著者
田中 皓介 長谷川 貴史 宮川 愛由 三村 聡 氏原 岳人 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.356-368, 2018 (Released:2018-11-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

近年の日本では大型店舗立地による雇用機会,税収,買い物客の増加が期待されるものの,その根拠は乏しい.それどころか先行研究では,大型店舗での買い物は地元商店での買い物に比べて,地域経済の活性化に繋がらないことが実証的に示されている.本研究は,京都市での先行研究の知見が他都市においても妥当するかを検証するため,岡山市を対象に調査・分析を行った.その結果,買い物支出のうち岡山市に帰着する割合は,地元小型商店,地元中型商店ではそれぞれ67.13%,55.21%であった.一方,天満屋,全国チェーンYではそれぞれ40.00%,28.48%に留まり,地元小型商店や地元中型商店の方がチェーン型大型店舗よりも,買い物支出が岡山市に帰着する割合が高いことが示された.こうした傾向は京都市を対象に行った先行研究の知見を支持する結果である.
著者
宮里 心一 深田 宰史 田中 泰司 花岡 大伸 伊藤 始 鈴木 啓悟 杉谷 真司 宇津 徳浩 井林 康 津田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.F5-0089, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
56

市町村は多くのインフラを管理しているが,そのメンテナンスに苦労している.特に北陸地方のコンクリート構造物では,塩害やASRによる劣化が生じやすく,早急な対応が望まれる.このような背景を踏まえて本稿では,地元の大学・高専教員が連携して,市町村が管理する道路橋を対象にした,メンテナンスの合理化に向けた支援について論ずる.はじめに,新潟県上越地区・富山県・石川県・福井県の41市町に対してヒアリング調査を実施し,課題とニーズを抽出した.次に,これらを改善すべく,コンクリート橋に対する点検・診断・措置の手順案を策定し,また技術展示会を開催し,さらに実橋を用いた補修効果の評価に取り掛かった.以上により,市町村の実情を起点とした,官学連携による道路橋の維持管理の合理化に向けた実績とその評価を整理した.
著者
伊藤 良作 長谷川 真紀子 一澤 圭 古野 勝久 須摩 靖彦 田中 真悟 長谷川 元洋 新島 溪子
出版者
日本土壌動物研究会
巻号頁・発行日
no.91, pp.99-156, 2012 (Released:2013-07-30)

日本産ミジントビムシ亜目1科2属2種およびマルトビムシ亜目6科(2亜科を含む) 19属63種1亜種について,同定に必要な形質について説明するとともに,検索図と形質識別表を示し,種類別の特徴を解説した。識別のための主な形質は体の色と模様,体形,特殊な体毛,小眼の数,触角の長さと各節の比率,触角第3,4節の分節数,雄の触角把握器,触角後毛の有無,雄の顔面毛,脛跗節の先の広がった粘毛の方向と,各肢の粘毛の数,脛跗節器官の有無とその形態,爪(外被,偽外被,側歯,内歯の有無)や保体(歯や毛の数)の形態,跳躍器茎節の毛の形質,端節の形態,雌の肛門節付属器,胴感毛の数と配置などである。
著者
吉岡 定七 長尾 彰士 苅山 四三 大西 晃二 田中 一行
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
流れの可視化 (ISSN:02873605)
巻号頁・発行日
vol.6, no.22, pp.167-172, 1986-07-05 (Released:2009-07-31)
参考文献数
3
被引用文献数
1

In order to improve combustion in a rotary engine which has a chamber recess in each rotor face and two sparkplugs on the housing, it is necessary to understand the effect of squish flow on flame propagation, because the movement of the rotor generates strong squish in the direction of rotation.To this end, the patterns of squish were visualized near TDC of compression stroke in a motordriven transparent engine, by using the spark tracing technique. The behavior of flame fronts was observed by means of high-speed camera and investigated by using a one-dimensional flame propagation model.Based on the results, the relationship between squish flow and flame propagation was clarified.
著者
岩﨑 安博 川嶋 秀治 柴田 尚明 田中 真生 中島 強 國立 晃成 置塩 裕子 中田 朋紀 米満 尚史 上田 健太郎 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.37.3_01, (Released:2023-02-15)
参考文献数
13

症例は50代の男性. 罠にかかったイノシシを捕獲しようとした際に, イノシシに胸部に突進された. さらに転倒後両下肢を複数回咬まれた. 救急隊により開放性気胸と判断されドクターヘリが要請された. 現場で胸腔ドレナージを実施した. 両下肢にも多発切創を認め圧迫止血を行い病院へ搬送した. 第4病日に胸腔ドレーンを抜去し, 第28病日に退院となった. イノシシの犬歯は非常に鋭く大きく, それによる外傷は単なる咬傷でなく, 深部に達する刺創, 切創となり致死的な外傷を来たしうる. また攻撃性が強く多発外傷ともなりうる. イノシシによる外傷を診療する場合には, これらの特徴を踏まえて重症外傷の可能性も念頭に置いて対応する必要がある.
著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
田中 和夫 島地 英夫
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.59-64, 1992-06-30 (Released:2010-06-22)
参考文献数
9
被引用文献数
5 4

トマトの大量苗生産に必要な高密度苗生産技術の一つとして接触刺激の利用を検討した.1) 作動時刻, 走行速度および高さを任意に変えることができる自動走行式の接触刺激装置を作成した.この装置を用い, トマト苗の生長部に30分に1往復の頻度で, 走行速度は10m/minに設定して接触刺激を行った.2) トマト苗の生長部への接触刺激を行うことにより, 徒長防止だけでなく, 主茎長を中心とした生育の均一化や乾物率の上昇による苗質向上の効果が認められた.なお, 接触刺激によるトマト苗の乾物生産能力の低下はほとんどなく, また花芽の発育にも悪い影響を認めなかった.3) 接触刺激を利用することで, トマトの苗生産は最大栽植密度を展開葉数が4~5枚までの場合で約1, 000株/m2, 展開葉数が6~7枚までの場合で約400株/m2まで高めることが可能と考えられた.4) 生育初期から生育速度に個体間差の大きいトマト培養苗の成苗化過程において, 生育の均一性を高める顕著な効果が接触刺激により得られた.
著者
片上 幸美 田中 俊行 本間 隆満 横山 淳史 朴 虎東
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-12, 2004-04-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
55
被引用文献数
4 7

富栄養湖である諏訪湖に端を発する天竜川の上流域では,造網性トビケラの一種,ヒゲナガカワトビケラStenopsyche marmorataが多数生息している。春から秋にかけて諏訪湖で発生した有毒藍藻のMicrocystisや,その細胞に含まれる肝臓毒microcystinが大量に天竜川に流下することがある。天竜川に生息するヒゲナガカワトビケラ幼虫のmicrocystin濃度の季節変化と,ヒゲナガカワトビケラからのmicrocystinの排出について研究を行った。幼虫のmicrocystin含有量は,河川水に含まれる有機懸濁物質中のmicrocystin濃度と相関を示した。また若齢個体ほどmicrocystin含有量が高い傾向が見られた。これは幼虫の成長に伴う食性の変化と関係していると考えられる。さらに前蛹,蛹,成虫からも低濃度ながらmicrocystinが検出された。Microcystin排出実験では,5日間microcystinが幼虫の組織内に残留した。これらの結果は河川生態系においでヒゲナガカワトビケラがmicrocystinのベクターとなり,さらに陸上生態系へもmicrocystinが移行する可能性を示唆している。
著者
田中 雅大
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.47-62, 2013 (Released:2018-01-26)
参考文献数
42
被引用文献数
1

The aim of this study is to analyze qualitative aspects of cognitive distance in urban space considering their relationship with context-dependency. Data used in this study were obtained from 181 university students in Kanazawa City. After examining the theoretical basis of the qualitative cognitive distance in a large-scale space in accordance with cognitive linguistics, I assumed that the dichotomy of small-scale space around the body between “the space that can be reached by a limb” and “the space that can be seen but not reached” becomes a prototype of qualitative cognitive distance in a large-scale space, being metaphorically interrelated with those two spaces. Based on this assumption, we examined the relationship between qualitative cognitive distance drawn from university students in Kanazawa City and their contexts of daily movement behavior. An analysis of the relationship between the context of daily movement behavior and qualitative cognitive distance using Hayashi’s Quantification Theory III revealed that action space in the city is divided into a “close phase” (i. e., visited frequently and contacted directly), and a “far phase” (i. e., rarely visited or contacted), both of which are metaphorically related to the dichotomy of small-scale space between “the space that can be reached by a limb” and “the space that can be seen but not reached.” Since frequency of visits, mobility, and relative position among residence and destinations strongly influence the “close phase” and “far phase,” qualitative cognitive distance in urban space is considered to be affected by these contexts of daily movement behavior. Namely, the frequency of visits defines the similarity between “close phase,” “far phase,” and the space around the body ; moreover, mobility and relative position among residence and destinations define a range of both the “close phase” and the “far phase.”
著者
坂口 正範 田中 映子 河原田 和夫 谷内山 仁
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.Supplement38, pp.148-156, 1990-08-20 (Released:2012-11-27)
参考文献数
22

Six patients with cysts in the posterior paranasal sinuses who compained of visual disturbance are reported. All of them had previously undergone sinus surgery (mean,20.3years). All of them were treated via an endonasal approach under local anesthesia. In five, the visual acuity and the visual field was improved after surgery. However, one did not recover the visual field despite gross improvement in the visual acuity. Computed tomography was very useful to localize the lesion, and the image amplifier was useful to indicate the sphenoid sinus.