著者
合屋 征二郎 佐藤 琴美 島田 香寿美 上村 暁子 田中 綾
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.107-111, 2018-09-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
24

低ナトリウム血症を伴うACVIM分類ステージCの僧帽弁閉鎖不全症犬に対してアルギニンバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンを投与した。投与前134 mmol/lであった血漿ナトリウム濃度はトルバプタン投与から7週間後に147 mmol/lまで上昇した。トルバプタン投与に伴い,左室拡張末期径およびE/Emは29.9 mmから27.8 mm,19.0 から11.6にそれぞれ減少した。これらの結果はトルバプタンの水利尿効果により前負荷の軽減と電解質の正常化が同時に行われたことを示した。
著者
坂東 昌子 田中 司朗 今井 匠 真鍋 勇一郎 和田 隆宏
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.122-134, 2017 (Released:2020-02-19)
被引用文献数
1

従来の低線量被ばくの影響評価そして放射線防護の枠組みを一新する可能性のある理論が開発されている。その名をモグラたたき(WAM)モデルと言う。このモデルが導く最も重要ことは,低線量被ばくの影響はモグラたたきのように潰されていって,時間経過とともにその影響が蓄積してはいかないということである。これは現行の放射線防護の基盤であるしきい値なし直線(LNT)モデルが70年にわたって築いてきた枠組みにチャレンジするものである。ここでは,このことを議論した2016年秋の大会企画セッションの内容を紹介する。
著者
魏 燕玲 田中 豊穂
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.57-68, 2010 (Released:2010-05-31)
参考文献数
43

The purpose of this research is to compare two different high altitudes Tibetan group’s physiques, physical strengths and physiological functions.In total 199 Tibetan subjects, 101 subjects (48 males and 53 females) from a 1800 meter highlands (mid-altitude group) and 98 subjects (48 males and 50 females) from a 4000 meter highlands (high altitude group) were examined morphological and physiological characteristics such as height, weight, vital capacity, blood pressure, grip strength and two step exercise test. Subjects for the analyses were extracted from the total subjects by matching the age and sex between the two groups, 53 subjects respectively.Compared to the mid-altitude group, the high altitude group had a smaller body size, lower physical abilities except for endurance performance, lower systolic and diastolic blood pressure and lower vital capacity. The results of vital capacity were different from that of previous researches. Although the blood pressure was remarkably low in high altitude group, it is difficult to attribute the cause only to the difference of altitude, because besides the altitude some differences such as occupations and eating habits existed between the comparison groups.
著者
田中 雄一郎
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.97-109, 2022 (Released:2022-12-22)
参考文献数
19

ロボトミー誕生以前の脳科学や精神病の治療について概説する。精神病の治療には精神療法と身体療法がある。身体療法のなかには,電気治療,水治療,持続睡眠療法の他,様々な臓器切除があった。臓器切除の中には女性器切除や,精神病治療を目的とする男性の断種もあった。これまで十分な分析がない領域であったがNgramで光を当てる。1800年代後半,ロボトミーが行われる50年前に,精神病治療のために脳の部分切除を試みたスイスの精神科医がいた。それは世界初の精神外科手術ではあったものの,精神医学の発展に貢献することなく人々から忘れ去られた。1900年代前半には人為的にマラリアを感染させることで,ある種の精神病(進行麻痺)が治療可能となり精神医学発展に大きく寄与する。
著者
田中 共子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.146, pp.61-75, 2010 (Released:2017-03-21)
参考文献数
22

ソーシャルスキルは,対人関係の形成・維持・発展に役立つ技能を指す心理学の概念であり,内容や機能に関する調査や実験が蓄積され,教育訓練の方法が発達している。異文化圏では,挨拶,主張,遠慮,社交辞令などの対人行動が未知であると,困難や誤解が生じる。そこで,文化的行動の背景や異文化交流の要領として,異文化圏での人付き合いに役立つ認知や行動を抽出し,社会的行動の学習を試みるのが,異文化間ソーシャルスキル学習である。本稿では,在日留学生を対象とした研究をもとに異文化適応とソーシャルスキルの関わりを論じ,この心理教育を異文化間教育として使う場合の概念枠組みと学習セッションの概略を紹介する。そして,将来的な研究課題を述べる。ソーシャルスキルが適応にどのように関わるのか,ホストとの対人関係形成,およびホスト文化への関わり方の観点から考察し,日本語教育との接点を探る。
著者
田中 健三
出版者
University of Tokyo(東京大学)
巻号頁・発行日
2016

審査委員会委員 : (主査)東京大学准教授 筒井 賢治, 東京大学教授 髙橋 英海, 東京大学准教授 田中 創, 東京大学教授 市川 裕, 東京大学名誉教授 大貫 隆
著者
岩崎 信明 絹笠 英世 渡辺 章充 片桐 朋子 田中 竜太 新 健治 佐藤 秀郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.202-205, 2007-05-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

重度脳性麻痺, 重度精神遅滞, 症候性てんかんを基礎疾患にもつ3歳女児に長時間続く吃逆発作が繰り返し出現した. 気管切開・喉頭気管分離術の施行後に発症し, 合併症として呼吸停止がみられた. 薬物治療に抵抗性であったが, 微量の食用酢を点鼻することで速やかに吃逆は消失した. 機序として吃逆の反射弓の求心路と考えられている舌咽神経咽頭枝が分布する鼻咽頭背側領域への刺激の関与が推察された. 安全かつ簡便に施行できることから, 薬物療法が無効な場合には非薬物療法のひとつとして試みてもよい方法であると考えられた.
著者
田中 秀人 浦出 俊和 上甫木 昭春
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Special_Issue, pp.356-362, 2017-11-20 (Released:2018-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

Recently, it is pointed out that the supply of roofing miscanthus grasses for cultural properties is short with the decline of miscanthus grasslands. This study clarifies the supply and demand of roofing miscanthus grasses for cultural properties and the role and maintenance of small-local grassland. The current supply amount of roofing miscanthus grasses has fully satisfied the demand for nationally designated cultural properties, not be able to meet the demand for all of the cultural property. Small-local grasslands play an important role in the preservation of local cultural properties, and it is necessary to manage the whole area of small-local grassland by mountain burning.
著者
藤井 雅和 野島 真治 金田 好和 須藤 隆一郎 田中 慎介
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.512-519, 2021 (Released:2021-09-30)
参考文献数
9

症例は75歳の女性で,貧血および右乳房腫瘤の精査目的で当院に紹介となった.右C区に約4cmの乳癌を認めたが,遠隔転移は認めなかった.骨髄穿刺は検体不適正であり,右乳房切除術+腋窩リンパ節郭清を施行した.Invasive lobular carcinoma,triple negativeであった.術後の骨髄生検で乳癌の骨髄転移と診断したため,T2,N1,M1(MAR),stage IVとなり,術後の骨シンチグラフィ検査では広範囲の骨髄転移を示唆する所見であった.治療はエピルビシン+エンドキサン®→毎週パクリタキセルを選択した.骨髄転移はDICを併発して急速な転機をとる予後不良な病態であることが多いとされ,早急な治療介入が必要と思われる.また,乳癌において貧血や血小板減少などを伴う際は,骨髄転移の可能性を考慮しておく必要がある.しかし,骨髄転移に対する化学療法のレジメンについてはまだ明確なものは示されていない.
著者
田中 皓介 外村 健太 寺部 慎太郎 栁沼 秀樹 康 楠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_135-I_142, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
15

近年の日本では,国民が持つ土木への否定的な印象が指摘されている.既往研究では新聞報道の公共事業に対する批判的な傾向が明らかにされてきた一方で,例えば,殺人等の報道においては容疑者が,「会社員」ではなくあえて「土木作業員」と表記される事例も散見されるが,こうした報道も土木に対して間接的に否定的な印象を与えることが懸念される.そこで本研究は,土木に対する否定的な世論の形成要因を探るに当たり,犯罪報道の中でも特に凶悪犯罪報道における容疑者の職業表示を対象に報道状況を分析した.その結果,土木建設業関係者による犯罪の報道は,他の職業と比べても高頻度で見られた.しかしそれは土木建設業従事者がそもそも多く,犯罪者数もまた多いことによるもので,報道が偏向していることを示す結果ではなかった.
著者
松田 宙 岩瀬 和裕 藤井 眞 西川 和宏 島田 和典 田中 康博
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2687-2691, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

患者は40歳,女性.人間ドックで後腹膜腫瘤を指摘され,当センターを受診した.腹部CTでは膵体部頭側に38×25mm大で石灰化を伴った造影される腫瘤を認めた.腹部MRIで腫瘤はT1で低信号,T2で淡い高信号を呈し,比較的濃染された.以上より腫瘤は血流豊富で石灰化を伴う後腹膜腫瘍であり,後腹膜原発神経原性腫瘍や悪性腫瘍の可能性も否定できないため,腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った.術中腫瘍後面の剥離に難渋し出血も認めたため,開腹に移行して腫瘍を摘出した.肉眼所見では4×3cm大で被膜に覆われ,割面は淡褐色で一部石灰化による灰白色部分の混在を認めた.組織学的にはhyaline vascular型Castleman病と診断された.リンパ増殖性疾患であるCastleman病は腹部領域に石灰化を伴って発生することは極めて稀であり報告した.
著者
田中 昭二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.940-948, 2000-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
7

低温超伝導現象に特有な実験結果が理解され,理論的完成に至る過程と,その応用について述べる.応用部門では線材とSQUIDがその主なもので,特に線材開発の歴史を簡単に説明する.高温超伝導については,その発見に至る過程と意義について説明し,その実用化に関する研究開発の現状について解説するとともに,その近未来の展望を述べる.
著者
前川 佐理 田中 亜実
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.10, pp.749-762, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)
参考文献数
39

In recent years, there has been an increasing demand for position sensorless control in PMSM drives, and various methods have been studied. Switching noise is a problem in the low-speed sensorless control method that uses the current slope during PWM. Furthermore, another problem is that the inductance does not appear in a sinusoidal distribution owing to magnetic saturation.In this paper, we improve the sensorless control method that estimates the position from the current slope during PWM, which is greatly affected by switching. Additionally, we build a multi-layer neural network (NN) that directly estimates the position signals by learning a large amount of current data, and verify the driving results in the low-speed range when the learned NN is incorporated into real-time control.
著者
田中 美栄子
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.79-82, 2013 (Released:2016-02-17)
参考文献数
14

Econophysics and its related topics are overviewed from the historical and conceptual point of view. Unlike many other unsuccessful trials, the recent trend of econophysics that began at the dawn of the 21st century seems to be doing much better than expected. With the help of rapid progress of computational tools, econophysics seems finishing its first stage successfully and preparing the second stage as a part of “big data science.”
著者
田中 鎮雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.19-27, 1981-03-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
14

Change of value orientation about KENDO in the Course of Study for Secondary Schools and its manuals were investigated in Japan from 1913. The results were as follows:(1) The modern Japanese school KENDO was founded in 1911 at the end of the Meiji Era. At the beginning of that time, KENDO was involved in the options program and not involved in the Teaching Handbook.(2) The aims and contents of KENDO in the secondary schools were determined by the Ministry of Education and fully described in the Course of Study in 1936. At that time, the most important aims of KENDO was spiritual training for young people in school and its community.(3) Though KENDO and JUDO have gradually developed, as well as gymnastics and military drill in physical education program, they were regarded as more and more important at that time of the World War I and II. And at last, the spiritual and military training in KENDO, as well as other physical education program had stressed as the greatest of value orientations at that time of the War II.(4) Afer the War II, from 1953, the aims and contents of KENDO in the secondary schools have gradually developed as sport.(5) On the other hand, there seems to be no doubt that KENDO has left some value concerning the spiritual and physical training.