著者
福井 唯嗣
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集 社会科学系列 = Acta humanistica et scientifica,Universitatis Sangio Kyotiensis. Social science series (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
no.31, pp.75-100, 2014-03

2013年8月にまとめられた社会保障制度改革国民会議報告書には、後期高齢者医療制度存続という医療保険制度に関して一つの大きな方針転換があった。現在示されている政府方針には、市町村国保の都道府県単位化による財政基盤強化、被用者保険の後期高齢者支援金について全面総報酬割の導入により節約される国庫負担を財源とする市町村国保支援などがある。本稿では、これらが今後の市町村国保財政に及ぼす影響を、長期推計モデルによって定量的に考察した。 また、後期高齢者医療制度廃止を前提とすれば、現行の保険者間財政調整に代わるさまざまな財政調整が可能となる。本稿では、長期推計モデルを用いた政策シミュレーションにより、それぞれの財政調整が将来における市町村国保の所要保険料に及ぼす影響を推計し、望ましい財政調整のあり方について検討した。 現行制度、とくに前期高齢者納付金(交付金)の下では、高齢化率の低い自治体の保険料を高める一方、地域の医療費の多寡は保険料には反映されない。一方、制度平均の1人当たり保険料と1人当たり給付費によるリスク構造調整を導入した場合には、地域の医療費の多寡は保険料に強く反映されるため、医療費適正化を自治体に促す場合には有効な選択肢であるといえる。
著者
福井 亘 寺嶋 明那
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.199-202, 2011-08-31
参考文献数
9

工業地帯の緑化は,人が利用することも考慮し,自然と人の関係を相互に組み合わせる必要があるが,緑地の質や生物の生息を調査するに際し,工場という性格から調査の制約が大きい。本調査では,工場緑化と鳥類の生息状況についての調査の簡易化から,より良い環境創りに繋げることを目的とした。調査は,樹木と鳥類の視認,踏査による調査,さらに GIS,GPS を活用しながらの解析をした。その結果,緑の豊富な場所に多くの鳥類が飛来し,多様度も高い数値を示し,逆に,緑の乏しい場所ほど出現数は減少するという結果を出すことができた。このことから,簡易による手法でも,工場緑化の質を示すことが可能であることを示した。
著者
近藤 憲久 福井 大 倉野 翔史 黒澤 春樹
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.63-70, 2012-06-30
参考文献数
36
被引用文献数
1

北海道網走郡大空町にある旧大成小学校体育館で,コウモリの出産哺育コロニーが発見された.本コロニーを形成する個体の捕獲を行い,外部形態を精査したところ,乳頭が2対あることからヒメヒナコウモリと同定した.また,8月以降にコロニー周辺で拾得された2個体のコウモリについても,外部並びに頭骨計測値からヒメヒナコウモリと同定した.5回にわたる捕獲調査の結果,本種は6月下旬~7月上旬に出産し,8月上旬には幼獣が飛翔を始めていた.本コロニーを形成する雌成獣は約60頭であった.8月以降は,成獣はほとんどいなくなり,幼獣が大部分(96%)を占めていた.飛翔時の音声構造は,FM-QCF型であり,ピーク周波数の平均値は26.1 kHzであったが,FM成分とQCF成分の比率は飛翔環境によって大きく変化していた.ヒメヒナコウモリのねぐらおよび出産哺育個体群は国内初記録であり,今回の発見により,本種の国内における繁殖・定着が明らかになった.<br>
著者
菊地 敦子 福井 七子
出版者
関西大学外国語学部
雑誌
関西大学外国語学部紀要 = Journal of foreign language studies (ISSN:18839355)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-77, 2018-03

This section of An Anthropologist at Work that we are translating includes the chapters, "The Postwar Years: The Gathered Threads" by Margaret Mead and "Recognition of Cultural Diversities in the Postwar World" by Ruth Benedict. Both of these papers describe the urgent need after the war for Americans to understand the cultures of the countries that they defeated in the war and that they were now to occupy. Benedict felt this urgency more than anyone else. She wanted to make sure that the Americans understood the Japanese people and made their decisions wisely. She wrote the book Chrysanthemum and the Sword for this purpose. Benedict's commitment to seeking world peace by understanding ways in which other people live their lives is described in "Recognition of Cultural Diversities in the Postwar World". In "The Postwar Years" Mead describes somewhat bitterly, how after the death of Franz Boas, Benedict worked on the book Chrysanthemum and the Sword almost secretly without consulting her colleagues. The book was a huge success and offers of funding poured in, allowing Benedict to apply her analysis of national character to other countries. This research took Benedict to Europe. But on her return to New York Benedict passed away.
著者
福井 大祐
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.105-112, 2014-12-22 (Released:2018-05-04)
参考文献数
44

動物園が飼育展示動物を適切に健康管理する上で,動物衛生・公衆衛生対策は重要課題である。その対象は,飼育動物のみならず,家畜,野生動物およびヒトに共通に感染する病原体に及ぶ。動物園では,自然界との完全な境界はなく,感染症の園外からの侵入防止対策や予防医学プロトコールを含むバイオセキュリティ対策が日々実践されている。例えば,北米の動物園の多くでウエストナイルウイルスの侵入以来,カのサーベイランスや防除は一般的な対策となっている。一方,飼育動物の感染症を自然界へ拡散させない注意も必要である。また,動物園の敷地(zoo ground)内で野生動物が保護されたり,死体が見つかったりすることがあるが,それらの検索はその地域の野生動物感染症のモニタリングとリスクマネジメントにつながり,ひいては基本的な予防医学プロトコールの一部となる。実際に,2008-2009年冬に旭川周辺で発生したスズメ(Passer montanus)の集団死事例では,初発例が一動物園の敷地内で死亡した野生スズメ1羽で,その検索から始まったサーベイランスにより,死因がサルモネラ症の流行によるものと究明されている。動物園は,今後,バイオセキュリティ対策と野生動物感染症のモニタリング機能のさらなる強化を目指し,ヒト,家畜および野生動物の健康を支える生態学的健康(Ecological Health)を診断および維持する保全医学的機能を備えた野生動物保全センターとしての発展が期待される。
著者
布施 陽子 江川 千秋 杉本 由美子 大和田 沙和 矢﨑 高明 大野 智子 福井 勉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1795, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】我々は妊婦を対象とした理学療法を検討し,幾つかの研究を行ってきた。女性は妊娠によって様々な身体的変化を生じ,身体的愁訴として腰痛,尿失禁などのマイナートラブルが問題視されている。妊婦は腹部が前方へ突出するに従いsway-back姿勢となり易く,それに伴い,骨盤帯における運動機能が破綻し腰痛を生じてしまう可能性がある。骨盤帯における運動機能を再構築するための方法の中に腹横筋エクササイズ(以下,EX)があり,従来検討を繰り返してきた(2008~2014布施)。今回,腰痛を呈する妊婦に対し,腹横筋EXを実施し,疼痛,筋機能,頸管長にどのような影響を与えるかについて検討したので報告する。【方法】対象は腰痛を呈した妊婦50名(妊娠周期28.1±5.5週,平均年齢33.3±4.4歳,身長1.6±0.1m,体重57.7±8.2kg,BMI22.5±2.4 kg/m2)とし,事前に医師による診察を実施し早産の危険性がないと判断された妊婦とした。対象者に対し,1.超音波診断装置による視覚的フィードバックを用いた腹横筋収縮学習(第49回日本理学療法学術大会により腰痛を呈する妊婦への腹横筋EXとして有効性を研究),2.ストレッチポール上背臥位(第44回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であるとしたものであり,ストレッチポールの種類については個々に評価した上で実施),3.ストレッチポール上背臥位でのu・oの発声(第46回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であると立証),4.ストレッチポール上背臥位での上肢課題運動(第45回日本理学療法学術大会により上肢外転側と反対側の腹横筋EXとして有効であるとしたものであり,左右の回数については個々に評価した上で比率を検討し実施),5.立位での上肢課題運動(第47回日本理学療法学術大会により上肢外転側と反対側の腹横筋EXとして有効性を検討したものであり,左右の回数については個々に評価した上で比率を検討し実施),6.呼吸指導(第47回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であると立証)の6種類の腹横筋EXの中から個別性を検討・評価した上で1つ以上の腹横筋EXを選択し,各対象者において約30分個別に実施した。計測項目は,1)疼痛スケール(VAS),2)脂肪および側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋)の筋厚,3)頚管長の3項目とし,それぞれ目盛りのない10cm線,超音波診断装置(HITACHI Mylab Five),経膣超音波を用いて計測した。1)は対象者による自己評価,2)は理学療法士による計測,そして3)は医師により実施された。頚管長測定は,介入による切迫早産の兆候を確認するテストバッテリーとして実施した。また,計測肢位は2)ベッド上安静背臥位,3)産婦人科内診台上安静座位とした。2)はわれわれの先行研究で高い信頼性が得られた位置である,上前腸骨棘と上後腸骨棘間の上前腸骨棘側1/3点を通る床と垂直な直線上で,肋骨下縁と腸骨稜間の中点にプローブを当てて,腹筋層筋膜が最も明瞭で平行線となるまで押した際の画像を静止画として記録した(第43回日本理学療法学術大会により計測方法の信頼性を研究)。以上3項目を,介入前後に計測した。統計的解析は,対応のあるt検定を実施し有意水準1%未満で検討した(SPSSver18)。【結果】1.1)疼痛スケール,2)腹横筋厚に差を認め,1)は有意に減少し,2)は有意に増加した(p<0.01)。2.3)頸管長については差を認めなかった(p=0.89)。3.2)脂肪厚,外腹斜筋厚,内腹斜筋厚については差を認めなかった。【考察】本研究では,腰痛を呈する妊婦に対し,我々が先行研究にて立証してきた腹横筋EXを実施した結果,腰痛の緩和,腹横筋厚の増加を認めた。腹横筋は体幹深層筋群の1つであり,姿勢保持作用・腹腔内圧調整作用を持つと言われている。腹横筋EXを実施した事で妊娠により増大した腹部を効率的に支えられるようになり疼痛の緩和に繋がったと考えられる。妊娠24週未満で頚管長が25mm以下では標準的な頚管長に比べ6倍以上早産になりやすいとされているが,介入前後で頸管長差がなかったことから,本研究での実施内容は早産リスクを高めるほど過度な腹圧をかけたEXではないと考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究結果から骨盤帯における運動機能を再構築する方法として本研究での腹横筋EXが腰痛を呈した妊婦に対して安全かつ有効であることが示された。今後,妊娠経過に伴う姿勢制御機能破綻から引き起こされる疼痛に対する予防的位置付けとして本研究での腹横筋EXが貢献できると考えられる。
著者
藤原 誠 道上 達男 箕浦 高子 青木 誠志郎 片山 光徳 坂山 英俊 柴尾 晴信 関本 弘之 長田 洋輔 福井 彰雅 水澤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.312, 2007

昨春、新学習指導要領(いわゆるゆとり教育)による高校教育を受けた学生が大学に入学した。東京大学では、これに関連して以前から大学1,2年次における教育のあり方を検討するとともに、論理(モデルを立てる)と実証(実験によって確かめる)のサイクルを伴う自然科学導入プログラムの開発に取組んできた。<br>東京大学教養学部生物部会においては、従来の生命科学系(東京大学では理科2類、3類)学生対象の実習「基礎実験(生物)」の内容を吟味し、新たに「基礎生命科学実験」として新規3種目の開発を含む全11種目の全面的改訂を行った。また、今春から生命科学系の学生に加えて文系と理工系(理科1類)の学生にも実習選択の門戸が開かれるのにともない、教育背景が多様な学生にも効果的に実習内容を伝えられる教科書副教材(DVD教材)を作製した。<br>本大会では、「基礎生命科学実験」の植物関連種目である、(1)電気泳動による光合成関連タンパク質の分離、(2)植物の多様性と生殖(クラミドモナスの接合、シダ植物の世代交代、テッポウユリの花粉管伸長)、(3)被子植物の維管束構造の紹介も含めて、我々の取組みを発表する。
著者
福井 重雅
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.433-459, 1984-12-31

Centering around the degree of Xianliang fangzheng, this article deals with the system of officials' appointment of the Han Dynasty. First one must pay attention to the fact that all those eligible capable of recommending persons for appointment as officials for official examination were called "nobles" (gongqing 公卿), whereas those who had taken the examination were named 'officials" (shidafu 士大夫), and try to understand the difference between these two groups properly. As a result we may state that the examination system of the Han was structured according to income : those above 2, 000 shi 石 were the "nobles", those below to 400 shi were mere "gentlemen" (shi 士), and those between equivalent to 600 and 1, 000 shi were "officers" (dafu 大夫). Its aim was to promote people from the position of the gentlemen to that of officers. Looking therefore at the Han Dynasty system of official selection from this angle, the Zhou hierarchy of nobles, officers, and gentlemen is strongly noticeable. However, if we scrutinize the historical data very carefully, we realize that one must not overlook the existence of a particular Han element arising as a reaction to the imperial despotic government. That is, the examination system can on the one hand be seen on the ideological background of the Zhou system, on the other hand, one must consider the possibility that it developed in the wake of a centralized administration which began at that time, and as such represents a new method of recruiting men of talent. Holding the two elements of tradition and realism in a subtle balance and preserving them through ingenious managing, the selection of Xianliang fangzheng under the Han dynasty grew gradually into a fixated examination system. This, I think, was the most important cause for the examination system.
著者
伊吹 昌久 福井 健介 Mine Yoshinori
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.105-112, 2015
被引用文献数
1

本研究では,ヤシ油搾油残渣であるコプラミールから得られる,酵素処理コプラミール(MCM)とこれに含まれる主要なマンノース化合物であるβ-1,4-マンノビオース(MNB)の免疫機能への影響と成長促進作用,抗炎症作用を調べることにより,飼料用抗生物質の代替としての可能性について調べた。その結果,MNBを含有するMCMを鶏に給与すると,IgA分泌促進がみられ,抗原提示およびインターフェロン関連因子を含む免疫防御関連遺伝子の発現量の増加が認められ腸管免疫賦活化することが示唆された。また,鶏のマクロファージ細胞(MQ-NCSU)におけるサルモネラ菌殺傷能力も高めた。さらにMCMが鶏腸管の形態学的変化を引き起こすことによって栄養素の吸収能を高め,成長を促進することが示された。以上の結果からMCM/MNBは抗生物質代替の可能性が示された。また腸管炎症を起こさせた子豚に対してMCMを投与すると,腸管炎症の治癒が観察され,炎症性サイトカインの抑制がみられた。これらのことからは,MCM/MNBは抗炎症作用もあることが示唆され畜産業界に広く利用される可能性が考えられた。
著者
小井戸 一光 向谷 充宏 水口 徹 福井 里佳 木村 康利 信岡 隆幸 平田 公一
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.607-613, 2004

胆嚢,総胆管に同時に発生した重複早期胆道癌の1例を報告した.症例は70歳, 女性.当科に入院の2年前から指摘されていた胆嚢壁肥厚が腫瘤様となったため,精査目的に当科入院となった.US,CT,EUSの画像所見から固有筋層にとどまる早期胆嚢癌と診断し手術が施行されたが,術中ゲフリールにて胆嚢管断端陽性のため肝外胆道切除術D2郭清と胆管空腸吻合が施行された.膵・胆管合流異常は認められなかった.病理組織学的に胆嚢体底部と胆嚢管,さらに中部胆管に,それぞれ独立した早期乳頭状腺癌を認めた.胆嚢体底部,胆嚢管と中部胆管病変は,それぞれ大きさが3×1.5cm,0.7×0.5cm,0.2×0.2cmで,胆嚢管と中部胆管病変は画像・肉眼上確認できなかった.これらの病変問に連続性はなかった.胆嚢癌に遭遇した場倉,重複胆道癌を念頭において診断を進める必要がある.
著者
飯塚 潤一 福井 恵
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.1712, 2018-03-31 (Released:2018-03-29)

障害者差別解消法が2016年4月に施行され,同法律の条文の一部『過重な負担』『合理的配慮』が大きく取り上げられ,責任と不安が交錯する中,大学附属図書館もその対応が順守義務として求められている。本稿では,まず同法律の概要を紹介する。続いて,図書館利用において,障害学生・教職員が感じる障壁を解消するには,どのように考え,具体的にどう対応すればよいのかを考えてみたい。特に情報の入手が困難な視覚障害者を中心に,支援機器の活用,司書の方による支援など,できるところからその方策を提案する。
著者
飯島 大志 福井 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.449-454, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
17

〔目的〕座位側方リーチ課題における座圧中心移動距離に関係する因子を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は健常成人17名とし右手での座位側方右側リーチ課題を行った.三次元動作解析装置と床反力計を用いて座圧中心移動距離とリーチ距離胸郭と骨盤角度および立ち直り反応の大きさを角度に変換した数値を算出しそれらの相関関係を検証した.〔結果〕座圧中心右側方移動距離と右側方リーチ距離,骨盤右側方傾斜角度,胸郭と骨盤右回旋角度に有意な相関関係が認められ,重回帰分析では右側方リーチ距離,骨盤右側方傾斜角度が選択された.〔結語〕座位右側方リーチ課題における座圧中心移動距離に関係する因子は右側方リーチ距離と骨盤右側方傾斜角度であることが示された.
著者
タァンクァン ファン 山本 純一 西井 一輩 福井 知宏
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.285-286, 2019-02-28

昨年のGallup社の従業員エンゲージメント調査レポートの発表以降、産業界では従業員エンゲージメントへ注目が高まっている。我々の先行調査では、感謝が従業員エンゲージメントを向上させる要因であることが示唆された。本研究では、感謝と従業員エンゲージメントの関係を分析するための実験を行った。実験では、企業にて感謝を送受信できるアプリを3か月間利用してもらい、その前後で独自の調査票(働きがい・上司関係・同僚関係・組織文化の4因子)でエンゲージメントを測定した。結果として、感謝の送受信データと従業員エンゲージメントの上司関係の変化に相関が見られた。
著者
金子 俊之 河本 高伸 菊池 弘恵 福井 史生 塩田 真夫 弥武 経也 高久 肇 飯野 久和
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1211-1220, 1992-08-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
22
被引用文献数
6 10

イソマルトオリゴ糖の栄養学的特性と消化性について,フラクトオリゴ糖,ショ糖およびマルトースとの比較の下に,各糖質20%添加飼料によるラット35日間飼育試験と,消化管内の条件を想定したin vitro消化性試験とにより検討した. (1) ラヅトの便性状,飼料効率および消化器重量の比較から,イソマルトオリゴ糖の消化性は難消化性糖と易消化性糖との間に位置づけられた.さらに,飼育ラットの体重増加量と摂取エネルギー量の比較から,イソマルトオリゴ糖のエネルギー値は,ショ糖およびマルトースのおよそ80%と推定された. (2) イソマルトオリゴ糖は,ラット血清の中性脂肪と遊離脂肪酸を低下させたが,この作用は難消化性のフラクトオリゴ糖に準じるものであった.また,イソマルトオリゴ糖を長期間連続して多量に摂取しても,空腸粘膜のイソマルターゼ活性は誘導されなかった. (3) イソマルトオリゴ糖は,唾液・膵液アミラーゼおよび胃酸では全く分解されなかった.小腸粘膜酵素ではある程度は消化されるものの,消化性は緩慢でイソマルトースのおよそ半分であった. 以上より,イソマルトオリゴ糖は小腸で部分的に消化されるものの,残る未消化部分は大腸に到達すると考えられた.
著者
髙林 裕 福井 亘
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.749-752, 2020-03-30 (Released:2020-06-09)
参考文献数
28

Avifauna in urban matrix may be influenced by forests and farmlands surrounded by the matrix. How does the matrix in the city center with few forests and farmlands work for birds? The purpose of this study was to clarify the effect of the green coverage ratio in the matrix of the city center on the birds appearing in small urban parks. We selected 29 urban parks ( area : 2561.21±371.97 ㎡ ) in the center of the Osaka City as study sites. Each site was visited three times for bird surveys in each of breeding and wintering seasons. Using the satellite images taken by Sentinel-2, we calculated the green coverage ratio around 29 urban parks. Moreover, we clarified the relationship between the appearing birds and the green coverage ratio in the matrix based on the hierarchical Bayesian model. As a result, the presence of large habitat patch in the urban matrix affected the appearance probability of some species. Furthermore, the result also showed that the green coverage ratio in the matrix during the wintering season influenced the probability of appearance of Hypsipetes amaurotis and Turdus pallidus which have features about eating fruits.