著者
武田 富美子 當間 孝子 金城 直美 宮城 一郎 佐藤 良也
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.163-168, 2002
参考文献数
13
被引用文献数
1

The study was carried out in central mainland Okinawa to determine the mite densities and fauna in four hospitals. One hundred and twenty-seven dust samples were collected from the floor and bedding in the hospitals in May, August and November 1996, and February 1997. The average number of mites was 30.9/m^2 for the floor and 180.0/m^2 for bedding. There was significant difference in the mite number between the floor and bedding. The genus Dermatophagoides predominated at the rate of 89.6%. In 29 out of 127 samples, Dermatophagoides farinae was more abundant than D. pteronyssinus. Blomia tropicalis was found in low frequency and in small numbers in the hospitals. Five Sarcoptes scabiei were found from a mattress and blanket in a patients room. This species was also found from a mattress and futon in the rest room for hospital staff.
著者
小貫 泰志 武田 秀和 大枝 泰彰 北川 淳 丸山 剛生 中原 凱文
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.109-114, 2004-08-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1

我が国の65歳以上人口は2003年9月時点で総人口の19%であり,2015年には26.0%にのぼると予測されている.この高齢者人口の増加の影響は平均寿命の長命化の影響を受け,日常生活動作(Activity of daily living:ADL)水準の低い要介護度4や5などの,重度な介護を必要とする被介護者や,寝たきりの被介護者の増加につながると思われる.また,現在の高齢障害者の介護形態は,在宅療養の充実を目的とした事業展開を推進し,施設介護から在宅介護に移行していく方向にあるが,実際は,要介護度4,5の被介護者の半数以上が介護老人保健施設や特別養護老人ホーム等で介護を受けている状況である.さらに,家族による在宅介護能力を人口比率から見ると,65歳〜84歳の高齢者1人当りの成人介護適齢期女性(娘や嫁)の人口比率は,少子高齢化のために,1990年の1.298人から2005年には世界最低水準の0.77人,2015には0.588人と半減する.そのため,重度な介護を必要とする被介護者は在宅介護では限界をきたし,介護施設への入居が圧倒的に多くなることが予想できる.
著者
新田 祐子 鈴木 竜太 野宮 博子 井上 麻美 萩原 良治 岡 亨治 武田 利兵衛 中村 博彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E0723, 2008

【はじめに】脳卒中片麻痺患者において、より高位の移動手段を獲得することは、QOL拡大に必要不可欠である。しかし、立位や歩行時に足趾の筋緊張が亢進し屈曲変形をおこす患者も少なくない。これにより、足尖部への荷重が生じ疼痛が誘発され、歩行時の疼痛や歩行能力を低下させる要因になっていると考えられる。この屈曲変形の抑制により、裸足歩行で趾腹接地となり疼痛抑制し、足趾の正常なアライメントに整えることで安定性が増し、歩行能力拡大へつながるのではないかと考えた。claw toe を呈している脳卒中患者に、前足部のみの足趾伸展・外転装具(以下、簡易装具)を作製・使用することで、良好な結果を得られた。今回抄録では一症例を示す。<BR>【症例A】左被殻出血の30代女性、趣味は温泉や旅行。Br.stageは上肢・手指2、下肢3、表在・深部覚共に重度鈍麻。裸足歩行時、遊脚期にてclaw toe(MAS:3)、内反尖足出現し、足尖外側接地となる。自重ではclaw toe抑制困難であり、足尖部に疼痛出現。移動はプラスチック製AFOを使用し、屋内T-cane歩行自立、屋外は車椅子併用。ADLは入浴・階段以外自立レベル。<BR>【装具検討】裸足での長距離・長時間歩行は、claw toeにより生じる足尖部痛のため困難であった。歩行速度向上には背屈を可能にし、歩幅増大を図ることが必要であった。また、本人の希望もあり、より軽量かつ簡易的で温泉で使用可能な装具を検討した。これらを考慮し、市販の足趾パッドを使用し片手で着脱可能な簡易装具を作成した。<BR>【結果】簡易装具装着により立脚期のclaw toeが抑制され、前足部での接地へと変化し疼痛が軽減した。また、前足部接地になったことで自重により内反も抑制されやすくなった。10m歩行では、簡易装具は裸足よりも歩行速度と重複歩距離で増加が見られた。退院後、簡易装具使用によりclaw toeが減弱し疼痛は消失。歩行のしやすさなどの主観的変化も大きく改善し、趣味であった温泉にも足を運ぶことができたようで、QOL向上につながった。現在では装具使用せず歩行している。<BR>【考察・まとめ】足趾の運動時筋緊張が高く足趾変形が出現する脳卒中片麻痺患者に、簡易装具を使用したことで、足趾の伸展・外転筋を持続的に伸張することとなり、痙性抑制効果が得られ、claw toeも抑制されたと考えられる。また、足趾を伸展位に固定したことで、疼痛が軽減され、足趾の接地・荷重が簡易装具を介して可能となった。これにより、足底の支持面積が増加し足趾のアライメントが矯正されたと考えられる。その結果、歩行速度の向上がみられ、主観的変化も大きく改善し、退院後自宅内で日常的に使用し、裸足に近い状況での歩行が獲得されたと考えられる。このような症例では、歩行能力・QOL向上に有用と考えられる。今後、症例数を重ね有用性・妥当性の検討を行いたい。<BR>
著者
武田 尚子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.393-408, 1999-12-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本稿はマニラへの漁業移民を送出した明治30年代の漁業部落を取り上げ, 部落内の社会構造が移民送出を継続する方向に再編成され, 地域のアイデンティティが形成されていく過程を明らかにする。従来分析されてきた漁業集落は定置漁業を営んでいる場合が多く, 村落内の機能組織を核として, 村落の再編成が進んだことが明らかにされている。しかし, この事例で分析した部落は沖合化の傾向を持っているため, そのような経過はたどらなかった。機能組織 (漁業組合) が形成されて間もないこの時期, 県レベルと村落レベルの機能組織には乖離がみられた。マニラへの移民送出は県レベルの機能組織の動きと関連していた。この部落のリーダーの保有するネットワークの性格が, 県レベルと村落レベルの機能組織の乖離を敏感にキャッチすることを可能にし, 移民送出の端緒を開くことにつながったのである。また, 村内の他部落と漁業におけるイニシアティブを争う動きもみられたが, これも漁業関係の機能組織の二元的な構成と関連している。機能組織の二元的な構成は国や県の施策の影響を受けたものであった。部落が歴史的に培ってきた漁業の伝統はこのような国や県の漁業方針と連動して独特の展開を遂げ, 地域社会を再編成するダイナミズムを生みだし, 個性的な地域社会が形成されていったのである。
著者
内田 悠介 枝廣 育実 水野 恒史 高橋 弘充 大野 雅功 北口 貴雄 勝田 隼一郎 幅田 翔 大橋 礼恵 岡田 千穂 内田 和海 渡辺 伸 深沢 泰司 伊藤 真義 武田 伸一郎 田島 宏康 湯浅 孝行 他HXI/SGDチーム 太田 方之 林 克洋 小高 裕和 一戸 悠人 米田 浩基 都丸 亮太 高橋 忠幸
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.373, 2016

<p>2016年2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」に搭載された軟ガンマ線検出器(SGD)の主検出器はコンプトンカメラである。これまでに、実験による性能評価の一方で、シミュレーションによる検出器応答の作成が行われた。検出器の応答は、バックグラウンドや入射光子の偏光の影響を受ける。2015年11月に行われたSPring-8偏光ビーム試験の結果を含めて、本講演ではSGDコンプトンカメラの検出器応答について報告する。</p>
著者
武田 泰輔 岡田 早苗 小崎 道雄
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.642-648, 1984
被引用文献数
1 4

穀類粉のなかの,小麦粉による発酵生地の代表的食品であるパンにおいて,乳酸菌がどのような働きをしているかを究明する実験によって,以下の結果が得られた。<BR>(1) 製パン工場の食パン生地及びバターロール生地中の酵母と乳酸菌の菌数を計測した結果,4時間の発酵過程中に酵母は生地1g当たり10<SUP>8</SUP>個のオーダーで,乳酸菌は生地1g当たり10<SUP>6</SUP>個のオーダーで存在することを認めた。<BR>(2) この乳酸菌の主たる由来を原材料中の生イースト及びドライイーストに求め,これら13試料について乳酸菌数を計測した。その結果,生イースト7試料については製品1g当たり10<SUP>8</SUP>~10<SUP>10</SUP>個のオーダーで,またドライイースト6試料(うち2試料は国産,4試料は欧米よりの輸入品)については製品1g当たり10<SUP>2</SUP>~10<SUP>6</SUP>個のオーダーで存在していた。<BR>(3) 上述の各試料より総計81株の乳酸菌を分離取得し,形態,発酵タイプ等の特徴から各試料に優勢を占める株を代表株として計15株を選び詳細な同定試験を行ってBERGEY'S MANUAL第8版に照合し種名を決定した。<BR>(4) その結果,パン生地からはLactobacillus planta-rum, L. casei,生イースト及びドライイースからは,L. plantarum, L. casei, L. brevis, L. cellobiosus,及びBacillus coagulans系統の乳酸菌が同定された。これらは,発酵性糖を高濃度に含む植物質の発酵液などによく見られるタイプである。<BR>(5) これら分離乳酸菌が,増殖のない状況下でどの程度の生物活動をし得るかを調べた。パン生地と生イーストから分離した代表株9株について,3%ブドウ糖を含むGYP液体培地に,1ml当たり菌数が10<SUP>8</SUP>~10<SUP>9</SUP>個となるように多量の菌体を接種して48時間培養後,その乳酸生成量を測定した結果,いずれの乳酸菌株も,多い少いの差はあるが,すべて乳酸を生産した。このことから,これら乳酸菌は,生地中の分裂増殖がない状況下でも何らかの活動をするものと考えられる。よってパン生地発酵過程中で,乳酸菌は生地やパンの品質,味覚等に何らかの影響を及ぼしているものと考えた。<BR>(6) 研究室の実験規模で,酵母と乳酸菌をそれぞれ別々に純粋培養し,酵母だけで生地発酵して焼いたパンと,酵母と乳酸菌を混合して生地発酵して焼いたパンとで風味等を比較した結果,前者はいわゆる酵母臭があったのに対し,後者ではそれが消失することや,生地の伸展性が良好になるなど,両者間に差があることを認めた。<BR>(7) 以上のことから,培養酵母を添加して造る通常のパン生地発酵には,乳酸菌も関与しており,パンの品質や味覚などに何らかの好ましい影響を与えていると考えられる。従って,旧来の自然発酵生地(パン種)中の固有の乳酸菌を究明し,パン製造に適した優良な乳酸菌を見つけ出して,今日のパンの品質や味覚等の向上改善をはかることが,可能であると考える。
著者
武田 元一郎
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
大日本耳鼻咽喉科會會報 (ISSN:2186814X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.72-84, 1925

以上胎兒ニ就テ觀察シ興味アリト思フ所ヲ摘要スルコト左ノ如シ。<br>(一)後鼻中隔動脈ト前及ビ後篩骨動脈トノ間ニハ其大サ及ビ分布域ニ關シテ一定ノ代償的關係存在ス、即兩者ノ内何レカ弱小ナル時ハ他者強大ニシテ之ヲ補フ。此關係ハ亦前及ビ後篩骨動脈間ニモ存在ス。<br>(二)キーセルバッハ氏部位ニ於テハ後方ヨリ後鼻中隔動脈、上方ヨリ前篩骨動脈、下方ヨリ前鼻中隔動脈來リ分枝吻合ス。此部ノ靜脈存在ノ密度ハ鼻中隔上半ニ於ルヨリハ少シ<br>(三)鼻中隔ニ於テ腫脹體ノ存在ヲ認メズ。<br>(四)下甲介ニ於テ著シキ動脈環ヲ認ム。<br>(五)鼻腔粘膜ノ靜脈殊ニ前方大部分ノ靜脈ハ外壁ニ於テ下甲介ノ前端ノ附近ニ集合シ一幹トナリ(鼻顏面靜脈)骨性梨子状孔外縁ヲ迂リテ前顏面靜脈ニ注グ。<br>(六)鼻腔粘膜ニ於ル靜脈ハ中隔ニ於テハ上方ニ密ニ下方ニ粗ナリ。外壁ニ於テハ之ニ反シ上方粗ニシテ下方ニ密ナリ。<br>(七)盲孔ニヨリ、頭蓋腔靜脈ノ鼻腔靜脈トノ直接ノ交通ヲ認メズ、唯外鼻血管トノ交通ヲ認ムルノミ。<br>(八)腫脹體ハ八ケ月半バ以後ノ胎兒ニ之ヲ認ム、腫脹體發生以前ノ胎兒ニ於テ下甲介ニ於テ粗大ナル靜脈ハ矢状ニ前後ニ經過ス。
著者
武田 京子 笹原 裕子 松葉口 玲子
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.256-268, 2005-12-25 (Released:2017-08-04)

In child care institutions, it is essential to create an environment in which there is no gender bias in order for children to develop their own gender identity naturally. Parents or kindergarten teachers' intentional and unintentional influences can cause distortion of an infant's personality and intention. An infant doesn't recognize his/her gender identity clearly when he/she enters kindergarten, although the child has probably been influenced by parents and mass-media already. Birth order, family life and TV programs often affect gender identity. An infant recognizes and accepts his/her gender identity in the process of forming that identity through experiences with the same age friends. The author realized that it is the best way for this research to grasp the situation of an infant's individual process of forming his/her own identity in detail. An infant's gender identity develops as a reflection of the gender view held by people in his/her surroundings. Therefore parents and teachers should be made aware of this and create an open environment that avoids gender bias.
著者
武田 浩輝
出版者
日本豚病研究会
雑誌
日本豚病研究会報 (ISSN:09143017)
巻号頁・発行日
no.65, pp.41-43, 2015-02

平成26年5月20日東北地方の一貫生産農場において豚流行性下痢(PED)の発生を経験した。このPEDの発生に関し、農場管理獣医師として農場主と協議し、獣医師としての責任の下、農場内におけるすべてのPEDの対応に関する委任を受け、農場内において陣頭指揮を執り、管内の家畜保健衛生所との連携、発症時の農場内における初動対応および発症後の管理指導、計画的自然感染(馴致)等を実施した。PED発生による哺乳子豚の死亡は10日間でほぼ終息し、6月13日以降、下痢や食欲不振などのPEDの臨床症状および死亡が確認されず、6月26日に家畜保健衛生所より豚および物品の移動自粛の解除の通知を受けたので、この事例に関して報告をする。
著者
武田 知己
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.200, pp.200_7-200_22, 2020

<p>Japanese diplomacy is often regarded as a diplomacy without grand strategy. This paper doesn't see it that way. The paper finds Japanese diplomacy rich in strategies. In general, a strategy is to make through the interaction between the international perception and identity. The paper focuses on the idea of Japanese Bridge-Building Diplomacy among many and discusses how the idea was coined and shows it had undergone various vicissitudes until the 1950s.</p><p>An early 20th century version of Bridge-Building strategy was coined by Shigenobu Okuma under the name of Fusion of East and West Civilizations. In his theory the Western civilization reached the United States and the Eastern civilization reached Japan and these two civilizations came into contact with the Perry's arrival to Yokohama Bay in the middle of 19<sup>th</sup> century. The Japanese with this miraculous encounter, in Okuma's theory, had a vocation to bring Western superior civilization to the East. This idea was translated into Japanese China policy and inherited by the Ministry of Foreign Affairs and such leaders of the ministry as Shigeru Yoshida and Mamoru Shigemitsu. Although the idea was fully performed neither in the early 20<sup>th</sup> century and in the 1950s, this paper shows the possibilities of the revival of the strategy in the coming era of the US-China confrontation in the 21th century and argues the value of inheriting the idea of Bridge Building Strategy as "unfinished self-portrait" of Japanese Diplomacy is eminent.</p>