著者
加藤 雅康 林 克彦 前田 雅人 安藤 健一 菅 啓治 今井 努 白子 隆志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.229-235, 2011-05-15
参考文献数
15

近年,クマの目撃件数が増加しており,クマが生息する山間部付近の病院ではクマ外傷を診察する機会が増加することが予想される。当院で過去2年間に経験したクマ外傷の4例を報告し,初期治療での注意点について考察する。クマ外傷は頭部顔面領域に多く,顔面軟部組織損傷の治療にあたっては,眼球,鼻涙管,耳下腺管や顔面神経などの損傷を確認し,損傷の部位や程度に応じてそれぞれの専門科と共同で治療を行うことが必要となる。また,細菌感染や破傷風の予防が必要である。当院で経験した4例と文献報告でも,創部の十分な洗浄と抗菌薬治療,破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリンの投与により重篤な感染を生じることはなかった。しかし,頭部顔面の創部と比較して四肢の創部は治癒に時間がかかった。クマ外傷の診療にあたっては,顔面軟部組織損傷と感染症予防に対する知識が重要と考えられた。
著者
大瀧 慈 神田 隆至 藤越 康祝 佐藤 健一 越智 義道
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1)SIRによる有効射影縮約空間の次元選択のための統計規準の構築正準判別関数法において使われているモデル選択基準を基に、SIRでのEDR空間の次元の推定のための統計的選択基準を構築し、数値実験によりその性能を検証した。(シンポジューム「多次元データ構造の探索」において発表、現在論文投稿準備中)2)SIRアルゴリズムの改良回帰関係が対称的構造を伴う有効射影方向に対して、SIRのオリジナル版のアルゴリズムが上手く働かない問題に対して、主要点解析法を組み込みその性能の向上を試みた。(Symposium on"Statistics,Combinatorics and Related Areas",Bombay(India),2000にて発表、現在投稿準備中)3)B-スプライン法による散布図平滑化アルゴリムの改良B-スプラインの基底関数の結節点の配置を調整することで、スプライン曲線モデルの適合度を向上させるように平滑化アルゴリズムの改良を行った。(現在、論文投稿中)。4)低次多項式によるパラメトリックモデルとB-スプラインモデルによるノンパラメトリックモデルの選択における統計的規準の構築(現在、投稿準備中)5)ノンパラメトリック回帰モデルによる一戸建て住宅データ解析(広島女学院大学生活科学部紀要,2000にて論文を掲載済)6)ノンパラメトリック回帰モデルによる日本の市区町村別肺がん死亡危険度データの解析(Jpn J Clinical Oncology,2000に論文を掲載済)
著者
島田 俊雄 荒川 英二 伊藤 健一郎 小迫 芳正 沖津 忠行 山井 志朗 西野 麻知子 中島 拓男
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.863-870, 1995-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2

1994年7月,琵琶湖の生け簀で青白く光るスジエビ(所謂ホタルエビ)が大量に発見され新聞やテレビで報道されるなど注目された。採取後発光したスジエビは次第に衰弱し,その殆どがその日のうちに死亡した(所謂エビの伝染性光り病)。死んだエビの甲殼から発光細菌が分離された。同一のエビから分離された発光性4菌株は,TCBS寒天培地上で白糖非分解性の青色集落,PMT寒天培地上ではマンノース分解性の黄色集落を形成し,無塩ブイヨンおよび42°Cで発育した。トリプトソーヤ寒天およびブイヨンで,22°C培養で最も強い発光が見られたが,30°Cでは弱かった。これらの菌株はその形態・生理・生化学的性状がVibrio cholerae non-O1またはVibrio mimicusに類似していたが,その代表株(838-94)によるDNA相同性試験ではV.choleraeの基準株(ATCC14035)と高い相同性(79%)を示したが,V.mimicusのそれとは低い相関しか認められなかった。従って,これらの分離菌株はルミネセンス産生性V. cholerae non-O1と同定され,またその血清型はいずれもO28と型別された。一方,該菌株はコレラ毒素(CT)を産生せず,またCTおよびNAG-STのいずれの遺伝子も保有していなかった。
著者
川野 徳幸 原田 浩徳 大瀧 慈 佐藤 健一 星 正治 小池 聖一 平林 今日子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

①セミパラチンスク核実験場近郊住民を対象に、アンケート調査・証言収集調査を実施した。4年間で計597件のアンケートを回収。②朝日新聞・読売新聞実施の被爆実態アンケート調査の結果を援用し、原爆被爆者の「核なき世界」以外の「思い」の一端、「ヒロシマ」というアイデンティティ、被爆体験継承の可能性、を考察した。③被爆証言を用い、経時的に観測されたテキストデータの特徴を、時間を考慮して視覚化する方法を提案した。これは、業績に示すように国際学会において、Best paper Awardを受賞。④オーラルヒストリーを編集し、『チェルノブイリ・旧プリピャチ住民へのインタビュー記録(第二報)』を発行した。
著者
高橋 丈博 田中 利和 渋谷 昇 伊藤 健一 高橋 康夫
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.314-319, 1992-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

プリント配線板における配線設計を行う上での設計指針を与えることを目的とし, ビアをもっ配線板で信号伝送測定を行い, 配線ビアの信号伝送波形への影響を調べた。この結果, 立ち上がり1ns程度の波形に対して, 伝送波形はほとんど変化せず, ビアの個数やクリアランスの大きさを変えても波形はほとんど変化しなかった。ビア部分の特性インピーダンスを測定したところ, 特性インピーダンスはクリアランスの大きさに依存し, 配線部の特性インピーダンスから20%程度違っていた。しかし, 伝送波形の計算を行い, ほとんど影響を与えないことが計算でも確認された。つぎに, 信号の立ち上がり時間, ビアの特性インピーダンスとの波形歪と関係を計算し, 立ち上がり時間が速くなってくるとビアの影響が波形に現れてくることを明らかにした。
著者
加藤 健一郎 中村 勉 横手 幸伸 松島 俊久 小池 道広 北田 寿美 佐藤 直毅 柳井原 務 横田 茂夫 小林 潔
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第1巻 給排水・衛生 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.221-224, 2014 (Released:2017-11-15)

配管のねじ接合に関する施工実態の把握を目的に、①アンケートによる施工内容に関する調査の実施、②テープシール併用時のトルクに関する確認実験を実施した。本報では、これらの調査と実験の結果について報告する。
著者
伊藤 俊方 高木 信彦 佐藤 健一 佐藤 寿則
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.363-369, 2007-09-25

能登半島地震の震源地に近い輪島市門前町において,自然ガンマ線探査を実施した.調査期間は,余震が続く4月19,20日である.探査はカーボーンによって行い,測線は国道249号に沿って実施した.探査期間中には震度1以上の有感地震は観測されていないが,M2.0以下の余震は数回発生しており,これらの発生時間におけるガンマ線強度の変化については,特定の傾向が得られなかった.三種類のガンマ線核種を用いた解析によると,ビスマスが急増する異常点がいくつかの地点で見出された.これらは地震断層に伴なう断裂の可能性がある.地震断層として発見された中野屋の県道では,すでに亀裂も修復されガンマ線強度の増加は認められなかった.今後は定点における長期連続測定を行い,余震前後のガンマ線強度変化を把握することによって,この手法が地震防災に活用できる可能性を検証する必要があると考えている.
著者
山崎 豊彦 ロセス S.A. 金子 正紀 ケービン N. 内藤 健一
出版者
The Japanese Association for Petroleum Technology
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.216-226, 1994
被引用文献数
1

この研究は水蒸気攻法で, オイルサンドからビチューメンを回収した後, さらにビチューメンを回収する方法として, 水蒸気にヘキサンや石油ベンジンのような軽質炭化水素を利用する方法について研究したものである。ここに報告したのは温度250°Cおよび300°Cの水蒸気に上記の溶剤を加え, その回収実験を行ったもので, 16の実験結果について, 水蒸気のみで10時間回収を行った場合, 始めの5時間は水蒸気で回収を行い, その回収がほぼ完了したと見られる5時間後から, ヘキサン, 石油ベンジンを水蒸気のほぼ2%程度混入した場合の回収率について検討した。この結果, 石油ベンジンを混入した場合はヘキサン混入の場合より大量のビチューメンを生産し, 300°Cの場合, その回収率は最大で56.6%となった。
著者
原 賢 武藤 健一郎 知加良 盛 関 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.285, pp.123-128, 2011-11-07

クラウドサービスの普及にともない,遠隔からシステムを安全に制御するためのプロトコルであるSSHを一般のユーザが利用する機会が増えると考えられる.一方,SSHのように暗号アルゴリズムを用いたプロトコルにおいては,暗号の危殆化に対する対処が必要である.そこで,SSH接続時に危殆化した暗号アルゴリズムの利用を避けるよう,ユーザへ設定変更を働きかけることを検討した.一般ユーザでも実行可能であり,かつ有効な対策行動を探索するため,SSH接続時の使用暗号アルゴリズムの決定方法を仕様と実装の両面で確認した.その結果,クライアントの暗号アルゴリズム設定リスト内の優先順位が接続時に利用する暗号アルゴリズムを支配的に決定することがわかった.そこで,SSHにおける暗号危殆化状況を可視化するために,クライアントと接続対象サーバの暗号設定情報の取得方法を調査し,SSH接続時に考えられる全ケースについて表示内容を考案し,一部を実装したので報告する.
著者
佐藤 健一 北山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.94-103, 2002-02-01
被引用文献数
13

超大容量のWDM伝送技術の導入が進み,伝送容量の拡大が急速に進んでいる.また,光信号を電気信号に変換することなく光のままでルーチング(クロスコネクト)等の処理を行うフォトニックネットワークの研究開発が各国で進められている.本稿では,IPオーバオプティカルパス,フォトニックMPLS,更には光ブロック転送技術であるフォトニックバーストスイッチングやフォトニックパケットルーチング等の最先端のフォトニックバックボーンネットワーク技術を解説する.
著者
谷口 秀夫 伊藤 健一 牛島 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.492-499, 1995-05-25
被引用文献数
24

計算機を24時間無停止で継続動作させるため,サービスを実現しているプロセスの走行中に,そのプログラムの一部分を入れ替える方式を提案する.具体的には,プログラムの部分入替え可能な条件として,プログラムへの条件とプロセスへの条件を示す.プログラムへの条件としてはインタフェース/処理内容/外部変数アドレスについてであり,プロセスへの条件としてはプロセスの実行状態に関するものである.また,入替え可能な状態の判定と検出の方法として,プログラムの実行状態を把握するフラグの導入を提案する.更に,そのフラグを利用してプロセスの動作を制御し,プログラムの部分を入れ替える方法を述べる.実現時の課題として,オペレーティングシステムが提供する機能と内部の処理方式を示す.試作と評価により,入替えの処理がサービスに与える影響は小さく,入替えの処理はプログラムを入れ替えられるプロセスの実行環境で行う方法が良いことを示す.本方式により,計算機を動かした状態で,ソフトウェアの保守運用や機能向上が可能になる.
著者
伊藤 健一郎
出版者
立命館大学国際関係学会
雑誌
立命館国際研究
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.207-233, 2012-06 (Released:2012-11-16)
著者
若岡 敬紀 水田 啓介 柴田 博史 林 寿光 西堀 丈純 久世 文也 青木 光広 安藤 健一 大西 将美 棚橋 重聡 白戸 弘道 伊藤 八次
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.202-208, 2017-03-20 (Released:2017-04-19)
参考文献数
23
被引用文献数
6 6

頭頸部領域に発生する神経内分泌小細胞癌は比較的まれであるが, 悪性度が高く早期にリンパ行性・血行性に転移を来し予後不良といわれている. またその発生頻度の低さから標準的な治療法は確立されていない. 今回われわれは2006年から2014年までに当科および関連病院で経験した頭頸部原発の神経内分泌小細胞癌8症例の治療法と経過について検討したので報告する. 平均年齢は60.9歳 (38~84歳), 男性3例, 女性5例であった. 原発部位の内訳は, 鼻副鼻腔3例, 耳下腺2例, 中咽頭2例, 下咽頭1例であった. 下咽頭の1例は, 扁平上皮癌が混在した混合型小細胞癌であった. 治療法は小細胞肺癌に準じた化学療法や放射線治療が主体であった. 1次治療の化学療法の内容は4例で白金製剤と VP-16 を使用していたが, 最近では症例を選んで3例で白金製剤と CPT-11 を使用していた. 1次治療終了後完全奏功と判断したのは5例あったがいずれも平均8.4カ月で再発した. 2次・3次治療で手術もしくは放射線治療を行うことができた2例は現在まで非担癌生存中である. 原病死した6例のうち, 所属リンパ節再発が制御できなかったのは1例, 遠隔転移が制御できなかったのは5例であり, 生存期間中央値は16.0カ月, 5年生存率は25%であった. 遠隔転移を制御することが予後の改善につながる可能性があり, そのための治療法の確立が望まれる.
著者
遠藤 英徳 藤村 幹 松本 康史 遠藤 俊毅 佐藤 健一 新妻 邦泰 井上 敬 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.514-521, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
34

頚動脈狭窄症に対する外科治療の是非に関して, これまで数多くのランダム化比較試験 (RCT) が行われてきた. 古くは, 内膜剝離術 (CEA) と内科治療を比較したRCT, その後CEAと頚動脈ステント留置術 (CAS) を比較したRCTが行われ, その結果に基づいて治療ガイドラインが作成された. 症候性高度狭窄に対してはCEAもしくはCASの有効性が示されているが, 内科治療が発展した現在においては, 無症候性病変に対する外科治療の有効性検証が課題である. 今後は, 外科治療の危険因子を抽出し, 治療対象を明確化していく必要があるとともに, 術者教育環境を整え, 治療成績の維持・向上に努める必要がある.
著者
藤 健一
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.22-30, 1987-03-31 (Released:2017-06-28)

日常行動の行動分析の試みとして, 写真の撮影行動をとりあげた。今回, 分析の対象としたのは, 著者が研究場面で遭遇する日々の出来事, 例えば実験装置の製作, 各種のトラブルなど, 研究日誌の記事に該当しそうな出来事を撮影するという, 著者自身の撮影行動であった。この撮影行動がいかなる要因の統制を受けていたかを推定するために, 1984年4月2日から1985年3月30日までの363日間に撮影された写真記録の事後分析を行った。その結果, (1)使用したフィルムは, 36枚撮フィルムが11本, 24枚撮フィルムが6本, 12枚撮フィルムが20本であった。(2)1日あたりの平均撮影枚数は, 装填していたフィルムの長さ(何枚撮かということ)によって異なっており, 36枚撮で4.5枚, 24枚撮で5.3枚, 12枚撮で2.0枚であった。(3)累積撮影枚数曲線の目視分析から, 撮影行動は写真のプリントのできあがりを強化事象とする固定比率強化スケジュールの支配を受けていたと推定された。