著者
次山 淳 松村 恵司 松村 恵司 次山 淳 池田 善文 梅崎 恵司 江草 宣友 小畑 弘己 神崎 勝 北野 隆亮 木村 理恵 小泉 武寛 小林 義孝 栄原 永遠男 芝田 悟 関口 かをり 高橋 照彦 田中 大介 永井 久美男 濱崎 真二 降幡 順子 古田 修久 松崎 俊郎 松村 恵司 宮崎 貴夫 森岡 秀人
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3カ年にわたる研究により、銅銭を基軸に据えた貨幣制度の導入が、中国式都城の建設と一体的に企画され、富本銭が発行された歴史的経緯が明らかになった。和同開珎の発行時には、銭貨の規格性を維持しつつ発行量の増大を図るために、鋳銭体制の整備と鋳銭技術の改良が図られていること、地金貨幣である無文銀銭を駆逐するために和同銀銭が発行されるなど、7世紀末から8世紀初頭にかけての貨幣関係記事が、名目貨幣である国内通貨の定着に向けた一連の貨幣政策として整合的に理解できるようになった。
著者
田中 聡 中原 淳
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-29, 2017

The aim of this study is to examine learning by middle management through the experience of new business incubation. We carried out a study consisting of semi-structured interviews of 15 middle managers working in new business departments of private enterprises. We analyzed the qualitative data from the 15 participants on the basis of the Modified Grounded Theory Approach(M-GTA) and constructed a learning process model. As a result of the M-GTA based analysis, it became clear that the learning of middle management through the experience of new business incubation had four phases: I. the responsibility avoidance phase, II. the reality acceptance phase, III. the critical reflection phase, and IV. the perspective transformation phase.
著者
田中 茂喜 佐々木 崇文 石黒 奈央 浦野 孝太郎 小山 秀一 木村 勇介 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.162-166, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失していた.このような房室伝導系病変が,インパルスの房室伝導を遮断したものとみなされた.
著者
田中 徳定
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.1-11, 2003-07-10

「家」の永続性は祖先崇拝と表裏一体となっている。それゆえ、歴史学における「家」成立の研究では、祖先祭祀の観点から多くの成果が積み重ねられてきた。本稿では、「木幡寺呪願文」の分析から、藤原氏の木幡墓所が、子孫繁栄を願って四神相応の地に点定され、さらに仏教による祖先祭祀が行われていたこと、その後も藤原「氏」繁栄の基盤として認識されていたことを明らかにした。また、中世に氏から家が分立していく藤原氏の祖先祭祀では、各家の始祖が建立した寺院が「家」の精神的紐帯となっていくことを考察した。
著者
前田 隆子 田中 俊行 大城 等 船川 一彦 能勢 隆之 今井 昭二 林 康久
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.781-787, 1990-08-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

This study reports the contents of Zn and Cu in the breast milk and serum of postpartum mothers, 17 primiparas and 20 multiparas, at one week and at one month after delivery.Results were as follows.1. The mean content of Zn in the breast milk was 5.44μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased significantly (p<0.01) to 2.73μg/ml at 1 month after delivery.2. The mean content of Zn in serum was 0.66μg/ml at 1 week, and it increased significantly (p<0.01) to 0.84μg/ml, close to the normal level, at 1 month.3. The milk Zn level at 1 week after delivery was about 8 times as high as the Zn in serum. There was a significant (p<0.05) negative correlation in Zn contents between milk and serum at 1 week after delivery, and there was no significant correlation in Zn contents between milk and serum at 1 month after delivery.4. The mean content of Cu in breast milk was 0.55μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased to 0.44μg/ml at 1 month after delivery.5. The mean content of Cu in serum was 2.14μg/ml at 1 week after delivery, and it decreased significantly (p<0.01) to 1.35μg/ml, close to the normal level, at 1 month after delivery.6. Concerning the Cu contents of milk and serum, there was not a significant correlation at 1 week after delivery, but a significant (p<0.05) positive correlation was found at 1 month after delivery.
著者
増田 賢嗣 奥 宏海 野村 和晴 照屋 和久 田中 秀樹
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.2, pp.99-104, 2010 (Released:2011-07-26)

サメ卵主体液状飼料の開発と改良はシラスウナギまでの飼育を可能とし、研究の焦点はシラスウナギの大量生産法の確立に移っている。そのためには、大量生産への応用が困難な現行の給餌法を改良する必要があり、特に中層で給餌できる方法の開発が求められている。飼料が飼育水全体に拡散したコロイド型飼料はこの要請に応えられる可能性がある。本研究では、コロイド型飼料のモデルである海水希釈牛乳で満たされた水槽中では、牛乳が一定濃度以上で、十分な摂餌時間があればウナギ仔魚は摂餌でき、また一定期間生存できることを明らかにした。
著者
小口 和代 才藤 栄一 馬場 尊 楠戸 正子 田中 ともみ 小野木 啓子
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.383-388, 2000-06-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
10
被引用文献数
55 121

131名の機能的嚥下障害患者の「反復唾液嚥下テスト」(the Repetitive Saliva Swallowing Test: RSST)と嚥下ビデオレントゲン造影(videofluorography:VF)所見を比較し,RSSTの妥当性を検討した.RSSTはVF所見と相関が高く,カットオフ値として3回/30秒間が妥当であると思われた.誤嚥の有無の判別に関する感度と特異度は,0.98,0.66と,感度が非常に高かった.摂食・嚥下障害の診断・評価としては,まずRSSTでスクリーニングを行い,3回/30秒間未満の場合はさらに詳細な病歴,身体所見をとり,必要と判断されればVFを行い,治療方針を決定するのが適当である.
著者
田中 佐代子 小林 麻己人 三輪 佳宏
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.41-57, 2017-06

研究成果の理解を助けるビジュアルデザインは,研究者にとり重要な位置を占めるようになった.しかし研究者自身によるビジュアルデザインは,煩雑でわかりにくく,審美性の低い場合が多い.そこで私たちは,研究者のために有用なビジュアルデザインのルールについて考察した.まず,研究者に即したビジュアルデザインのルール案を考案し,それを掲載したハンドブックを作成した.次に,これを研究者に配付し,彼らに対するアンケート調査を介して,提案ルール案の研究者にとっての有用性と問題点を検証した.その結果,有用と判明したのは,第1に「画面の構成方法」に関するルール,特に「視線の流れを意識する」,第2に「効果的な配色方法」に関するルール,特に「3色(メインカラー,アクセントカラー,無彩色)でキメる!」,第3に「PowerPointによる描画」に関するルール,特に『頂点の編集』をマスターする」であった.一方,有用性が低いとされたのは「グラフ・表・フローチャート」に関するルールで,改善の余地があるとわかった.配布ハンドブックは概ね評判が良く,国内の理系研究者に有用とわかった.学ぶ機会が少ないデザインの基本ルールと技術を学習できたため,「役立つ」実感を与えたと推察する.
著者
福谷 直人 任 和子 山中 寛恵 手良向 聡 横田 勲 坂林 智美 田中 真琴 福本 貴彦 坪山 直生 青山 朋樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1512, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】腰痛は,業務上疾病の中で約6割を占める労働衛生上の重要課題であり,特に看護業界での課題意識は高い。近年では,仕事に出勤していても心身の健康上の問題で,労働生産性が低下するプレゼンティーイズムが着目されている。しかし,看護師の腰痛に着目し,急性/慢性腰痛とプレゼンティーイズムとの関連性を検討した研究はない。したがって,本研究では,看護師における急性/慢性腰痛がプレゼンティーイズムに与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】大学病院に勤務する看護師807名(平均年齢:33.2±9.6歳,女性91.0%)を対象に,自記式質問紙を配布し,基本属性(年齢,性別,キャリア年数),腰痛の有無,腰痛の程度(Numeric Rating Scale)を聴取した。腰痛は,現在の腰痛の有無と,現在腰痛がある場合,その継続期間を聴取することで,腰痛なし,急性腰痛(1日から3ヶ月未満),慢性腰痛(3ヶ月以上)に分類した。さらに,プレゼンティーイズムの評価としてWork Limitations Questionnaire-J(WLQ-J)を聴取した。WLQ-Jは,労働生産性を数値(%)で算出できる質問紙であり,“時間管理”“身体活動”“集中力・対人関係”“仕事の結果”の下位尺度がある。統計解析では,対象者を腰痛なし群,急性腰痛群,慢性腰痛群に分類し,Kruskal Wallis検定(Bonferroni補正)およびカイ二乗検定にて基本属性,WLQ-Jを比較した。次に,従属変数に労働生産性総合評価および各下位尺度を,独立変数に急性腰痛の有無,または慢性腰痛の有無を,調整変数にキャリア年数・性別を投入した重回帰分析を各々行った(強制投入法)。統計学的有意水準は5%とした。【結果】回答データに欠測のない765名を解析対象とした。対象者のうち,363名(47.5%)が急性腰痛,131名(17.1%)が慢性腰痛を有していた。単変量解析の結果,腰痛なし群に比べ,急性および慢性腰痛群は有意に年齢が高く,キャリア年数も長い傾向が認められた(P<0.001)。加えて,“労働生産性総合評価”“身体活動”“集中力・対人関係”において群間に有意差が認められた(P<0.05)。重回帰分析の結果,急性腰痛が労働生産性に与える影響は認められなかったが,慢性腰痛は“集中力・対人関係”と有意に関連していた(非標準化β=-5.78,標準化β=-1.27,P=0.016,95%信頼区間-10.5--1.1)。【結論】本研究結果より,看護師の慢性腰痛は“集中力・対人関係”低下と有意に関連することが明らかとなった。急性腰痛は,発症してから日が浅いため,まだ労働生産性低下には関連していなかったと考えられる。しかし,慢性腰痛では,それに伴う痛みの増加や,うつ傾向などが複合的に“集中力・対人関係”を悪化させると考えられ,慢性腰痛を予防することで労働生産性を維持していくことの重要性が示唆された。
著者
田中 伸明 水足 邦雄 塩谷 彰浩
出版者
医学書院
雑誌
耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (ISSN:09143491)
巻号頁・発行日
vol.86, no.13, pp.1097-1101, 2014-12-20

はじめに 頭内爆発音症候群(exploding head syndrome:EHS)は,主に入眠時や覚醒時に突然爆発音を感じる良性の疾患であり1),器質的疾患や神経疾患,てんかんの検索を含めた各種精査を行っても異常がないことが特徴とされており,一般に痛みは伴わない。EHSは睡眠関連疾患国際診断分類第3版(International Classification of Sleep Disorders-Third Edition:ICSD-3)においては睡眠時随伴症群に分類されており,診断基準も示されている(表1)2)。本疾患は,下丘が関与している聴覚原性発作(audiogenic seizure)と病態が類似していることが指摘されているほか3),音の振幅を圧縮する蝸牛または聴覚中枢における自動利得制御の破綻によって生じると推測されているが4),その原因や発症機序はいまだ不明である5)。 わが国におけるEHSの報告は睡眠学の分野を中心に散見されるが,耳鼻咽喉科領域での文献的報告はない。今回われわれは,耳漏を主訴に来院した患者でEHSを診断・治療する機会を得たので,考察を加えて報告する。
著者
今井 綾 山口 美佳 坂本 純子 田中 弓子 水谷 朋子 中田 理沙 小守 裕子 郡司 郁子 米澤 理加 菖蒲 順子 菊池 夏子 大川 あおい 一島 あゆみ 梶 幹雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2004年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.28, 2004 (Released:2004-11-19)

東海事業所広報チーム「スイートポテト」は、原子力を身近にわかりやすくするために女性の視点や感性を活かし、広報活動に反映することを目的に平成8年女性職員により結成された。主な活動の1つとして若年層にエネルギーや原子力、放射線などに対して正しい知識や関心を持ってもらい原子力への理解促進を図ることを目的として、近隣小中学校への出張授業を実施した。
著者
石川 達也 犬飼 道雄 森元 真理江 田中 真紀 藤田 久美子 西山 武 西山 剛史 梶谷 伸顕
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.1203-1206, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
13

【目的】高負荷運動療法施行が困難である超高齢者のサルコペニアに対して、栄養療法+低負荷運動療法を行い、プロトコールの安全性と身体に与える影響について検討した。【対象及び方法】栄養状態良好でサルコペニアと診断された76名のうち、高負荷運動療法施行が困難と判断し、栄養療法+低負荷運動療法を実施した23名を後方視的に検討した。週3回3か月間栄養療法+低負荷運動療法を行い、栄養状態や身体能力の評価を行った。【結果】完遂率91.3%、運動療法中断率5.2%、運動療法後栄養療法不能例はなかった。歩行速度、Timed Up and Go (TUG) 、Short PhysicalPerformance Battery (SPPB) で有意に改善した。【結論】栄養療法+低負荷運動療法は安全に行えたが、効果は限定的であった。
著者
田中 未央 厳島 行雄
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.85-94, 2007-07

不正確な目撃証言による記憶の変容は、証言者の意図が伴わずに生じる現象であり、その原因として事後情報効果などの様々な要因が明らかにされてきた。一方で、事件の加害者や容疑者が意図的に語った不正確な供述、つまり嘘の供述が後の記憶に及ぼす影響についての検討は、あまり行われていない。そこで、本研究では出来事を想起する際に嘘をついた場合、記憶がどのように変化するかを検討するために2つの実験を行った。実験1では、同じ出来事について嘘をついた後の記憶と嘘をつかなかった後の記憶を比較し、出来事を想起する際に嘘をついた場合でも出来事に関する正確な記憶が維持されること、また、嘘をつく際には2つの方略が用いられる傾向があることが示された。実験2では、嘘をつく際に採用される方略を統制し、後の記憶を比較したところ、嘘をつく際に知らないふりをする方略を用いた場合に正確な記憶が抑制されることが示された。実験1・実験2の結果から、出来事を想起する際の嘘の有無ではなく、採用される嘘の方略が正確な記憶を抑制する要因であると考えられる。また、知らないふりをすることでオリジナル(原現象)の想起が抑制されるので、オリジナル記憶のリハーサルが妨害され、正確な出来事を想起することが困難になると考えられる。
著者
滝吉 美知香 田中 真理
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.215-227, 2011-09-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
2

本研究は,思春期・青年期における広汎性発達障害(以下,PDD)者が自己をどのように理解しているのかを明らかにすることを目的とする。22名のPDD者と880名の定型発達者を対象に,自己理解質問(Damon & Hart,1988)を実施し,得られた回答を自己理解分類モデル(SUMPP)に基づき,領域,対人性タイプ,肯否の3つの側面において分類した。その結果,(1)PDD者は,他者との相互的な関係を通して自己を否定的に理解し,他者の存在や影響を全く考慮せずに自己を肯定的に理解する傾向にあること,(2)PDD者は,「行動スタイル」の領域における自己理解が多く,その中でも障害特性としてのこだわりに関連する「注意関心」の領域がPDD者にとって自己評価を高く保つために重要な領域であること,(3)PDD者は,自己から他者あるいは他者から自己へのどちらか一方向的な関係のなかで自己を理解することが多く,Wing(1997/1998)の提唱する受動群や積極奇異群との関連が示唆されること,(4)社会的な情勢や事件への言及がPDD者の自己理解において重要である場合があることなどが明らかにされた。