著者
武藤 世良
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15011, (Released:2016-01-15)
参考文献数
17
被引用文献数
2 6

This study examined the action tendencies of respect-related emotions in Japanese university students. Participants (n = 405) randomly received a questionnaire about one of six respect-related emotions: (a) keiai (respect mingled with mild love); (b) shinsui (idolatry, worship, and adoration); (c) ifu (awe mingled with fear); (d) kanshin (admiration); (e) kyotan (wonder); and (f) sonkei (respect proper) and were asked to recall a situation they felt the emotion. Next, they rated how much they felt like doing the respect-related (intrapersonal or interpersonal) actions in the situation. Statistical analysis revealed several action tendencies of respect-related emotions, however, the degree of each differed between the prototypical episodes of the emotions (a)–(e). The action tendency pattern of sonkei was most similar to that of keiai, therefore keiai could be considered as the prototypical feeling of sonkei in university students. Furthermore, almost all the respect-related emotions tended to strongly motivate willingness for self-correction and improvement. These findings suggest that respect-related emotions play an important role in self-improvement and building good relationships with superiors, at least in late adolescence.
著者
栗田 大輔 武藤 昱 姫野 俵太
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.465-471, 2008-07-01 (Released:2011-04-14)
参考文献数
41

タンパク質合成の場であるリボソームは,3種類のRNAと50種類以上のタンパク質からなる分子量250万もの巨大な複合体であることから,構造解析は困難と考えられてきたが,今世紀に入り相次いで高分解能の結晶構造が報告された.最近では,tRNAをはじめ各種翻訳因子とリボソームとの複合体の構造も報告されるようになり,その中から“タンパク質がtRNAを分子擬態する”という新しい概念が生まれた.ここでは,トランス・トランスレーションと呼ばれる変則的な翻訳システムとその主役であるtmRNAに焦点を当て,これまでにない新しい“分子擬態”について紹介する.
著者
有川 智子 眞鍋 治彦 久米 克介 加藤 治子 武藤 官大 武藤 佑理
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.15-0010, (Released:2017-05-26)
参考文献数
11

静脈穿刺による末梢神経障害は,時に痛みや感覚障害が長期に持続し,治療に難渋する.静脈穿刺に伴う末梢神経障害で受診した16例について,症例の背景,穿刺部位,症状,治療経過を診療記録より後ろ向きに検討した.対象は,女性14例,男性2例,21~79歳.穿刺部位は,肘皮静脈11例(正中5例,橈側4例,尺側2例),橈側皮静脈3例,前腕尺側静脈2例であり,初診時に14例が痛み,2例が違和感を訴えた.握力低下10例,アロディニア6例,冷覚鈍麻6例,腫脹3例,血腫2例があった.治療は薬物療法を13例,リドカイン点滴を8例,星状神経節ブロックを4例,持続硬膜外ブロックを2例で行った.転帰は軽快10例,治療中4例,転院2例であった.今回の調査では,静脈穿刺による末梢神経障害は報告が少ない肘部橈側静脈でも発生していた.末梢神経と静脈の走行と神経損傷の知識の普及が重要である一方,どの部位でも起こりうることから,末梢神経障害を疑った場合にはただちに抜針・止血し,早期より治療を開始するよう啓発する必要がある.
著者
武藤 大司
出版者
プール学院大学
雑誌
プール学院大学研究紀要 (ISSN:13426028)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.149-163, 2013-12

An investigation by the Japanese Supreme Court has shown that unethical and criminal acts by legal guardians of both children and adults have been increasing. This study reports on the conditions and factors related to unethical and criminal acts by legal guardians. Specifically the study identifies ten factors from a case analysis of the Tokyo Family Court Guardian Center. The analysis shows that the time between a court decision to place a child or adult under a guardian and when the guardianship began was critical and seems to indicate that cultivating and supporting the values and ethics of professional guardians is important to ensure that the children and adults get good care from the guardians.
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 淳 岡本 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.363-371, 1965-10-25

アカマツ、12母樹と8産地およびクロマツ、4産地の種子を施肥量の異なる播種床に直播し、幼苗の生長を調査した。播種床には120×120×18(cm)3の木製枠を用い、底にビニール・シートをしき、放射線育種場構内のアカマツ林地のB層の土壊をつめた。肥料は化成肥料(魯スーパー1号)を使用し、1m2あたり、それぞれ600、300、150および0gを元肥として施肥した。播種約5ヵ月後、幼苗を地際から切りとり、胚軸長、上胚軸長、地上部乾重を測定した。これらの測定値から幼苗単位の平均値を計算し、分散分析をした。母樹別種子のOK・アカマツでは上胚軸長、乾物重について、播種密度、施肥量ともに有意であった。さらに、母樹と施肥量との間に有意な交互作用があった。また産地別種子のProv.アカマツでも上胚軸長、乾物重について、産地と施肥量との間に有意な交互作用があった。しかし、胚軸長については、両アカマツ群とも母樹または産地と施肥量との間の交互作用は有意でなかった。クロマツではいずれの生長形質においても産地と施肥量との交互作用はなかった。これらは直播した幼苗での結果なので、これらの生長反応と樋子重との関係を検討した。胚軸長、上胚軸長および乾物重について、各処理区ごとの繰返し区の平均値と同区内の各子供集団平均値との回帰直線を計算した。この母樹別、産地別の子供集団の回帰係数は各子供集団の肥料反応をしめすものと考えられ、回帰係数が大きいほど肥料に対し鋭敏に反応するとしてよい。そして、回帰係数の信頼限界が互いに重複しない子供集団があった。各子供集団の胚軸長、上胚軸長および乾物重の肥料反応をしめす回帰係数とそれぞれの種子1、000粒重との回帰直線を計算し、回帰係数の検定をしたところ、OK・アカマツの胚軸長および乾物重にのみ種子重が有意にはたらいたことが判り、上胚軸長にみられる母樹、または産地と施肥量間の交互作用には遺伝的な要因が関与しているものと推定される。
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 惇 岡本 敬三
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.438-443, 1965

約180本/0.1haからなる17年生のスギ人工林において,大,中および小直経級別に,それぞれ, 5本ずつの母樹をえらび, 1963年秋に採種した。この種子を施肥量のちがう播種床に直播し,幼苗の生長を調査した。肥料は化成肥料(〓スーパー1号)を使用し, 1m<sup>2</sup>あたり,それぞれ, 600, 300, 150 および0gr の4段階とした。播種床には120×120×18(cm)<sup>3</sup>の木製木枠を用い,底にビニールシートをしいた。この木粋に関東ロームのやせた土をつめた。播種は線密度とし,長さ50cm, 列間, 6cm, 幅1cm, 深さ約 0.5cm の播種溝に,それぞれ,200粒,100粒および50粒の3段階とし, 4回の繰返区をもうけた。播種約6カ月後,幼苗を地際から切りとり,笛高と地上部乾物重とを測定した。各処理別に発芽率のちがい,または,その他の原因により生存数にちがいがあったので,各繰返し区ごとに密度補正をした。すなわち,母樹別,施肥量別に,乾物重は各繰返し区の生存本数とその平均乾物重の対数とで,また,苗高は各繰返し区の生存本数とその平均苗高とにより回帰直線を計算し,それぞれの回帰直線を用いて50cmの播種溝あたり100, 50および25本の生存数について,平均乾物重,平均苗高の補正値を算出した。施肥量,生存密度の組合せで12の処理区があり,その各処理区に15母樹の実生集団がはいっている。平均乾物重および平均病高について,施肥量,生存密度の組合せの 12処理区のそれぞれの総平均値に対する各処理区内の母樹別平均値を対応させた回帰直線を15母樹について計算した。この回帰係数は母樹別幼苗集団の肥料反応をしめすものと考えられ,回帰係数が大きいほど施肥効率が良いと推定される。直経級別により施肥効率をしめす回帰係数には明らかな関係はないようである。しかし,母樹別には,乾物重,苗高の回帰係数には95%の信頼度でその信頼限界が重複しないものがあった。直播幼苗での生長調査であるため,種子重との関係を,母樹別1,000粒重と母樹別の平均乾物重,平均苗高それぞれの肥料反応をしめす回帰係数との相関を計算し,その回帰係数の有意性を検定したところ,いずれの場合も有意でなかった。
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 淳 岡本 敬三
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.363-371, 1965

アカマツ, 12母樹と8産地およびクロマツ, 4産地の種子を施肥量の異なる播種床に直播し,幼苗の生長を調査した。播種床には 120×120×18(cm)<sup>3</sup>の木製枠を用い,底にビニール・シートをしき,放射線有種場構内のアカマツ林地のB層の土壊をつめた。肥料は化成肥料(〓スーパー1号) を使用し, 1m<sup>2</sup> あたり,それぞれ600, 300, 150 および0gを元肥として施肥した。播種約5ヵ月後,幼苗を地際から切りとり,胚軸長,土胚軸長,地上部乾重を測定した。これらの測定値から幼苗単位の平均値を計算し,分散分析をした。母樹別種子の, OK・アカマツでは上胚軸長,乾物重について,播種密度,施肥量ともに有意であった。さらに,母樹と施肥重との間に有意な交互作用があった。また産地別種子のProv.アカマツでも上胚軸長,乾物重について,産地と施肥量との間に有意な交互作用があった。しかし,胚軸長については,両アカマツ群とも母樹または産地と施肥量との間の交互作用は有意でなかった。クロマツではいずれの生長形質においても産地と施肥量との交互作用はなかった。<br> これらは直播した幼苗での結果なので,これらの生長反応と種子重との関係を検討した。胚軸長,上胚軸長および乾物重について,各処理区ごとの繰返し区の平均値と同区内の各子供集団平均値との回帰直線を計算した。この母樹別,産地別の子供集団の回帰係数は各子供集鋼の肥料反応をしめすものと考えられ,回帰係数が大きいほど肥料に対し鋭敏に反応するとしてよい。そして,回帰係数の信頼限界が互いに重複しない子供集団があった。各子供集団の胚軸長,上胚軸長および乾物重の肥料反応をしめす回帰係数とそれぞれの種子1,000粒重との回帰直線を計算し,回帰係数の検定をしたところ, OK・アカマツの胚軸長および乾物重にのみ種子重が有意にはたらいたことが判り,上胚軸長にみられる母樹,または産地と施肥量間の交互作用には遺伝的な要因が関与しているものと推定される。
著者
武藤 那賀子
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.14, pp.222-183, 2015

学習院大学日本語日本文学科は、伝藤原為家筆の『源氏物語』「帚木」巻の写本を所蔵している。当該本は、河内本系統の本文を持っている。縦の寸法が三〇㎝ を超えた大型本であることから、当該本は、大型冊子本として知られる尾州家河内本と元の大きさがほぼ等しいと考えられ、またその筆跡と書風から、書写時期も同じ頃だと考えられる。これらのことから、当該本は金沢文庫旧蔵と思われる尾州家河内本と密接な関係があるといえ、製作場所を同じくする可能性が高いと考えられる。また、今日河内本の代表格である尾州家本を相対化する上で、当該本は非常に重要な存在であるといえる。当該本の本文は、既に加藤洋介氏によって取り上げられ、他の河内本の本文との比較が行なわれたが、書誌解題は公になっていない。また、『源氏物語』の鎌倉時代の写本は大変貴重であることから、本稿では、この貴重書の書誌解題を掲げ、全翻刻を載せる。The Department of Japanese Language and Literature at Gakushuin University possesses the holdings of "Hahakigi" ("The Broom Tree"), the second chapter of Genji Monogatari (Tale of Genji) copied by Tameie Fujiwara. It is originally written based on a Kawachibon-series enacted by the two governors of the Kawachi area.Two facts suggest that a close relationship exists between the Kawachibon -series and the Bishūkebon (the book that the Bishū family had): its exceptionally large size (over 30cm) and the style of writings in the middle of the Kamakura period. The Bishūkebon is representative of the Kawachibon -series, its historical significance.This paper presents a bibliographical commentary and an entire reprint of this book. The bibliographic commentary has not been made public; only a part of the text was taken up by Yōsuke Katō, in a comparison of the Kawachibon -series. Moreover, a manuscript of Genji Monogatari from the Kamakura period is valuable because of its scarcity.
著者
飯島 静男 大河原 恵子 大崎 小夜子 神沢 憲治 木崎 喜雄 久保 誠二 黒岩 繁 篠原 婦美江 関口 孝 高橋 武夫 田島 順子 玉田 淳子 角田 寛子 中村 庄八 服部 幸雄 武藤 斉 村山 昭夫 矢島 博 高島 和美 田中 淳子 萩原 哲 堀沢 勝
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.13, pp.251-260, 1976-12-30
被引用文献数
1

The Green tuff formations are widely distributed in the southern Joetsu district, and are divided into two groups, namely the Sarugakyo group and the Minakami group. The former overlies the latter unconformably. The area studied is surrounded by the River Akaya-gawa, the River Sukawa-gawa and the River Nishi-kawa, of which the latter two are the tributaries of the former. In this area the Sarugakyo group and the welded tuff formation with some related intrusive bodies are extensive. The Sarugakyo group is overlain unconformably by the welded tuff formation, and is divided, in descending order, into the following formations: Daido formation, Kassezawa formation, Hara formation, Akaya formation. The relation between each formation of the Sarugakyo group, generally, is conformable, but partial unconformity can be observed between the Hara formation and the Kassezawa formation. The structure of the Sarugakyo group is generally monoclinic with a NWW-SEE strike and low-angle dips toward SE. The Sarugakyo group is considered, from fossils, to belong to the middle Miocene. Some intrusive bodies, such as the Izumi-yama andesite, the Kasse andesite, the Amami-yama andesite, porphyrite and quartz diorite, are found in this area.
著者
笈田武範 武藤正人 小林哲生
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

【背景・目的】近年,他のモダリティとの融合や小型軽量化などの理由から,超低磁場MRIの研究が注目されている.超低磁場MRIを実現するためには,超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device : SQUID)や光ポンピング原子磁気センサ(optically pumped atomic magnetometer : OPAM)などを用いて,低周波の微弱磁場を検出する必要がある.OPAMはアルカリ金属蒸気を封入したガラスセルにポンプ光・プローブ光2つのレーザを照射し,光ポンピングされたアルカリ金属原子の電子スピン偏極による磁気光学回転により磁場を計測する.OPAMは,SQUIDでは必須の冷媒が不要であり,維持コストなどの面で利点がある.しかしながら,アルカリ金属原子の電子スピン偏極の磁気回転比は,MRIにおいて主に計測対象となるプロトンの約164倍であるため,同一磁場中に試料およびガラスセルを設置すると,共鳴周波数の不一致により計測感度が低下する.この問題に対して,フラックストランスフォーマ(flux transformer : FT)を用いた遠隔計測法が提案されている.先行研究において,単一FTを用いたMR信号計測では,信号対雑音比(signal-to-noise ratio : SNR)が最大となるコイルのパラメータが存在する一方,その感度に限界があることが報告されている.本研究では,直交位相FTを用いることにより,OPAMを用いた遠隔MR信号計測のSNR向上を目指す.【方法】直交位相FTとして,鞍型コイルペアを入出力コイルとするFTをコイルペアの円筒の軸の回りに90°回転した2組のFTを用いた時の間接MR信号計測について,磁場分布の数値解析および擬似MR信号計測を用いてSNRを評価し,OPAMと直交位相FTを用いた間接MR信号計測の有効性を確認した.【結果・結論】数値解析の結果,直交位相FTを用いることにより単一のFTを用いた場合と比較して,約2倍のSNRが得られることが確認された.また,擬似MR信号計測の結果においてもSNRの向上が確認され,直交位相FTを用いることによりOPAMを用いた遠隔MR信号計測のSNR向上が可能である事が示された.