についても述べる.DAISY content is expected to gradually gain popularity among the visually impaired according to the prevalence of e-book reading devices and the development of text-to-speech technology. However, the development of DAISY-formatted e-books, which is undertaken by volunteers, is a time-consuming process, making it difficult to meet the needs of end users. In this report, we propose a content transliteration system that can convert plain text to DAISY content including formatted HTML and audio data via automatic text-to-speech technology. Furthermore, using the GUI of the proposed system, users can correct text and accent information by inputting "ruby-type" data. Through this functionality, we aim to target support from transliterate workers such as volunteers, teachers, and parents to make and edit contents easily and quickly for the people with visually impaired. Finally, we present the results of a preliminary evaluation using the proposed method in order to compare it with the conventional method.
著者
森田茂彦 松崎公紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-5, 2014-03-10

チェスや将棋などにおいて,プレイヤの強さを数値として表すレーティングシステムが広く用いられている.レーティングアルゴリズムとして良く知られるイロレーティングでは,プレイヤ間のレート差と勝敗によってレートの増減が計算される.特に,弱いプレイヤが強いプレイヤに勝つと,レートの増分が大きくなる.本研究では,大貧民を対象としたレーティングアルゴリズムを提案する.大貧民では,プレイヤの強さに加えて,初期手札の良さが勝敗に大きく影響する.そのため,初期手札の良し悪しに差がある場合,従来のレーティングアルゴリズムを用いるとレートの増減が過剰であったり不足することが起こりうる.この問題を解決するため,初期手札の不均等性を考慮に入れたレーティングアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムについて評価を行う.
著者
藤田 米春 徃住彰文 小方 孝 太田究三郎 赤星 哲也 森田 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.5, pp.45-52, 1999-01-22

本報告では、日本認知科学会の中に設立した研究分科会「文学と認知・コンピュータ」の設立趣旨、研究分野、研究手法、設立までの経緯・活動等について述べ、今後の展望と「人文科学とコンピュータ」研究会の新しい展開への期待を述べる。In this report, we describe prospect, research areas, research methods and activity of the special interest group "Literature in Cognition and Computer" and mention an expectation of new development of the SIG:Computer and Humanity.
著者
山口 喜雄 天形 健 福本 謹一 新関 伸也 奥村 高明 結城 孝雄 中島 望 佐藤 昌彦 安東 恭一郎 村上 尚徳 渡邊 弘 本田 悟郎 株田 昌彦 森田 香緒里 田和 真紀子 石野 健二 茅野 理子 渡辺 浩行 山田 有希子 村松 和彦
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

(1)『芸術教育文献解題ブックレット:英日対訳』2012・2013刊行 (2)雑誌論文72、国内外での学会発表55、図書5 (3)アジア・欧米・オセアニア・アフリカの13ヶ国・地域の学校・美術館等に国際調査と研究成果の還元 (4)宇都宮大学で映画会・シンポジウム等を5回実施 (5)『美術教育の世界ドキュメント2015+日本美術科教科書研究2015+芸術教育文献解題ブックレット2014・2015』刊行 (6)英日対訳Webサイト「アーカイビング研究会」http://www.ae-archiving.jp/art-e/で情報発信
著者
大光 正男 曲渕 直喜 下瀬 和俊 森田 桂子
出版者
第一薬科大学
雑誌
第一薬科大学研究年報 = Annual report of Daiichi University of Pharmacy (ISSN:02868016)
巻号頁・発行日
no.28, pp.17-35, 2012-03-31

One of the basic viewpoints of the six-year Pharmacy Educational System is to improve and enhance the current system to a level where we are able to participate more productively in the international arena. It is realized that a practical command of English is required by an academic in order to participate on an international scale or to be able to even play a part in the global exchange of data/information and dialog (journals, magazines, newspapers or direct contact), hence a fundamental knowledge of English is required as stated in the Advanced Educational Guidelines of the six-year Pharmacy Educational System Model Core Curriculum. These basic skills are required as it will be the pharmacists' and drug design specialists' responsibility to respond/participate in the international flow of dialog in the field in the future. The need for a global perspective and attitude from an educational stand point is reflected in the current Model Core Curriculum of the six-year Pharmacy Educational System. In order to respond to the need for Internationalization of Medical Pharmacy which is fast evolving, we are looking at the training of the medical professional who will play an active role globally, and are trying to tackle the subject of International Scientific Exchange in a positive light. In one instance, an Overseas Pharmacy Training Course was offered to first- through fourth-year students in Northern Europe. This was conducted by The Daiichi University of Pharmacy Supporter's Association. A student questionnaire and SGD (Small Group Discussion) were given after the termination of the training. From the results of the questionnaire given to the students who participated: Q7: Did you feel that this overseas training course directly affected your motivation and learning attitude toward the future? Q8: Did you realize the necessity of English as a tool for learning? Q9: Did you learn about the height of purpose of the foreign students? These questions were answered on a scale from 1-5 (1 being low and 5 being high) in terms of rate of satisfaction and comprehension by 100% of the participants. All answers were either a 4(agree) or 5(Strongly agree) reflecting the opinion that this exposure and exchange was well received. The results of the data collected from the students who participated in this Training program have become a key element with which to think about improvements to motivation and learning stimulus. It seemed that the students who participated in this study became a key with which to think about improvements in motivation which studies touch on and the future pharmacy to Northern European levels.
著者
井上 智 谷川 力 川口 潤二 飯田 孝 森田 千春
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.461-463, 1992-06-15
被引用文献数
3

関東地区6か所において家ネズミの捕獲を行ないリステリアの分離を行った. 捕獲ネズミ245匹のうち池袋の110匹と横浜の9匹がクマネズミ(Rattus rattus)であり, 他の126匹はドブネズミ(Rattus norvegicus)であった. リステリア属は鹿島と池袋の各捕獲総ネズミから77.8%と24.5%という高い値で分離されたが, 千葉, 船橋, 横浜, 沼津では0.0-7.3%という低い値であった. このうち, リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocutogenes)は, 池袋で1O.9%という高い値で分離されたが, その他の場所では殆ど分離されず, 鹿島と沼津でそれぞれ1匹のネズミから分離されたのみであった. 家ネズミからのリステリア分離は, 地区によって非常に異なる値を示し, 特に都心のビルに生息するネズミのみからL.monocytogenesが高い値で分離されたことは大変興味深い成績であった. 今後, この分離率の違いについて, ネズミの生息環境や捕獲ネズミの種差に関して検討が必要と考えられた.
著者
森田 真樹
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の最終年度である本年は、研究計画にしたがって、研究の総まとめとして、米国及びカナダの教科書や諸資料の補足的収集、資料の整理と分析を主に行った。本研究の遂行において、米国と比べ、カナダ関係の教科書や文献の収集が予想以上に難しく、カナダの歴史教育や教科書分析が予定よりも遅れてしまったが、昨年度末に実施した、トロント大学やブリティッシュ・コロンビア大学等での資料収集活動を中心としてカナダでの現地調査とその後の資料収集で、ある程度の資料を分析することができた。また、カナダは、州ごとに教育制度が異なっており、社会系教科のカリキュラム構成も多様であるため、州カリキュラムの収集・分析にも着手した。本年度は、主に後半で、米国とカナダの比較を行い、同様に多文化社会であり、多文化主義が浸透している両国において、類似する内容や構成の方法をとる部分もあるが、主流派の歴史に、補足的に少数派の歴史が加えられることが多い米国に対して、カナダの場合は、より積極的に多文化社会を作り上げていこうとする内容が組み込まれていることが分かった。加えて、本年度は、本研究の我が国への応用可能性について検討する過程で、アジアカップでの、いわゆる中国人サポーター問題が起こったこともあり、それらについても検討を進めた。我が国の研究の進展のためにも、カナダ社会科(とくに、歴史教育)の本格的な検討が重要となることも分かり、今度も継続して研究を進めていく必要があると考えている。なお、本年度は、予定していた資料の入手に時間がかかったことなど、諸般の事情により、予定していた学会報告などができなかったが、関連する論文が投稿中であるのに加え、三年間の研究の成果のまとめを、来年度の早い段階で学会報告及び論文投稿できるよう準備している。
著者
中野 茂樹 桑田 雅彦 長谷川 浩之 入村 兼司 丸伝 章 森田 健一
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-59, 1989-10-31
被引用文献数
3 5

ラットにP-4を2, 10, 50および150mg/kg/dayの投与量で13週間経口投与し, その亜急性毒性ならびに回復性を検討し, 以下の知見を得た. 1. 一般状態の観察では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群で投薬後一過性の流涎と主に雌で尿による下腹部の汚染が観察された. その他に重篤な中毒症状はみられず, P-4投与によると思われる死亡例もなかった. 2. 体重は, 雄の50mg/kg/day以上, 雌の150mg/kg/dayの群で増加抑制がみられたが, 摂餌量に著しい変動はなかった. 摂水量は雌雄とも50mg/kg/day以上群で, 投薬初期より明らかな増加を示した. 3. 尿検査では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群で尿量の増加, 浸透圧の低下, 蛋白およびウロビリノーゲンの陰性化, さらに電解質排泄量の軽度増加がみられた. 4. 血液学的検査では,150mg/kg/day群の雌雄に赤血球数の増加およびAPTTの短縮, さらに雄ではヘモグロビン量およびヘマトクリット値の増加, 白血球数の減少と雌ではフィブリノーゲン量の増加がいずれも軽度にみられた. 5. 血液生化学的検査では, 雄の50mg/kg/day以上および雌の150mg/kg/dayの群に中性脂肪の減少とγ-GTPおよびAlP活性, および尿素窒素の増加がみられた. さらに雄では総および遊離コレステロール, およびリン脂質が減少し, 雌では総コレステロールの増加およびコリンエステラーゼ活性の減少がみられた. 6. 病理学的検査では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群に胸腺および脾臓の肉眼的萎縮がみられたが, 病理組織学的異常は認められなかった. 雄の50mg/kg/day以上および雌の150mg/kg/day群では肝臓重量または重量比が増加し, 病理組織学的検査で肝細胞の肥大および脂肪変性が観察された. 電子顕微鏡検査では, 同群でさらに肝細胞に著明な滑面小胞体の増殖を認めた. 腎臓では, 雄の10mg/kg/day以上, 雌の50mg/kg/day以上の群の近位尿細管上皮細胞内に好酸性の核内封入物を認めたが, その細胞質に腎障害像は全くみられなかった. 7. 回復試験では, P-4投与によるいずれの変化も回復ないし回復傾向を示し, 可逆性の変化であることが示唆された. 8. 無影響量は雄で2mg/kg/day, 雌で10mg/kg/day, 確実中毒量は雄で50mg/kg/day, 雌で150mg/kg/dayと推察された.
著者
鈴木 由佳 金内 神谷 博子 金内 誠 石堂 智子 森田 明 坪田 康信
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.699-705, 2012-09-15
被引用文献数
1

本研究では,消費者の購買意欲と消費者の潜在的な嗜好を検討するため,官能評価およびグループインタビューを行った。(1)成分値的に標準的な市販清酒(大吟醸・吟醸酒,特別純米・純米酒,本醸造酒,生もと・山廃酒,低アルコール清酒)を用いて20~30代,22人による官能評価を行った。(2)「呈昧の嗜好/バランス」,「購買意欲」,「苦味」は,高い相関が見られ,消費者にとって苦味が購買意欲に関与する因子の一つであった。(3)清酒をよく喫飲するグループ(グループI)の「清酒のイメージ」は,「伝統」,「アルコール」,「年配」というイメージであった。あまり清酒を喫飲しないグループ(グループII)の「清酒のイメージ」は,グループIと同様「年配」,「アルコール」,「伝統」のほかに,「高級」であり,吟醸酒などの特定名称酒のイメージが強いことが推察された。(4)グループIの清酒の味のイメージは「甘味」と答える回答が多く,ついで,「アルコール」,「苦味」であった。グループIIの清酒の味のイメージは,「苦味」と答える回答が多く,ついで,「酸味」,「アルコール」で,グループ間に相違があった。また,両グループとも喫飲したくない清酒の味は「苦味」であった。(5)消費者の清酒の価値は,官能的にも,イメージ的にも苦味が関与していることが明らかとなった。つまり,苦味は「呈味の嗜好/バランス」を下げ,結果的に「購買意欲」を低下させる因子の一つであると推察された。
著者
森田 みすゑ
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.204-213, 1973-09-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
16

The dietary attitude which is so good as to maintain life and active energy at old age needs desirable management of nutrition as well as the proper management of life.The dietary habits of long existing from the past have close relations with man's span of life, and under the influence of both natural and social environments, they have deep relations with man's life and regional environments.The subjects of this survey were long lived persons, 52 men and women, over seventy years old of Oki island, Shimane profecture.The results of their nutrient intake are summarized as follows.The relations between dietary habits and longevity, and the background produced remarkable results were discussed.1) The caloric intake was considerably different among individuals. The protein intake of the men reached the target intake. The energy value of both sex and the protein intake of the women nearly reached the target intake.2) It was made clear that all subjects consumed animal protein by taking fresh-mild taste fishery products. Therefore, the tendency to ward the consumption of animal protein and fat can be said to be desirable.3) On the contrary, the intake of micronutrient elements was fairly low on the whole. A considerable intake is needed.4) There was a marked tendency to eat fish shellfish, seaweeds, vegetables, and pulses, together with a large quantity of rice.5) Consequently, it was revealed that longevity has close relations with both natural and social environments.