著者
武田 裕吾 武田 はるか 渡邉 菜月 楊箸 隆哉 古川 勉寛
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.369-373, 2020
被引用文献数
1

<p>While there are reports on the reliability of the universal goniometer (UG) and smartphone application goniometer (SG), there have been no reports on user impressions when using these devices. In this study, impressions of users of UG and SG that are used in clinical practice were clarified and reliability was compared. Questionnaires on user impressions were administered to 13 staff members who work in the clinical field. Measurements in the hip and knee joints of seven participants were taken by three testers, and intraclass correlation coefficients (ICC) were obtained to assess reliability. Results showed that SG was superior in terms of appearance, weight, texture, portability, usability, versatility and readout. SG was inferior in terms of setting up measurement axes. However, SG demonstrated high reliability even when compared to UG. The intra-and inter-rater ICC were 0.51 to 0.89 and 0.65 to 0.75, respectively.</p>
著者
田邉 和孝 杉本 真一 久保田 豊成 久保田 恵子 影山 詔一 高村 通生 小川 晃平 武田 啓志 橋本 幸直 徳家 敦夫
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.92-99, 2014-02-01 (Released:2014-02-11)
参考文献数
49

症例は47歳の男性で,前日からの腹痛の増悪,嘔吐の出現,意識レベル低下にて救急搬送となった.来院時,意識レベルIII-200(JCS),血圧測定不能,血液ガス検査で代謝性アシドーシス認め,ショック状態であった.腹部造影CTにて腹腔内に多量の遊離ガスと腹水を認め,肝臓と腎臓実質の造影効果は不良であった.消化管穿孔に起因するショック状態と診断し,緊急開腹手術を施行した.多量の汚染腹水,遊離ガス,食物残渣を認め,肝臓は虚血性変化を呈していた.胃底部から体部前壁に壊死を伴う破裂部を認めたため,胃全摘術を施行した.成人の特発性胃破裂はまれであり,過食などによる胃拡張状態に,嘔吐などに伴う胃内圧の急激な上昇や,あるいは胃壁の血流障害に伴う壊死が原因とされている.破裂孔が大きいため,胃内容物の腹腔内流出量が多く,腹部コンパートメント症候群を呈し重症化することがあり,一般的に予後不良とされている.

1 0 0 0 OA Voice Tremor

著者
幸田 純治 武田 直也 堀 洋二
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.Supplement61, pp.84-90, 1993-04-15 (Released:2012-11-27)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

Voice tremor has been associated with neurological disorders such as essential tremor, Parkinson's disease, cerebellar ataxia. Voice tremor most commonly accompanies essen- tial tremor which is a common neurologic disorder that is often an autosomal dominant trait. It may appear in childhood or later life and runs a slowly progressive course.Voice tremor is characterized by rhythmic alternations in pitch and loudness of vowel sounds, and is usually accompanied by tremor in other parts of the body. The frequency ranges from 4 to 8 Hz. Physiological lesions or mechanisms of voice tremor have not been throughly studied. Essential voice tremor can resemble spasmodic dysphonia, therefore differentiation between essential voice tremor and spasmodic dysphonia must be made. Laryngoscopy and laryngeal electromyography are useful for diagnosis.Currently available therapies for voice tremor are not satisfactory, however propranolol is most commonly used.
著者
武田 広道 高取 克彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.379-386, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
35

【目的】要支援・要介護高齢者の身体活動量とアパシーの関連を明らかにすること。【方法】要支援・要介護高齢者65 名に対して,Physical activity scale for the elderly(以下,PASE),アパシー,Health locus of control(以下,HLC),主観的健康感,Short physical performance battery(以下,SPPB)の評価を行った。統計解析ではPASE を三分位し低・中等度・高身体活動群として,各変数の3 群間比較を行った。またPASE と各評価項目の関連について重回帰分析を行った。【結果】高身体活動群と比較し,低身体活動群でアパシースコア,HLC 尺度,SPPB の4 m 歩行時間実測値で有意に悪い値となっていた。また,重回帰分析では,アパシースコアと4 m 歩行時間が抽出された。【結論】要支援・要介護高齢者の身体活動量には,アパシーと歩行速度で関連が認められた。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
木原 健 武田 裕司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

怒りを感じていても作り笑いを浮かべるなど、我々は頻繁に本当の感情とは異なる表情を作っている。また、そのような偽りの表情を本当の表情と区別することもできる。しかし、その区別にどのような視覚情報を利用しているかは不明である。表情の認識には空間周波数情報が重要であることから、それが偽り表情の認識にも関与している可能性がある。これを検討するため、低・高空間周波数(LSF・HSF)情報で構成された顔画像の表情の強さを変化させて、教示された表情の作成を求める実験を行った。表情の強さは、明確な笑顔(+10)から明確な怒り顔(-10)まで21段階に変化できた。教示された表情は、本当の笑顔、本当の怒り顔、怒りを偽った笑顔、笑いを偽った怒り顔の4種類があった。実験の結果、偽りの笑顔はLSFが中立表情、HSFが弱い笑顔で構成されることが分かった。これは、LSFとHSFの表情の違いを利用して偽りの笑顔を認識していることを示唆する。
著者
武田 直人 関谷 栄 礒沼 弘 内藤 俊夫 津田 恭彦 江部 司 松本 孝夫 渡邉 一功
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.828-833, 2000-10-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
17
被引用文献数
2

健康成人に発症したサイトメガロウイルス (CMV) 肝炎の臨床的特徴をEpstein-Barrウイルス (EBV) 肝炎と比較検討することによって明らかにした. 当科における最近5年間の統計ではCMV肝炎の増加傾向がみられるEBV肝炎と比べCMV肝炎は有意に発症年齢が高く, リンパ節腫脹, 咽頭痛, 咳嗽の出現頻度は有意に少なかった. 白血球数, 異型リンパ球数, GOT, GPT, LDH, CRPに関してはEBV肝炎とCMV肝炎の間に有意差を認めなかった.
著者
武田 昂樹 中川 朋 山田 晃正 小西 健 奥山 正樹 西嶌 準一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1314-1319, 2015 (Released:2015-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

症例は40歳台,男性.201X年2月,1週間来の腹痛と嘔吐の増悪を主訴に当院を受診.来院時,腹部全体の圧痛・反跳痛を認めた.腹部X線画像で上行結腸周囲に多数の点状石灰化像を認めた.小腸niveau像を認めたが,free airは認めなかった.腹部造影CT検査では,右結腸静脈の石灰化に加え,上行結腸の腸管壁の造影不良と壁肥厚を認めたため,腸管壊死と診断して,緊急開腹手術を行った.開腹時所見では,上行結腸から横行結腸の中央部に腸管壊死を認め,結腸部分切除を行った.病理検査では,粘膜面の潰瘍形成,静脈血管壁の石灰化と上行結腸粘膜下層の広範な線維化領域を認め,特発性腸間膜静脈硬化症による虚血性大腸炎と診断した.術後経過は良好で,術後16病日に退院となった.本症例は10年以上の漢方薬(梔子柏皮湯®)の服用歴があり,病因との関連性が示唆された.現在,漢方薬内服を中止して経過観察中である.
著者
武田 尚子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.393-408, 1999

本稿はマニラへの漁業移民を送出した明治30年代の漁業部落を取り上げ, 部落内の社会構造が移民送出を継続する方向に再編成され, 地域のアイデンティティが形成されていく過程を明らかにする。従来分析されてきた漁業集落は定置漁業を営んでいる場合が多く, 村落内の機能組織を核として, 村落の再編成が進んだことが明らかにされている。しかし, この事例で分析した部落は沖合化の傾向を持っているため, そのような経過はたどらなかった。機能組織 (漁業組合) が形成されて間もないこの時期, 県レベルと村落レベルの機能組織には乖離がみられた。マニラへの移民送出は県レベルの機能組織の動きと関連していた。この部落のリーダーの保有するネットワークの性格が, 県レベルと村落レベルの機能組織の乖離を敏感にキャッチすることを可能にし, 移民送出の端緒を開くことにつながったのである。また, 村内の他部落と漁業におけるイニシアティブを争う動きもみられたが, これも漁業関係の機能組織の二元的な構成と関連している。機能組織の二元的な構成は国や県の施策の影響を受けたものであった。部落が歴史的に培ってきた漁業の伝統はこのような国や県の漁業方針と連動して独特の展開を遂げ, 地域社会を再編成するダイナミズムを生みだし, 個性的な地域社会が形成されていったのである。
著者
夏秋 優 武田 裕美子 矢野 倫子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.255-259, 2000-09-20
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

顔面の皮疹に対して紫雲膏, 太乙膏を外用していたところ, 激しい皮膚炎を生じた50歳の女性症例を報告した。皮膚炎はステロイド療法にて約2週間で略治し, 以後, 再発を認めていない。パッチテストの結果, 紫雲膏, 太乙膏, およびそれらの成分である紫根とミツロウで陽性反応を認めた。このことから, 自験例はこれらの外用剤によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。漢方外用薬による接触皮膚炎は少ないものの, 使用中に皮膚症状が悪化した場合はその外用剤による接触皮膚炎を疑う必要がある。
著者
武田 一郎 世古 春香
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
no.134, pp.65-78, 2019-03
著者
武田 寛生
出版者
静岡県埋蔵文化財センター
雑誌
静岡県埋蔵文化財センター 研究紀要 第2号
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-12, 2013-06-28

古代の寺院跡や瓦窯の発掘調査で、最も多く出土する瓦は平瓦と丸瓦である。しかし、静岡県における古代瓦の研究は、軒丸瓦・軒平瓦を対象とするものが主流であり、近年資料数が増加しているにも関わらず、平瓦と丸瓦に関しては、未だ不明な点が多く残されている。本稿では、県西部にあたる遠江から出土した平瓦と丸瓦を対象に、製作技法などから分類を行い、その年代や分布の特徴を明らかにした。
著者
成田 正直 阪本 正博 秋野 雅樹 武田 忠明 今村 琢磨 飯田 訓之
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.277-283, 2011-07-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

2009年度における北海道のホタテガイの生産量は44万9千トン、生産金額は476億円で、これは北海道の魚種別生産量の約3割、生産額の約2割を占める.ホタテガイは1970年代に天然採苗技術や中間育成技術が確立され、その後、オホーツク海での地まき放流の拡大などにより、生産を増大させてきた.しかし、生産量の増大とともに価格は低下し、1990年代前半から低迷している(図1). ホタテガイの主な加工品目は冷凍貝柱、生鮮貝柱、ボイル冷凍、乾貝柱で(図2)、生産量の割に加工品の種類が少ないことが、魚価低迷の一因とされる.特に冷凍貝柱と生鮮貝柱への仕向け割合が高く(66%)、これらのアメリカ向けを中心とした輸出がホタテガイ価格の底支えを行っている. 北海道立総合研究機構水産研究本部(旧北海道立水産試験場)では、ホタテガイの付加価値向上と需要拡大を図るため、これまで多くの技術開発を行ってきた.この中では、生鮮貝柱の高鮮度流通技術の開発や乾貝柱の品質向上技術など既存製品の高品質化、生産の効率化とともに、新たな製品の企画、開発を行ってきた.その中で、最近製品化されたものとして、ホタテガイ貝柱フレーク(以下、貝柱フレーク)とホタテガイ貝柱の飯寿し(以下、ホタテ飯寿し)がある.本稿では、これら新規製品の基本的製法の確立、技術的改良から、企業移転を図るまでの経過を紹介する.