著者
清水 めぐみ 幸谷 智 三輪 進 加来 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1058-1066, 2000-07-25
被引用文献数
9

レーダクラッタのセル間自己相関関数は, 信号のそれに比べて一般に早く減衰するので, 検波後波形はクラッタのほうが信号よりもスパイキーになる.一方, 図形処理において, 小さな点を消去するのに収縮法が用いられる.したがって, パルス積分の前処理として収縮法を用いることにより, 信号対クラッタ比を更に改善する効果が期待できる.本論文では, アジマス及びレンジ方向にそれぞれ複数のセルをもつ窓を設定し, 窓内のセルに一つでも振幅値0がある場合は窓の中心のセルの振幅値を0とする収縮法を適用し, この後2次元移動平均により平滑化を行った.実験には仙台空港に設置された実験用空港面探知レーダを用いたが, 適当なレベルの目標とクラッタを含むデータが取得できなかったので, 各種条件下における目標とクラッタの合成データにこの手法を適用した.この結果, 単なる2次元移動平均よりも信号対クラッタ比を改善することができたが, 場合によっては視覚上は改善されていても, 数値上改善されない例が見受けられた.そこで, 信号対クラッタ比の定義自体についても考察を加えた.
著者
秋山 学 清水 寛之
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.67-79, 2012
被引用文献数
3

本研究は,若齢者および高齢者における購買に関する自伝的記憶の特性を,記憶特性質問紙(MCQ)の質問項目を含む質問紙を用いて検討した.調査参加者はそれぞれの自伝的記憶のなかから購買に関するもっとも深く記憶に残っている印象的な出来事を一つ選んだ.そうした出来事の記憶特性は,主として調査参加者の年齢や保持期間の長さに関連して検討された.若齢者として大学生394名(18~27歳),高齢者として高齢者大学の学生207名(55~87歳)による質問紙データが分析された.その結果,もっとも深く印象に残っている購買の記憶は,若齢者では最近の数年以内に起きた出来事が多く想起された.高齢者は必ずしもレミニセンス・バンプ(10~30歳の頃に経験した出来事が想起されやすいという現象)を示すわけではないことが示された.さらに,ポジティブであると認識される出来事は若齢者でも高齢者でもより多く想起された.したがって,高齢者におけるポジティブ優位性効果は認められなかった.このような調査結果は,Conway (2005)による自己記憶システム理論およびCarstensen (2006)による社会情動的選択性理論との関連において解釈された.
著者
佐藤 浩一 清水 寛之
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.13-27, 2012

本研究の目的は,自伝的推論に関連して,長期にわたる保持期間を伴う記憶の特性を明らかにすることである.大学生315名,現職教員166名,高齢者160名のあわせて641名の調査協力者に対して,中学時代の教師とのコミュニケーションに関連する記憶を想起させ,自伝的推論ならびに記憶特性を問う45項目(記憶特性質問紙MCQの38項目を含む)への評定を求めた.教職志望の強い大学生は,その出来事と現在の自己を結びつけたり,その経験を参照点としてとらえたりする自伝的推論を活発に行い,そうした記憶を鮮明で詳細に想起していた.また世代が上の人のほうが自伝的推論が活発であり,かつ出来事をより鮮明に想起していた.肯定的な出来事は否的的な出来事よりも,活発な自伝的推論を引き起こしていた.これらの結果は自伝的推論における加齢および感情の側面と関連づけて議論された.日常的な出来事に対する自伝的推論を検討することの意義が論じられた.
著者
大谷 真二 清水 康廣 杉山 悟 宮出 喜生
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1960-1963, 2005
被引用文献数
9 7

症例は82歳,男性.腹部膨満,腹痛を主訴に外来受診した.頻回の開腹歴と問診から食餌性イレウスを疑い,入院後に保存的治療を開始した.腹部CT所見および腫瘍マーカーから肝転移を伴う進行大腸癌による腫瘍性イレウスと診断して手術を行った.手術所見では回盲弁付近の盲腸と肝彎曲のやや口側の上行結腸にそれぞれ4cm大の腫瘤を触れ, D2郭清を伴う結腸右半切除術を施行した.切除標本では上行結腸に全周性の腫瘍と盲腸に柿の種子5個を認めた.経過は良好で,術後26日目に退院となった.柿の種子はCTでは三日月状から楕円状の高吸収域として認めるが,本症例は柿の種子が誘因となって発症した大腸癌イレウスであった.本邦で食餌が原因となった腫瘍性イレウスの報告はほとんどされていないが,柿の種子もイレウスの原因となることがあり,詳細な問診とCTによる診断が有用であると考えられた.
著者
岩井 信彦 青柳 陽一郎 白石 美佳 大川 あや 清水 裕子 柿本 祥代
出版者
神戸学院大学
雑誌
神戸学院総合リハビリテーション研究 (ISSN:1880781X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.75-81, 2007-01
被引用文献数
1

回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者51例の日常生活活動(Activities of Daily Living ; ADL)を機能的自立度評価法(Functional independence measure ; FIM)を用いて、実際の生活の中で行っている活動「しているADL」を評価し、同時に理学療法室や作業療法室など限られた環境での潜在的な活動「できるADL」を評価し、その得点差の状況を比較検討した。その結果、入院時、低FIM群では更衣上半身、更衣下半身、トイレ動作で得点差が大きかった。一方、高FIM群では階段昇降、歩行で差が大きかった。さらにADL項目ごとの得点と「しているADL」と「できるADL」との得点の関係において、低FIM群ではその差は確認できなかったが、高FIM群においては得点が高いADLほど得点差が小さいという相関が確認された。このことから回復期脳卒中患者の「できるADL」と「しているADL」の格差の特性を知り、医療チーム全員が格差の早期発見と原因の解明に取り組んでいくことが重要であると思われた。
著者
清水 政行
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010-07

制度:新 ; 報告番号:甲3147号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2010/7/15 ; 早大学位記番号:新5428
著者
我妻 伸彦 清水 亮平 酒井 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.165-169, 2009-03-04

初期視覚野への注意が、図方向知覚に重要な役割を果たすborder-ownership選択性細胞の反応変調に果たす役割を検証した。生理学的に忠実な計算モデルを構築し、図方向があいまいな図形を用いた心理物理実験と比較した。モデルは、心理物理実験で確認されたヒトの図方向知覚への注意の影響を定量的に良く再現した。これらの結果は、図地分離や形状知覚に、初期視覚野への注意が重要な役割を果たすことを示唆する。

1 0 0 0 OA よしのしふゐ

著者
清水重道 著
出版者
柴山教育出版社
巻号頁・発行日
1944
著者
池永 誠 大島 行彦 清水 正夫 後藤 紀夫 渡辺 龍彦 吉田 勝明 宮内 邦浩 中村 秀夫 朝永 哲弥 比企 能樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.1116-1120, 1990-05-01
被引用文献数
15

大腸穿孔21例を対象とし, 穿孔部位, 原因, 臨床症状, 手術時期, 手術術式, 術後経過より検討した. これは虫垂炎を除く消化管穿孔例97例の 21.6%, 大腸手術例173例の 12.1% にあたった. 大腸穿孔の確定診断は, 遊離ガス像の出現率が 33.3% と低い事もあり必ずしも容易ではないが, われわれは発症6時間以内に11例 (52.4%) と早期に手術を施行し全例救命しえた. 大腸癌穿孔は8例にみられ大腸癌手術の 6.1% にあたり, 全例に治癒切除を施行した. 累積生存率は Kaplan-Meier 法にて2年生存率 100%, 5年生存率 75.0% であった. 同期間の全大腸癌例の5年生存率は 65.1%, 治癒切除例の5年生存率は 79.8% であり, 穿孔例, 非穿孔例の間に差異は認められなかった. 穿孔例といえども癌に対する積極的な治療を行うべきと考えられた.
著者
清水 誠治
出版者
明治書院
雑誌
日本語学 (ISSN:02880822)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.88-94, 2000-09
著者
岡本和也 薦田登志矢 中田尚 三輪忍 佐藤洋平 植木浩 林越正紀 清水徹 中村宏
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2012-EMB-26, no.4, pp.1-8, 2012-09-03

マイクロプロセッサを備えたセンサであるスマートセンサは,周囲の状況を周期的にサンプリングし,センシングした結果に簡単な処理を施し,その結果をメインのシステムへ送信する,周期的リアルタイムシステムの一種である.ただし,一般的なリアルタイムシステムとは異なり,入力データのサンプリング周期とデータ送信 (デッドライン) の周期が必ずしも一致するわけではなく,一般には,後者の周期が前者の周期よりもはるかに大きい.そのため,データの入力間隔に合わせてシステムがデータを処理するのではなく,データを一旦バッファに格納しておき,いくつかのデータがバッファに溜まったらシステムを起動して処理を行い,処理が完了したらシステムをシャットダウンする,という制御が可能である.このような制御を行えば, DVFS や動的電源制御などの従来の制御を行う場合よりも,省電力なシステムを実現できると考えられる.本稿では,上述の制御を行うシステムのモデルを提案し,既存の制御手法と比較する.評価の結果,既存手法と比べて消費エネルギを 79.6% 削減できることがわかった.
著者
入江 英嗣 荻野 健 勝沼 聡 清水 一人 栗田 弘之 五島 正裕 坂井 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.49-54, 2006-04-07
被引用文献数
3

今日のコンピュータシステムのディペンダビリティは、多くの層に渡る多様な技術を必要とし、維持することが難しくなっている。本論文では、システムの一元的なディペンダビリティ維持を支援するプロセッサとして、一つ一つの命令実行をチェックするプロセッサモデルを提案し、必要となる機能を列挙する。更に、それらの機能を統合したときのオーバヘッドと今後の最適化を概観する。
著者
伊豆田 猛 松村 秀幸 河野 吉久 清水 英幸
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.137-155, 2001-05-10
被引用文献数
12

世界各地で森林衰退が観察されており, 様々な原因仮説が出されているが, 酸性降下物はオゾン(O_3)と共に注目されている。したがって, すでに衰退している, または, 今後衰退する可能性がある樹種に対する酸性降下物の影響やそのメカニズムなどを実験的に調べる必要がある。これまでに欧米や我が国で行われた実験的研究の結果に基づくと, pH4.0以上の人工酸性雨や酸性ミストを数カ月から数年にわたって樹木に処理しても, 著しい成長低下や可視障害は発現しない。しかしながら, 酸性雨に対する感受性が比較的高いモミなどの樹種では, その成長がpH4.0以下の酸性雨によって低下する可能性がある。樹木に対する土壌酸性化の影響に関する実験的研究で得られた知見に基づくと, (1)酸性土壌で生育している樹木の成長, 生理機能および栄養状態を制限する最も重要な要因は, 土壌溶液中に溶出したAlであること, (2)土壌溶液中の (Ca+Mg+K)/Alモル比は, 樹木に対する酸性降下物による土壌酸性化の影響を評価・予測する際のひとつの有用な指標であること, (3)スギやアカマツは, ノルウェースプルースに比べると, 土壌溶液中の (Ca+Mg+K)/Alモル比の低下に敏感であることが考えられる。欧米では, 実験的研究や現地調査の結果に基づいて, 森林生態系を保護するための酸性降下物のクリティカルロードが評価されている。日本と欧米の土壌の特性はかなり異なり, さらに酸性雨, 酸性霧, 土壌酸性化および土壌窒素過剰などの環境ストレスに対する感受性に樹種間差異が存在することが実験的研究から明らかになっている。したがって, 我が国における森林衰退の原因を明らかにし, 森林生態系における酸性降下物のクリティカルロードを評価するためには, 様々な樹種に対する酸性降下物の影響に関する実験的研究が必要である。
著者
大川 正人 室田 真男 中山 実 清水 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.651-657, 2000-06-25
被引用文献数
17

インターネットに提供した学習教材は, 学習者にとって有効である.しかし, 学習者がどのような学習履歴をとったかについては, 学習教材提供側ではわからない.そこで, 本論文では, インターネットでアクセスしてきた学習者の学習履歴を収集し, 学習者がたどったとおりに提示画面を時系列的に再現するシステムを開発した.そして, このシステムを, アニメーション表示, 数値計算シミュレーションなどの機能を有する学習教材に適用し, その動作を確認した.本研究で開発したシステムを用いることで, 多数の遠隔サイトにいる学習者の学習行動を再現できる.そのため, Web教材の改善を図ることなどに応用することが可能である.