著者
髙橋 将 佐藤 真太郎 白石 聖 川本 竜史
出版者
特定非営利活動法人 国際エクササイズサイエンス学会
雑誌
国際エクササイズサイエンス学会誌 (ISSN:24337722)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-22, 2022 (Released:2023-01-24)

[目的]本研究では野球の投球速度に関連する因子として肩関節や股関節の筋力・可動域に着目し, 球速の因子を明らかにすることで投手の投球パフォーマンス向上に役立つ科学的知見の提供を目指した.[対象と方法]対象は部活動に所属し, 試合で実践的に投球している大学生野球投手20名であった. 測定では, 徒手筋力計測器および撮影画像を用いて肩および股関節の可動域, 筋力を測定した.[結果]ステップワイズ法を用いて重回帰分析した結果, 支持脚の股関節外旋可動域と股関節外旋筋力の2変数を独立変数とする有意な回帰式が得られ, その寄与率は51%であった.[結語]球速の51%は支持脚股関節の外旋筋力, 外旋可動域の要因で説明できることが明らかとなった.
著者
白崎 謙次 門傳 陽平 山村 朝雄 塩川 佳伸
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2005年春の年会
巻号頁・発行日
pp.461, 2005 (Released:2005-05-24)

我が国の原子力発電から派生する劣化ウランの量は膨大であり、高速増殖炉のブランケット燃料として保管されているが実用の見通しは立っていない。核的性質以外の用途による有効利用法の開発は重要な課題である。軽アクチナイドは構造変化のない2組の可逆な酸化還元対を有しており、電池活物質として用いることによりエネルギー効率の高い電池の構築が期待できる。我々は劣化ウランについて、電力貯蔵用レドックスフロー電池の活物質としての利用を検討している。放電状態のウラン電池の正極溶液はウラン(V)溶液であるが、ウラン(V)は不均化反応によりプロトン存在下において不安定であるため、非プロトン性溶媒を用い研究している。安定なウラン(V)を得ることは、電池の高い容量維持性と容量回復性を実現する上で重要であるが、酸化状態の安定性についての知見はほとんどない。そこで、ウラン(VI)錯体の電解還元により調製したウラン(V)溶液を用い、分光学的手法により経時安定性を観察し半減期により評価した。
著者
野村 亮太 石田 聖子 福島 裕人 森田 亜矢子 松阪 崇久 白井 真理子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.111-114, 2022 (Released:2023-02-27)

笑いに関する研究は世界中でおこなわれています。本欄では、英語で発表された笑い学の最近の研究成果を紹介しています。笑いに関する研究は、医学、心理学、社会学、哲学、文学、言語学、動物行動学など、多様な学問領域の専門雑誌に掲載されています。幅広い分野で展開されている世界の研究動向について共有することで、国内での笑い学の研究がさらに発展することにつながればと考えています。 本号では計6本の研究論文についての紹介記事を掲載することになりました。記事の執筆には、6名の研究者にご協力いただきました。どうもありがとうございました。
著者
高橋 聡 三田 知子 村上 恵理 遠藤 雅士 丹波 嘉一郎 長谷川 聰 白井 克幸
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.89-94, 2023 (Released:2023-03-29)
参考文献数
15

【緒言】ブプレノルフィン経皮吸収製剤(BTDP)の自己中断により,急性オピオイド退薬症状を呈した在宅医療患者を報告する.【症例】84歳,在宅訪問診療利用中の男性.腰部脊柱管狭窄症の悪化により,4カ月前からBTDPで鎮痛されていた.症状改善傾向と考えた家人が,患者本人に無断でNSAIDs経皮吸収製剤に貼り替えたところ,約50時間後から5分ごとの頻尿や失禁,水様性下痢,発汗,血圧低下,足裏の不快感,不眠などの多彩な症状が表出された.Clinical Opiate Withdrawal Score(COWS)では12点の軽度退薬症状に該当した.発症後24時間で激しい症状はほぼ自覚されなくなり,48時間後には完全に消退した.【結論】BTDPの急速な中止による退薬症状の報告例は少ない.医学薬学的な側面のほか,在宅医療におけるオピオイド製剤使用上の社会的問題点も明らかとなった.
著者
白石 卓也 千村 洋
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.285-290, 2016-07-31 (Released:2016-09-24)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

ウォーキングに関しては高齢者においても健康増進につながる目標値が明らかとなっているが,高齢者は加齢に伴う身体機能の低下や基礎疾患等の理由のため目標を達成できない場合がある。しかし,目標達成有無における高齢者の心理機能への影響を報告した研究はほとんどない。今回,高齢者を対象に,歩数と活動量を指標として目標設定したウォーキングによる運動介入を行ない,その介入が高齢者にどのような心理機能の変化を及ぼしたのか検討した。対象は,平成27年7月から24週間継続してウォーキングによる運動介入をうけた高齢者14名(男性5名,女性9名)とした。1日平均歩数8,000歩かつ1日平均中強度活動時間20分という目標を設定し,運動介入を行なった。運動介入前と介入後24週目に心理機能の評価を行ない,その変化を比較検討した。さらに,設定した目標を達成できた群(達成群)8名および達成できなかった群(未達成群)6名に分け,さらに比較検討した。その結果,全対象者,達成群および未達成群の心理機能に介入前後で有意な変化はなかったものの,達成群では心理機能は向上する傾向があり,未達成群では主観的健康感および生活満足度は低下し,うつ評価は悪化する傾向があった。目標設定した運動介入は,目標達成できれば心理機能は向上しうるが,目標達成できなければ心理機能の低下を引き起こし健康増進の阻害因子となりうる可能性が示唆された。
著者
稲葉 弥寿子 白井 秀治 矢上 晶子 秋田 浩孝 阪口 雅弘 水谷 仁 松永 佳世子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1893-1900, 2010-08-20 (Released:2014-11-28)

粉製品に含まれたダニの経口摂取によるアナフィラキシー2症例を経験したので報告する.症例1は50歳女性で,開封後に常温保存したお好み焼き粉を,自宅にて調理摂取した約30分後に全身浮腫性紅斑や動悸,嘔気が出現した.患者が摂取したお好み焼き粉は,賞味期限より2年が経過していた.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ23.4 IU/ml,コナヒョウヒダニ33.7 IU/mlで,コムギ関連特異IgE値はコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.持参した同一銘柄の未開封お好み焼き粉と冷凍保存された薄力粉でのスクラッチテストは陰性であったが,ダニ抗原(鳥居薬品)のプリックテストはscore 3+の陽性を示した.症例2は28歳女性で,開封後に数カ月間常温保存したお好み焼き粉(以下事故粉)を自宅において調理中に喘息症状が出現し,摂取中に呼吸困難感や嘔吐,腹痛が出現し,アナフィラキシーショックとなった.患者血清ダニ抗原特異IgE値はヤケヒョウヒダニ51.6 IU/ml,コナヒョウヒダニ55.6 IU/mlで,コムギ関連特異IgEはコムギ<0.35 IU/ml,グルテン<0.35 IU/mlと陰性であった.プリックテストは事故粉でscore 3+の陽性,ダニ抗原(鳥居薬品)でscore 4+の陽性であった.また冷凍保存された薄力粉は陰性であった.事故粉にはコナヒョウヒダニが50匹/g検出され,ELISA法で測定したところ,ダニ主要抗原であるDer f 1が64.1 μg/gと多量に検出された.事故粉と患者血清(症例2)を用いたImmunoblot法ではダニ抗原と思われる25 kDa部位にバンドが検出された.さらに血清とダニ粗抽出液を用いたInhibition immunoblot法ではダニ粗抽出物と共通分子量付近に認められた複数のバンドは事故粉より消失した.この結果から事故粉に認められたバンドは粉中のダニ抗原に反応したバンドと考えられた.上記の検討を踏まえ,お好み焼き粉におけるダニ繁殖の実態を調査するため,我々は,お好み焼き用ミックス粉3銘柄と薄力粉におけるダニ数及びダニ抗原の増殖性の違いについて検討した.各粉にコナヒョウヒダニを添加培養し,3週間後と6週間後に評価した.培養6週間後にミックス粉のダニ数とダニ抗原は,薄力粉に比較して3銘柄ともに増加傾向を認め,1銘柄は有意に増加していた.粉類でダニの増殖を防ぐには冷蔵保存が良いとされる.市販のミックス粉の注意書きには冷蔵保存と明記する必要があり,また我々皮膚科医は小麦アレルギーと誤診しないよう注意が必要である.
著者
白鳥 清
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.307-351, 1934-04
著者
武村 裕之 今岡 泰憲 守川 恵助 北山 可奈 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 小澤 香奈 鈴木 優太 西川 涼太 天白 陽介 岡田 誠
出版者
一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
雑誌
呼吸理学療法学 (ISSN:24367966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.2-10, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
27

目的:慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪患者への骨格筋評価は身体機能を判断する上で重要である。筋輝度(Echo Intensity:EI)は骨格筋の非収縮性組織を反映し注目されている。しかし,身体機能と骨格筋の非収縮組織との関係性は不明である。本研究ではCOPD急性増悪患者のEIと身体機能の相関関係を調査したので報告する。方法:2019年5月から12月に当院へ入院したCOPD急性増悪患者17名を対象とした。調査項目は初回理学療法介入時に測定した。超音波検査には日立製作所社製のF37を使用し,大腿直筋(Rectus femoris: RF)の遠位1/3のEIを測定した。画像解析にはImage Jを使用し,8−bit Gray Scaleによるヒストグラム解析を行った。身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離(Six minutes walk distance:6MWD)とした。統計学的解析はSpearmanの順位相関係数を用いて,EIと身体機能項目との関連を調査し,統計処理はEZR version 1.38を使用し有意水準を5%とした。結果:EIはSPPB(r=−0.59 p<0.01)と負の相関を認めたが,6MWDとは相関を認めなかった。結論:COPD急性増悪患者におけるRFのEIと身体機能の相関関係を調査し,RFのEIはSPPBと中等度の負の相関を認めた。
著者
白井 正樹 太田 文彦 菅野 純弥 伊藤 憲彦 中島 慶人 竹内 亨
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-23, 2022-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
26

太陽光発電所では,カラス属の落石によるものと思われる太陽光パネルの破損が確認されており,パネル破損の発生メカニズムを理解するために,米倉山太陽光発電所(山梨県甲府市)でカラス属の飛来頻度とパネル破損の関係を調査した.ビデオカメラによるカラス属の飛来観測を2つの調査区画(区画A,B)で,2期(第1期:2017年10月24日-2018年1月18日, 第2期:2018年1月19日-3月9日)に亘ってのべ3,792時間行った.調査の結果,飛来頻度が最も多かった第2期・区画B(41個体/時)でのみパネル破損が確認され,パネル破損やパネル上の石の残留の発生確率はカラス属の飛来頻度と正の相関関係が認められた.本研究から,カラス属の飛来頻度が増加すると太陽光パネルの破損するリスクが上昇することが示唆された.
著者
白石 太一郎
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.93-118, 2003-10-31

古墳時代前期から中期初めにかけての4世紀前後の古墳の埋葬例のうちには,特に多量の腕輪形石製品をともなうものがある。鍬形石・石釧・車輪石の三種の腕輪形石製品は,いづれも弥生時代に南海産の貝で作られていた貝輪に起源するもので,神をまつる職能を持った司祭者を象徴する遺物と捉えられている。したがって,こうした特に多量の腕輪形石製品を持った被葬者は,呪術的・宗教的な性格の首長と考えられる。小論は,古墳の一つの埋葬施設から多量の腕輪形石製品が出土した例を取り上げて検討するとともに,一つの古墳の中でそうした埋葬施設の占める位置を検証し,一代の首長権のなかでの政治的・軍事的首長権と呪術的・宗教的首長権の関係を考察したものである。まず,一つの埋葬施設で多量の腕輪形石製品を持つ例を検討すると,武器・武具をほとんど伴わないもの(A類)と,多量の武器・武具を伴うもの(B類)の二者に明確に分離できる。前者が呪術的・宗教的首長であり,後者が呪術的・宗教的性格をも併せもつ政治的・軍事的首長であることはいうまでもなかろう。前者の中には,奈良県川西町島の山古墳前方部粘土槨のように,その被葬者が女性である可能性がきわめて高いものもある。次に両者が一つの古墳のなかで占める位置関係をみると,古墳の中心的な埋葬施設が1基でそれがB類であるもの,一つの古墳にA類とB類の埋葬施設があり,両者がほぼ同格のもの,明らかにB類が優位に立つものなどがある。それらを総合すると,この時期には政治的・軍事的首長権と呪術的・宗教的首長権の組合せで一代の首長権が成り立つ聖俗二重首長制が決して特殊なものではなかったことは明らかである。また一人の人物が首長権を掌握している場合でも,その首長は大量の武器・武具とともに多量の腕輪形石製品をもち,司祭者的権能をも兼ね備えていたことが知られるのである。
著者
沢井 史穂 白山 正人 武藤 芳照 宮下 充正
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.155-163, 1990-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
31
被引用文献数
5 3

近赤外分光法は, 従来, 食品成分の非破壊分析法として用いられてきたが, 近年アメリカにおいてこの方法をヒトの体脂肪率の推定に応用する試みがなされ, 携帯用小型測定器が開発された.本研究は, この測定法を日本においても汎用可能とするための日本人用体脂肪率推定式を決定しようとするものである.年齢, 体格, 身体活動量の異なる18~58歳の健常な男性69名, 女性52名を対象に, 身長, 体重, 体脂肪率を測定した.体脂肪率は, 水中体重法, 皮脂厚法, 近赤外分光法の3方法を用いて推定した.近赤外分光法の測定部位は, 予備実験の結果, アメリカにおける先行研究と同様, 他の測定法による体脂肪率との相関が最も高かった上腕二頭筋中央部とし, 947mmの近赤外線を照射して光吸収スペクトルを得た.被検者の1/2について, それぞれの近赤外スペクトルの値を水中体重法による体脂肪率に回帰させ, 体脂肪率推定式を算出した.残り1/2の被検者の近赤外スペクトルをその式に代入して得た体脂肪率と水中体重法によって求めた体脂肪率の値とを比較したところ, r=0.89 (SEE=2.9) の高い相関が認められた.これは, 水中体重法と皮脂厚法との間の相関係数とほぼ同様の値であった.アメリカ人用の推定式の決定には, 近赤外分光法スペクトルの他に身長, 体重, 年齢の変数を加えた方が, 相関係数の値が高くなったと報告されているが, 日本人の場合, 他の変数を加えても相関係数の値はほとんど変わらなかった.また, 測定部位における左右差はなかった.したがって, 近赤外分光法による日本人用体脂肪率の推定式は, 体脂肪率=54.14-29.47× (947nmにおける近赤外スペクトル値) 〔r=0.88 (p<0.01) , SEE=3.2〕と決定された.
著者
白幡 雄一 深見 雅也 大西 俊郎
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.537-543, 1986-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

A case of dysmorphobia that developed after submucous resection of the nasal septum is reported. The patient presumed that his dysphonia had developed due to a perforation of the nasal septum that developed after submucous resection 15 years ago. Rhinologic examination revealed pieces of chopsticks in the nasal cavity and also several perforations in the eardrum. The patient had been trying to close the septal perforation by inserting various materials into the nasal septum. The perforations of the eardrum had also been incurred by himself as he tried to relieve discomfort in the ear, that he believed also due to the perforated septum. Neurosis and personality disorder were suggested as diagnoses on psychiatric consultation. His complaints have been alleviated by cooperative treatments by rhinologists and psychiatrists.