著者
三森 弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.82, no.732, pp.393-402, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2

This study, targeting private library, has made clear the role of the social capital which help establish the activities of the private library. Private library aims to increase the communication and gradually contributes to regional vitalization by turning vacant stores and space into libraries. Spreads of the activity is seen originally from the city of Funabashi, based on the support of the local residents and volunteers. This study focuses on the current conditions of the private library and the details of motivations since its early establishment stage, followed by the examinations of possible social capital that leads to the expansion of the private library. This research covers the outlines of 29 private libraries, including the year in which the library was opened, the function and the address. It also looks into the motivation and the process of how the private library was opened as well as the media who have had acknowledge of private library. The research is then followed by an analysis on the characteristics of each library and the relationship between each other chronologically. As a result, (1)private library has expanded gradually with the support of those who have sympathy to the activity. (2)Moreover, in terms of the motivations, some private library is opened because of the physical circumstances such as increasing demands for a place to stalk endless books as well as for the solutions to hazards coming along with the vacant stores. While in other private library such as some complex that accommodates both library and store inside, the motivation is seen to have responded to the community revitalization, the latency time for little kids while their parents are having a long conversation and the increasing number of the visiting guests. It can thus be assumed that those motivations are closely related to the function of the annex facilities. (3)On the other hand, in terms of the media which have acknowledge of the private libraries, the contents of it has been shifted from newspapers and lectures to introductions and hearsays via neighboring acquaintance and other real time experience. Thus Through the expansion of the sympathy and the spontaneous involvement, private library has become a center that forms the social capital as well as that contributes to the community revitalization
著者
森 也寸志 林 匡紘 稲生 栄子 登尾 浩助
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

東日本大震災によって,福島第一原子力発電所から放射性物質が漏れ・拡散が起こった。事故から数年経った現在では,環境中に放出された放射性物質が土壌中を降下し,根から植物に吸収される事が危惧されている。土壌に降下した放射性セシウムは粘土鉱物に強く吸着されているが,有機物含量の多い土壌では,粘土鉱物を多く含む土壌に比べて放射性セシウムとの吸着が弱く,植物へ吸収されやすいと考えられる。根群域にある放射性セシウムは農作物に吸収される可能性があるため,もし,迅速に根群域を超えて下方に浸透させ,鉱物層に吸着させられるのであれば有利である。そこで,本研究では有機質土壌であるピートモスを植栽とするブルーベリーを対象とし,ポットでの放射性セシウムの移動実験を行った。特に,下方浸透に効果があるとわかってきた疑似間隙構造である人工マクロポアを使って表層に存在する放射性セシウムを根群域下まで輸送する可能性を検証した。ポットの底から黒ボク土5cm,ピートモス10cm,汚染土壌(1925 Bq/kg)5cmを詰めたものを6個準備し,「無施肥区・人工マクロポアなし」,「無施肥区・人工マクロポアあり」,「硫酸アンモニウム施肥区・人工マクロポアなし」,「硫酸アンモニウム施肥区・人工マクロポアあり」,「塩化カリウム施肥区・人工マクロポアなし」,「塩化カリウム施肥区・人工マクロポアあり」とした。土壌に吸着した放射性セシウムを溶出させることを目的に硫酸アンモニウム(15g/ポット)を,また,ブルーベリーによる放射性セシウムの吸収抑制を目的に塩化カリウム(30g/ポット)施肥した。毎日0.76L/dayの灌水をおこない,実験開始から1年4ヶ月後に実験を終了とし,ポットを分解し,放射性セシウムを計測した。「無施肥区・人工マクロポアなし」「無施肥区・人工マクロポアあり」では放射性セシウムは汚染土層から僅かに下方に移動した。人工マクロポアの周辺でも放射性セシウムの移動は5-10cm層までであり,人工マクロポア周辺と周辺以外での深度別放射能濃度の分布の違いはみられなかった。「硫酸アンモニウム施肥区・人工マクロポアなし」では,わずかに下方移動が見られたが,一方でブルーベリーの葉から放射能が検出され,下方に移動した放射性セシウムがブルーベリーに吸収された可能性が考えられた。「硫酸アンモニウム施肥区・人工マクロポアあり」では5-7.5cm層での放射能濃度が1000Bq/kgを超えており,無施肥区や「硫安区・人工マクロポアなし」に比べて高い値となっている。また,0-5cm層よりも5-7.5cm層のほうが放射能濃度が高い値となっており,人工マクロポアの効果によって放射性セシウムの下方移動が促進されたと考えられる。ただし,同様に植物体から放射能が検出された.また,人工マクロポア周辺の結果を見ると10-15cm層で200Bq/kg を超え,15-20cm層でも87.2Bq/kg放射性セシウムが検出された。他の区に比べて高い放射能濃度が下層で計測されており,すなわち,人工マクロポア周辺では下方浸透促進効果が大きいと判断できる。硫酸アンモニウムの施肥だけでは下方浸透促進効果がみられなかったが,人工マクロポアと組み合わせることで下方促進効果が大きくなったと考えられる。なお,塩化カリウム施肥は移動にはあまり効果がなかったが,植物体から放射性セシウムの検出はなく,植物体への吸収抑制をすることがわかった。ここから放射性セシウムの効果的な移動には,溶出・移動・吸収抑制のプロセスが必要であると推察できる。しかし,根群域下(黒ボク土層)への移動はあまりみられず,今後は硫酸アンモニウムと塩化カリウムを同時施用して,より効果的な移動と吸収抑制を同時に行うことを検討していきたい。
著者
森内 健行
出版者
東京農工大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究は環境にやさしい次世代モバイル用エネルギー源として,光合成バクテリアを利用し,光エネルギーのみで持続的発電が行える,長寿命,マイクロバイオ燃料電池の実用化へ向けたプロトタイプの開発とその性能評価を目的としている.本年度は特にマイクロバイオ燃料電池の出力向上および長寿命化に向け,以下の研究を実施した.(1)電池の高出力化に向け,C-MEMS(Carbon-Micro Electro Mechanical Systems)技術を用い多孔質カーボン電極を作成し,マイクロバイオ燃料電池に適用し性能評価を行った.多孔質カーボン電極を用いることで,2.14μW/cm^2と従来研究と比較して8倍の高出力化を行うことができた.(2)電気化学測定の一つである,サイクリックボルタンメトリー(CV)を用い,ポリアニリン電極の酸化還元電位,及び,ポリアニリンによる細菌からの電子抽出を評価した.ポリアニリン電極の酸化還元電位は標準水素電極(SHE)に対して,+0.3V付近を示した.実際にポリアニリン電極を細菌溶液(シアノバクテリア+リン酸緩衝液)中に入れ,CV測定を行ったところ,細菌を入れる前と後で,+0.45V付近における酸化電流が大幅に増加していることが確認できた.これより,ポリアニリンによる細菌からの電子抽出を実験的に検証することができた.(3)電池の長寿命化に向け,培地還流システムの試作,及び,その評価を行った.本研究では細菌から電子を抽出することで発電を行っており,発電に伴い細菌の活性が低下し,電池寿命が短くなるという問題があった.そこで,電池内の細菌を循環させることで,活性の高い細菌から持続的に発電を行える培地還流システムを提案し,電池に適用した.培地還流システムを用いることで,従来研究と比較して3倍以上の長寿命化を達成でき,本システムの有効性を示すことができた.
著者
西川 清文 森 昇子 白木 雪乃 佐藤 伸高 福井 大祐 長谷川 英男 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.27-29, 2014-03-31 (Released:2014-05-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

国内外来種化による寄生虫相の変遷を分析するため,2010年と 2011年に旭川市内で捕獲されたアズマヒキガエル Bufo japonicus formosusの蠕虫調査をした。その結果,このカエルで既報告の 3線虫種と 1鉤頭虫種が検出された。北海道における当該カエル種の調査はなく,新記録となったが,寄生蠕虫相は本州に生息していた時の状態をほぼ保持したまま定着していたことが判明した。
著者
守屋 慶子 森 万岐子 平崎 慶明 坂上 典子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.205-215, 1972-12-31
被引用文献数
1

自己認識の発達を明らかにするために11人の小学生の作文を1年生から5年生まで追跡し,分析してみた。その結果,次のようなことが明らかになった。(a)自己の認識は,他を媒介として可能になる。(b)自己の認識は,はじめは外面的なもの(行動)の認識にとどまるが,次第に内面的なもの(意識内容)の認識が可能になる。(C)自己の認識は,まず現在の自己の認識から始まり,ついで,過去の自己の認識が可能となる。その結果,変化するものとして自己を認識することができる。(d)自己の認識は,個人としての他を媒介として始まるが,次第に,集団としての他を媒介にして深まり,そして,集団の中の個としての自己の認識へと進む。
著者
脇元 修一 鈴森 康一
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.828-831, 2011-09-05 (Released:2012-03-05)
参考文献数
11
著者
小浜 博太 新垣 寛 知念 弘 山口 浩 大城 亙 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.319-321, 2017

鎖骨遠位端骨折に対するフックプレート(HP)と非フックプレート(n-HP)の術後経過を比較した.HP群は14例(男性12例,女性2例,平均年齢47.8歳,術後平均観察期間9.7カ月)で全例LCP clavicle hook plateを使用した.n-HP群は12例(男性10例,女性2例,平均年齢41.2歳,術後平均観察期間9.9カ月)でClavicle Wiring plate 6例,Tension band wiring, Scorpion plate, Now J, Distal clavicle locking plate, LCPクラビクルプレートラテラルエクステンション,髄内釘をそれぞれに使用した.最終観察時の平均JOA ROMスコア(30満点)はHP群22点,非HP群28点で,n-HP群で良好であった.全例で骨癒合を認め,HP群で肩峰下のびらんを13例,偽関節を1例に認めた.肩峰を跨がないHP以外の内固定では術後肩関節可動域が良好な傾向であった.
著者
島袋 全志 呉屋 五十八 当真 孝 山口 浩 伊佐 智博 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.337-341, 2017
被引用文献数
2

【はじめに】上腕骨近位端骨折に対する骨接合術後の合併症である上腕骨頭壊死の検討を行ったので報告する.【対象および方法】対象は術後上腕骨頭壊死10肩,性別は男性3肩,女性7肩.手術時年齢は平均68歳であった.骨折型はNeer分類:3-part:2肩,3-part脱臼:1肩,4-part:6肩,4-part脱臼:1肩,平均経過観察期間は32ヵ月であり,術後肩関節可動域(屈曲,外旋),X線分類(Cruess分類),追加手術について調査した.【結果】屈曲は平均88°,外旋は平均36°であった.Cruess分類はstage 2:1肩,stage 3:1肩,stage 4:6肩,stage 5:2肩であった.追加手術として,2肩に人工骨頭置換術,1肩にスクリューの抜釘を行った.【まとめ】70歳未満では壊死後の可動域は比較的良好で,壊死のリスクが高い骨折型でも骨接合は選択肢の一つと考えられた.
著者
森川 展男
出版者
東亜大学
雑誌
総合人間科学 : 東亜大学総合人間・文化学部紀要 (ISSN:13461850)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.105-121, 2001-03

近年の犯罪傾向を見ると、行為者の精神の障害又は未確立に起因する事件の数が急増している。このような状況下、従来の刑法上の責任能力概念及びそれを判定するための精神鑑定のあるべき姿についても変革が求められる。刑法は第39条において心神喪失・心神耗弱という形で責任能力について規定すると共に、第41条において14歳未満の少年の責任無能力を規定する。また少年法は、20歳未満の少年について原則として刑事処罰の対象としない旨規定する。しかし、近時、凶悪犯罪の多発を受け、責任能力や処罰対象を広く認めようとする傾向が出てきている。これは、行為に対する非難可能性に刑罰の根拠を求める責任概念の趣旨に反するもので、被疑者・被告人の人権と社会秩序維持の調和の観点からも好ましくない。しかし、従来の責任概念のあり方にも問題無しとはしない。これをより精緻化し、国民の理解を得られるものとするために、その判断の根拠を可及的に客観的にする必要がある。そのためには、精神鑑定の基準を客観化するとともに、第三者機関を設立することによって恣意的な鑑定がなされることを排除する仕組の確立が必要である。最後に、責任能力概念及び精神鑑定は、社会の安定及び個々人の人権を守るための手段に過ぎないとの理解から、真に安定した社会の実現に向けた抜本的解決を模索する。家庭、教育現場、地域共同体が緊密に協力し、犯罪予防の実効性の高い社会を小さな単位から構築し、それを情報技術などを利用して社会全体のシステムに昇華させていくことが真に秩序ある社会の構築のための最善の方法であると考える。
著者
山下 洋一 井上 弘一 中村 昇一 二川原 淳志 森 保 中尾 亮 伊坪 徳宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.29-29, 2008

建築内装材料「壁紙」のうち塩ビ系壁紙(製品シェア96%)のインベントリ分析を実施中。原材料、製造、流通・施工、使用(居住環境)、廃棄(リサイクル等)の各段階での構成要素の確認と原単位の確認および調査を実施。この範囲でインベントリ分析に取組むのは初の試み。21年度末までに第一段階の統合化を図る予定。20年度内はカーボンフットプリントに注目、二酸化炭素排出量に絞り研究した経過報告を行う。
著者
松井 隆博 井上 弘一 中村 昇一 二川原 淳志 森 保 坂井 広志 鳥海 臣吾 山下 洋一 中尾 亮 松村 年郎 山口 博司 伊坪 徳宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.51-51, 2011

塩ビ壁紙が環境へどのような影響があるのかをLIME2によって評価を行った。影響カテゴリーとして地球温暖化と室内空気質汚染等を対象とした。温暖化については1次データにもとづく業界代表値インベントリーを作成し評価した。室内空気質汚染については、パッシブサンプラー法による壁紙の放散量試験を行い、ホルムアルデヒドの放散量からLIME2により人間健康への影響を試算した。
著者
岡林 昌彦 清水 公夫 森田 修己
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.179-188, 2001-02-10
参考文献数
17
被引用文献数
9 3

目的: 本研究の目的はカスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作にかかわる基準を提言することにある.<BR>方法: 9種類のシート材を用いて, 厚さ, 吸水性, 定荷重下における変形ならびに成形後のマウスガードの各部の厚さを評価した.<BR>結果: 1. 各製品ともにシート材は均一な厚さであった. 2. 吸水率は, D20 (Erkodur2.00mm) が最大で, F4 (Erkoflex4.00mm) が最小であり, Es (Essix) とPr (Pro-form) は同程度であった. 3. 定荷重による変形率は浸漬によってErkodurは増加し, Erkoflexは減少したが, EsとPrでは浸漬による影響は認められなかった. 4. 成形後の厚さは, すべての材料, 積層成形, 組合せ成形において減少し, Erkodur, Erkoflex, ErkoflexとErkodur, ならびにErkoflex間の組合せ成形では, 咬合面部が10~20%であり, 他の部位は30~46%であった. 一方, Es, Prでは口蓋側歯面正中部は2~4%であり, 他の部位は26~54%の範囲で減少した.<BR>結論: 本論文は, マウスガードシート材の吸水性, 浸漬による硬さへの影響ならびに成形後のマウスガード各部の厚さを定量的に明らかにし, カスタムメイドのラミネートマウスガードの設計, 製作に関する有用な示唆を与えている.
著者
丸井 淳己 則 のぞみ 榊 剛史 森 純一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

近年Twitterのユーザは様々な年代・コミュニティに渡るようになった。ユーザの背景によって単語の使い方が違うと考えられるため、本研究ではTwitterのコミュニティ毎に使用される単語の違いを調べた。よく会話をするユーザ群をコミュニティとしてユーザのグループ分けを行った。さらにニューラルネットワークから計算した単語の分散表現を用いて単語の使われ方の違いを見た。
著者
藤森 勝也 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.420-425, 1997-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
20
被引用文献数
4

postinfectious chronic cough, すなわちかぜ症候群後慢性咳漱の報告は, 欧米では散見されるが, 本邦では少ない。本症の診断基準 (アレルギー44, 1418, 1995) に合致する22例の病態と治療成績を検討した。全例非喫煙者で, ACE阻害薬を内服せず, アトピー歴がない症例とした。検討対象は, 男4例, 女18例, 年齢中央値は65歳であった。胸部単純X線写真, 呼吸機能検査, 末梢血好酸球数, 血清IgE値, 肺炎マイコプラズマ抗体価, 10例で得られた喀痰検査, 2例で実施した気管支粘膜生検像のいずれにも異常所見を認めなかった。20例で咳日記を用いて, 咳漱の治療経過を評価した。臭化水素酸デキストロメトルファン (D) とオキサトミド (O) による治療で10例が軽快した。1例は脱落例で, 残り9例中, 3例は麦門冬湯 (B) 単独で, 4例はD+O+Bで, 2例はD+O+B+塩酸オザグレルで軽快した。本症は日常診療において重要であり, 標準治療の確立が必要であろう。
著者
多湖 ゆかり 森兼 啓太
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.174-179, 2015 (Released:2015-08-05)
参考文献数
4
被引用文献数
1

透析患者の予後に大きく影響する透析関連感染の実態を明らかにし,感染率を低減させるために,実施したサーベイランスと並行して実施した介入を評価した.サーベイランス開始当初9ヶ月における短期留置カテーテル感染率は1000透析日あたり48.61であり,研究会の感染率(同14.55)に比較して有意に高いことがわかった.そこで,カテーテル挿入時のマキシマルバリアプリコーションの実施率の向上,教育など多面的なアプローチを行い,さらに長期留置カテーテルを導入した.長期留置カテーテル導入前(2010年7月~2012年6月)と導入後(2012年7月~2013年6月)の感染率を比較すると,33.40から9.20に低減し(p=0.05),研究会の同時期の感染率8.21と比較しても遜色ない値となった.また,短期留置カテーテルの平均留置日数も若干短縮した.これらの効果の検証に際しサーベイランスは有効であり,そのデータに基づき実施した介入は効果的であったと考える.
著者
森 豪
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. A, 教養関係論文集 (ISSN:03870804)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.15-22, 1979-03-31

アディソンは, ロンギノスのOn the Sublimeの第三十五節を基盤にして想像力論の中心的部分を形成した。同じくロンギノスの影響を受けたデニスが, 宗教的, 感情的側面を継承したのに対し, アディソンは美学的側面を発展させている。そして自然界へ目を向けることによってロンギノス以来の自然思想に新たな局面を切り開いたことは, アディソンの最大の功績の一つである。