著者
田辺 満子 小森 春佳 茂本 咲子 橋本 麻由里 黒江 ゆり子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 = Journal of Gifu College of Nursing (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.20, no.特別号, pp.105-112, 2019-09

本学の卒業者支援・キャリア形成支援におけるオリジナリティは、第一に、4 年間の体系的な就職進路ガイダンスにより、専門職としての自分の将来の在り方を考える機会を在学時から各学年に合わせて配していることである。第二に、卒業者と在学生が意見交流できる機会が多様に設けられていることであり、在学生は専門職者として活動している先輩の体験談を直接的に聞くことで、卒業後の自己の成長をイメージする機会となっている。同時に、卒業者にとっては、卒業後の自己の実践活動を振り返り語ることで、今後の活動のあり方を考える機会となっている。第三に、卒業後の新任期に母校に集まり同級生・同窓生と意見交流する機会が設けられていることである。たとえば、新卒者交流会では、就業後3 か月程が経過した頃に集まり、仕事への対応がまだ十分にできない自分について悩んでいるのは自分ひとりではないことに気づき、明日への活力を得ており、卒後2 年目卒業者交流会では、就業後1 年が経過し、自身が新人を迎える時期に今後のあり方を考える機会となっている。さらに第四として、大学教員が県内医療機関を訪問し、看護管理者・卒業者・大学院修了者と話し合うことを通して、現場と大学が協働して人材育成の在り方を考える機会に繋がっていることである。すなわち、在学期から卒業後までの継続的な支援、および大学と現場との繋がりをもった支援を体系的に推進していると言えると考える。
著者
森 善一 斎藤 祐基 上出 寛子
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.9-15, 2012 (Released:2012-02-08)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

In recent years, along with the development of robot technology, it has become possible to move dolls and toys realistically. Robot therapy is expected to achieve similar effects to those of animal therapy. However, which element of a robot is important for robot therapy has not been examined. We surmise that humans obtain more emotional healing based on biological functions related to hugging a doll with similar size and weight to those of a human baby. This paper describes analyses of the relation between human impressions and elements of the object such as size, weight, motion, and touch. The experimentally obtained results for human impressions using dolls of five kinds, including a robot, were evaluated. The results show that motion, tender touch, sufficient size to be hugged, and weight suggestive of a human baby all gave humans good impressions.
著者
仲座 栄三 田中 聡 本屋敷 涼 宮里 信寿 福森 匡泰 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_79-I_84, 2019
被引用文献数
1

<p> Galvin(1968)は,水理実験によって一様斜面上の砕波形態がspilling,plunging,collapsing,surgingの4つに大別されることを示した.Battjes(1974)は,それらの砕波形態や砕波帯内の諸物理現象がIribarren(1949)の示したパラメータで系統的に整理できることを示し,そのパラメータをsurf similarityと呼んだ.本論は,CADMAS-SURFによる数値計算結果によって,波の砕波形態が進行波の軌道流速と戻り流れとの相対的強弱によって決定されていることを示した上で,新たにresonance mode breakerの存在を位置付けている.また,砕波形態と先行波が派生させる戻り流れとの関連を概説した上で,砕波形態が砕波帯内の波の遡上や反射など諸水理現象に及ぼす影響及び,サーファーが砕ける波をサーフィンできる仕組みを定量的に明らかにしている.</p>
著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_769-I_774, 2019
被引用文献数
1

<p> CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,高さが1.0m前後の高いステップ高を有する階段式護岸に対する波の遡上及び反射率について明らかにしている.従来型の場合,ステップ高が0.2m~0.3mとなっており,傾斜勾配は1:3程度の場合が多い.この場合の波の遡上高は,滑面斜面に対する場合の1割~2割ほど低めとなることが知られている.しかし,ステップ高がさらに高くなった場合についてはあまり研究が行われていない.本研究は,ステップ高を0.2,0.6,1.0,1.4mと順次高めた場合について,波の遡上及び反射の特性を明らかにしている.波の遡上高及び反射率はsurf similarity parameterによって統一的に整理され,ステップ高を高めることでそれらは総じて低減されること及び緩勾配側で反射率の増加があること,ステップ高を高めることで海岸を占有する面積を小さくすることなどが可能となることが示されている.</p>
著者
福森 匡泰 仲座 栄三 田中 聡 宮里 信寿 本屋敷 涼 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_751-I_756, 2019
被引用文献数
1

<p> 直立護岸は,波を反射させ効率的に越波量を低減させる効果を有する.しかし,砕波した波による護岸衝突時の水塊の飛び出しや飛沫の発生などの問題を有する.また,海岸線の利用という面では,利便性の低下や圧迫感を与えるなどの問題点を有する場合がある.それらの改善策として,直立護岸前面に消波工を設置し,護岸天端高を低減させる場合がある.本研究では,直立護岸前面に独自に開発した消波ブロックを設置する消波工付直立護岸及び遊歩道としてのテラス部を設置するテラス式護岸の提案を行い,それらの護岸に対する越波特性を水理実験及びCADMAS-SURFを用いた数値計算で検討している.検討結果は,消波護岸やテラス式護岸では波の乗り上げ効果により越波量が増えることを示している.しかしながら,海岸線利用という面からは,適宜選択可能な策となっており,実務設計において有用性を与える.</p>
著者
山本 喜一郎 森岡 孝朗 広井 修 大森 正明
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-7, 1974-01-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
20
被引用文献数
33 39

Intramuscular injection of acetone-dried pituitary glands of salmonid fishes was carried out in 1971 and 1972.1. A weekly injection of four chum salmon pituitaries or eight pink salmon pituitaries into silver eels (per Kg body weight) produced conspicuous growth of ovarian eggs up to about one mm in diameter. Maturity factors of the treated eels ranged from 40 to 72 per cent. The oocytes corresponded to the migratory nucleus stage or pre-maturation stage. One eel treated with salmon pituitary naturally spawned a large number of mature eggs.2. Eels treated with hormones showed a striking increase in body weight with the commencement of maturation. The pattern of increase in body weight may be divided into four types. The coefficient of correlation between the maturity factor and increase in body weight was greatest in type A, followed by type B and D, but very low in type C.
著者
伊藤 博隆 馬場 駿吉 高木 一平 大屋 靖彦 横田 明 伊藤 弘美 稲垣 光昭 小山 賢吾 北條 郷明 丸尾 猛 東内 朗 杉山 和子 河合 〓 森部 一穂 鈴木 賢二 柘植 勇人 板谷 純孝 鈴木 康夫
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.Supplement52, pp.107-118, 1991-12-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

Mao-bushi-saishin-to extract capsules (6 caps. /day) were administered orally to 61 perennial nasal allergy patients presenting with nasal obstruction for 4 consecutive weeks to assess the overall efficacy, safety and utility of the drug. In the doctor's evaluation, the overall efficacy rate covering excellent and good responses was 38.3% at week 2 of treatment and 54.7% at week 4 of treatment. The utility rate covering useful and higher ratings was 60.7%.Nasal symptoms, viz, sneezing attack, nasal discharge, nasal obstruction, dysosmia and interference with daily living were all improved. Nasal obstruction, in particular, disappeared in many cases, thus generating a high improvement rate. Nasal mucosal findings, viz, swelling of inferior turbinal mucosa, watery secretion in nasal cavity, and nasal discharge eosinophil count showed good improvements.The time course of each nasal symptom i n terms of the average score according to allergy diaries, revealed significant reduction in nasal obstruction, dysosmia and interference with daily life in severity at and after week 2 and sneezing and nasal discharge were significantly alleviated at week 4 as compared with the findings obtained during the baseline period.As side effects, headache was reported in one case and stomachache in one case. These symptoms were relieved after discontinuation of treatment.
著者
松森 藍子 星野 寛
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.381-382, 2018-03-13

会話ロボットを用いた高齢者の生活意欲向上を目的とする“ACCRAプロジェクト”の第1段階として実施した、老人介護施設での高齢者と介護者へのニーズ調査と実験結果を報告する。調査では「職員でも友人でもない話し相手」としてロボットが求められていることに加え、「癒し」を目的とする会話だけでなく、敢えて「憎たらしさ」を残した言葉がけをすることが高齢者を鼓舞しQOLの向上・維持へ繋がることが見えてきた。実験では高齢者の表情を検出しながら会話を進め、相手に不快感を与えない程度の「憎たらしさ」のある会話を実現しようと試みた。会話シナリオは個々の興味・関心に配慮し、会話の効果は表情検出カメラで評価した。
著者
垣内 優芳 森 明子 松本 恵実 金 明秀
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.318-322, 2018-11-05 (Released:2018-11-30)
参考文献数
25

【目的】頭頸部複合屈曲位の状態で誤嚥の回避や気道内分泌物の喀出(喀痰)のために咳嗽が生じた場合,頸部屈曲位と比較して咳嗽が効果的に行えるのか不明である.本研究の目的は,頭頸部複合屈曲位と頸部屈曲位において随意的咳嗽力を比較検討することである.【対象と方法】対象は健常成人男性21名であった.測定肢位は,リクライニング座位45°とした.測定条件は,頭頸部複合屈曲位と頸部屈曲位の2条件とし,それぞれにおいて咳嗽時最大呼気流量,胸郭拡張差,最大吸気圧,最大呼気圧の測定を行った.【結果】咳嗽時最大呼気流量,胸郭拡張差,最大呼気圧は,頸部屈曲位よりも複合屈曲位において有意に低い値を示した.また,複合屈曲位において咳嗽時最大呼気流量は最大吸気圧,最大呼気圧と関連を認めた.【結論】リクライニング座位時における頭頸部複合屈曲位は,頸部屈曲位と比較して随意的な咳嗽力において不利に働くことが示唆された.
著者
垣内 優芳 佐々木 貴哉 松本 晋輔 森 明子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.113-116, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
17

〔目的〕頸部回旋が随意的な咳嗽力におよぼす影響を検討すること.〔対象〕健常成人15名.〔方法〕頸部は正中位,右30°回旋位の2条件とし,各条件における咳嗽時最大呼気流速(CPF),呼吸機能検査,最長発声持続時間(MPT)を測定した.〔結果〕CPF,肺活量(VC)と%VCは正中位に比べて右30°回旋位で有意に低かった.一回換気量(TV),MPTなどは両条件で有意差はなかった.CPFとVC,努力性肺活量(FVC),一秒量(FEV1.0),%FEV1.0,最大呼気流速(PEF),MPTに正の相関が認められた.〔結語〕CPFは,VC,FVC,PEFやMPTなどと関連が認められ,頸部正中位より30°回旋位で減少することが明らかとなった.
著者
杉森 伸吉 北山 忍
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

近年の文化社会心理学が示してきたところを加味した本研究仮説によると、日本人の場合は所属集団の持つ集団基準から見て恥ずかしくないところに、自己を定位することに動機づけられているため、失敗したときには、自尊心回復よりも集団内の高地位に再定位するように、自己改善の動機が喚起されるため、比較対象として選ぶのは、自分より下位のものではなく、むしろ最高位の他者が選ばれやすくなること、そして自分の努力不足に原因が帰属されやすくなることを確認した。さらに、自己不確実感が高い個人ほど、こうした傾向が強いことも示された。また、選択行動の直後に、親しい他者が異なる選択をしたことを知ると、自己不確実感が高まり、不協和低減行動が生じた。以上の諸結果から、研究3についても、選択後の認知的不協和について、他者との関係性の観点から、検討を加えた。研究1における自己不確実感と成功・失敗の原因帰属および社会的比較の関連と、研究2の選択後の自己不確実感について検討した。従来の欧米の理論では、人間は自尊心維持に動機づけられており、失敗した場合は自己防衛の動機が高められて、失敗の原因を課題の困難さなどの外部要因に帰属することで、自尊心が傷つかないようにしたり、自分より成績の悪かったものと社会的比較をおこなうことにより、自尊心をあげるように試みたりすることが指摘された。他者の選択情報を与えた結果、自分の選んだ商品の魅力が増し、自分の選ばなかった商品の魅力が減少するという「認知的不協和」現象は、日本においては後者の条件においてのみ見られるだろう。ここでの研究仮説を検証し、仮説を支持する結果が得られれば、集団よりも個人を社会の一次的ユニットと見なす欧米における研究では説明できなかった重要な過程に光を当てることができ、実験社会心理学の研究はもとより、教育心理学、臨床心理学に対しても有意義な貢献ができるであろう。
著者
加藤 倫卓 森 雄司 光地 海人 森本 大輔 角谷 星那 鬼頭 和也 濱 貴之 小鹿野 道雄 田邊 潤
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11375, (Released:2018-05-23)
参考文献数
32

【目的】植込み型除細動器(以下,ICD)あるいは両心室ペーシング機能つき植込み型除細動器(以下,CRT-D)を装着した慢性心不全(以下,CHF)患者に対するストレッチング体操が,血管内皮機能と運動耐容能に与える影響を検討した。【方法】対象をICD あるいはCRT-D が植え込まれた運動習慣のないCHF 患者32 名(男性27 例,平均年齢69 ± 9 歳)とし,ストレッチング体操を実施するストレッチング群と対照群に無作為に分類した。4 週間の介入前後の反応性充血指数(以下,RHI)と6 分間歩行距離(以下,6MWD)を評価した。【結果】ストレッチング群のRHI と6MWD は,介入前と比較して介入後に有意に増加した(P <0.01,P <0.01)。介入前後のRHI と6MWD の変化量は,有意に正相関(r =0.53,P < 0.05)を示した。【結論】ICD あるいはCRT-D 患者に対するストレッチング体操の効果として,血管内皮機能障害と運動耐容能の改善が考えられた。
著者
森 裕城 久保 慶明
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1_200-1_224, 2014 (Released:2017-07-01)
参考文献数
46

The purpose of this article is to clarify the following 4 points: (1) To what extent are people organized? (2) How much bias is apparent in today's organizations? (3) To what extent have existing organizations approached politics? (4) Is there any structural bias? By comparative study of the data from surveys of voters, interest groups, and pressure groups in Japan, following observations can be made. The older generation is more organized than the younger. Organization is more developed in the profit sector. Interest articulated by new organizations is limited, while old organizations remain. It is therefore difficult to believe that the change of government in 2009 was due to interest group politics. Rather, at top level, interest group politics changed in response to the change of government. This suggests that group actions change easily, although in 2009, it was limited mainly to top level.