- 著者
 
          - 
             
             森田 恵美子
             
             海津 嘉蔵
             
             瓜生 康平
             
             江藤 澄哉
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 産業医科大学学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.12, no.2, pp.197-205, 1990-06-01 
 
          
          
          
        
        
        
        糖尿病における尿細管障害の有無を臨床的に検討するために, 外来患者102例(A群)の空腹時来院時尿および入院患者23例(B群)の24時間蓄尿の尿中酵素(NAG, ALP, LAP, γ-GTP)を測定し, 各種検査項目との関連性を検討した. その結果, 1)A群の尿中酵素では, NAG高値例が42.2%と最も多かった. 重回帰分析の結果, NAGはHbAlc, 年齢, 尿蛋白と, 他の3酵素は尿中β2-microglobulinとの関連が認められた. 2)B群では, 87%がNAG高値であるのに比し, 他の3酵素の上昇例は少なく, ほとんどが腎症合併例であった. また, ALP, LAP, γ-GTPには互いに相関が認められたが, NAGと他の3酵素間には相関がなかった. 糖尿病におけるNAG上昇は, その局在性より糸球体上皮細胞と近位尿細管上皮細胞のlysosomal dysfunctionを反映し, ALP, LAP, γ-GTP上昇は腎症による尿細管障害, 即ちbrushborderdamageを反映していると推察された.(1990年2月15日 受付, 1990年3月9日 受理)