著者
田中 毅弘 藤井 修二
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.112, pp.61-68, 2006-07-05
被引用文献数
1

人類の文明の中で文字を発明し、それによって知識、情報を伝達し、蓄積するようになったことに伴って、当初、図書館は、書物の形態、価値や利用の仕方などによって、様々な形を辿って発展してきたと考えられる。そして、図書館が「保存」から「閲覧」へと移り変わって行くことで、図書館は、利用者に対して要求された資料、情報を、素早く確実に与えることが不可欠といえる。本研究では、公共図書館における設備・維持管理がどのように行われているかについて、47都道府県に設置されている公的機関が運営している図書館を対象として、設備・維持管理およびそれらに関連した省エネルギー対策、防災・防犯対策、収蔵図書に対する、くん蒸消毒の頻度・方法、カビ対策、温湿度管理についての10の設問によるアンケート調査を行い、さらにそれらの集計結果を、より信憑性が高い考察を行うため、約半年かけて調査結果の精査を行った分析結果から、傾向と特徴をまとめた。
著者
橋本 知幸 田島 文忠 田中 生男
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.115-125, 1998-11-25
被引用文献数
3

東京近郊の5住宅で, 新しいタイルカーペットを敷き詰め, 所定期間使用した後に調査対象とした部分だけを回収し, 屋内塵の蓄積やダニ相の変遷を調査した.細塵量およびダニ総数は使用開始から約12か月の範囲では, 使用期間の長期化に伴って増加する傾向が認められた.しかし細塵量は, 使用開始から1か月間での蓄積量と, 数ケ月使用したカーペットの, 1か月間当たりの平均蓄積量は, 前者のほうが多くなる傾向があり, カーペット使用開始初期は細塵の蓄積量が多くなる傾向が認められた.毎月交換した1か月区カーペットでは, ダニ総数やコナヒョウヒダニ(Df)とヤケヒョウヒダニ(Dp)の種構成の推移が, 同じ社員寮の中の2戸の住宅で類似するケースが見られたが, 5住宅に共通する季節消長は認められなかった.回収された大半のカーペットのダニ相はDfまたはDpが優占種となった.また使用開始から1か月では, ダニ総数は少ないものの, チリダニ優占のダニ相で安定することが示唆された.しかしDfとDpの優占順位は住宅あるいは回収月によって変動し, この2種の種間競争はカーペットの使用歴に影響されないことが示唆された.
著者
田中 義久
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.128-131, 1969-07
著者
田中 宏幸
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1_2, pp.93-102, 2012 (Released:2016-04-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

宇宙から地球に飛来する一次宇宙線と大気の相互作用で作られる大気ミュオンを用いて巨大物体の内部構造を調べようとする実験は今から50年以上前に考案された。その後,ピラミッドや資源探査などをモチベーションとして数多くの科学者がミュオンを用いたイメージング技術 (ミュオグラフィー) の開発を試みてきた。しかし,既知の物質の発見など原理検証実験に留まる実験が多かった。2006年ミュオグラフィーを火山内部のイメージングに適用して始めて視覚的に確認できない部分の構造を描き出すことに成功した。その結果, これまで見ることができなかった,巨大産業プラント内部の可視化への応用も進んだ。本論文ではミュオグラフィーの歴史を振り返りながら, 当時の問題点を明らかにしつつ,その打開策を技術論的観点から論ずる。また,技術論文や解説記事として既に数多く出版されている2006-2008年のミュオグラフィー観測結果には触れずに出来るだけ最新の技術や観測結果を盛り込むことで, 現状と未来に焦点を当てた形とする。
著者
桜井 良太 藤原 佳典 金 憲経 齋藤 京子 安永 正史 野中 久美子 小林 和成 小川 貴志子 吉田 裕人 田中 千晶 内田 勇人 鈴木 克彦 渡辺 修一郎 新開 省二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.352-360, 2011 (Released:2011-10-12)
参考文献数
30
被引用文献数
6 8

目的:温泉は古くから治療目的などにも用いられてきたが,温泉施設を高齢者に対する健康増進を目的とした介入事業の拠点として用いる有効性について検討した研究は極めて少ない.そこで我々は,運動・栄養指導,温泉入浴からなる複合介入プログラム"すぷりんぐ"を開発し,その効果を無作為化比較試験によって検討した.方法:65歳以上の特定健診該当者を対象に公募により本プログラムへの参加者を募集した.68名が事前調査に参加し,60名(72.7歳±6.0)がプログラムへの参加に同意した.参加者を無作為に介入群31名と対照群29名の2群に割付け,交差法により前期に介入群,後期に対照群に対して複合介入プログラムを3カ月間(週2回,90分)実施した.介入群プログラム終了時(3カ月後:第2回調査)と対照群プログラム終了時(6カ月後:第3回調査)に調査を実施し,プログラムの短期・長期的効果の検討を行った.結果:介入に起因した傷害,事故の発生はなく,介入群の平均プログラム出席率は76%であった.性・年齢・BMIを調整した一般線型モデルの結果,第2回調査時には対照群に比べ,介入群の握力と開眼片足立ちに有意な改善が認められた(各々p =0.028,p =0.003).また,第3回調査において,介入直後に確認された握力と開眼片足立ちの有意な改善の維持が認められ(各々p =0.001,p =0.024),改善傾向が見られたWHO-5の有意な維持・改善が示された(p =0.027).交差後の対照群の介入プログラム出席率も平均81%と比較的高く,対照群への介入時においても傷害,事故の発生は確認されなかった.結論:温泉施設を活用した複合的介入プログラムである"すぷりんぐ"は身体機能を中心とした高齢者の健康増進に寄与するプログラムであることが示された.また,その継続的効果とプログラムの出席率・安全性が確保されていることから,温泉施設を高齢者に対する健康増進を目的とした介入事業の拠点とする意義は高いものと考えられる.
著者
田中 伸
出版者
全国社会科教育学会
雑誌
社会科研究 (ISSN:0289856X)
巻号頁・発行日
no.83, pp.1-12, 2015-11-30

成熟社会を迎えた現代,社会はさらに複雑化し,日常の現象を一つの見方・考え方で捉えることは困難になりつつある。本論文は現代社会の理解,及びそこで主体的に生きる市民性育成の方略として,コミュニケーション理論に基づく社会科教育論の理論と実際を小学校社会科授業とともに示すものである。コミュニケーション理論に基づく社会科は,子どもたちを理想とする社会へコミットすることを強制する教育論ではなく,現実社会を受け入れ,その社会と折り合いをつけながらしなやかに生きるスキルを身につけることを目標とした教育論である。教育内容は,社会的に構築・承認された社会現象が現実に機能・運用されている実態,及びそれと自身との関係,教育方法は,その運用過程の理解・分析・解釈である。上記の理論を具体化する方略として,本稿では漫画メデイア"ONE PIECE"を用いて自由思想の多様性を分析する学習をデザインした。授業は以下4つの手続きをとる。第1は自己意識の明確化,第2は思想(フレームワーク)の多様化(社会認識の多義性,及びその可変性の認識),第3は複数のフレームワークの折衝,第4は社会における自由思想の相克と受容過程の理解と分析である。この4段階の学習を通して,社会を客観的に捉える授業ではなく,自らを社会の内部に位置付け,社会と折り合いをつける力を育成する社会科授業を開発・実践し,子どもの認識変容を踏まえた実践結果とともに示した。
著者
山田 嘉徳 森 朋子 毛利 美穂 岩﨑 千晶 田中 俊也
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.6, pp.21-30, 2015-03

本稿では学びに活用するルーブリックの評価に関する方法論を検討する。ルーブリックを用いた評価が注目されるようになった背景を確認し、ルーブリックのタイプとその特徴を整理する。ルーブリックを用いた評価主体・方法に着目しながら、クラスルーブリック、コモンルーブリック、VALUE ルーブリックのそれぞれの活用実態を示す。また、先行研究の知見を踏まえ、ルーブリックによる評価にまつわる課題を指摘した上で、学びに活用するルーブリックの評価の質を保証するための方法論について検討する。特に、質的研究における妥当性に関する議論を手がかりに、ルーブリックを学びに活用するための知見を提示する。具体的には、ルーブリックの評価基準の妥当性の担保において、トライアンギュレーション概念が有効であるのに対し、ルーブリックの学びへの活用という点においては、妥当化、決定に至る足跡といった概念が有効であることを示す。最後に、評価活動への参加という観点から、学びとしての評価における学習メカニズムの仔細な検討が学びに活用するルーブリックの可能性を議論する上で重要な課題となることを指摘する。
著者
大井 学 神尾 陽子 松井 智子 藤野 博 田中 優子 高橋 和子
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

某市3公立小学校の全学年児童1,374人のうち、775人について、対人行動チェックリスト(SCDC)日本語版12項目のいずれかにあてはまった169人(21.8%)と、そうでない者のうち約1割にあたる78人について、対人応答性尺度(SRS)日本語版の得点をもとに86人について、CCC-2との関連を検討した。またPDD児10名を含む4歳1ヶ月から11歳6ヶ月(平均生活年齢6歳4ヶ月)の41名を対象としてCCC-2日本語試作版を実施した。田中・ビネー知能検査V、絵画語彙発達検査(PVT-R)、J.COSS第三版、親への調査などを同時に行った。PDD群とTD群の群間比較ではIQ値、CCC-2指標(正値、負値、GCC、SIDC)で有意差があったが、生活年齢、PVT-R、J.COSS、父母の年齢や教育歴などに有意差はなかった。通級指導教室に通級する知的障害のない発達障害の小学生約60名の保護者にCCC-2およびPARSを、対象児にPVTおよびJ.COSS(第三版)を実施した。PARSのスコアから広汎性発達障害の可能性が示唆された児童をASD群に、ASDの基準を満たさずPVTおよびJ.COSSのスコアから語彙および文法理解力に顕著な困難があると評価された児童をSLI群に分類した。ASDにもSLIにも該当しない場合、その他の発達障害群とした。CCC-2の語用に関する領域(場面に不適切な話し方、ステレオタイプ化さわた言語、コミュニケーション場面の利用、非言語コミュニケーション)のスコアを群間で比較し、発達障害児における語用の問題について、特にその障害がASDに固有のものかどうかに焦点を当て検討した。ASD小学生50名にCCCを実施しクラスター分析を行って、4クラスターを得た。
著者
浜田 玲子 井手 一郎 坂井 修一 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.79-89, 2002-01-01
参考文献数
19
被引用文献数
23

筆者らは, マルチメディアの中でもテキストの付随するマルチメディアに注目し, テキストからの情報を画像・音声解析に反映させることで, 実用的な精度のマルチメディア統合技術の実現を目指している.特に, 現在はテキスト教材の付随する料理番組に着目し, 料理映像とテキスト教材の対応付けシステムを開発している.本論文では, このような対応付けシステムの一部分であるテキスト解析部に焦点を当て, 調理手順の構造解析手法を提案した.本手法では, 解析対照の特徴を最大限に利用し, 実用的な処理を目指す.そのため, 対象に固有の辞書を構築し, これを利用した構造解析を行う.本論文では, 評価実験とその結果から, 本手法により高精度で調理手順の構造解析が可能であることを示した.なお, 本手法は付随する映像の存在しない調理手順文書などにも適用可能である.調理手順のような説明的文書は, 調理にとどまらずテキスト教材やインターネット上など様々なメディアから大量に入手可能であるが, それぞれが独自の書式で互いに独立に存在している.本手法は, 従来は難しかったこれらの膨大な情報の活用にも役立つものと考えられる.
著者
田中 浩司
出版者
心理科学研究会
雑誌
心理科学 (ISSN:03883299)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.32-44, 2007-03-28
被引用文献数
2

Previous research on the rule play has mixed the development of peer skill with rule with the approval process of tag play. This article reviews the literatures pertaining to the development of rule play in the infant period chiefly, and analyzes the role of nursery teacher from the view point of scaffolding. The review shows that preschoolers have much difficulty in organizing their play group, and they need some assistance of their teacher. The original concept of scaffolding is more applicable to the rule play with simple structure, whereas the enhancing concept of the scaffolding is more applicable to the rule play with complex structure, is suggested.
著者
田中 信壽
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.129-138, 2005
参考文献数
78
被引用文献数
6

The health hazards posed by Virtual Reality (VR) environments can be divided into two groups based on their developing mechanism. The first group is related to optical stimulus load and is exemplified by Visual Display Terminal (VDT) Syndrome. The second group encompasses those caused by space information confusion and is exemplified by VR sickness. Among space information confusion induced hazards, VR sickness is especially serious because it can involve strong discomfort, headache, nausea and vomiting. Because VR sickness may prove to be a barrier to the spread of VR environments, it is thought that countermeasures are required. This paper reports the current state of VR sickness countermeasure knowledge. Research is summarized and organized mainly according to the following stories: "Cognition of VR sickness", "Mechanisms involved with the development of VR sickness", "Directions for countermeasure development" and "Evaluation of VR sickness".