著者
山内 眞義 平川 淳一 木村 和夫 中島 尚登 中原 正雄 中山 一 北原 敏久 大畑 充 片山 辰郎 高原 仁 藤沢 洌 亀田 治男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.643-648, 1989-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
15

雌と雄ラットに慢性アルコール投与を行い,アルコール性肝障害の発症と伸展に及ぼす性差の影響を検討した.雌アルコール群で最も肝ハイドロオキシプロリンの増加を認め,雌のほうが雄に比べてアルコール性肝障害になりやすいことを実験的に明らかにした.雌アルコール群では,雌コントロール群に対して,アルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性及びエタノール除去率はいずれも低下するのに対して,雄アルコール群では雄コントロール群に対してADH,ALDHは高活性を示し,エタノール除去率も速やかとなった.以上より女性のアルコール性肝障害に対する高感受性の原因として,男女間の常習飲酒に対するアルコール代謝の変動の差異が一因と考えられた.
著者
片山 幸太郎
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.99-104, 2015-10-25

リスクリテラシーとは,リスクに接する際に,その背景にまで考えを及ばせ,リスクの波及範囲を正確に見極め対処する力を備え,さらにリスクを予防する能力のことをいう.市民生活におけるリスクリテラシーにおいては,日常の生活における種々のリスクに加え,不期遭遇的なクライシス状況に対応する能力も求められている.そこで本稿ではリスクマネジメントの概念についてまず整理をし,さらにクライシス状況に対し準備すべき具体的事項について武道家として概説する.
著者
片山 俊明 菊池 正隆 荻島 創一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

医学生物学研究者が手元にもつ遺伝子発現データを解釈するために、外部知識を参照して、データドリブンに仮説を検討するためのインタラクティブなプラットホームはほとんどない。遺伝学、パスウェイ、疾患・医薬品、文献などの様々な知識の整備が進んでいるアルツハイマー病について、これらをセマンティック・ウェブ化したデータとして参照しながら仮説を検討するウェブアプリケーションを開発したので、これを報告する。
著者
林 辰美 片山 喜美子
出版者
賢明女子学院短期大学
雑誌
Beacon (ISSN:02881187)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.37-43, 1982-03-10

栄養指導の基礎資料とする目的で、本学食物専攻科生全員30名を対象に、1979年12月の通常の授業のある日(平日)と休日の2日間に、生活時間調査と食物調査を実施した。その結果、下記のことがわかった。1.消費エネルギー量は、平日2071kcal±239kcal、休日2029kcal±278kcalであった。2.摂取エネルギー量は、平日1842kcal±317kcal、休日1856kcal±393kcalであった。3.摂取エネルギー量は、消費エネルギー量の平日89%、休日91%と少なかった。4.学生個々についてみると、個体差が大きく、目標とする栄養所要量よりも、はるかにかけ離れた学生が、消費エネルギー量では、平日43%、休日37%もおり、摂取エネルギー量では、平日60%、休日57%を占めた。5.生活時間調査を分類すると、睡眠時間は、平日7時間36分±40分、休日9時間10分±72分で、休日に多く、有意差が認められた。休日には、生理的、家事作業、自由、その他の移動時間が多く、学業、通学時間が少なく、全てに有意差が認められた。6.穀類エネルギー比は、平日38.8%、休日35.6%で、ばらつきが大きく、極めて低いことがわかった。間食よりのエネルギー量の比率は、平日19.5%、休日22.1%であり、間食はほとんどの学生が摂取しており、その量も多いことがわかった。とくに不足している栄養素は、カルシウム・鉄である。
著者
阿部 幸子 渡辺 洋江 片山 倫子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.265-269, 1995-03-15
参考文献数
3
被引用文献数
5
著者
立川 貴重 目黒 公郎 永田 茂 片山 恒雄
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-30, 1992-05

近年、都市機能や日常生活は「電力」に大きく依存しているため,電力供給機能が失われた場合には、各方面で大きな影響を受ける.特に地震をはじめとする自然災害が都市を襲った場合,程度の差こそあれ,高い確率で停電が起こることが予想され,電力の途絶が都市生活へ及ぼす影響を検討しておくことが急務となっている.ところで,1991年9月27日から28日にかけて,日本を縦断した台風19号は,広い暴風圏を持った典型的な「風台風」として,日本列島の西南部と北東部を中心に大きな被害を及ぼした.青森県のりんご被害,九州の森林被害などが台風通過後に大きな問題となったが,特に西南日本では,過去の災害でも例を見ない大規模な停電が発生した.停電の影響は710万戸に及び,これは全国の需要家の13%に当たる.一部の地域ではライフライン施設そのものにも被害が発生したが,都市機能に大きな影響を与える主因は,電力供給の停止から波及したライフラインの機能的被害である.一般に自然災害に伴うライフラインの被害は,物的被害と機能的被害のカップリングの形で発生するが,台風19号の場合は,停電が他のライフラインに与える機能的被害波及を明確に示すものである.このような事例は非常に希であり,この機に被害の状況と関係機関の対応を調査しておくことは,今後の都市防災に多くの知見を与えるものと思われる.そこで我々は,広範囲かつ長時間の停電が発生し,他のライフラインへの被害波及が顕著であった広島市周辺を対象として,現地調査を行った.調査対象は,主として電力,上水道,下水道,電気通信,都市ガス,交通,マスメディアなど,いわゆる都市のライフラインとした.広い意味での都市機能の被害に関する情報収集に努め,台風による強風,高潮,飛来物などによる施設の直接被害よりも,電気の供給がストップしたことによる影響に重点を置いて調査を実施し,関連資料を集めた.本論分は,調査結果をなるべく網羅的にまとめたものであり,広域かつ長期の停電が都市施設に与えた影響の「全体像」を示すことを目的としたものである.
著者
片山 忠久 堤 純一郎 須貝 高 石原 修 西田 勝 石井 昭夫
出版者
九州大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

夏期の都市熱環境における水面・緑地の効果に関し、実測調査を主とした総合的な研究を行い、以下のような成果を得た。1.海風の冷却効果に関して、風向・風速と気温の3地点同時の長期観測を実施した。陸風から海風への変化により、気温上昇の緩和あるいは気温の低下が認められ、海岸からの距離によって異なるが、平均的に3℃程度に達する。2.河川上と街路上における熱環境の比較実測を行った。河川は風の通り道としての役割を果しており、その水面温度も舗道面温度などに比較して最大30℃程度低い。その結果、海風時の河川上の気温は街路上のそれに比較して低く、その気温差は海岸からの距離により異なるが、最大4℃に達する。3.満水時と排水時における大きな池とその周辺の熱環境の分布を実測した。池の内部と周囲には低温域が形成されており、その外周200〜400mまでの市街に対し0.5℃程度の気温低下をもたらしている。その冷却効果は池の風上側よりは風下側により広く及んでいる。4.公園緑地内外の熱環境の分布を実測した。公園緑地内はその周辺市街に比べて最大3.5℃低温である。また公園緑地内の大小に依らず、緑被率、緑葉率に対する形態係数が大きくなれば、そこでの気温は低下する傾向にある。5.地表面の粗度による風速垂直分布および地表面温度分布を境界条件として、LESとk-ε2方程式モデルを用いて2次元の市街地風の数値シミュレ-ションを行い、市街地の熱環境を数値シミュレ-ションにより予測できる可能性を示した。6.建物の形状や配置を考慮した地表面熱収支の一次元モデルを作成し、都市の大気境界層に関する数値シミュレ-ションを行い、接地層の気温の垂直分布について実測値とよく一致する結果を得た。建物高さ、人工廃熱、水面・緑地の面積率などに関してパラメ-タ解析を行い、都市の熱環境の定量的な予測を行った。
著者
久光 彩子 曽我部 陽子 寺田 剛 大隅 有理子 寺田 早百合 平野 綾香 杉田 麻衣 松尾 扶美 片山 涼子 荻野 直人 高見 晋一 桜谷 保之
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.43, pp.91-104, 2010

On 22 July 2009, partial solar eclipse was observed in most regions in Japan and a total solar eclipse was observed in the Southwest Islands. At the Nara Campus of Kinki University, located in Nara Prefecture, central Japan, the sun fell into eclipse at 9:46, the maximum eclipse occurred at 11:05 (82% eclipse) and the eclipse finished at 12:25. The weather was cloudy and occasionally the sun peeped through the clouds.At the maximum eclipse, the following phenomena were observed:1) The ratio of singing individuals of two species of cicada, Platypleura kaempferi, and Graptopsaltria nigrofuscata, singing in daylight was reduced, hereas he higurashi cicada, Tanna japonensis, which sings at early morning and evening, began to sing actively.2) The katydids, Gampsocleis buergeri ,which sing in daylight, were silent.3) Two species of bird, Hypsipetes amaurotis and Cettia diphone were silent.4) The activities of flight butterfly species, Zizeeria maha, declined.5) The leaves of the silk tree, Albizia julibrrissin., which normally close at night, begun to close.6) The amount of solar radiation decreased and the air temperature declined.The response of some animals and plants to the eclipse may be coused by these weather factors which caused by solar eclipse.
著者
片山 泰輔
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.59-77, 2004-03

本稿では、米国連邦政府の芸術支援機関である National Endowment for the Arts (NEA) 芸術支援プログラムをめぐる議会公聴会の証言をもとに、NEAの政策が米国の舞台芸術の発展に果たした役割についての検討を行った。NEAが議会において政治的な支持を得るうえで重要な影響を与えた論点として以下の3項目が重要である。第1は、民間の寄付金を引き出す触媒としての役割の重要性、第2は、芸術団体が地域社会へ貢献することで地元の支援を受けて自立するための支援、そして、第3は、実験的試みを含む創造性への支援であり、これらは芸術団体の自立による量的拡大とも密接に結びついたものであった。
著者
片山 章郎
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.13-20, 2002-02-28

学生の論理的文章作成能力が低下しているので,論理的文章の作成を早い時期から慣れさせる必要があると思った.そこで,1年前期に開講している「情報科学」で手書きによるレポートをほぼ毎週課し、添削して返却することにした.当初のレポートは文章や論理展開等にいろいろな問題があったが,添削する際に必ずほめるコメントをつけたり,課題に対する解説をしたりすることにより,文章が改善する点もあった.しかし,論理構成の向上は不十分であり,今後も新入生に論理的文章を作成させる必要があった.また,新入生の文章作成に対する意識も把握するために,最後の授業時にアンケート調査をした.その結果,新入生は論理的文章作成に慣れていなかったために,レポートに大きな負担感を持っていたことがわかった.ただし,レポート提出をよいことと思った新入生は,学習意欲が高まったり,文章作成の負担感が軽減したりしていた.
著者
小倉 拓郎 水野 敏明 片山 大輔 山中 大輔 佐藤 祐一
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.22-00012, (Released:2023-09-06)
参考文献数
37
被引用文献数
1

河川管理事業において,従来の掘削事業は,定型形式で施工管理されることが慣例であったが,近年は河川環境への配慮が重視されてきたことから,中小河川であっても定型形式の技術指針と異なる掘削方法が必要とされている.そのためには,河道の三次元情報を詳細に把握し,綿密な測量計画を立案する必要がある.そこで本研究は,滋賀県を流れる A 川において,希少種に配慮した掘削事業を対象とし,RTK-UAV を用いて効率的に掘削土砂量を把握する方法について検討した.RTK-UAV を用いることで,河道掘削範囲に立ち入ることなく 10 分程度で撮影することができた.また,河道掘削事業前後の測量成果から差分解析を試みた結果,8,851.08 m3の掘削土砂量が算出された.この値は,施工者が算出した掘削土砂量である8,332 m3 に近い値を示した.RTKUAV を用いた地形測量成果から差分抽出を行う際には,写真測量が不得意としている水域,植生などの扱いに留意する必要がある.とくに,植生高は植生被覆の異なる 2 点の標高差を用いて概算で計算し,体積を計算した.総じて,RTK-UAV を用いた掘削土砂量の算出方法は,測量の設定や植生に留意することで,実務レベルで使用できることが明らかとなった.
著者
野田 和彦 片山 英樹 升田 博之 小野 孝也 田原 晃
出版者
Japan Society of Corrosion Engineering
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.368-374, 2005-08-15 (Released:2011-12-15)
参考文献数
55
被引用文献数
3 5

材料の実用に際し, 大気腐食は身近にして多くの課題を有する問題であるが, 一般的な電気化学測定による評価が困難であるため, 大気腐食評価法に関して多くの取り組み, 試行がなされている。ここでは, 大気腐食性評価におけるモニタリング技術と表面観察法を中心とした大気腐食評価法を紹介した。モニタリングにおいては, 大気暴露試験, ACMセンサ, 交流インピーダンス法, QCMについて解説し, その有効性と適用範囲を整理した。鉄鋼材料の大気腐食性評価に用いたさび膜のイオン透過抵抗測定およびイオン選択透過性評価について, 試料作製から解析の一部を紹介し, 腐食生成物の物性評価の重要性を説明した。さらに, 表面観察法としてケルビン法や原子間力顕微鏡を用いた表面電位測定, 表面pH分布測定の有効性を解説することで, 表面可視化技術の発展と大気腐食性評価への適用の期待を示した。