著者
清水 登 周 桂芳
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.89-95, 2013-02

Imitative words are more extensively used in Japanese language than in any other language. This paper analyzes the imitative words used in “The Restaurant of Many Orders” written by Kenji Miyazawa. From the viewpoint of styles, imitation words can be classified into the following six styles-basic word repeated style, long sound added style, syllabic nasal added style, double consonant added style, “ri” added style, and others. Miyazawa often and skillfully uses imitative words in his juvenile stories in describing humans and nature. By using imitative words he effectively represents sounds, behaviors, and mental states.This paper shows the concrete examples of the imitative words used by Miyazawa and takes consideration of their effects.
著者
西村 奏咲 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-009, 2021 (Released:2021-03-23)
参考文献数
7
被引用文献数
1

KH Coderを用いたテキストマイニングにおいて,筆者らが試みた具体的な分析手順や注意点を交えながら述べる.2018年に実施した化学構造式研修会の受講者を対象として,選択式および自由記述式の項目からなるアンケート調査を実施し,アンケート用紙から得られた自由記述中の語句の関係を検討するために共起ネットワーク分析を行った結果,研修内容に対する理解度にばらつきが生じていることが示唆された.理解度の差による自由記述内容の違いについて検討するため,自由記述内容と研修に対する自己評価による理解度との対応分析を行った結果,理解できた点および理解できなかった点に関する自由記述内容は,受講者の自己評価による理解度別で異なっており,我々が想定した各テーマの難易度と,受講者が実感した各テーマの難易度は一致していたことが示唆された.テキストマイニングを行う際には,実施者が明らかにしたい意図に応じて分析手法を使い分けたり組み合わせたりすることにより,テキストデータのより深い解析が可能となると考えている.
著者
清水 克志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.1-24, 2008-01-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
54
被引用文献数
2 2

本稿はキャベツ (甘藍) を事例に, 日本における外来野菜の生産地域が明治後期から昭和戦前期にかけて成立する過程を, 食習慣の定着と関わらせて考察することを目的とした. 明治前期に導入されたキャベツは, すぐには普及しなかった. 明治中・後期に, 都市の知識人がキャベツの新たな調理法を考案し, 大正期以降, その調理法が婦人雑誌や新聞で紹介された. また軍隊や学校給食などでキャベツがいち早く利用され, 都市住民の間でキャベツ食習慣の定着がみられた. 一方, 岩手県盛岡市などの各地の民間育種家は, 個々の地域の自然条件に適した作型であることに加え, 都市住民の嗜好に合致する国産品種を育成し, 生産地域の成立を促した. その結果, 長距離輸送が可能なキャベツは, 収穫期の異なる複数の生産地域から, 都市へ周年的に供給されるようになった. このことは, 外来野菜の生産地域の成立が, 食習慣の定着と密接に結びついて展開したことを示している.
著者
清水 祐一郎 土斐崎 龍一 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-52, 2014-01-05 (Released:2014-01-07)
参考文献数
23
被引用文献数
13 6

In Japanese, onomatopoeia (i.e., imitative or mimetic words) is frequently used in daily life conversation to express one's intuitive and sensitive feelings. Many onomatopoeic expressions are very similar to each other and their meanings seem to be vague and ambiguous so that it is hard to catch minute semantic differences among onomatopoeic expressions. However, we use onomatopoeia, even novel onomatopoeia, to express our subjective, intuitive and sensitive feelings in daily language use. Therefore, estimating information conveyed by onomatopoeia is inevitable in constructing a human-like intelligent communication system. In this study, we propose a system to estimate information conveyed by onomatopoeia based on Japanese sound symbolism. The existence of synesthetic associations between sounds and sensory experiences (sound symbolism) has been demonstrated over the decades. It is also known that the sensory-sound correspondence can be found not only in words referring to visual shapes, but also in those referring to tactile sensations. So our system quantifies images of inputted onomatopoeia using 43 adjective pair scales related to visual and tactile sensations. Our method hypothesizes that the impression created by an onomatopoeic expression could be predicted by the phonological characteristics of its constituent phonemes. To collect phonemic image data, we conducted a psychological experiment where 78 participants were asked to evaluate the impressions of 312 onomatopoeic expressions, which cover all kinds of Japanese phonemes, against 43 pairs of adjectives in seven-points SD scales. We applied the phonemic image data to our model, and calculated the impression values of each phoneme by making use of a mathematical quantification theory class I. This system estimates rich information conveyed by not only conventional but also newly created onomatopoeic expressions and differentiates among a variety of onomatopoeic expressions, which are frequently similar to each other. We conducted another psychological experiment in order to confirm the effectiveness of our system. Results showed that our system succeeded in evaluating information conveyed by onomatopoeia.
著者
杉浦 仁美 坂田 桐子 清水 裕士
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.75-85, 2014-11-30 (Released:2015-07-24)
参考文献数
29
被引用文献数
2

This study examined if Social Dominance Orientation (SDO) might differ depending on the outgroup with which one's own group is compared. SDO was divided into two factors: “Group-based dominance” and “Equality.” We predicted that Group-based dominance would be high when one's own is compared with a relatively low status outgroup, whereas Equality would be high when one's own group was compared with a relatively high status outgroup. Furthermore, we predicted that this tendency would be apparent in members whose intragroup status was close to the outgroup. University students participated in an experiment that manipulated intergroup status by changing the outgroup status, and its effect on SDO, as well as intragroup status was examined. Results of Study 1 indicated no effect of intergroup and intragroup status on SDO. However in Study 2, by improving the SDO scale, we obtained results that supported our predictions. That is, Group-based dominance scores of low intragroup status members increased when compared with a low status group, whereas Equality scores of high intragroup status members increased when compared with a high status group.
著者
堀米 綾子 江原 達弥 小田巻 俊孝 清水 隆司
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-14, 2019 (Released:2019-02-01)
参考文献数
144

母乳は乳児にとっての最良の栄養源である.乳児の腸内細菌叢はビフィズス菌優勢であり,このことが児の健康に大きく貢献していると考えられている.母乳中にはさまざまな抗菌活性因子,免疫性因子,ビフィズス菌増殖因子が含まれており,これらが複合的に作用して乳児のビフィズス菌優勢な腸内細菌叢を形成するものと推測されるが,その詳細は未だ十分には解明されていない.一方,人工栄養児の腸内細菌叢は,母乳栄養児のそれと比較してビフィズス菌が少ないなどの差が認められることが古くから指摘されており,人工乳のさまざまな改良が腸内細菌叢改善の観点からも試みられてきた.本稿では,母乳中の因子による「乳児型」ビフィズス菌の増殖およびその他細菌の排除の仕組みに関する最近の知見について,主要なビフィズス菌増殖因子であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)の話題を中心に,われわれの研究成果も交えて紹介する.また,腸内細菌叢改善の観点からの人工乳の改良の歴史と現状,今後の可能性についても併せて概説したい.
著者
石盛 真徳 小杉 考司 清水 裕士 藤澤 隆史 渡邊 太 武藤 杏里
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.153-164, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
36
被引用文献数
5

高校生以上の子どもを2人もつ223組の中年期の夫婦を対象に調査を行い,夫婦間のコミュニケーション,共行動,夫婦間の葛藤解決方略といった夫婦関係のあり方が夫婦関係満足度,家族の安定性,および主観的幸福感にどのような影響を及ぼしているのかをマルチレベル構造方程式モデリングによって検討した。夫婦関係満足度への影響要因の分析では,夫と妻が別個に夫婦共行動の頻度が高いと認識しているだけでは個人レベルでの夫婦関係満足度の認知にしかつながらず,夫婦のコミュニケーションが充実していると夫と妻の双方がともに認知してはじめて2者関係レベルでの夫婦関係満足度を高める効果をもつことが示された。家族の安定性への影響要因の分析では,個人レベルで葛藤解決において夫婦関係外アプローチに積極的であることは,個人レベルでの家族の安定性を高く認知することにつながるが,2者関係レベルで,夫婦が一致して夫婦関係外アプローチに積極的であることは,家族の安定性を低く認知することにつながるという結果が得られた。主観的幸福感への影響要因の分析では,夫婦関係満足度の高いことは,個人レベルにおいて正の関連性を有していた。また,夫婦間の解決において夫婦関係外アプローチに積極的であることは個人レベルでのみ主観的幸福感を高めることが示された。
著者
新井 康通 広瀬 信義 川村 昌嗣 本間 聡起 長谷川 浩 石田 浩之 小薗 康範 清水 健一郎 中村 芳郎 阪本 琢也 多田 紀夫 本間 昭
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.202-208, 1997-03-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
22
被引用文献数
3 5

東京都在住の百寿者45名 (男15例, 女30例, 平均年齢101.1±1.4歳, mean±SD, 以下同じ) の血清脂質値, アポ蛋白A1 (以下アポA1と略す), アポ蛋白B (以下アポBと略す), リポ蛋白分画, 低比重リポ蛋白 (以下LDLと略す) 分画の被酸化能を測定し, 健常な若年対照群と比較検討した.百寿者では対照群に比べ, 総コレステロール (以下TCと略す), 高比重リポ蛋白コレステロール (以下HDL-Cと略す), アポA1, アポBが有意に低値を示した. アポBが60mg/dl以下の低アポB血症の頻度は対照群の2.3%に対し, 百寿者では23%と有意に高かった. 各リポ蛋白分画中のコレステロール濃度は超低比重リポ蛋白コレステロール (以下VLDL-Cと略す), LDL-C, HDL-C, のいずれにおいても百寿者で有意に低かった. HDLの亜分画を比べると百寿者で低下していたのはHDL3-Cであり, 抗動脈硬化作用を持つHDL2-Cは両群で差がなく, 百寿者の脂質分画中に占めるHDL2-Cの割合は有意に増加していた. LDLの被酸化能の指標である lag time には有意差を認めなかった (百寿者44.7分±31.8対対照群49.9±26.0分). 百寿者を日常生活動度 (以下ADLと略す) の良好な群と低下している群に分け, 脂質パラメータを比較したところ, ADLが良好な群でHDL3-Cが有意に高値を示していた. 認知機能を Clinical Dementia Rating (以下CDRと略す) によって正常から重度痴呆まで5段階に評価し, 各群の脂質パラメータを比較したところ, 中等度以上の痴呆群でHDL-Cが正常群に比べ有意に低下していた.百寿者はアポBが低く, HDL2-Cが比較的高値であり, 遺伝的に動脈硬化を促進しにくい脂質組成を示すことが明らかとなった.