著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.11-15, 2018
被引用文献数
1

<p>我々は,腱板断裂関節症(Cuff Tear Arthropathy:以下CTA)に対し,小径人工骨頭置換(Small Humeral head replacement:以下s-HHR)と腱板修復術または筋腱移行術を施行しているので,その治療成績を報告する.対象は術後1年以上経過観察可能であった17例17肩.平均年齢は73.9歳,性別は男性5肩,女性12肩.術式はs-HHR+腱板修復術7肩,s-HHR+筋腱移行10肩(肩甲下筋部分移行2肩,大胸筋移行術8肩).調査項目は,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下JOAスコア),平均肩関節可動域(屈曲,外旋,内旋:JOAスコアを用いて点数化),とした.結果はJOAスコアが術前45点から術後79点,術前屈曲55度,外旋26度,内旋1.6点から,術後屈曲123度,外旋26度,内旋3.7点と改善した.CTAに対するs-HHRおよび腱板修復術または筋腱移行は,有用な術式と考えられた.</p>
著者
大森康朝 中川 友紀子 野田 五十樹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.334-341, 2011-03-15

最新のプロセッサでは複数の実行コアを備えた「マルチコア」が一般的になっている.しかし,多数のマルチコアCPUやGPGPUなどが相互接続された並列分散環境を活用するためのプログラミングは容易ではない.このような並列分散プログラミングの生産性を向上させることを目標とした,新しいプログラミング言語がX10(エックステン)である.X10はいわゆるPGAS(Partitioned Global Address Space)を採用している言語族の一員であり,複数の「プレース」にまたがったデータ構造を扱える.さらに,軽量な並列タスクを生成するための「async」や分散処理のための「at」,同期のための「atomic」や「clocked」などの構文を提供している.本稿では,X10の設計思想やプログラミングモデルに加え,これらの特徴的な構文についても使用例を交えつつ解説する.
著者
森部 章
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.186, pp.104-106, 2005-04

消費税法が改正され、医療法人に関しては2005年3月期の決算から新しい制度の適用が開始された。今回の改正は、消費税の課税事業者の範囲拡大など、医療機関にとっても影響が大きなものとなっているため、これまで消費税が免税となっていた病院・診療所も、今後の決算・税務申告は特に要注意だ。適用関係を十分にチェックの上、申告漏れのないようにしたい。
著者
森 泰規
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

企業<u>風土</u>というように<br>筆者は、基本的に経営課題について考える際、企業というものは人が創り出すものであるということを大前提に、ウェーバー(Max Weber, 1864-1920, 独・社会学者/経済学者)の<象徴的相互作用論>[1]、すなわち構造を主語とせず、人の理念に基づく行為(したがって人々の相互行為)が社会を創出するという考え方をとる。端的に言えば「ピューリタンの理念と行為が資本主義の形成につながった」ことを類推して想定するものである。 ところが、企業についての諸問題を考える際、<企業風土>といったきわめて地理学に近い捉え方にさしあたることが多い。特にウェーバー的アプローチを取る際、<企業理念>にとって起こる問題は、地理学に於いてと同様の課題と感じられることがある。そこで当の地理学(乃至、地理学的枠組み)に近接すると思われることを挙げてみる。 &nbsp;<br> <br>『風の辞典』, <b><i>Le sauvage et l&rsquo;artifice.</i></b> <br>関口武(1985)(『風の事典』 原書房)によれば、同書刊行時点で日本には風の名前が2145個ある。普通の日本人はそのような呼び名を知らないが、<u>個々の生活実感と結びついたものは<不可視であっても概念として具象化する></u>のだ。 このことは、地理学者のオギュスタン・ベルク(Augustin Berque、1942- , 仏・地理学者)がたびたび指摘した、「『風景 paysage』に当たる語彙が、絵画の対象と成りえるような美しい景観と触れ合っていた地域の言語にさえ、必ずしも自生的には存在しないこと」[2]とは貴重な対照をなす。こちらは<u>当たり前のように目の前にあっても、むしろ<浸透しすぎていることによって意識されない></u>ということだ。 優れた企業理念は以上に述べたような事態に陥ることがよくある。第一に、すなわち現場組織にはいくつもの貴重な実感が見出されているのに組織全体では体系化・一般化されにくいこと。第二に、当たり前のように意識されている貴重な習慣が組織内部では貴重なものとは評価されていないこと、である。これらは長い時間をかけてよい意味でも悪い意味でも<企業風土>を形成し、必ず課題として噴出する。逆にそれぞれを課題と思って対処していけば効果が得られるともいえる。 これらはいずれも地理学による示唆である。 <br><br>システムの外部にも影響する、地理学の価値<br>筆者は、地理学という学問体系の外から、実務上の類推をもとに本稿での主旨を問いかける。だからそのシステム内部にいる専門家にとっては、当然に違和感を覚える題材なのかもしれない。しかしそのシステム外にある筆者にとっても地理学の価値は影響を及ぼすということであって、筆者はもう少し、その真価を学び、現業に生かそうと考えるが、同時にシステム内の秩序や安定性に意義を唱えるつもりはない。この点は明確にご理解いただきたい。 <br> <br> [1] Symbolic Interactionism. この整理は定説といってよいが、ここではアンソニー・ギデンズによる『社会学』(第六版)の記述体裁にならう。Giddens, A. (2009), <i>Sociology (6th edition)</i>, Polity Press, London, UK.<br> [2] Augustin Berque. (1986). <b><i>Le sauvage et l&rsquo;artifice. Les Japonais devant la nature.</i></b>Paris, Gallimard. P154他
著者
池原 森男 福井 寿一
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.948-959, 1979-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
82

Application of nucleic acid chemistry to drugs is discussed. The article contained 1) a survey of nucleobase and nucleoside analogs, which are used to anticancer and antiviral diseases ; 2) Application of oligo- and polynucleotides to medical purpose ; and 3) Use of gene recombinant technique for producing hormones etc.
著者
森口 郁夫 松下 泰雄 広野 修一
出版者
北里大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

化学物質の毒性が化学構造から予測できれば、製品開発、環境汚染等の面でその恩恵ははかり知れない。本研究は、ヒト経口急性毒性(以下、ヒト毒性)および魚毒性の予測について適応最小二乗法(ALS81)、ファジイ適応最小二乗法(FALS88)を用いて検討を行った。1.データソース:ヒト毒性は、CTCP(5版)、RTECS(1981-82版)および日本薬局方等から収集し、総数504個、魚毒性はRTECSから329個の有機化合物に関するデータを収集し、各々毒性の強さに従って3等級に分類して用いた。2.構造記述子:化合物の化学構造の特徴を表すものとして、ヒト毒性は分子量、特定の原子(C、O、S等)、環(ベンゼン、キノン、等)、各種官能基、特徴的な部分構造については数、又は準数量変数、魚毒性は数、又はダミー変数であり、検討した記述子は各々60および63種である。3.構造・毒性相関モデルの生成:計算は東大計算機センターの電算機およびNEWSで行い、得られた最良の識別関数には、ヒト毒性では41種(ALS81)および40種(FALS88)、魚毒性では35種(ALS81)の記述子が含まれている。4.識別・予測の信頼性:識別関数による毒性等級の識別計算は、ヒト毒性ではALS81、FALS88とも439個(87.1%)および魚毒性では280個(85.1%)が正しく識別され、スピアマン順位相関係数(Rs)は0.858、0.860、および0.825であった。またリーブワンアウト法による予測計算は、411個(81.5%)、412個(81.7%)および256個(77.8%)の化合物の等級が正しく予測された。以上の識別・予測ともすべて0.1%の危険率で有意であり、所期の目的が達成できたと考えられる。
著者
森永 康子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.166-172, 1997-06

Work values among women college graduates (N=399) in their sixth to eighth year after college graduation were investigated. Approximately 70% of the study sample were found to be currently employed outside the home. Many working women were single without children, while married women with children did not have jobs outside the home. Although employment, marital status, and parental status were predicted to relate to women's work values, only marital status turned out to be significant. Married women placed a higher value on gender equality and family concerns than did single women. The relationship between individual job turnover and work values was also explored ; women who changed jobs were found to place more importance on intellectual stimulation than those who did not. In the analysis of future work plans, it was found that those who planned to pursue their jobs for a long period or to reenter the work force showed work value patterns significantly different from those of their counterparts.
著者
大森 克徳 竹内 俊郎 小口 美津夫
出版者
生態工学会
雑誌
Eco-Engineering (ISSN:13470485)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.61-64, 2004 (Released:2006-07-14)
参考文献数
9

To culture efficiently Moina macrocopa with the recirculating zooplankton culture device, optimal culture conditions in closed environment have to be investigated thoroughly. Optimal conditions at food, temperature or quality of water have been defined, however, few reports have been publised on flow speed or direction. Therefore, the system for culture experiment in fixed flow which has three airtight rearing cells had been organized, and influences of flow rate or direction on population growth were investigated. In these experiments, M. macrocopa increased efficiently at slow flow speed, 10 cm/min, and the flow directions hardly influenced to the population growths. To control flow rates should be effective for the efficient culture of M. macrocopa.
著者
福森喜宇助
出版者
巻号頁・発行日
vol.[5],
著者
元森 絵里子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.124-135, 2012-06-30 (Released:2013-11-22)
参考文献数
11

本稿は, 教育制度内部の教育史記述の古典である『明治以降教育制度発達史』を読み直し, 「子ども」が実体であるのか構築であるのかというアリエスインパクト以降繰り返される問題を考えるものである.「子ども」という観念の歴史的構築性を示した研究に対し, しばしば, 直観的に, 目の前の発達途上の身体や生理学的に捉えられる身体という「実体」があるという批判・反証がされる. 史料から見えてきたのは, 「発達する身体」をもち将来的には「国民」や「労働者」になる「児童」が発見され, 教育的論理と教育制度が定着する際に, それに包摂されない実態との折り合いが模索されたということであり, 身体測定や統計が「実体的根拠」として要請されたということである. したがって, よくある批判が根拠とする「実体としての子ども」なるものも, 多くは年少者を教育の対象として見出すまなざしが全域化していったことの効果として立ち現れている観念であると言える.と同時に, その論理の外部に年少者・小さい人が事実として存在し, それを「児童」や「子ども」と見なさない世界があることが, 教育的論理では扱いにくいものとして, まさにその論理の中に書き込まれていることにも目を向ける必要がある. 子どもと教育の社会学は, その構築性についてより深く考察すると同時に, 自身の言葉の外にあった (ある) かもしれない世界の存在に自覚的であり続けていく必要があろう.
著者
藤井 亜里砂 石川 清彦 森住 俊美 菊地 由美 山田 智一 川森 雅仁 川添 雄彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.37, pp.21-26, 2008-09-25
被引用文献数
2

通信ネットワークを利用することで,個人別サービスや有料サービスの提供が従来のテレビ放送と比較し容易に実現できるようになった.またテレビ受信機は家電として各世帯への浸透率が高い.このため,今後テレビ受信機を対象とした個人向けサービスは新たな市場を築くものとしてますます期待されている.これまで,筆者らは放送受信機において放送と通信の会員向けサービスを利用する際,安全でかつ視聴者の操作手順を少なくすることを目的として放送通信の連携認証方式を検討し,シングルサインオンの実装方式について提案および報告を行ってきた.しかし,一人の視聴者がコンテンツの視聴を希望する端末は,行動にあわせて替わるもので固定的な使用は少ない.例えば家庭の固定受信機で利用していたサービスを,そのまま継続的(シームレス)に携帯型受信機で利用しながら外出するということができればサービスの利便性は飛躍的に向上する.我々は、異なる受信機間で認証情報およびサービスアプリケーションに依存したセキュアな情報を引継いで認証情報の連携を可能とする仕組みを,Webサービスで用いられる標準的な技術仕様であるリバティアライアンス仕様を用いて構築可能とした.
著者
岩塚 雄大 琴浦 毅 片山 裕之 竹森 涼 田島 芳満 茅根 創
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_455-I_460, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

サンゴ礁州島の形成機構は様々な報告,研究が行われているものの観測データの取得事例は少なく,州島形成場の波浪場,海浜流場は依然未解明である.本研究では,西表島北方リーフ上にサンゴ礫だけで形成されるバラス島を対象として現地調査を行い州島形成場の外力評価を行った.さらにそれを補完する数値計算を行い州島形成に至る外力場の検討した.その結果,バラス島周辺のリーフ上では,来襲波浪に時空間的な位相差が見られることやサンゴ礫移動外力としてはリーフ内の流れよりも波浪が卓越する可能性が高いこと,バラス島付近では鳩間島の遮蔽とバラス島北側の二つの窪地の屈折効果によりバラス島に向かうNE,NW双方向からの波浪が生じ,窪地背後のリーフ中央部ではサンゴ礫が集積されるポテンシャルが高いことが明らかとなった.
著者
渡辺 登 百瀬 香保利 森岡 恵
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.427-433, 1986-04-15

抄録 不登校を主訴とした性転換症と考えられる女子中学生の1症例を報告した。本症例は物覚えがついた頃から自分を男性であると思っており,兄や兄の友人達の遊びの中へ積極的に参加し,女の子に憧れを抱いた。女生徒と性的愛撫を交したが,男性として扱われていなかったと知ると憤慨し,また欲求を押さえ切れず女性に性的イタズラをしたこともあった。思春期を迎えると,生理に不快感をもち,乳房の膨らみを隠し,女性と性愛関係に及ぼうと考えた際に女性身体であることに強く苛立った。さらに父親の「女らしくしろ」との強要や男性化願望に対する同級生の蔑視に反撥し,不登校となり引きこもった。本症例の診断や病因,生活歴,臨床像について性別同一性とその基盤となる中核性別同一性から若干の考察を加えた。