著者
田中 英夫 緒方 剛 森定 一稔 田中 伸治 吉田 隆典 仲西 博子 三沢 あき子 西田 敏秀 鉄 治 永田 愛美 中里 栄介
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.550-558, 2021-08-15 (Released:2021-08-11)
参考文献数
18

目的 新型コロナウイルスの低蔓延期の日本において,無症候性病原体保有者から感染していたと考えられる事例を収集し,感染が成立した1次感染者と2次感染者との接触状況等の諸条件を確認する。方法 持続無症候性か,もしくは前発症期に2次感染させたと考えられる事例の匿名化された感染者の情報と,両者が最終接触した時の状況報告の提供を,2020年6月20日を期限として全国保健所長会のメーリングリストを通じて依頼した。2府6県の8保健所から,1次感染者9人,2次感染者17人の症例報告書が提出された。著者らの4人が独立して各症例について感染成立の確からしさを判定し,それを元に合同協議の上,対象症例を決定した。結果 2020年3月から5月に確定診断された7人と,この7人から2次感染したと考えられた,合計13人の陽性者の感染状況を以下のように見出した:①持続無症候性の20歳代女性が,70歳代の祖母と自宅で空間を共有,②ヘアーサロン店内で40歳代の美容師が,発症2日前に,客4人と客の子ども1人に接触,③50歳代の看護師が,発症2日前に,自分が勤務する病棟の入院患者2人に病室内で介護,④50歳代の女性が,発症2日前に,80歳代と90歳代の2人の親族に家事支援のため自宅で接触,⑤60歳代の男性が,発症1日前に,約8畳大の集会場で60歳代の男性と対話,⑥60歳代の男性が,発症1日前に,会社の同僚の40歳代男性に,喫茶店で対話,⑦50歳代の男性が,発症1日前に,会社の同僚の50歳代男性に,事務所内と乗用車内で約50分間接触があり,感染させた,と考えられる事例であった。各保健所が実施した13人の2次感染者に対する積極的疫学調査では,上記以外の感染源は見出せなかった。それぞれの2次感染が起きたとする日から潜伏期間に相当する6日後のその府県における感染罹患率は,100万人日あたり,0.00から6.54と,極めて低率であった。結論 新型コロナウイルス持続無症候性陽性者からの感染があったと考えられた事例をケースシリーズの一連として国内で初めて報告した。発症前の感染事例では,2次感染者との接触はすべて1次感染者の発症1~2日前であった。感染時の状況は,自宅,ヘアーサロン,病室,狭い集会場などの,いずれも換気が不十分な空間での接触を認め,飛沫感染が起きやすい状況にあったと考えられた。
著者
井原 司 村上 英嗣 門脇 康二 田中 英二 岡部 正之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.1511-1514, 2003-06-25
参考文献数
6

症例は90歳,女性.臍部の腫脹と疼痛を主訴に当院を受診.臍部に黒色の3cm大の臍石を認め圧痛と臍周囲に発赤を伴っていた.生活歴において現在までに臍を洗浄した記憶はなくまた手術既往もない.腹部単純レントゲン検査では所見はみられなかったが,腹部CT検査では臍内に層状の3cm大の結石を認めた.治療は臍孔より絞り出すようにして摘出を試みるも困難だったため,臍孔周囲に局所麻酔を行い,臍孔を十分に開大し摘出した.臍石径は27×26×13mmであった.摘出した後の臍窩には不快な悪臭のある垢が存在し臍炎を併発していた.臍石の報告は現在まで数件の報告しかみられない.さらに摘出に難渋するほどの巨大臍石の報告は現在までにみられず非常に稀な症例と考えられる.
著者
田中 英夫 野上 浩志 中川 秀和 蓮尾 聖子
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.929-933, 2002-09-15

<b>目的</b> 全国の薬局,薬店で喫煙者の鎮咳,去痰剤として販売されている紙巻きたばこ型薬用吸煙剤(ネオシーダー,製造:アンターク本舗,千葉県,以下 NC と表す)の医薬品としての妥当性を,製品のニコチン含有量と,これを試行した者および連用者の尿中コチニン量から評価検討した。<br/><b>方法 1</b> NC および,コントロールとしてマイルドセブンエクストラライト(以下 MSE と表す),マイルドセブンスーパーライト(以下 MSS と表す),セブンスター(以下 SS と表す)の葉0.25 g を蒸留水10 m<i>l</i>で 5 分間振とうし,遠心分離後に抽出液を発色反応させ,高速液体クロマトグラフィーで分析した。<br/><b>方法 2</b> 喫煙中であった32歳医師を被験者とし自記式問診とともに,禁煙時,NC 使用時,禁煙継続かつ NC 不使用時の 3 点で尿中コチニン量を測定した。<br/><b>方法 3</b> 外来患者の中でタバコの代替物として NC を継続使用していた 2 人の連用者を見出し,自記式問診と採尿を実施し,尿中コチニン量を測定した。<br/><b>成績 1</b> 製品 3 cm(実際の 1 本当たり消費量)当たりの平均ニコチン含有量は,NC; 0.79 mg (n=6), MSE; 5.04 mg (n=2), MSS; 4.91 mg (n=2), SS; 5.55 mg (n=2)。<br/><b>成績 2</b> 被験者の喫煙中の Fagerstrom Test for Nicotine Dependence は 3 点。禁煙の開始から最終回の採尿までの期間の受動喫煙はなし。尿中コチニン量は,禁煙開始 7 日目10.0 ng/m<i>l</i>。NC を 3 日間で17本使用後47.2 ng/m<i>l</i>,禁煙継続かつ NC 不使用 3 日目8.4 ng/m<i>l</i>。<br/><b>成績 3</b> 53歳男性:喫煙当時の FTND は 6 点。調査期間中の受動喫煙はなし。NC を 1 日平均40本連用中の尿中コチニン量は937 ng/m<i>l</i>。75歳女性:喫煙当時の FTND は 7 点。NC を 1 日27本連用中の尿中コチニン量は2724 ng/m<i>l</i>。NC 中止96時間後では27.7 ng/m<i>l</i>。<br/><b>結論</b> NC は非麻薬性で習慣性がみられないと説明されているものの,ニコチンを含有していること,使用により本剤に含有するニコチンが体内に移行することがわかった。また,本剤の使用によってニコチンへの依存性が生じ,長期連用を引き起こしていたとみられる 2 例を報告した。
著者
田中 伸久 小林 貞 田中 英文 佐々 学 萱原 伊智郎 山口 安宣 林 治稔 小澤 邦寿
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-5, 2004-04-30 (Released:2019-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

群馬県内において,ユスリカ幼虫が上水道給水栓から発見される苦情事例が発生した.ユスリカは,ヨシムラツヤユスリカおよびハモンユスリカ属の幼虫であり,これらは浄水場内でも確認されたことから,浄水場内のユスリカ幼虫が給水栓に達したものと推測された.また,前塩素濃度を上げる,凝集剤 (PAC) を多めに入れる,濾過機の逆洗回数を増やす,清掃を行うなどの積極的かつ厳重な管理によって,このような事例は防ぎうることが示唆された.
著者
田中 英夫 長尾 香織 池田 了
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.147-151, 2007 (Released:2007-08-10)
参考文献数
10

ここ20年の抗HIV薬の開発は目覚しく,現在20種を超える薬剤が上市されている.治療に使用されている逆転写酵素阻害薬,プロテアーゼ阻害薬に加え,新規作用機序を持つ薬剤も開発段階にあり,今後さらに治療の選択肢が増えることが期待される.しかし,薬剤耐性ウイルスの出現,長期服用に伴う副作用,HIV感染症の根本治療の困難さなど課題は残されている.
著者
伊東 秀幸 大西 守 田中 英樹 桑原 寛 伊藤 真人 大塚 俊弘 野口 正行 金田一 正史 斎藤 秀一 山本 賢 呉 恩恵
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-31, 2016-03

精神障害者支援に関して,市町村は精神障害者に対して身近な地域できめ細かく支援していく役割があり,保健所はその市町村に対して専門性や広域性が必要な事項について支援していく役割がある。また,精神保健福祉センターは,保健所,市町村に対する技術援助の役割を担っている。以上のように各機関は,それぞれ異なる役割を期待されているが,精神保健福祉法の改正や障害者自立支援法の施行などもあり,精神保健福祉行政を取り巻く環境は大きく変化している。そのため,保健所,市町村そして精神保健福祉センターによる精神障害者に対する支援の現状を把握し,それぞれの機関の果たすべき役割について見直していくことが重要である。そこで本研究では,厚生労働省平成26 年度障害者総合福祉推進事業「保健所及び市町村における精神障害者支援に関する全国調査」の結果から,保健所及び人口30 万人未満の市町村のデータを抽出し,精神障害者支援に関する,保健所と市町村の役割とその現状について考察を試みた。調査の結果から,指定都市型保健所,中核市型保健所や10 万人未満,30 万人未満の市町村においては,精神障害者支援に関する様々な取り組みがされているのに対し,都道府県型保健所ではこれまでの事業を中心に実施されている現状が分かった。これは,都道府県型保健所と市町村との間で精神障害者支援に関する役割分担が進んでいることからくることと推測される。30 万人未満の市町村では,精神障害者支援に関して,これまでの都道府県中心から市町村主体と変わっているが,その実施にあたり様々な困難を抱えており,これからも都道府県(保健所)等のバックアップが必要と考えている。そのための具体的な対策としては,保健所や精神保健福祉センターによるバックアップ体制を強化するとしている。一方,保健所は,今後重要となる精神保健福祉業務の体制については,管内市町村との連携強化を考えているという現状が把握できた。精神保健福祉センターに対する調査では,精神保健福祉センターの業務のうち保健所への技術援助は積極的に取り組む必要があるとしている。以上のことから,今後,保健所から管轄市町村に対して,これまで以上に技術援助や連携を進めていくことが必要であり,精神保健福祉センターからの技術支援は,保健所はもとより直接的に市町村にも積極的に進めることが課題であると思われる。また,「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」は,平成18 年に発出以来10 年が経過していることから,現状にあった改訂の必要性があると思われる。
著者
田中 英夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学史紀要 (ISSN:09155848)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-88, 1991-04

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
上城 太一 藤原 晶彦 田中 英明 多賀谷 敦
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.147-151, 1991-03-30 (Released:2008-10-30)
参考文献数
11
被引用文献数
5 5

Aluminum single crystals in the (112) [111] orientation were cold-rolled to 99% reduction. The main component of rolling textures changed from the initial orientation towards (4 4 11) [11 11 8] orientation above 80% rolling but it was sharp up to the maximum reduction. The weak intensity areas were observed spreading over the pole figures. The minor component which was symmetrical to the main component with respect to the transverse direction, was formed at 90% rolling and developed with increasing reduction. The deformation structure of a totated cube orientation was observed in the (100) pole figure of the crystal cold-rolled 99%. The recrystallization textures were composed of a (1 1 10) [7 3 1] orientation which was appropximately related to the cube orientation by 22° rotation around the normal direction. Any orientation change from (1 1 10) [7 3 1] to (001) [100] was not found with an increase in rolling reduction. The formation of the rotated cube texture is attributed to preferential nucleation from the deformation structure in the same orientation. The deformed matrix of S-orientation might be required for development of the cube texture of good symmetry.
著者
田中 英道 森 雅彦 松本 宣郎 吉田 忠 鈴木 善三 岩田 靖夫 池田 亨 芳野 明
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

宇宙の体系、天体の考察は当然歴史的な変遷の中で、人間の外界に対する思想行為として、深く芸術に影響を与えてきた。芸術そのものが近代のように、科学、哲学と分離している時代と異なり、一体化した時代にあっては、宇宙観、天体観がそこに表現されざるを得ない。例えばカトリックの総本山であるヴァチカン宮の、ミケランジェロによるシスティナ礼拝堂天井画には『旧約聖書』の「天地創造」の場面が描かれているが、これは基本的には「ユダヤの宇宙論」に基づいている。第一に指摘すべきことは聖書の記録が「宇宙」という観念を知っていたかどうかであるが、世界は有機的統一体ではなくて別の現象の集まりに過ぎず、それらの共通の創造主の意のままに制御されている。つまり聖書の世界にはユニヴァースやコスモスという言葉はない。理論的にはそのような形で芸術に表現されることになる。ミケランジェロの場合、神が闇と光を創造し、月と太陽をつくり、人間を生じさせた場面を描いたとき、そこには宇宙論的な統一体はないことになる。確かに創造された人間の姿は、決して、最初から宇宙の中で調和のとれた存在として描かれているものではない。しかし『創世記』(1-31)で天地創造の話の終わりに「はなはだ善かりき」という使い方があって、宇宙の優位性を語っている。聖書の世界像ははっきり地球中心的であるが、ギリシアの天体観は様々な形をとったが、太陽中心説でさえ存在した。これらの知識が総合されて芸術に含まれている。このような宇宙観、天体観がまずどのようなものであったかを根本的に検討することが、我々の研究課題であった。単に西洋のキリスト教的観念だけでなく、ユダヤの宇宙論、ギリシャの天体観などを多角的に検討し、またイスラム、インドさらには中国などの宇宙観と比較し、それぞれがどのような共通性と相違があるか、研究成果の中で取り入れることが出来た。様々な分野の分担者がそれをまとめる作業を行った。
著者
宮本 久仁男 田中 英彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2602-2612, 2011-09-15

完全仮想化方式による仮想マシンモニタは,実ハードウェアを対象にしたオペレーティングシステムおよびアプリケーションを,修正を施すことなく実行させることが可能であるが,仮想マシン上でのソフトウェア動作を行わせたくないという要求もある.仮想マシン環境の検出を行う試みは,これまでも行われているが,それらは仮想マシンの機能上現れるデータや判定のための性能値を集めた特徴データベースを利用することが前提であったり,仮想マシンモニタ側の実装上の工夫で回避できたり,また判定が可能になるまでかなりの時間を要したりするなどの欠点を有する.本論文では,そのような特徴データベースを用いることなく,CPUによる命令実行時に現れる性能値の変動をとらえ,アプリケーションプログラムのレベルで利用可能な,効率的な完全仮想化環境の判別方法を提案し,その評価結果について述べる.
著者
土井 晃一 佐川 浩彦 田中 英彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.610-611, 1989-10-16

自然言詔理解を計算機上で行うためには、単語のニュアンスの問題を含んだ言外の意味の解析、状況理解、文脈理解、話者の認識の仕方の解析などが必要となる。我々は隠喩理解という範囲内でこれらを取り扱う。隠喩理解によって単語の新しい意味や新単語の意味の解析が可能になる。隠喩理解では連想網の実現が普通の文の理解よりも重要である。本論文では、隠喩理解における連想網の実現をニューラルネットワークで行う方法を提案する。我々は文を命題に分解して、命題単位でニューラルネットワークの各ノードに入力する。これによりネットワークの簡略化、収束の早さ、検索範囲の狭小化ができる。我々の隠喩理解モデルは相互作用説に基づいている。相互作用説によると、隠喩ではたとえる語とたとえられる語とがお互いに影響しあい、意味を変化させる。例えば「人間は狼である」という文では、「人間」も「狼」もその互いの意味が変化し、「残酷である」あるいは「孤独である」といった意味を帯びるようになる。ニューラルネットワークを使うことにより、このような単語の意味の変化を扱うことができる。さらに意味の変化を学習させることもできる。心理学の混合理論によると、(1)多義個所に至ると、聞きては複数の解釈を算出する。(2)その中から、文脈を利用して最適の解釈を選ぼうとする.(3)文が終わるまでに多義性が解消しなかった時にも、一つを選びそれに固執する。(4)選んだ解釈が後続の文脈に合わない時には、前の節の表層構造を想起し直して、新しい解釈を算出しようとする。となる。我々は混合理論に基づいた隠喩理解モデルを提案する。すなわち(1)の各々の解釈を別のニューロンに割り当て、ニューロンの活性値の大小により、優先順位をつけ、またさらに前の文章によって特定のニューロンのバイアス値を上げることにより、混合理論を実現する。
著者
高橋 栄一 小池 汎平 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.867-876, 1991-07-15
被引用文献数
2

本研究は 大規模な知識処理の高速実行を目的として研究を進めている並列処理マシン PIE64の相互結合網の開発関すもので.一般に並列計算機において 相互結合網は計算機アーキテクチャの良否決定する重要なファクタの一つであり 相互結合網の性能や特徴は システム全体の処理能力と処理方式に重要な影響を与える.PIE64におけるプログラムの実行は 細粒度のプロセスを動的に生成し かつ割り付けろことにより行われ この実行過程で発生するプロセッサ間通信を効率的に支援するような特性を有する相互結合網を構成する必要がある.本稿では まず PIE64の相互結合網としてどのような構成のネットワークが最適かを考察し (1)回線交換 (2)ノンバッファリング (3)多段網 (4)動的負荷分散支援 (5)二重構成(同一構成の独立した二つのネットワークを用意)などの特徴を有するネットワークが PIE64 の相互結合網として妥当であることを述べる.次に 相互結合網ハードウェアの実装方法を検討し 実際の実装過程について説明する.最後に 作製した相互結合網ハードウェアの予備評価として 経路設定や転送遅延など基本的な機能や信号伝送路の品質などの電気的特 性の測定結果を検討し PIE64の相互結合網として十分な性能を持つことを示す.
著者
田中 英城 加地 良雄 山田 賢治
出版者
香川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

種々の動物の手足の形成過程では、まず四肢の形成予定域に突起(肢芽)が形成され、肢芽の基部が細胞死によってくびれが生じ、手関節に相当する部ができる。さらに、発生が進むと手足の形成予定域には指の原器が形成され、グローブ状の形となる。その後、各指間の間充織がアポトーシスによる細胞死に陥り、指間間充織が除去され、各指が分離する。両生類では指間間充織に細胞死が起こらないために水かきを持つ手足が形成されるが、鳥類やほ乳類などでは指間間充織に細胞死が起こるため、水かきを持たない手足が形成される。鶏胚肢芽では7日鶏胚で指間間充織に細胞死が出現し、1日以内にほとんどの指間間充織が死んでしまう。そして、この部における細胞死への運命は61/3日から62/3日鶏胚で決定されると考えられているが、細胞死を誘導するメカニズムは明らかにされていない。一方、人の手の先天奇形は合指症や多指症など表現形が様々である。そのうち合指症は指間部の間充織が連続しており、外科手術を必要とする。その原因はいまだはっきりと解明されていないが、発生の段階でアボトーシスが正常に起こっていない可能性が考えられる。最近、BMP-2、BMP-4が指間間充織のアポトーシスのシグナルとなっている可能性が報告されている。本研究では、手の先天奇形の一つである合指症の原因を解明する目的で、鶏胚肢芽組織の細胞の分化とアポトーシスにおよぼすBMP-2の作用を解析する計画をすすめてきた。しかし、技術的な諸問題をクリアできず、研究目的を果たすことができなかった。