著者
清水 和巳 大和 毅彦 瀋 俊毅 芹澤 成弘 大和 毅彦 渡部 幹 清水 和巳 渡部 幹
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

「社会関係資本の機能と創出」に関して主要な成果を概略的に記す。1. 社会関係資本の尺度として従来、General Social Survey (GSS)のネットワークに関する項目が使用されていたが、この尺度が人々の信頼・協力行動を予測しうるとは言えない。われわれは、ある社会の社会関係資本の水準を測るには、上記のようなデモグラフィックデータだけではなく、実際の行動実験における信頼・協力行動のデータをとり、その二つの関係をしなくてはならないことを示した。例えば、中国の経済発展状況が異なる様々な都市で、公共財実験・信頼ゲーム実験などを行った結果、被験者の信頼・協調が性別や年齢だけではなく、協力行動の有無、リスクや公平に対する選好、他人への期待に影響されることがわかった。2. 信頼に基づく人間の協力行動の生化学的な基礎としてミクログリアが重要あることが示唆された。実験において被験者に脳内免疫細胞であるミクログリアの活性を抑えるミノサイクリンという抗生物質を投与し,他者への信頼が重要となる経済取引実験を行ってもらい,偽薬群と比較したところ,実薬投与群は他者の信頼性判断により敏感になることがわかった。特に、ミクログリアの活性は盲目的な信頼を抑制し、きちんとした判断に基づいた信頼。居力高校を促進する可能性があることが示唆された。3. 囚人のジレンマ・鹿狩りゲームはそれぞれ、協力・協調の失敗を引き起こす状況として広く知られている。われわれは、これらのゲームを繰り返し行う状況下で協力・協調を導くと期待できる三つの仕組み(device)、すなわち、(1)協力・協調の難易度の段階的変化、(2)変化の内生性、(3)目標値の調整、について理論・実験により考察した。その結果、この仕組みが一種の社会関係資本として機能し、人々の協調・協力を促すことが確認された。これらの仕組みは、匿名性の高い現代社会において解決が難しいジレンマ、また、権力の干渉の余地の小さい国家間の問題や個人裁量の範囲内の問題にも適用可能と考えられ、それゆえ外的妥当性が高く、応用範囲も広いと考えられる。
著者
清水 佳奈
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2006-10

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2286号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2006/10/19 ; 早大学位記番号:新4326
著者
清水 敬子 阿刀田央一 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.281-292, 1983-05-15
被引用文献数
2

情報工学を専攻する学生に対する計算機初期教育として EDSACを用いた機械語によるプログラミング教育を行っている.この教育の目標としては (1)ストアード・プログラム方式の計算機で実現可能なことの限界を実感として理解させること (2)計算システムに関する知的好奇心をわかせること (3)技術の発展の方向を認識させること などを目指している.本報告では とくに上記の実現のため カリキュラム上の考慮からはじめて 実際の教育 とくに演習を通して いかに実施しているかについて述べている.そのために (1)ミニコン化EDSACの開発 (2)TSS によるEDSACの仮想計算磯の開発 (3)EDSACのCAIシステムの開発 などの教育用ツールの開発と充実を行った.これら3種のツールの特徴を生かして使い分け 過去4年間 実際に初期教育を行った結果 学習内容およびツールの組合せ方などについて効果的な方法が確立され 教育目標も達成できたと思われる.その経緯を報告する.
著者
清水 義彦 小葉竹 重機
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高水敷の動的樹林化に関する検討 セグメント1の礫床河川である利根川水系渡良瀬川において,前年度の検討では,平成10年台風5号出水1年後,2年後の河道内樹林地調査を行い,洪水撹乱後のハリエンジュ樹林の再生過程を求めた.今年度もさらに時間経過した状況での樹林地回復過程の調査を実施した.洪水後1年目では洪水前に比し約10倍の萌芽本数となったが,競争による生物学的淘汰のため2年後には6倍に減少した.今年度においてはさらに減少することが当初予想されたが,調査結果により,洪水後2年目の生育状況を維持していることが確認された.このことは,洪水撹乱の動的樹林化によって数年にわたり高い密生度の樹林地が維持されることを意味し,樹木管理の必要性が重要との結論に至った.このような動的樹林化によって礫床河川の樹木繁茂が生まれていることを,近年の経験洪水規模と高水敷冠水時の樹林地撹乱の考察から明らかにした.洪水による樹林地の撹乱規模評価の検討 洪水規模との関係から,高水敷樹林の撹乱規模を推定しておくことは,樹林地管理において重要な判断材料となる.そこで,樹林地の破壊につながる洪水規模,樹木の世代交代を生んだ洪水規模,また,動的樹林化を生む近年の洪水規模について,河床表層の移動限界礫径を指標として評価できることを示した.また,洪水規模を上げた状況予測を一般化座標系平面流計算から求め,セグメント1河道特性をもつ礫床河川では、樹林地の平面的位置関係によっては高水敷基盤撹乱が生じる可能性があることを示した.高水敷樹木管理の指針作成に関する基礎資料の作成と総括本研究の実施により,高水敷樹林地における治水上の問題があきらかになった.とくに,(1)樹齢の浅いハリエンジュでは樹木根茎支持層が細粒砂層内にあることが多く,このため,洪水時に高水敷乗り上げ流れが生じることで樹木の破壊を含む撹乱が生じやすい.(2)高水敷樹林地と堤防間に流水が生じると,移動限界礫径が大きくなり,高水敷侵食の可能性が生まれる.(3)高水敷(低水路)河岸沿いに樹林帯を伴う場合は,河岸侵食によって樹林地の破壊(流失)が生じ,河道内流木生産源と成り得る可能性が生まれる.(4)現況密生度の樹林地が拡大した場合で,抵抗増加分を水位上昇分として捉え,これを洪水規模別に樹木抵抗を考慮した般化座標系平面流数値計算から評価した.こうした基礎資料のもとに,高水敷樹木管理の判断を,ハリエンジュの繁茂特性と移動床過程に着目して提案した.
著者
木本 雅也 並木 寿枝 清水 忠昭 井須 尚紀 菅田 一博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.270, pp.31-38, 2001-08-23

小規模な応用に向けたVCV規則音声合成方式において, 素片選択の為の2つの基準, i)音韻環境類似度とii)LSP距離による素片の接続歪みについて実験的に検討した.前者を採用した方式は, 後者より各素片に音韻環境情報を余分に付加しておかなければならない.後者を採用した場合, 前者より素片選択処理に時間を要する.VCV音素単位を選択するときに考慮する音韻環境の長さを短く出来れば, 音素片辞書の記憶容量を小さく出来る.筆者らは, 音質を保ちながら音韻環境の長さをどこまで短く出来るかを実験で調べた.実験の結果, 先行2音韻・後続1音韻にまで削減して素片選択しても, 先行5音韻・後続5音韻で素片選択した音声とほぼ同品質の音声を合成出来ることが判った.
著者
清水 嘉隆
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.67-78, 1994-03-30

This paper mainly intends to make clear the characteristics of transitive and intransitive expressions in English based on the consideration of English and Japanese ways of thinking. It has already been said that English is linguistically called a 'Do language' or a 'Have-language', while Japanese is a 'Become-language' or a 'Be-language'. This shows that English prefers transitive verbs to intransitive ones. In other words, the basic sentence structure of English is characteristic of SVO style, whereas these English sentences of SVO style are often expressed by SV style in Japanese. English is a language that forms the basis of the remarkable contrast between the subject and the object, but Japanese is a language that is based on the non-contrast between them. It can be also pointed out that many Japanese intransitive verbs have spontaneous generative implications. There-fore, they have a tendency to leave a matter to take its own course. In English the form of description is generally objective and logical, whereas in Japanese the emotional feeling is very strong. English is said to be a person-oriented language and Japanese is a status-oriented one. It follows that in English a person is frequently used as the subject, while in Japanese it is not necessarily employed and the object in English often becomes the subject in Japanese. Also, in English special attention is paid to the role of nouns. One of the reasons why transitive verbs are frequently used in English is that English prefers nominal constructions to verbal ones. This means that the subject and the object are strongly connected to each other.
著者
土斐崎 龍一 清水 祐一郎 坂本 真樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

毎年約10万件以上の商標が国内で新規登録されており,新奇性のあるブランドネームの開発は年々難しくなっている.本研究は,ブランドネームの音象徴を被験者実験により調査し,ブランドネームが人に喚起する印象の予測値を定量的に出力するシステムを開発した.このシステムを用いることで,ユーザが付加したいイメージに即したブランドネームの提案が可能となり,企業において創造的なブランドネームの開発支援が期待できる.
著者
清水 隆司 森田 汐生 竹沢 昌子 赤築 綾子 久保田 進也 三島 徳雄 永田 頌史
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-42, 2003-03-01
被引用文献数
3

職場のメンタルヘルスと自己表現スキルの関係を調べる準備調査として,自己表現スキルの1つであるアサーティブネスを測定するRathus Assertiveness Schedule (RAS)の日本語版を作成し信頼性・妥当性を検討した.対象は,某製造業A社の従業員364名とアサーティブネストレーニング(AT)を受講した社会人73名とした.方法は,AT受講者が受講前に回答した結果とATのトレーナーが客観的に受講者の自己表現を評価した結果を比較し,日本語版RASの妥当性を検討した.また,A社従業員の回答結果から内部一貫信頼性を調べた.次に,同意を得られたA社社員98名に対して再度調査を行い,再テストの信頼性を調査した.調査結果から,30項目全てよりも3-7,9,13,19,20,25,28を除く19項日の日本語版RASの方が,トレーナーの客観的評価と相関が高く,妥当性が高いと思われた.また,クロンバッハのα係数や,初回と2回目の結果の相関も共に0.80以上と高く,30項日及び19項日の日本語版RASの内部一貫信頼性と再テストの信頼性は高いと考えられた.今回の結果から,日本人のアサーティブネスを測定するには30項日全てよりも19項日の日本語版RASの方が好ましいと考えられた.
著者
高橋 徹 清水 裕子 井上 一由 森松 博史 楳田 佳奈 大森 恵美子 赤木 玲子 森田 潔
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.252-256, 2007 (Released:2007-10-12)
参考文献数
38
被引用文献数
6 9

昨今の生命科学の進歩は薬理学の研究をより病態に応じた新薬の開発へと向かわせている.しかし,肝不全,腎不全,多臓器不全など,急性臓器不全は高い死亡率を示すにもかかわらず,その治療において決め手となる薬物は未だ開発されていない.これら急性臓器不全の組織障害の病態生理は完全に明らかでないが,好中球の活性化や虚血・再潅流にともなう酸化ストレスによる細胞傷害が大きな役割を果たしている.酸化ストレスはヘムタンパク質からヘムを遊離させる.遊離ヘムは脂溶性の鉄であることから,活性酸素生成を促進して細胞傷害を悪化させる.この侵襲に対抗するために,ヘム分解の律速酵素:Heme Oxygenase-1(HO-1)が細胞内に誘導される.HO-1によるヘム分解反応産物である一酸化炭素,胆汁色素には,抗炎症・抗酸化作用がある.したがって,遊離ヘム介在性酸化ストレスよって誘導されたHO-1は酸化促進剤である遊離ヘムを除去するのみならず,これらの代謝産物の作用を介して細胞保護的に機能する.一方,HO-1の発現抑制やHO活性の阻害は酸化ストレスによる組織障害を悪化させる.この,HO-1の細胞保護作用に着目して,HO-1誘導を酸化ストレスによる組織障害の治療に応用する試みがなされている.本稿では,急性臓器不全モデルにおいて障害臓器に誘導されたHO-1が,遊離ヘム介在性酸化ストレスから組織を保護するのに必須の役割を果たしていることを述べる.また,抗炎症性サイトカイン:インターロイキン11,塩化スズ,グルタミンがそれぞれ,肝臓,腎臓,下部腸管特異的にHO-1を誘導し,これら組織特異的に誘導されたHO-1が標的臓器の保護・回復に重要な役割を果たしていることを示す.HO-1誘導剤の開発は急性臓器不全の新しい治療薬となる可能性を秘めている.
著者
清水 高正 永友 寛司
出版者
宮崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

Dot-immunobind(DIB)法による鳥系マイコプラズマの簡易同定法及び鶏のマイコプラズマ感染抗体の検出法を検討し、次の成績を得た。1)DIB法には、先人が使用したニトロセルロース膜や最近開発されたニトロプラス2000膜よりも、Durapore膜が染色性,弾力性の点で優れていた。2)マイコプラズマの液体培養を抗原とする家兎抗血清を用いたDIBでは交差反応が著明で、同定は不能であったが、培養液を遠心洗滌して得た菌体を抗原とした場合;ホモ抗血清はヘテロ血清より遙かに高いDIB力価を示した。従って、この方法もしくはモノクローナル抗体を用いたDIB法は、マイコプラズマの簡易迅速同定法になることが示唆された。3)SPF鶏の血清の多くは1:20以下、稀に1:40の弱いDIB力価を有することが判明した。一方、実験感染鶏では1週後から1:160以上の高いDIB力価が産生され、11週まで高い抗体価が保持された。4)実験感染鶏及び自然感染鶏の血清では、HI陽性(【greater than or equal】10)とDIB陽性(Greater Than or Equal80)及びHI陰性(<10)とDIB陰性(【less than or equal】40)がよく一致し、自然感染鶏175羽のうち両反応陽性の鶏78例では、両抗体価の相関性は、r=0.81(P<0.01)であった。5)M.gallisepticum(MG)とM.synoviae(MS)の両抗原を用いたDIB抗体価の測定成績と、これらの両抗原を同一の膜片に固定させ、血清の定点希釈法で実施したDIB反応の成績は、い一致率を示し、後者の方法は野外で感染抗体の有無を調べる際の簡便法になるものと考えられる。以上の成績から、マイコプラズマ以外の病原体についても本法の応用が検討され、それらの抗原が同一膜片上に固定されたキットが市販されるなら、DIB法は各種鶏病の簡易・迅速診断〓〓〓
著者
喜田 宏 清水 悠紀臣 岡部 達二 関川 賢二 見上 彪 笠井 憲雪 小野 悦郎 大塚 治城 喜田 宏
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.オーエスキー病ウイルス(ADV)の前初期(IE)蛋白IE180の機能ドメインを解析した結果、初期および後期遺伝子の転写活性化に関与する領域、IE遺伝子の転写抑制に関与する領域および核への移行シグナルが明らかになった。2. ADVの初期蛋白EP0が感染細胞の核に局在し、IE、初期TKおよび後期gX遺伝子の転写を増強することが明らかになった。この転写増強作用には、EP0分子のN末端に存在するRINGfinger領域が必須であり、酸性アミノ酸を多く含む領域も関与することが判明した。3.蛋白工学手法によって、ADVのIE遺伝子の転写抑制因子を作出した。これら因子の転写調節作用を解析し、以下の成績を得た。1) IE180のDNA結合ドメインとヒト単純ヘルペスウイルスのトランスアクチベータ-VP16の結合ドメインとのキメラ蛋白は、ADVのIE遺伝子の転写を抑制した。このキメラ蛋白はウイルスの増殖を著しく阻害した。2) IE180およびEP0のdominant-negativemutantはウイルスの増殖を抑制した。4.ウイルスの増殖を最も強く抑制した3-1)キメラ蛋白遺伝子をC57BL/6マウス受精卵にマイクロインジェクション法によって導入した。1系統のF1マウスに本遺伝子が導入されたことを確認した。現在、このF1マウスを用いてトランスジェニックマウスの系統を確立しつつある。今後、系統化されたマウスが本遺伝子を発現していることを確認してウイルス感染実験を行う予定である。
著者
澤田 枝里香 井田 信也 常磐 拓司 杉本 麻樹 稲見 昌彦 淡路 達人 森下 圭介 古川 正紘 有賀 友恒 木村 秀俊 藤井 智子 武市 隆太 清水 紀芳
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.375-383, 2008
参考文献数
21
被引用文献数
3

This system is an interface realized with the symbiosis of the input/output of wind and graphics. This system brings the new communication medium of "wind" into the bidirectional interaction between the virtual environment and the real environment by integrating the graphic presentation with the input and output of wind on a special screen. The user can interact with the virtual environment in the screen through his/her breath and wind emission. Conversely, actions from the virtual environment to the user are performed by wind changing dynamically. As a result, the user can share not only sights and sounds but also the cutaneous sensation by wind with the system, and interact with the virtual environment feeling a non-conventional deep relationship.