著者
坂本 昇 宮宗 秀伸 小宮山 政敏 菅田 陽太 森 千里 清水 栄司 松野 義晴
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-32, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
23

医師、歯科医師、パラメディカル(コ・メディカル)を含むすべての医療従事者にとって、人体の構造を学ぶ解剖学は重要な学問である。パラメディカルの学生にとって、解剖見学実習は人体構造を学ぶ上で有益であるが、一般的にはその機会は制限されている。ここで、物事に関する興味・関心は教育における重要な変数であり、例えば興味・関心と成績の間には正の相関があることが報告されている。本研究では、解剖見学実習に参加した看護師、鍼灸師、薬剤師、理学療法士・作業療法士、栄養士、救急救命士の各養成校の学生に対してアンケート調査を実施し、人体の解剖学的構造において特に興味・関心を有する部位の調査を行った。2013年7月から2016年3月の間に、千葉大学医学部において解剖見学実習に参加したパラメディカル学生878人を調査対象とした。解析結果は、1)特に学生にとって興味のある器官系は神経系(6領域全て)、循環器系(看護師、鍼灸師、薬剤師、栄養士、救急救命士)、消化器系(看護師、薬剤師、栄養士、救急救命士)、骨筋系(鍼灸師および理学療法士・作業療法士)であったこと、2)これらの器官系について、特に興味のある器官系構成要素は各専門領域間で異なっていたこと、3)神経系と循環器系は、看護領域の専門学校学生1年生と2年生の両方にとって、特に興味のある器官系であったこと、4)両器官系において特に興味のある器官系構成要素は1年生と2年生の間で異なり、しかしながら「脳」は神経系において両学年にとって特に興味のある器官系要素であったことを示した。これらの各パラメディカル領域における学生の興味・関心の違いは、今後、各領域の専門性に特化した解剖学の教育方法を構築していくにあたり、重要な知見となるものと思われる。
著者
野村 竜也 古川 浩二郎 福田 倫史 平田 雄一郎 恩塚 龍士 田山 栄基 森田 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.35-38, 2022

<p>急性大動脈解離に対するオープンステントグラフト(以下OSG)を併用した全弓部置換術後の脊髄障害は重篤な術後合併症の1つであり,わが国の多施設研究でその発生率は3.5%と報告されている.脊髄障害の原因には多くの要因があると考えられるが,その1つとして肋間動脈閉塞の関与が考えられる.症例は71歳女性.Stanford A型急性大動脈解離に対し弓部大動脈置換+OSG挿入術を施行した.術後より対麻痺を認め,脳脊髄液ドレナージ等を行ったが,改善を認めなかった.術前の造影CTで確認できた肋間動脈10対のうち7対が偽腔起始であり,術後に6対の肋間動脈が閉塞した.術前の造影CTで肋間動脈の多くが偽腔起始であり,かつリエントリー所見に乏しい症例においてOSGを使用した場合,術後偽腔閉塞に伴い肋間動脈が閉塞し,脊髄虚血のリスクが増大し得ると考えられる.</p>
著者
山口 徹也 南 憲一 佐藤 孝子 小野 正人 外村 喜秀 難波 功次 菊地 由実 星出 高秀 森住 俊美 小野 朗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.402-411, 2020
被引用文献数
1

<p>近年,高精細な8K映像の提供や様々な没入型スクリーンの活用など,映像サービスの臨場感向上に向けた取り組みが拡大している.一方,スポーツや音楽ライブ等のエンタテイメントイベントを,実際に会場に行けなかったユーザのために,遠隔地に中継してより多くの人の観戦,観劇を可能とするライブビューイングのニーズも高まっている.本論文では,臨場感の高いライブビューイングサービスを実現するために,リアルタイムで複数の4K映像を水平垂直方向に結合し,単一カメラで撮影可能な解像度を大きく上回る高精細で広視野角なサラウンド映像を生成する技術と,生成したサラウンド映像および他の映像や音声を,遠隔会場に同期伝送する技術について提案する.合わせて,提案方式に基づき実現したシステムの内容と評価結果について報告する.</p>
著者
森 星豪 岩井 彌 篠田 博之 古来 隆雄
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35, 2006

オフィス照明において、作業者の集中力を高めかつ省エネ化が期待できる照明方法にタスク&アンビエント(以下、T&A)照明がある。省エネに貢献するT&A照明の普及には省エネだけではなく快適性との両立が必要であり、そのためには明るさ感の低下を必要最小限に抑える技術の開発が不可欠となる。昨年度は明るさ感の低下を抑えるために、輝き感の感じられる発光部(スパークル照明)と壁面輝度を確保する照明機器の試作機を開発し、オフィス空間を想定した小規模な実験室に設置して視環境評価実験および作業性評価実験を実施した。今年度はタスク照明とスパークル照明の他に壁面照明に関してもLEDを用いた試作器を開発し、昨年度の約5倍の広さの実験室に設置して、実オフィスに近い環境にて評価実験を実施した。その結果、スパークル照明有・壁面照明上下方向のLED利用T&A照明は全般照明以上の視環境を実現でき、両者の作業性に差異は見られないことが分かった。
著者
森泉 美穂子 松永 俊朗
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.304-309, 2009-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
63
被引用文献数
9
著者
呉 邵忠 中村 昭夫 森田 矢次郎
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.33-39, 1998 (Released:2018-03-22)
参考文献数
6

灸療法は,艾の燃焼によって人間に温熱刺激を与える伝統的な方法である。温熱刺激量は艾の燃焼の仕方,あるいは艾の燃焼温度特性によって大きく左右される。従来の艾の燃焼温度特性における研究では各影響因子(環境側の因子及び艾側の因子)を十分に注意してこなかったため,結論不十分のところがあると,思われる。本研究では,灸による温熱刺激の熱工学的研究の一環として,艾の燃焼温度特性に与える各影響因子を検討し,測定方法を工夫し,この特性と各影響因子の具体的な関係を調べた。主な結論を次に示す。 1) 艾の燃焼温度変化特性は艾の重さと密度に関係するほか,艾の寸法との関係もある。 2)環境温度,湿度と空気の流れは艾の燃焼温度変化特性に影響を及ぽす。 3) 灸が人間に与える温熱刺激の時間的変化特性を希望通りに実現しようとすると,燻焼前の艾の重さ,密度,寸法,形状を調整するだけでは不確実な結果しか期待できない。
著者
森田 矢次郎 今井 文雄 呉 邵忠
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-33, 1996 (Released:2018-03-22)
参考文献数
6
被引用文献数
1

灸療法の研究は東洋医学の観点から行われ,疾病の治療と健康の維持に大きな効果を挙げてきた。本研究では,灸の一種である塩灸を取り上げ,灸のメカニズム解明のため,熱工学的アプローチを採用する。灸そのものの熱工学的データを取り,人間の灸による感覚(温熱感と快適感)を調べた。主な結論を次に示す。1) 塩の量と艾の量をパラメーターとし,各種の艾を用いて,塩灸の実験データを取り,1個の艾柱が燃え尽きるまでの熱の発生と散逸,人体表面の界面の温度変化について,定量的な知見を得た。2)被験者の皮膚の熱伝導率と熱拡散率に個人差があると考えられる。3) 塩灸実施時の温熱変化の特徴は,施灸者が艾柱を燃やすという過程を数回繰り返すので,人間の皮膚が熱の吸収と放散を繰り返す,という点である。4)塩灸被験者の温熱感覚が快適となるのは,皮膚から熱の放散がある時と皮膚が熱を吸収し,皮膚表面の温度が上昇し始める期間である。
著者
山田 実 樋口 貴広 森岡 周
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C1O2012-C1O2012, 2009

【目的】<BR> 肩関節周囲炎のような運動器疾患患者の多くは、疼痛や関節可動行制限によって、自ら患側肢の能動的な運動を制限してしまう(学習された不使用).このことが、関節可動域改善の妨害因子となることは明らかであり、何らかの対応が求められる.一方、運動イメージを簡便に想起させる手段の一つに、身体部位のメンタルローテーションを用いる方法があり、CRPSのような難知性疼痛患者に対する介入としても臨床応用されている.学習された不使用は、皮質レベルでの機能変化であるため、CRPS患者と同様に、その他の運動器疾患患者においても、メンタルローテーションを用いた介入が有用である可能性がある.そこで本研究では、学習された不使用状態にある肩関節周囲炎患者に対するアプローチとして、簡易型メンタルローテーション課題(簡便に運動イメージ想起を行う手段)を考案し、その有用性を検討した.<BR>【方法】<BR> 対象は、片側罹患の肩関節周囲炎患者40名(年齢; 54.8±10.5歳、日整会肩基準; 64.1±6.3点)であった.なお、明らかな石灰沈着や腱板損傷を認めた場合は除外した.対象者には紙面および口頭にて、研究の説明を行い署名にて同意を得た.対象者は、無作為に介入群20名と対照群20名に分けられた.介入期間は1ヶ月であり、両群ともに、標準的リハビリテーションを週に2~3回の頻度で行った.加えて介入群には、簡易型メンタルローテーション課題が課された.この課題は、回転(0°、90°、-90°、180°)してある左右側それぞれの上肢および手の写真をみて、それが右手なのか左手なのかを回答するものである.120枚の写真(上肢、手)を入れた、はがき用のクリアファイルを用いて、毎日15分程度、1ヶ月間行うよう指導した.1ヶ月間の介入前後には、日整会肩基準、屈曲角度、外転角度、1st外旋角度を測定し、アウトカムとした.統計解析には、二元配置分散分析およびpost hoc testを用い、介入効果の検証を行った.<BR>【結果および考察】<BR> 介入前のベースラインの比較では、年齢、発症より介入開始までに要した期間、日整会肩基準、屈曲角度、外転角度、1st外旋角度の全てで有意な群間差を認めなかった(p>0.05).二元配置分散分析の結果、日整会肩基準、屈曲角度、外転角度、1st外旋角度の全てで交互作用を認め、介入群で有意な改善を認めた(p<0.05).なお両群ともに、すべての指標の介入前後で有意な改善を示していた(p<0.05).これらのことより、標準的リハビリテーションだけでも肩関節機能の改善は期待できるが、加えて、簡易型メンタルローテーション課題を用いたトレーニングを行うことで、より機能改善に有用であることが示唆された.<BR>【結語】<BR> 肩関節周囲炎患者において、簡易型メンタルローテーション介入を行うことは、機能改善に有用である.
著者
中山 義人 森 雅広 成末 義哲 森川 博之
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会誌 (ISSN:18842135)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.26-38, 2018 (Released:2019-06-17)
被引用文献数
1

営業活動における意思決定から,営業担当者個人の経験や直感といった属人的要素を取り除くことにより 営業活動を大幅に効率化するための手段が求められている .筆者らはこの 課題に対し, 機械学習モデルを 用いた 業務意思決定支援システムの構築を試みて いる その構築に際し, 受注確率が高い営業活動の プロセス を学習する必要があるため,営業活動の 意思決定 から 規則性を 抽出するプロセス発見技術が不可欠である. 従来の プロセスマイニング におけるプロセス発見手法では ,定型的な業務プロセスを対象として システム出力されたイベントログに含まれるイベントの実行順序の情報から 業務プロセスの規則性やルールを抽出する しかし 営業活動の意思決定においては ルールが予め分かっていないだけでなく 入力情報が営業日誌などの非構造化データであるために ,従来のプロセス 発見 手法 を 適用する ことは困難である そこで 本稿では 業務意思决定支援システムに向けた 営業活動の 意思決定 の プロセス発見手法に対し 非構造化データに基づいた アクティビティ 推定,および,非定型プロセスにおける規則性を確率的に表現するための プロセス推定を用いた プロセス発 見手法を示す.
著者
森 正
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.63-74,178, 1999

本稿では野党各党による連合政権構想に焦点を当て,一党優位制下における政党間の協調と緊張のメカニズムを析出することに目的を置く。具体的には1970年代の社会党による全野党共闘構想への傾斜過程,1980年代の社公合意への転換過程を合理的選択的新制度論の枠組みを通じて再解釈する。<br>本稿の仮説は連合政権協議の展開,社会党の連合戦略の転換とそのタイミングは4つのアリーナにおけるネスト•ゲームとして捉えられるとするものである。第1は与野党の議席比,第2に野党内における社会党の優越性,第3に社会党内に占める労組の影響力,第4に労働運動における官公労と民間労組の主導権争いである。複数のゲームが同時進行する4重のネスト•ゲームの制約の下で野党各党が合理的に行動した結果,連合戦略の転換が行われたと説明する。
著者
加瀬 ちひろ 寺師 楓 森岡 杏月 豊田 英人 植竹 勝治
出版者
Japanese Society for Animal Behaviour and Management
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.137-145, 2021-12-25 (Released:2022-01-12)
参考文献数
19

動物園でのふれあいがテンジクネズミの行動と生理に及ぼす短期的影響を評価するため、埼玉県こども動物自然公園にて10頭を対象に調査した。調査対象個体は15:00から15:30のふれあいイベントに用いられた。コルチゾル濃度を測定するため、各個体からふれあい開始10分前、終了10分前の2回唾液を採取した。また、ふれあい後1時間の行動を3分間隔の瞬間サンプリングで評価した。ふれあい前後の唾液中コルチゾル値差には、ふれあい実施の有無による差はみられなかったが(z=−0.06, P=0.953)ふれあい持続時間と摂食には負の相関(rs=−0.29, P=0.028)が、ふれあい回数と身繕いには正の相関(rs=0.30, P=0.021)がみられた。これらの結果からふれあいは極端な生理的ストレスを与えることはないが、時間と頻度の増加により軽度のストレスと関連する行動に短期的に影響することが明らかになった。したがって、長時間のイベントでは1頭あたりのふれあい時間に制限を設けることが推奨される。
著者
若森 章孝
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-39, 2000-06-15

本稿は,第1に,「資本主義の黄金時代」(1945-74)をフォーディズムのロジックによって解明したレギュラシオン理論が,脱フォーディズムのさまざまな試みと冷戦体制の解体という1990年代の文脈の中で急速に進展した経済のグローパリゼーションとそれにともなう「勤労者社会の危機」をどのように理解しているか,グローパリゼーションの進行の中に資本蓄積の新しい源泉と新しい調整様式の萌芽を,それゆえ勤労者社会の新時代の可能性をどのように検出しているか,について考察する。本稿は第2に, 「勤労者社会の危機」をめぐるフランスの論争におげる4つの立場を検討し,グローパリゼーションの下で社会統合を確保するためには,公的討論による価値観の形成という意味での「政治的次元」と新しい市民権(市民権所得)が重要であることを指摘する。
著者
若森 章孝
出版者
關西大学經済學會
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-39, 2000-06

本稿は,第1に,「資本主義の黄金時代」(1945-74)をフォーディズムのロジックによって解明したレギュラシオン理論が,脱フォーディズムのさまざまな試みと冷戦体制の解体という1990年代の文脈の中で急速に進展した経済のグローパリゼーションとそれにともなう「勤労者社会の危機」をどのように理解しているか,グローパリゼーションの進行の中に資本蓄積の新しい源泉と新しい調整様式の萌芽を,それゆえ勤労者社会の新時代の可能性をどのように検出しているか,について考察する。本稿は第2に, 「勤労者社会の危機」をめぐるフランスの論争におげる4つの立場を検討し,グローパリゼーションの下で社会統合を確保するためには,公的討論による価値観の形成という意味での「政治的次元」と新しい市民権(市民権所得)が重要であることを指摘する。
著者
森川 稔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.493-498, 1984-10-25 (Released:2020-09-01)
参考文献数
3

A half of residents living in the public housing around Osaka Inner Area came from the provinces. But many of younger householders were born in Osaka City and have been there. Therefore the following is important. Younger families live by their parents in the city. And it balances the age-grade.