著者
小笠原 沙映 浦辺 幸夫 前田 慶明 沼野 崇平 藤下 裕文 福井 一輝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>足関節内反捻挫は発生頻度の高いスポーツ外傷であり,予防のためにテーピングが行われている。テーピングは,テープの走行や本数を変化させることで,関節の制動効果を高めている。テープの走行の違いにより,関節運動への影響が変化するが,1本のテープが関節運動にどのように制限を与えているかは明らかではない。本研究の目的は,後足部の内反制限のため,走行が異なる3種類のテープを施行し,サイドステップ動作時に,テープがどのように関節運動を制限しているのかを明らかにすることとした。</p><p></p><p>仮説は,距骨下関節軸に直交するテープの走行が後足部の内反制限に最も効果的であるとした。</p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,足関節捻挫の既往のない健常な女性8名(年齢21.4±0.5歳,身長157.3±5.6 cm,体重49.4±5.5 kg)とした。テープは日東メディカル社のEB-50を使用した。テープは対象の利き脚(ボールを蹴る脚)に,内果から足底を横切り,下腿遠位1/3まで貼付した。テープの張力を一定にするため,テープを徒手筋力計(アニマ社)のプローブに当てた状態で張力を加え,40 Nになった時点で貼付した。課題動作は,利き脚側の側方1 mへのサイドステップとした。課題動作の分析には,赤外線カメラ16台からなる三次元動作解析装置(Vicon Motion Systems社)を使用し,サンプリング周波数100Hzで記録した。赤外線反射マーカーをOxford foot modelに基づき下肢30箇所に貼付した。測定条件は,①テープなし,②足底面に垂直で,テープの後縁が外果の最突出部を通る走行のテープ,③足底面に垂直で,テープの前縁が外果の最突出部を通る走行のテープ,④足底面に対して後方に傾き,テープの後縁が外果の最突出部を通る(距骨下関節軸に直交する)走行のテープの4条件で行った。動作解析ソフトVicon Nexus1.8.5(Vicon Motion Systems社)を用いて,着地時の後足部内反角度とその後の最大内反角度を算出した。4条件間の比較には,Wilcoxon符号付順位和検定を用い,危険率5%未満を有意とした。</p><p></p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>足部接地時の後足部内反角度(平均±SD)は,①16.0±5.2°,②14.0±7.7°,③14.4±7.8°,④13.1±10.0°となり,④は①と比較して有意に低値となった(p<0.05)。最大後足部内反角度は,①19.5±5.7°,②18.8±8.9°,③17.1±8.2°,④16.0±9.2°となり,各条件間で有意差はなかったが,④が最も低値となった。</p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>サイドステップ時の後足部内反角度は,④が最も低値を示したことから,距骨下関節軸に直交した走行が後足部の内反制限に与える影響が大きく,仮説を支持する結果となった。さらに,②のように外果の前方を通るテープ,③のように外果の後方を通るテープでも,足底面に対して垂直に走行するため,一定の効果を示すことが分かった。今後は,1本ずつのテープの役割を考えて,さらに検討をすすめたい。</p>
著者
福井 浩二 大矢 昌樹 大谷 晴久 吉川 聡介 玉井 浩 宗 正敏
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.525-526, 2004-10-25 (Released:2017-10-10)

γ-トコフェロール(γ-Toc)の生体内での主要な代謝産物であるとされる2, 7, 8-trimethyl-2-(β-carboxyethyl)-6-hydroxycroman(γ-CEHC)が発見されて以来, その物質が保持するであろう生理機能に関し, いくつかの報告がなされてきた. その多くは, 高NaCl食下の際の尿中でのNa排泄促進効果とされており, 実際に動物モデルでの検討が広く行われている. しかし, 人においての詳細な検討はまだ十分とは言いがたい. そこで本実験では健常人に400mgのγ-Tocを単回経口投与し, 尿中のNa排泄促進作用について検討を行った. その結果, γ-Toc製剤投与群(5名)では, 投与後6時間までのNa排泄量およびNa排泄率がプラセボ群に比べて有意に高値であった. また, 投与前後において両群の間に, 尿量およびクレアチニンクリアランスに有意な変化は認めなかった. 更に尿中におけるγ-CEHC量は, 投与後12時間で最大となった. 以上のことから, γ-Tocは健常成人で高食塩食下において尿Na排泄促進効果を有するものと考えられる. 〔論議〕岡野委員 以下の2点をお教えください. 1)NaK-ATPaseは腎細管でPi輸送とカップルしていると思いますが, γ-トコフェロール投与においてPi酸の尿中排泄に変化は見られなかったでしょうか. 2)γ-CEHCの産生臓器は既に特定されているのでしょうか. 宗 正敏氏1)γ-トコフェロールの作用機序としては, Kチャネル阻害が主と考えられていますので, リン酸の尿中排泄は検討していません. 2)γ-CEHCの産生臓器は主に肝臓と考えられています. <玉井副委員>アルドステロンなどホルモンの影響はお考えでしょうか. <宗正敏氏>Kチャネル阻害により遠位尿細管へ到達するK量が増加することから, アルドステロンの関与が考えられる. 他のホルモンについては不明です. <阿部特別委員>1)血中のγ-CEHCの測定はされておりますか. 2)病態におけるγ-CEHCの変動を検討する予定はありますか. <宗正敏氏>1)現在, 検討中です. 2)腎臓病, 肝臓病等におけるγ-CEHCの変動を検討したいと考えています. <吉村特別委員>投与したγ-トコフェロールの量に対して, 尿中に出てきたγ-CEHC量の割合(モル比)はどの程度か. 追記:動物実験の場合との比較で考えられていると更によいのですが. <福井浩二氏>投与から排泄まで時間的なラグもあることから割合を出すことは難しいと考えられます. また, γ-CEHC自体がどの臓器にどの位存在するかを明らかにしなくてはならず, この点も問題を複雑化しているといえると思います. <吉川聡介氏>(共同演者)γ-トコフェロール投与量において尿中Na排泄量は0〜6hの間で有意に増加, 尿中γ-CEHC量はγ投与後6h以降で有意に増加した. 尿中γ-CEHCの増加時期と尿中Na排泄量の増加時期とにはずれがあるが, 血中γ-CEHCと, 尿中γ-CEHCのどちらがNa利尿作用を示すか. <宗正敏氏>今回のデータからは血中γ-CEHCが作用したと考える方が理解しやすいですが, ご質問の点は更に検討したいと思います. <宮澤委員>γ-CEHCより側鎖の長い代謝中間体にはこのような活性はないのでしょうか. γ-CEHCに特異的な作用でしょうか. <福井浩二氏>現在報告されている中では, γ-トコフェロールの最終産物であるγ-CEHCが最も高いNa利尿作用があるとされています. 中間体も確かに存在しますが, その濃度は非常に低く, 今のところ, 生理的な作用はないのではないかとされています.
著者
柿崎 藤泰 根本 伸洋 角本 貴彦 山﨑 敦 仲保 徹 福井 勉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0312, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】体幹の運動機能を評価する過程で、骨盤との運動連鎖に注目した評価は重要であり、臨床でも良く行われる評価であると考える。しかし、体幹機能の評価で、肋骨の分節的な評価や、他の分節との運動連鎖を観察する一般的な評価はあまりにも少ない。呼吸器疾患をはじめ、他の運動器疾患でもより効果的な理学療法治療を展開するうえで、体幹の運動機能を障害するファクターとしてなりうる胸郭運動の病態把握は重要であると考えている。今回我々は、体幹の複合動作である回旋運動に着目し、胸郭の歪みを形成する肋骨の動きを検討したので報告する。【方法】対象は特に整形外科的疾患をもたない健常成人10名(男性9名、女性1名)で、平均年齢は25.2±3.9歳であった。 計測はzebris社製の CMS20S Measuring system を用いた。マーカーポインターにより測定した部位は、両側肩峰部、両側上前腸骨棘、胸骨柄、剣状突起下端部、第1、3、7、12胸椎棘突起部の各部分であった。各部位の測定では、部分の凹凸に対し、最も陥没している部位、または最も突出している頂点部分にポイントするよう注意を払った。被験者には両手を頭の後に組んだ状態で、40cmの椅子に座ってもらった。静止座位と体幹回旋位で2回の測定が行われた。体幹回旋角度の規定は特に設定せず、骨盤中間位にて、上半身のみの回旋運動で、無理なく運動が遂行できるところまでとし、被験者の任意の角度で測定した。肋骨の動きは、胸骨の長軸を通る直線と第1から第3胸椎、第3から第7胸椎、第7から第12胸椎の各々を結ぶ直線とを前額面上で投影させ、その2直線の交差する角度で判定した。【結果】胸骨長軸直線と各々の胸椎直線との間に、共通した関係はみられなかった。しかし、胸骨長軸直線と第3-7胸椎直線とを投影する角度が、安静座位で2度未満(平行状態に近い)のものが5例、安静座位の時点ですでに4度以上の角度で交差しているものが5例いた。4度以上の5例では、安静時に比べ、回旋位での2直線の角度が全例で減少した。また、対照的に2度未満の5例では、安静時に比べ回旋位での2直線の角度が全例で増加した。そして、2度未満の5例の任意の平均回旋角は4度以上の5例に比較し、より大きな値を示した。【考察】今回の検討にて、胸骨長軸直線と胸椎の各文節との間には明確な関係はみられなかったが、胸骨長軸直線と第3-7胸椎直線との正中化が得られている場合、胸郭形態を無理なく歪ませることのできる機能を有しており、そのことは体幹の回旋運動に有利な条件となることが示唆された。理由として、肋間筋の体幹の回旋作用を指摘する報告もあり、予め胸郭形状に変化が生じている場合、肋間筋の長さにも影響を及ぼし、回旋動作障害に起因する可能性もあること、また第3-7胸椎の中間的役割としての機能が低下することなどが考えられる。
著者
福井 豊 合田 修三 片岡 史知 小野 斉
出版者
日本緬羊研究会
雑誌
日本緬羊研究会誌 (ISSN:03891305)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.28, pp.1-4, 1991

1985年から1989年にわたり, 本学とS牧場で飼養されていたブールーラ・ドーセット種雌羊, 延べ89頭の繁殖成績を調査し, その繁殖性を検討した。また, 1990年11-12月に, 本種雌羊9頭を用いて, 3回の連続性周期における排卵数を腹腔内視鏡で検査した。得られた成績は次のとおりであった。<BR>1) 4月を除き, 年間を通して発情が回帰しており, 交配, 分娩が可能であった。<BR>2) 延べ89頭の内, 単子分娩が57頭 (64.0%), 双子分娩が32頭 (36.0%) で, 3子以上の分娩例は見られなかった。平均産子数は1.36であった。<BR>3) 子羊の生時体重は, 単子分娩で平均4.4kg, 双子分娩で平均3.0kgであった。また, 生後3ケ月までの子羊の生存率は, 平均90.9%であった。<BR>4) 排卵数を検査した9頭の内, 3個排卵した雌羊が1頭観察された。この雌羊は, "F+" 因子を有している可能性が示された。この他, 3回の検査のいずれにおいても2個排卵した雌羊が3頭存在した。
著者
木村 裕毅 竹山 豊 横山 隆 福井 理雄 伊東 明彦 磯野 道夫 細井 裕司 村田 清高
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.391-397, 1996-08-10 (Released:2010-10-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3 7

Two cases of fish-bone foreign body were reported. Case 1 was a 75-year-old female who suffered from cervical pains after eating bonito. No foreign bodies were found by indirect laryngoscopical nor esophagoscopical examination. The foreign body was found embedded in the posterior wall of the pharyx on X-ray and CT scan. Case 2 was a 77-year-old female who had pains after eating bonito. Neither indirect laryngoscopical nor esophagoscopical examination revealed any foreign bodies in the pharyngoesophageal space. X-ray and CT scan revealed an extra-esophageal foreign body with a surrounding periesophageal abscess and cervical subcutaneous emphysema. By an extra cervical incision, the foreign body was found penetrating the esophagus and reaching carotid artery. These two cases suggest the importance of conducting X-rays and CT scans even if no foreign bodies are found under laryngo-esophagoscopical examination.
著者
福井 順治
出版者
日本蜻蛉学会
雑誌
Tombo (ISSN:04958314)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.51-53, 1995-12-01
参考文献数
13
著者
福井 玲
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.11-17, 2001-04-30 (Released:2017-08-31)

This paper describes some of the typical pitch accent systems found in Korean dialects and discusses various tonal or accentual phenomena that are important for a deeper understanding of each of the pitch systems. Typological comparisons with the pitch accent systems of Japanese are also made. The author also gives a provisional classification of all the Korean pitch accent systems so far reported, including non-distinctive ones, based on several synchronic criteria.
著者
髙見 宗広 遠藤 広光 福井 篤
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.21-010, (Released:2021-05-10)
参考文献数
13

The alepocephalid genus Conocara Goode and Bean, 1896 is characterized by the dorsal-fin origin located posterior to the anal-fin origin, dorsal-fin base shorter than the anal-fin base, body covered with small scales (> 80 in longitudinal row above the lateral line), tubular lateral line scales, the maxilla toothless, upper jaw equal to or longer than the snout, and photophores absent. Six specimens of Conocara werneri Nybelin, 1947, collected from Hyuga-nada Sea, Japan in a depth of 1,453–1,481 m, on 3 April 1991, are distinguished from all congeners by the following combination of characters: 17–20 dorsal-fin rays, 30–34 anal-fin rays, 159–179 longitudinal series scales above the lateral line, 19–22 scales between the dorsal fin insertion and lateral line, 25–32 scales between the anal fin insertion and lateral line, premaxillary bony crests present, the upper jaw reaching a vertical through the orbit anterior margin, an uninterrupted inner row of gill rakers on the first gill arch, the absence of palatine teeth, and raised insertions of the dorsal and anal fins with well-developed anterior cariniform skin folds. The gut contents of the six specimens represented the following higher taxa: Amphipoda, Copepoda, Ostracoda, Gastropoda (conch), Diatoma, Pyrosomata, and Foraminiferida. Four specimens possessed 113–550 developed ovarian eggs (maximum diameter 4.6 mm). Conocara werneri has been recorded previously only from subtropical zones of the eastern Atlantic and off New Zealand (south-western Pacific), the present specimens therefore representing the first record of the species from Japanese waters and northernmost record in the Pacific Ocean. The new standard Japanese name “Sedaka-yajiri-iwashi” is proposed for the species.
著者
福井 幸太郎 菊川 茂 飯田 肇 後藤 優介
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100277, 2015 (Released:2015-04-13)

はじめに 「新湯」は立山カルデラの底にある熱水をたたえる池で現在の立山の火山活動の中心である地獄谷の南3.5 kmに位置する。かつてのマグマ水蒸気爆発でできた小規模な火口湖で直径は30 m、水深は5.6 m、表層の水温は65~70℃である。池中央にある複数の噴出口から熱水が湧出し続けているため常に満水で、熱水は北側の切れ口から溢れだし、立山カルデラ内を東西に流れる湯川に流れ込む。 近年、噴気や地熱活動が活発化している地獄谷周辺と異なり、新湯では水位や水温に全く変化がみられなかった。ところが2014年春先から突如激しい水位や水温の変動を起こすようになった。本発表では2014年6月中旬~10月末に発生した水位と水温変動について報告する。 方法 ・水位の変化を明らかにするため池の岸にインターバルカメラを設置して30分間間隔で湖面を連続撮影した。観測期間は2014年6月11日~10月29日である。 ・水温の変化を明らかにするために水深30 cmと水深2 mに自記温度計を用いて10分間隔で水温の連続観測を実施した。観測期間は2014年6月15日~10月29日である。 結果 ・インターバルカメラの画像の分析から、2014年6月11日~10月29日に新湯は合計11回干上がったり満水になったりを繰り返していたことが分かった(図1)。満水の熱水は噴出口に吸い込まれて1日で完全に排水し、干上がった状態が3~4日続いた後、噴出口から熱水が湧き出して4~5日で再び満水の状態に戻った。したがって、2014年春先から新湯は熱水をたたえる池から間欠泉に変化したといえる。 ・2014年6月15日~10月29日までの満水時の新湯の水温は平均で74℃であった(図2)。2006年10月22日~2007年8月9日の新湯の水温(水深30 cm)は平均64℃で(図2)、平均水温は10℃も上昇した。
著者
星合 和基 金澤 毅 平沼 謙二 太田 功 福井 壽男 森 博史 長谷川 明
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.494-500, 1995-06-01
参考文献数
21
被引用文献数
9 2

この研究は色調の安定性を改善した常温重合レジンについて検討したもので,レジン中の触媒にバルビツール酸誘導体と4級アンモニウム塩を用いたものである.このレジンの色調,物性,適合度について現在市販されている各種の常温重合レジンと比較検討したものである.その結果をみると,1.色調は安定し,変色はみられない,2.機械的強さはほぼ同程度である,3.適合性は優れていることが示されたので,臨床上有用な新しい常温重合レジンといえよう.