著者
佐々木 八千代 野田 さおり 白井 みどり
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.83-90, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
35

介護予防通所介護を利用する高齢者を対象としたコホート研究のベースラインデータを用いて軽度認知障害(MCI)とその関連要因について検討した。対象の登録は2017年3月と2018年3月とし,聴力測定,日本版 Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)による認知機能検査,自記式質問紙調査を実施した。MoCA-Jの得点が25点以下をMCI, 26点以上を健常に分類した。ロジスティック回帰分析で多要因の影響を調整し,MCIに関するオッズ比(OR)を算出した。本研究の登録者は296人で,認知機能低下者は217人(73%)であった。登録者のうち,質問紙の回答が得られた272人を解析対象とした。年齢が上がるほど,MCIを有する者が多くなっており(65-79歳に対し80-84歳においてOR=2.18,85歳以上においてOR=6.56),糖尿病の既往があるものでMCIに対するORが上昇していた(OR=3.06)。一方,MCIに対するオッズ比が低下したものは,女性(OR=0.46),脳血管疾患の既往あり(OR=0.30),心疾患の既往あり(OR=0.39)であった。また,老研式活動能力指標の得点が上がるほどMCIを有する者の割合が少なくなっていた(1-9点に対し10-11点においてOR=0.20,12点以上においてOR=0.37)。本研究の結果から,加齢や糖尿病はMCIのリスクである可能性が示唆された。
著者
栁澤 純 宮原 聡 濱武 大輔 今給黎 尚幸 大渕 俊朗 樋口 隆男 吉永 康照 白石 武史 岩崎 昭憲
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.780-783, 2010-07-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
14

腎癌は血行性転移を来たしやすく,その転移先では肺が多いとされる.腎癌肺転移巣に対し外科的切除を行った症例の治療成績および予後予測因子を検討した.1995年3月~2008年12月までの間に外科的治療を行った転移性肺腫瘍のうち,腎癌からの肺転移症例は14例あった.術式は肺部分切除術が13例に,区域切除術が1例に行われた.肺転移巣切除後のmedian survival time(MST)は40.1ヵ月で5年生存率はそれぞれ35%であった.また,これらのうちdisease free interval(DFI)を2つの群に分け検討したところ,DFIが24ヵ月未満の症例ではMST 40ヵ月,5年生存率17%であった.一方DFIが24ヵ月以上の症例ではMST 69.9ヵ月,5年生存率67%と有意差は認めないが良好な成績であった.腎癌肺転移症例に対して,特にDFIが24ヵ月以上の症例では積極的な外科的治療により,長期予後が期待できると考えられた.
著者
市川 白弦
出版者
禅学研究会
雑誌
禅学研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.115-124, 1939-11-05
著者
白井 忠功
出版者
立正大学文学部
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
no.62, pp.59-73, 1978-12-01
著者
白岩 美咲 遠藤 登喜子
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.122-127, 2016 (Released:2018-06-27)
参考文献数
11

マンモグラフィ(MG)は,乳がん検診において死亡率減少効果がある有用なmodality であるが,40歳代については,乳がん発見の感度が50歳以上の年代と比較すると低いこと,偽陽性率が高いことも知られている。この一因に,40歳代の乳腺濃度が高いことがあり,対策として超音波検診の導入とともにデジタルMG(DMG)の活用が考えられる。DMG は,米国のtrial で,50歳以下の女性,不均一高濃度・高濃度乳房で精度が高いことが報告されている。日本でも近年,MG のデジタル化とモニタ診断が急速に進んでおり,2015年の日本乳がん検診精度管理中央機構MG 指導者研修会のアンケートでは,DMG が95%,モニタ診断経験が79%であった。一方,モニタ診断経験者の画素サイズ認識率は75%であり,また全国のMG 読影認定医のDMG ソフトコピー診断講習会受講率は13%であった。米国では,DMG 読影医にはDMG の講習受講が必須とされているが,日本ではその規定はない。読影医個人の検診精度管理指標もなく,読影医がDMG の特徴を理解して,その利点を引き出す読影ができているか,知るすべはない。40歳代のMG 検診に対する日米の動向の紹介とともにDMG・モニタ診断を活用した精度の高いMG 読影のために,いま何が必要なのか,具体的な読影の方法やDMG の新技術であるDigital breast tomosynthesis の話題を含めて,検討したいと思う。
著者
小川 陽平 白石 靖幸
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.85, no.771, pp.379-387, 2020 (Released:2020-05-30)
参考文献数
42
被引用文献数
3 5

Thermo-Active Building System (TABS) is air conditioning system which utilizes the building frame as thermal storage part and radiation surface, and has been introduced in Japan in recent years. TABS offers higher energy efficiency, a more comfortable environment for workers and has advantages such as peak shift, reduction of heat source capacity and cost reduction by using large thermal mass. Also, control performance is important to create a comfortable thermal environment because the thermal response of the ceiling surface temperature is slow due to the large thermal mass. Therefore, research and development of new control methods is progressing. In particular, Model Predictive Control (MPC), that determines the current value of the optimal manipulated variable pattern while predicting the behavior of a future controlled variable, is attracting attention. In this study, we proposed MPC as optimal control method for an air conditioning system with large thermal mass. Moreover, we showed the effectiveness of this method by comparing conventional control method using coupled analysis of CFD analysis integrating general-purpose control simulator. The following results were obtained: 1. MPC had optimized the manipulated variable (water flow rate) to satisfy the constraint conditions while taking into account the future controlled variable, internal load and set point. Therefore, the control error of ceiling temperature from set point in the case of MPC was smaller than ON/OFF control. 2. MPC has the effect of reducing about 12% of the energy consumption required for cooling and transport power of piping water. 3. It was confirmed that not only the sensor location but also the working space satisfied the comfortable range at 1.1m above the floor.
著者
白川 由佳 北 洋輔 鈴木 浩太 加賀 佳美 北村 柚葵 奥住 秀之 稲垣 真澄
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
pp.2302si, (Released:2023-06-24)
参考文献数
59
被引用文献数
1

発達性協調運動障害(DCD)は,協調運動技能の獲得や遂行に著しい困難を示す神経発達症である。本研究では,DCDにおける協調運動障害の神経学的な機序の解明を目指し,遺伝子多型に基づく脳内DA濃度と,運動反応抑制に関わる神経活動の両者が,協調運動機能に及ぼす影響を検討した。成人97名を対象に,DA関連遺伝子多型,運動反応抑制にかかわる事象関連電位および協調運動機能を評価した。その結果,脳内DA濃度の高い場合には,協調運動機能の低下が認められなかった。一方で,脳内DA濃度の低さと運動反応抑制にかかる神経活動の低下が重畳する場合に,バランス機能の低下が認められた。これらの結果は,複数の要因が重畳した場合に,協調運動障害が顕在化する可能性を示唆するものである。
著者
須釜 淳子 石橋 みゆき 大田 えりか 鎌倉 やよい 才藤 栄一 真田 弘美 中山 健夫 野村 岳志 山田 雅子 仲上 豪二朗 佐藤 直子 柴田 斉子 長谷 剛志 深田 順子 三鬼 達人 有田 弥棋子 浦井 珠恵 大川 洋平 北村 言 臺 美佐子 高橋 聡明 玉井 奈緒 飛田 伊都子 野口 博史 松本 勝 三浦 由佳 向井 加奈恵 麦田 裕子 吉田 美香子 倉智 雅子 白坂 誉子 山根 由起子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.790-810, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
58

目的:本資料は,日本看護科学学会より公開した「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の要約版である.方法:本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,研究エビデンスと益と害のバランス,患者の価値観などに基づき作成された.結果:身体診査技術を用いた系統的アセスメント,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,フードテスト,頸部聴診法,超音波診断装置による嚥下観察,内視鏡による嚥下観察に関するクリニカルクエスチョンをもとに,10の推奨が作成された.8つの推奨はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)2Cとして評価され,残りの2つはGRADEなしとして評価された.結論:看護ケアのためのアセスメントに焦点を当て,最新の知見を盛り込んだ信頼性の高い診療ガイドラインが作成された.本資料は要約版であり,臨床実践への活用が期待される.
著者
井川 友裕 森岡 信人 小宮 朋弓 白井 隆裕 小浪 尊宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00235, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
12

2020年10月,菅内閣総理大臣(当時)による2050年カーボンニュートラル宣言が,2021年4月には,2030年に温室効果ガスを2013年度から46%削減する目標が日本政府により表明された.土木・建築分野における,建設段階を中心とした温室効果ガス排出量削減に向け,筆者らは,カーボンニュートラルに資する日本企業の土木・建築分野のソリューションに関する情報を調査・とりまとめ,今後の関連施策の検討に資することを目的とした分析を行った.具体的には,本邦企業の主な低炭素建設技術に関する調査を通じ,低炭素技術情報の集約と開発促進,統一的な排出量算定手法の確立,関連技術基準の整備,ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施,入札契約制度を通じた支援等の施策について検討を行った.
著者
臼井 英治 白樫 高洋 北川 武揚
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.41, no.491, pp.1141-1146, 1975-12-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The paper proposes an analytical method which enables to predict the temperature distribution in three dimensional metal cutting with single point tool, based only upon orthogonal cutting data. By using the three dimensional cutting model and the energy method presented in the previous paper, it is possible to obtain cutting force and chip formation such as chip flow direction, shear angle and chip shape for the tool of arbitrary shape. An assumption made on the frictional stress distribution on rake face together with the results through the energy method determines the strength of heat sources in the cutting model. The temperature distribution in workpiece, chip and tool is thus obtained through a numerical analysis of the equation involving heat conduction, transfer and generation. The predicted distribution of the temperature on rake face is found to be in good agreement with the distribution measured with a fine, insulated platinum wire embedded in the tool, of which end is exposed on the rake face and makes a thermo-couple with the chip produced.
著者
笹 健児 久保 雅義 永井 紀彦 米山 治男 白石 悟 水井 真治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1291-1295, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

外洋性港湾に船舶が入出港するときの安全性について, 前報では大型フェリーが着離岸するときにRollによって作業困難となる状況を定量化した. 本研究では, 港外から港内に至る入出港の全局面で発生する船体動揺を連続的に再現できる数値解析手法の構築を行った結果, 沖合観測波形, 港湾・船型データ, 操船データをもとに着離岸局面を含めた入出港時の船体動揺を実用上十分な精度で再現できることを検証した. さらに着離岸時の作業困難度を定量的に評価できる「着離岸困難度関数」を新たに定義しその有効性を検討した. さらに海域, 港湾, 船型が異なるケースにおいても船体動揺の現地観測を実施し, 入出港の困難さを支配する諸要因について考察した.
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.525-532, 1977-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

1) 牛乳羮の調製にあたり, 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の硬さ, もろさが減少する.2) 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の凝集性が増加し, 離漿が減少する.これは牛乳羮の性状の安定性が増加するためと思われる.3) 牛乳羮の離漿には比較的多量のカゼインと少量の脂肪が含まれているので, やや青味がかった白色を呈する.4) 牛乳成分のうち, カゼインと脂肪は強固な結合状態を保ちながら牛乳羮の硬さに影響をおよぼす.5) バター, カゼイン添加試料による牛乳美の硬さ, もろさはおのおのの添加量に影響され, 特に, カゼインの場合は添加量が増えるほど硬さ, もろさは減少する.
著者
森井 沙衣子 坂本 薫 白杉(片岡) 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.139, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】浸漬温度が異なる米の吸水率について検討したところ,温水浸漬と低温浸漬では,吸水曲線が交差する現象が観察され,平衡状態まで吸水させた場合では,温水浸漬よりも低温浸漬の米の吸水率が高くなることをすでに明らかにした。本研究では,さらに品種および搗精度が異なる米の吸水率について,同様に吸水曲線が交差する現象が観察されるかどうかを明らかにすることを目的とし,実験を行った。 【方法】試料米はキヌヒカリ,ササニシキ,ハツシモの3品種とし,玄米および93%または91%搗精米を用いた。浸漬温度は5,20,40℃とし,それぞれ10,20,30,40,50,60,90,120,240,480分間,さらに吸水率が平衡にならなかった場合は平衡になるまで各設定温度の水に浸漬させた。浸漬後,小型遠心分離機を用いて3,000 rpmで5分間遠心脱水を行い,米の吸水量から吸水率を求めた。 【結果】91,93%各搗精米の吸水率は品種に関わらず,浸漬30分までは浸漬温度40℃で最も高値を示したが,60分後には20℃での吸水率が高くなった。さらに浸漬時間を長くすると5℃浸漬米の吸水率も40℃浸漬米よりも高くなったことから品種にかかわらず,5,20℃浸漬と40℃浸漬では,吸水曲線が交差することを観察した。また品種によって吸水率に差は見られるものの,91,93%各搗精米を平衡状態まで吸水させた場合,5℃浸漬米の吸水率が高くなる傾向が見られた。玄米においても短時間の浸漬では40℃浸漬米の吸水率が高値を示したが,長時間浸漬させると,5,20℃各浸漬米の吸水率は40℃浸漬米とほぼ同等の吸水率となるか,もしくは搗精米と同様に吸水曲線の交差が起こることが明らかとなった。
著者
田部井 勝稲 白井 紘行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.55, no.512, pp.1030-1034, 1989-04-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
8

A numerical method is presented for inverting the moire data which represent integral light deflection to internal temperature and /or density distributions. The method is applicable to both symmetrical and asymmetrical flow field. The inverting method is constructed on the basis of the Maldonado-Olsen series representation which was developed for the inversion of an integral intensity fields. The validity and accuracy of the present method have been demonstrated by using a mathematical model with a density function of a truncated pyramid type.
著者
中山 二郎 田中 重光 Prapa Songjinda 立山 敦 坪内 美樹 清原 千香子 白川 太郎 園元 謙二
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.129-142, 2007 (Released:2007-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
4

腸内細菌叢とアレルギーとの関連性が多くの研究によって示唆されており,アレルギー罹患幼児と非罹患幼児との間では,生後すぐに始まる腸内細菌による免疫系への刺激に何らかの差があることが想定される.しかし,アレルギー疾患発症には,その他先天的要因や生活要因なども関係し,腸内細菌叢の偏倚とアレルギーとの関連性解明には大規模な疫学調査が必要である.そして,そのためには多数の糞便サンプルの菌叢を迅速・簡便かつ高精度に解析するシステムの確立が必須である.本稿では,一連の分子生物学的手法について,それぞれの長所・短所を再考し,乳幼児を対象としたアレルギーと腸内細菌叢に関する疫学調査研究に相応しい腸内細菌叢解析法を検討した.DGGE法およびT-RFLP法は優勢種の相対的存在比の情報に限られるが,フローラの全体像を迅速に把握することができ,サンプル間の菌叢比較に優れている.定量的PCR(Q-PCR)法は精度・感度において他の方法を凌駕し,DGGEやT-RFLPなどで全体像を把握した後,対象を限定し解析する場合に有効である.ランダムシーケンス法では,菌種レベルでの信頼性の高い細菌叢データを得ることができる.マイクロアレイ解析は網羅的な菌叢解析を可能にしており,今後,本分野における有効利用が期待される.
著者
白松 俊 末永 彩羽 吉村 友希 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 97回 (2023/2) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.30-37, 2023-02-27 (Released:2023-02-27)

2022年にOpenAIが公開したChatGPTやGPT-3.5は、プログラミングに無縁な人々にも広く浸透し、「AIの民主化」とも呼ばれる社会現象になっている。これら大規模言語モデルが生成する返答には嘘やフェイク情報が高確率で含まれるという問題はあるにせよ、非常に幅広いドメインに関して論理的な応答生成が可能である。フェイクが含まれる可能性があることを踏まえて活用すれば、議論の発散フェーズにおける発想支援や、社会課題解決に関するアイデアワークショップ(アイデアソン)などで活用できる可能性がある。また、ファシリテーターが行うような問いかけを生成したり、議論を構造化するためにも、大規模言語モデルが活用できる可能性がある。本稿では、GPT-3を活用したプロトタイプの評価実験や、ChatGPT上での社会課題解決に関する対話例を紹介し、その活用可能性を検討する。