著者
平川 真 森永 康子
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-30, 2014-03

本研究の目的は、間接的要求を使用することによって、使用者の目標は達成できるのかどうかを検討することであった。検討対象となった使用目標は、平川・深田・塚脇・樋口(2012)が整理した、他者配慮、応諾獲得、明確拒否の回避、印象管理、申し訳なさ伝達、の5つである。大学生80名を対象に、直接的要求、丁寧な要求、そして間接的要求によって頼み事をされるシナリオを用いた実験を行った。それぞれの目標の達成と関連する、感情、認知、行動意思を測定し、間接的要求を基準条件、直接的要求と丁寧な要求を比較条件とした条件間比較を行った。その結果、直接的要求と比べた場合、間接的要求の使用は応諾獲得以外の目標を達成することが示された。しかしながら、その効果は丁寧に頼む場合よりもおおむね低く、他者配慮、応諾獲得、印象管理に関しては、間接的要求よりも丁寧な要求を使用した方が目標を達成できることが示された。したがって、平川他(2012)が整理した目標の達成という観点からすれば、間接的要求ではなく丁寧な要求を使用することのほうが望ましいといえる。
著者
松森 靖夫 上嶋 宏樹
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.99-106, 2009-03-13
被引用文献数
1

本研究の目的は,以下の2点である。(1)小学校教員志望学生の天文学的資質を高めるために,太陽から放射される可視光線を題材にした学習指導資料を作成する。(2)作成した学習指導資料の効果(太陽から放射される可視光線に対する小学校教員志望学生の認識状態が改善されるか否か)について検討を加える。その結果,以下のような知見を得たので報告する。(1)計7ステップからなる学習指導資料を作成できたこと(ステップ1:2種類の"モノの見え方",ステップ2:太陽はなぜ見える?,ステップ3:太陽の可視光線はどこから出てる?,等)。(2)作成した学習指導資料の効果が実証され,小学校教員志望学生の天文学的資質に改善が認められたこと(本学習指導資料が,太陽から放たれる可視光線に関する認識の向上に寄与できたこと)。
著者
長田 謙一 木村 理恵子 椎原 伸博 佐藤 道信 山本 和弘 楠見 清 山崎 明子 加藤 薫 木田 拓也 熊倉 純子 藤川 哲 鴻野 わか菜 後小路 雅弘 水越 伸 山口 祥平 毛利 嘉孝 森 司 暮沢 剛巳 神野 真吾 竹中 悠美
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、個別研究およびその総合を通して、以下の知見を獲得するに至った。近代社会において「自律性」を有する独自システムを形成したと理解されてきた芸術は、1980年代以降、アジア諸国、ロシア・旧東欧圏、そしてアフリカまでをも包含して成立する「グローバル・アートワールド」を成立させ、それは非西洋圏に進む「ビエンナーレ現象」に象徴される。今や芸術は、グローバル経済進捗に導かれグローバル/ローカルな政治に支えられて、経済・政治との相互分立的境界を溶解させ、諸領域相互溶融的な性格を強めている。しかし、それゆえにまた、現代の芸術は、それ自体が政治的・経済的等々の社会性格を顕在化させることともなる。
著者
松森 晶子
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 (ISSN:2186134X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.19-37, 2012-05

「昇り核」はこれまで弘前,青森,雫石など東北各地で報告されてきたが,琉球諸方言を除き西日本には報告例がなかった。本発表は鳥取県鳥取市の青谷(あおや)方言,および湯梨浜(ゆりはま)町の泊(とまり)方言を,昇り核を持つ方言として記述することを提唱し,この地域にあらたに昇り核のn+1型アクセントの体系が発達している現状を報告する。さらに本稿では,青谷周辺の地域(鳥取市の気高(けだか),湯梨浜町の長和田(なごうだ),別所(べっしょ))における1〜4モーラ名詞の調査データに基づき,この地域のアクセントが,次のような特徴を共有していることを報告する。(a)助詞が連続した場合,その連結点にあらたな核が発生する。(b)1つのアクセント単位に2つ以上のH音調が隣接して連続する場合は,最初(左側)のH音調が優先的に出現し,その後ろ(右側)のH音調は弱化する。これらの特徴は,東京方言にも見られる。この事実に基づき本稿では,一見したところ表面の音調型については東京と異なるように見える鳥取県のこの地域のn+1型体系が,実は東京方言といくつかの点で共通していることを示す。さらに,上述の(b)の特徴は,他のアクセント体系(少なくとも同様なn+1型体系)において共通して見られる,アクセント体系の一般的特徴である可能性も示唆し,日本語の方言アクセントの記述研究にあらたな課題を提示する。
著者
坪井 祐太 森 信介 鹿島 久嗣 小田 裕樹 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1622-1635, 2009-06-15
被引用文献数
4

本研究では文の一部にのみ単語分割情報を付与する部分的アノテーションに注目する.重要な部分や作業負荷の少ない部分にのみアノテーションをすることにより,新しい分野に対応するための学習データを効率的に作成できる.この部分的アノテーションを使用して条件付き確率場(CRF)を学習する方法を提案する.CRFは単語分割および自然言語処理の様々な問題でその有効性が示されている手法であるが,その学習には文全体へのアノテーションが必要であった.提案法は周辺尤度を目的関数にすることで部分的アノテーションを用いたCRFのパラメータ推定を可能にした.日本語単語分割器の分野適応実験において部分的アノテーションによって効果的に性能を向上させることが可能であったことを報告する.In this paper, we address word-boundary annotations which are done only on part of sentences. By limiting our focus on crucial part of sentences, we can effectively create a training data for each new target domain by conducting such partial annotations. We propose a training algorithm for Conditional Random Fields (CRFs) using partial annotations. It is known that CRFs are wellsuited to word segmentation tasks and many other sequence labeling problems in NLP. However, conventional CRF learning algorithms require fully annotated sentences. The objective function of the proposed method is a marginal likelihood function, so that the CRF model incorporates such partial annotations. Through experiments, we show our method effectively utilizes partial annotations on a domain adaptation task of Japanese word segmentation.
著者
森 涼子 モリ リョウコ Mori Ryoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.57-66, 2014-05-30

書評(Book Review)2012年出版の邦訳書『自然と権力』の書評である。内容紹介にとどまらず、本書の議論が、現在ドイツにおける自然・環境保護の歴史学研究においてどのような意味をもつのかを考察している。とくにラトゥカウの「現代環境意識」論に焦点をあて、この意識の特性、その新しさと限界とに検討を加えている。さらに2000年初版後に修正・加筆された部分が邦訳されていることの意義を高く評価している。Diese Rezension geht nach einer kurzen Zusammenfassung des Buches der Frage nach, welche Bedeutung Radkaus historische Sichtweise auf die natürlichen Ressourcen und die von ihr herausgezogenen Argumente für die Historiographie über Natur- und Umweltschutz in Deutschland haben. Die Rezensentin konzentriert sich auf die Darstellungen der Gegenwart und erörtert, wie das von Radkau vorgestellte „moderne Umweltbewusstsein" zu charakterisieren ist und inwieweit diese Gesinnung für „global" bzw. für „deutsch" gehalten werden kann.
著者
森本 政之 藤森 久嘉 前川 純一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.449-457, 1990-06-01
被引用文献数
26

音像の空間的な拡がりに、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」の二つの性質があり、区別して知覚できることを示すため、初期部(直接音と初期反射音)の両耳間相関度と残響部の両耳間相関度を独立に変化させた音場を使用し2種類の聴感実験を行った。まず、空間的印象に関する非類似度実験を行い多次元尺度法により布置を求めた。次に個々の性質について一対比較法による評価実験を行い心理的尺度値を求めた。二つの実験結果を基に重回帰分析を行った結果、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」の違いについて理解していれば、「みかけの音源の幅」と「音に包まれた感じ」を区別して知覚できることを明らかにした。
著者
森 信介 長尾 眞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.69, pp.7-12, 1995-07-20
被引用文献数
14

自然言語処理において、辞書は単語の文法的機能や意味の情報源として必要不可欠であり、辞書に登録されていない単語を減少させるため、辞書の語彙を増強する努力がなされている。新語や専門用語は絶えず増え続けているため、辞書作成の作業は多大な労力を要するのみならず、各解析段階での未知語との遭遇は避けらず、大きな問題の一つとなっている。この問題を解決するため、本論文では、nグラム統計を用いて、コーパスからの単語の抽出とその単語が属する品詞の推定を同時に行なう方法を提案する。この方法は、同一品詞に属する単語の前後に位置する文字列の分布は類似するという仮定に基づく。実験の結果、本手法が未知語の品詞推定や辞書構築に有効であることが確認された。Dictionaries are indispensable for NLP as a source of information of grammatical functions or meanings of words. Much endeavor is being made to reinforce their vocabulary. Given continuous increase of new words or technical terms, building a dictionary takes vast effort and unknown words are inevitable at any step of analysis and this causes a grand problem. To solve this problem, we propose a method to extract words from a corpus and estimate part-of-speeches (POSs) which they belong to simultaneously using n-gram statistics, based on the supposition that distributions of strings preceding or following words belonging to the same POS are similar. Experiments have shown that this method is effective to infer the POS of unknown words and build a dictionary.
著者
阿部 香澄 日永田 智絵 アッタミミ ムハンマド 長井 隆行 岩崎 安希子 下斗米 貴之 大森 隆司 岡 夏樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.2524-2536, 2014-12-15

核家族における育児負担軽減などを目的として,我々は家庭内で子どもと遊ぶロボットの実現を目指している.具体的には,子どもの遊び友達となり,親が家事などをする30分ほどの間,子どもの興味を引きつけ遊んでいてくれるロボットである.保育者が誰とでも遊べるように,このロボットがどんな子どもとも柔軟に遊べることが望ましいと我々は考えている.しかし実際は,子どもの内向的性格などが原因で一緒に遊べない場合がある.そこで本研究では,ロボットとの良好な関係構築が容易でない子どもへの対応方法を検討し,その方策として,子どもの性格に応じた行動選択の仕組みを考える.この仕組みを実現する第1歩として,本論文では“人見知りの子どもが親近感を持つために有効な遊び行動が存在する”という仮説を検証する.まず我々はロボットが子どもに対して親密な態度を示しやすい“親和的遊び行動”と,不安が強くても遊べる“不安緩和遊び行動”を定義し,遊び行動を分類した.そして保育者が遠隔操作するロボットと5~6歳児との遊び実験を行い,これらの遊び行動と親近感の関係を調べた.その結果,“親和的遊び行動”と“不安緩和遊び行動”の両方の要素を持つ遊び行動が,人見知りの子どもに有効であることが示唆される結果を得た.
著者
森澤 和子 平林 直樹 長澤 啓行
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、看護師に事前に提示する翌月分の勤務表を種々の制約条件を考慮して自動的に作成する静的スケジューリング機能に加えて,勤務予定の当日になってやむをえず出勤できない看護師が発生してしまった場合に提示済みの勤務割当をできるだけ変更することなく欠勤を補うための代替人員を選定し,かつその日以降の勤務割当を必要に応じて修正する動的スケジューリングの機能も備えたナース・スケジューリングシステムの基幹アルゴリズムを開発した.
著者
森下 和路 安藤 信
出版者
京都大学大学院農学研究科附属演習林
雑誌
森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
no.74, pp.35-45, 2002-12 (Released:2011-03-05)

京都市周辺の都市林では、1980年代以降に激化したマツ枯れにより、多くのアカマツが枯死した。京都市市街地北部における近接3地域(宝ヶ池、神山、上賀茂)の都市林について、マツ枯れ前後の植生図を比較し、林相変化を明らかにした。植生図は1982年、1990年、1998年撮影の航空写真から作成し、各林分を優占種によってアカマツ林などの林分タイプに分類した。1982年には、アカマツ林が最も多く見られ、宝ヶ池及び神山地域で60%以上、上賀茂地域でも約30%の面積を占めた。しかし、3地域のアカマツ林の面積は、1998年にはそれぞれ0.6%、4.6%、2.1%にまで減少していた。宝ヶ池及び神山では、マツ枯れ後、谷地形で落葉広葉樹が順調に林冠層に現れたのに対し、尾根地形では林冠層を欠く林分が多く出現した。上賀茂では、マツ枯れ後、ヒノキが林冠層に現れた林分と、ヒノキ以外の樹種が優占した林分が存在し、その後それぞれが地形に応じて様々な林相に変化した。以上より、これらの地域におけるマツ枯れ後の林相変化にはいくつかのパターンが存在し、その 違いには地形やマツ枯れ以前の林分構造が影響していると考えられる。
著者
岡田 光正 木下 富雄 吉良 龍夫 黒岩 澄雄 篠崎 吉郎 島津 康男 寺本 英 森下 正明 山口 昌哉 増山 博行 永平 幸雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.65-102, 1975-05-20

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著者
小森徳之 著
出版者
[小森徳之]
巻号頁・発行日
1916
著者
大森 裕浩
出版者
日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.305-344, 2001
参考文献数
120
被引用文献数
9