著者
若林 正吉 田村 憲司 小野 信一 六本木 和夫 東 照雄
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.573-583, 2010-12-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
52
被引用文献数
2

大宮台地の西縁部では,荒川の河川敷に存在する沖積土を台地上の火山灰土畑に運びこむ「ドロツケ」という客土作業が続けられていた.本研究は,ドロツケによる人為的土壌生成過程における土壌特性の変化を明らかにすることを目的として,長年のドロツケにより,沖積土が元来の土壌の上に厚く堆積した埼玉県北本市の圃場の土壌,台地上の火山灰土,および河川敷沖積土において,土壌断面調査と土壌理化学性の分析を行い相互に比較した.ドロツケにより,土壌の固相部が増大し,最大容水量および水分含量が減少した.沖積土中のAl_oおよびSi_o含量は,火山灰土の1/10以下であった.この沖積土の客土により,ドロツケ畑では客土層上層ほどリン酸吸収係数が減少し,可溶性無機態リン酸の内のCa型リン酸の割合,有効態リン酸量が増大した.沖積土には多量の交換性Caが含まれることにより,ドロツケ畑にCaが供給され,土壌pHも上昇した.ただし,ドロツケ畑では,Caの溶脱傾向が著しく,とくに,作土層では,土壌pHが低い値を示した.客土層の厚さと乾燥密度ならびにSi_oの分析結果から,この圃場への客土投入量は,1ha当たり5000t程度と試算された.
著者
若井 勲夫
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.286-264, 2010-03

本誌第四十号(平成二十一年三月)でわらべ歌の二編(「かごめかごめ」「通りゃんせ」)を取上げ、国語学・国文学の研究に基づき、起源の形から歌詞が変化していく過程を跡づけながら、歌詞の言葉と表現を言語主体の意識や感覚を中心に精しく分析し、一語、一句ごとに解釈を施し、主題を明らかにした。本稿はこれに引続いて、わらべ歌の「ずいずいずっころばし」を考究する。 この歌は江戸時代の文献には見られず、明治十六年の綿絵風のおもちゃ絵が初出であり、二、三十年の歌謡集に見られる。内容については従来、意味がはっきりせず、明確な説明がされなかった。通説としては江戸時代のお茶壷道中によるとされるが、これには何の根拠もなく、歌詞の一部をそのように考えれば、その歌の部分的な解釈ができるという程度に過ぎない。この他に、意味不明説、不可解な点に意味を認める説、また、解釈そのものを否定する説などがあり、それ以上に進まなかった。その後、近世近代の歌謡研究家の西沢爽氏が「ずっころばし」と「胡麻味噌」を近世語からの転訛として解釈を試み、大体の全体像が初めて明らかになった。 本稿はこの西沢説によりながら、近世語の用例や関連語を挙げて右の二語の語釈を補い、「抜けたら」その他について新しい解釈を提示し、全体の展開と構成を矛盾することなく、整合的に明らかにし得た。さらに、元の歌詞が転訛していく過程を追い、異なった語句の解釈から逆に元歌の語釈を究め、また、多くの類歌の表現を分析し、そこに共通する意味や言語主体の発想と意識を探り、この歌を初めて総合的に解明することができた。研究の態度としては、先入観にとらわれず、独断やこじつけに陥らず、また、興味本位や卑俗に流れず、あくまで学問的に語釈、評釈し、考証することを心懸けた。わらべ歌は子供の素朴、純真な童心だけを歌うものではなく、特に意識しなくても、その底には善悪、明暗、清濁の入り混った心を表すものである。
著者
冠 昭夫 若松 義男 志村 隆 都木 恭一郎 鳥井 義弘 KANMURI Akio WAKAMATSU Yoshio SHIMURA Takashi TOKI Kyoichiro TORII Yoshihiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-868 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.868, pp.33, 1985-07

The first Japanese LOX/LH2 rocket engine (LE-5) employs a turbopump-fed gas generator cycle system. The LE-5 engine starts up in such an unique method that the power of the turbopump system is at first built up by a coolant bleed cycle followed by a gas generator cycle. A computer program for the start transient simulation has been developed and it has been utilized for analysing start-up characteristics of the LE-5 engine. The outline of the computer program and the analytical results are discussed here. The results of the analysis have been effectively used for the setting of the firing test condition and for the determination of the engine start sequence in each phases of the development. The results of the simulation are also compared with the experimental results.
著者
若林 真衣子
出版者
東京通信大学
雑誌
東京通信大学紀要 = Journal of Tokyo Online University (ISSN:24346934)
巻号頁・発行日
no.2, pp.105-117, 2020-03-31

アルコール依存症(以下、ア症)の主症状は飲酒に対するコントロール喪失であり、現在の医学では治療対象である主症状が「治癒」困難であるといわれている。しかし断酒を続ける事によって、健常成人と一見変わりない社会生活を送ることが可能である。本稿ではア症者の「回復」を支援するネットワークについて注目し、今までの実践例がなぜ有用だったのか、またどのような課題をもっているのか、「連携」そのものの展開過程・促進要因・阻害要因の観点から分析した。結果、展開過程については個人レベルの顔の見える関係性の段階とその先の広がりや連携内容の底上げの段階があり、支援対象となる地域の現状に応じてその内容が細分される可能性があること、促進要因としては研究会や事例検討会を連携体制構築の要としてきた例は多いが複数の観点からこれが有効であることなど、今までの知見・実践例について一定の根拠を示すことができた。
著者
飯久保 尚 青柳 吉博 浅田 和広 後藤 伸之 近澤 洋平 多田 公揚 柳瀬 秀明 若林 進
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.149-157, 2018 (Released:2018-03-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Objectives: Many pharmaceutical companies provide information on prescription drugs on their websites.  These websites are popular search tools for drug information for many reasons, including the availability of information at all times.  However, there are various sources of confusion for users, such as the website content differing between companies.  Therefore, to improve the usability of websites created by pharmaceutical companies, we investigated the expectations and perceptions of website users of current websites and presented our results to website users and developers.Design: A questionnaire survey.Methods: Website users were surveyed using a questionnaire developed based on data obtained from a preliminary survey of drug information pharmacists registered at the Japanese Society of Drug Informatics.  Then, using data from the user survey, we conducted a survey of website developers for pharmaceutical companies.Results: When asked what makes the websites of pharmaceutical companies excellent, 55.7% of users responded “a website filled with information.”  When asked how the website of pharmaceutical companies should be structured, the most common answer was “searchability and visibility” in responses in free-description format (25.3%) and was “inter-company consistency regarding types of drug information available as well as the process required for obtaining drug information” for responses in multiple-choice format (88.6%).  When asked whether users were unable to obtain drug information when needed because user registration was required, 87.3% of the users replied affirmatively, although 47.1% responded that some content should require user registration.  Of website developers, 46.9% collected and analyzed information about users’ website use.  They also hoped to identify the users’ needs.Discussion: The findings suggest that the usability of websites could be improved by providing opportunities for website users and developers to exchange opinions and by standardizing the content of pharmaceutical company websites, including what information should require user registration.
著者
福島 若葉
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1029-1033, 2019 (Released:2019-11-01)
参考文献数
12

インフルエンザワクチンは, 国際的にも長く使用されてきたワクチンの1つであるが, その有効性について批判の絶えないワクチンでもある. 一方, そもそもワクチンの効果はどのように評価すべきか, 「ワクチン有効率」の数値が何を意味しているかについて, 正確に答えられない方も多いのではないだろうか. 本稿では, インフルエンザワクチンを例に, ワクチン有効性の概念について解説するとともに, 今後のワクチン開発の展望について述べる.
著者
藤井 香菜子 新井 遥 若林 航也 深和 佑太 戸邉 亮司 永井 拓生 中川 純 田辺 新一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.87, no.802, pp.895-906, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)
参考文献数
35

Partial insulation retrofitting is an effective method for improving thermal insulation in existing houses as its construction cost is lower than that of total insulation retrofitting. This study aimed to clarify the actual conditions of the thermal environment in partially insulated retrofitted houses in summer and winter. Furthermore, the size of insulated areas and heating methods were examined from perspective of energy consumption and health. Field surveys on indoor environments were conducted in an actual partially insulated retrofitted house in Chiba prefecture. Subsequently, we show the effects of different insulation areas and heating methods on energy consumption and health.

4 0 0 0 OA 山桜の歌

著者
若山牧水 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1923
著者
若狭 悠介 諸橋 一 坂本 義之 三浦 卓也 神 寛之 米内山 真之介 一戸 大地 袴田 健一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1187-1191, 2016-11-30 (Released:2017-03-18)
参考文献数
28

上腸間膜静脈血栓症(superior mesenteric venous thrombosis:以下,SMVT)は腸間膜静脈の血流障害により,腸管のうっ血や肝機能障害をきたす比較的まれな疾患である。死亡率は0~23%とされており,初期対応が非常に重要とされる。症例は32歳女性。数日前からの嘔吐,発熱,腹痛を主訴に近医で抗生剤投与が行われていたが症状の改善を認めず,腹部CTで急性虫垂炎が疑われ当院へ救急搬送された。腹部CTで回結腸静脈から上腸間膜静脈にかけて血栓が認められ,急性虫垂炎に合併したSMVTと診断し,同日虫垂切除術を行った。術後は大きな合併症なく良好に経過し,速やかに抗凝固療法が開始され第8病日に退院された。虫垂炎にSMVTを合併した症例については,血栓形成の原因除去を目的とした虫垂切除術とSMVTの進展や波及を防ぐ抗凝固療法が重要であることが示唆された。
著者
小林 潔司 大本 俊彦 横松 宗太 若公 崇敏
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.89-100, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
30
被引用文献数
10 9

建設工事請負契約約款に基づく公共プロジェクトの建設契約は将来生起するであろう事象を完全には記述できない不完備契約という特殊性を持っている. 本研究では, 建設請負契約の当事者間に信義則が確立しており, かつ契約内容がある一定の条件を満足していれば, 建設請負契約により社会的に最適な方式で公共プロジェクトを遂行できることを理論的に明らかにする. さらに, 信義則が機能しない場合に生じる建設請負契約方式の限界とその場合における望ましい契約方式について考察する.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 斎藤 功 木下 和勇 瀬戸 新 佐藤 大道 柴田 和幸 安田 真理 堀岡 航 若狭 正彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節筋は中間広筋の深層に位置し,大腿骨遠位前面を起始,膝蓋上包を停止とする筋である。大腿四頭筋と合わせて大腿五頭筋と称されることもあるが,その作用は大腿四頭筋とは異なり膝関節伸展時に膝蓋上包を挙上するとされ,機能不全が生じると膝蓋上包の挟み込みにより拘縮の原因になると考えられている。変形性膝関節症(以下,膝OA)で多くみられる関節水腫は,膝関節筋機能不全の要因の1つとされているが,その関係は明らかにされていない。しかしそれにより関節拘縮など新たな障害を招く可能性があり,膝OAの病態を複雑化させる恐れがある。本研究の目的は膝OAにおいて膝関節水腫と膝関節筋機能との関係を明らかにすることである。【方法】膝OA患者60名81肢(男性15名,女性45名,平均年齢73歳)を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹,骨盤,下腿遠位部をベルトで固定し,膝関節は屈曲30°位とした。膝関節水腫および膝関節筋は超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製),14MHzのリニアプローブを用いてBモードで測定した。描写はいずれも上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で,膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節水腫は安静時の膝蓋上包の腔内間距離である前後径を計測し,Mendietaらの報告に基づき2mm以上のものを関節水腫と判定し,水腫あり群となし群に分けた。膝関節筋は最大等尺性膝伸展運動時の筋厚および停止部移動距離を測定した。筋厚は筋膜間の最大距離を計測し,安静時の値に対する等尺性膝伸展運動時の値の変化率を求めた。停止部移動距離は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし,等尺性膝伸展運動時の画像上でその点の移動距離を計測した。この移動距離は膝蓋上包が膝関節筋により挙上された距離と定義した。また膝関節屈曲,伸展可動域(以下,ROM)を測定し,膝関節の疼痛をVisual analog scale(以下VAS),膝OAの重症度をKellgren-Lawrence分類(K/L分類)を用いて評価した。膝関節筋筋厚,停止部移動距離の2群間での比較には,まず膝関節ROM,疼痛,重症度をt検定を用いて比較し,有意差のみられた項目を共変量とした共分散分析を行った。また膝関節筋筋厚および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との関係をPearsonの相関係数を求めて検討した。統計解析にはSPSS22を使用し,有意水準は5%とした。【結果】膝関節水腫あり群は50肢(平均年齢74歳),なし群は31肢(平均年齢73歳)であった。膝関節ROMは伸展(-10.85±5.10°vs -5.83±4.92°),屈曲(132.80±14.30°vs 142.33±6.92°)ともに水腫あり群がなし群に比べ有意に低値を示し(いずれもp<0.001),またVAS(48.17±23.07 mm vs 31.87±18.73mm),K/L分類(2.71±0.67 vs 1.83±0.83)は水腫あり群がなし群より有意に高かった(いずれもp<0.001)。これらの膝関節ROM,VAS,K/L分類で補正した共分散分析の結果,安静時の膝関節筋筋厚は2群間に有意差が認められなかったが,筋厚変化率(31.86±16.55% vs 61.95±18.11%)および停止部移動距離(4.74±2.08mm vs 8.03±2.21mm)は水腫あり群がなし群に比べ有意に低値であった。また膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との間に有意な負の相関を認めた(それぞれ,r=-0.592,r=-0.628)。【考察】膝関節水腫あり群ではなし群に比べ膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離が低値であり,また水腫の程度を示す膝蓋上包前後径といずれも有意な相関関係を認めたことから,膝関節水腫は膝関節筋機能に影響を及ぼし,関節水腫が重度であるほど膝関節筋の機能低下が大きいことが示唆された。これは関節水腫により膝蓋上包が伸張され,上方へ引き上げられる距離が短縮したため膝関節筋の十分な筋収縮が得られなかったと推察される。膝関節水腫は膝関節ROMや疼痛,膝OAの進行に影響を及ぼすだけなく,長期間の存在は膝関節筋の機能不全やそれに続発する膝関節拘縮の要因となり得ると考察した。【理学療法学研究としての意義】膝関節水腫は膝OAの症状や進行,膝関節筋の機能低下に影響を及ぼし,特に長期間の存在は拘縮など新たな二次的障害を生じる可能性があるため,理学療法施行時には関節水腫に対する早急な対応が必要であると考えられる。
著者
北川 元二 安友 裕子 伊藤 勇貴 日暮 陽子 渡會 涼子 若杉 彩衣
出版者
名古屋学芸大学管理栄養学部
雑誌
名古屋栄養科学雑誌 = Nagoya Journal of Nutritional Sciences (ISSN:21892121)
巻号頁・発行日
no.5, pp.45-58, 2019-12-25

【目的】女子大学生における鉄欠乏性貧血は学校保健上も重要な問題であり、その栄養摂取状況の実態を明らかにし、適切な栄養指導を実施することは、栄養学の分野においても重要な課題である。今回は、過去10年間の本学女子大学生の鉄欠乏状態と栄養摂取状況の実態を明らかにすることを目的とする。【方法】2010年~2019年のN 大学管理栄養学部1 年生の女子大学生1401名を対象に、身体計測、血液検査、食物摂取頻度調査(FFQ)による食事調査、食行動や健康に関するアンケート調査を実施した。【結果】血中ヘモグロビン低値者は88名( 6 %)、血清鉄低値者は243名(17%)、血清フェリチン低値者は334名(24%)であった。10年間年次別の頻度には有意差を認めなかった。低体重者(BMI<18.5)のうち血中Hb 値低値者6 %、血清鉄低値者16%、血清フェリチン低値者19%であり、普通体重者の頻度と有意差を認めなかった。低体重者と普通体重者との間で血中Hb 値、血清鉄、血清フェリチン値の平均値に有意差を認めなかった。栄養摂取状況は、エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質摂取量については血中Hb 値、血清鉄、血清フェリチン値の低値者と正常者との間に有意差は認めなかった。鉄摂取量と血中Hb 値、血清鉄、血清フェリチン値の間に有意の相関は認めなかった。食品群別摂取量では、Hb 低値者では肉類の摂取量が有意に低かった。血清鉄および血清フェリチン低値者では乳類摂取量が多く、緑野菜摂取量が少なかった。食品群別摂取量と強制投入法による重回帰分析を行ったところ、血中Hb 値および血清フェリチン値は緑野菜摂取量と正の相関、乳類摂取量と負の相関を認めた。また、血清鉄は食品群摂取量との間に有意の相関は認めなかった。【考察】血清フェリチン低値の潜在性鉄欠乏は25%程度みられたが、鉄欠乏性貧血者は5 %程度であった。低体重者において鉄欠乏性貧血者の頻度が必ずしも高い訳ではなかった。鉄摂取量と血清鉄、血清フェリチン値、血中Hb 値との間には有意の相関は認められなかった。食品群別摂取量では緑野菜の摂取が鉄欠乏状態の改善に有効であることが示唆された一方で、乳類の摂取は鉄吸収を抑制する可能性が示唆された。鉄欠乏状態者の栄養を考える際には鉄摂取量のみならず、鉄吸収についても考慮する必要があると考えられた。
著者
若林 広志 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.60-65, 2019-11-01

本研究では,人間よりも十分に強い囲碁 AI を学習に役立てる方法として,囲碁初心者の着手を褒めることに着目する.囲碁指導者の資格を持つ指導者の協力のもとに行った調査により,どのような点に着目し,どのような褒め方をどの程度の頻度で行っているのかを調べ,それを反映したプロトタイプシステムを提案した.それを用いた評価実験では,このシステムによる明確な動機づけの向上が確認されなかった.その理由として,褒め方が単調であった点や初心者のプレイヤーは着手や盤面の良し悪しを理解することが難しいため,達成したことがうまく伝わらなか った可能性が示唆された.そのため,改良する提案システムでは,改良されたことを具体的な数値や図示しながら褒めることでプレイヤーが達成したことをわかりやすく伝え,自己効力感を向上させることにした.今後は,提案システムを用いた評価実験を行い,その有効性を示していく.
著者
若林 慶彦 岡本 敏明 斉藤 浩一 工藤 寛之 三林 浩二
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第50回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.21, 2007 (Released:2008-12-11)

本研究では細胞膜での能動輸送のように、化学物質を認識しその化学エネルギーを力学エネルギーに、常温・常圧で直接変換する新規な駆動機構「有機エンジン」を生体材料と有機材料を用いて作製し、この有機エンジンを利用することで、液体成分やその濃度で駆動・制御可能な生化学式アクチュエータを開発した。
著者
若林 茂
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.623-635, 1992-06-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3 6

It is widely acknowledged that high viscosity water-soluble dietary fibers such as pectin and guar gum affect a lowering of blood glucose levels and a reducing of insulin secretion following a sugar load. However, as dietary fibers vary in origin and in chemical properties, their physiological functions differ as well. In this study the effects of Indigestible Dextrin (PF-C), a low viscosity, water-soluble dietary fiber obtained through acid and heat-treatment of potato starch, on various aspects of sugar tolerance were examined.First, the influence of PF-C on sucrose hydrolysis was examined in rat intestinal mucosa cell homogenate confirming that PF-C did not inhibit sucrase activity. Then, in order to investigate the influence of PF-C on sugar digestion-absorption, an experiment was performed by using the everted intestinal sac of the rat in vitro. PF-C did not have an effect on glucose-transport into the serosal medium, whereas PF-C did inhibit the transport of hydrolyzed-glucose from sucrose, with no change in the hydrolysis of sucrose.Recently, Crane et al. reported that there is a specific route for hydrolyzed glucose from sucrose in glucose-absorption on the enteric surface (disaccharidase related transport system). The possibility exists that PF-C specifically affects this pathway. Further, total glucagon released into the serosal medium stimulated by both glucose and sucrose were reduced by PF-C.On the basis of these results, an oral sugar tolerance test was conducted in both rats and healthy human subjects. In male Sprague-Dawley rats (8 weeks old, 250-280g) concurrent administration of PF-C (0.6g/kg body weight) reduced an increase in plasma insulin levels with no change in glucose levels following a glucose (1.5g/kg body weight) load. Further noted were reductions in increases in both plasma glucose and insulin levels following a sucrose (1.5g/kg body weight) plus PF-C (0.6g/kg body weight) load to that of the sucrose (1.5g/kg body weight) single load. These findings reflect the above mentioned in vitro results. Moreover, in healthy male subjects the increase in both plasma insulin and glucagon-like immunoreactivity (Gut GLI) levels following a Trelan-G75 load were significantly reduced by concurrent administration of PF-C.From these observations it would appear that the effectiveness of reducing insulin secretion by PF-C results due to the decrease in sugar absorption by inhibiting the disaccharidase-related transport system. As glucagon-like peptide 1 (GLP-1), [an incretin in the enteroinsular axis] secreted with Gut GLI from intestinal L cells, is known to enhance insulin secretion following a sugar load, the resulting effectiveness by PF-C to reduce insulin secretion is thought to be attributed to the action on this enteroinsular axis mechanism.
著者
山住 弘 若井 宗人 松野 一郎
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.209-218, 2008 (Released:2014-03-15)
参考文献数
18

Milk containers have passed through various changes, since milk was released in Japan in the early Meiji era. Three kinds of containers are available such as glass, paperboard and plastic types, although the plastic container is not popular commercially. Various technologies have been invented for these containers to improve functions in response to their characteristics. Milk cartons have been improved on demand of universal design, such as discrimination with notch and easy peeling at the top of the carton. Additionally devices to promote recycling of paperboard are introduced for the protection of environment. In some cases the shield printing technology is used to protect from the light-induced flavor deterioration. Ministerial ordinance on milk and milk products was revised in October 2007; the use of PET container to milk was authorized. The deregulation by the ministerial ordinance revision is an opportunity for the milk container diversification, although there still have some problems to be solved with respect to container itself and investment cost of facilities in order to commercialize large-volume PET milk containers.