著者
佐野 英子 水野 友美 長尾 みづほ 松永 真由美 浜田 佳奈 高瀬 貴文 安田 泰明 星 みゆき 野上 和剛 藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.138-149, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:アレルギー疾患児をもつ養育者のニーズをソーシャルネットワーキングサービスに投稿された質問から探索する.方法:Yahoo!知恵袋データ(国立情報学研究所提供)から養育者が小児のアレルギーについて尋ねたと想定される質問文を抽出,テキストマイニング手法で分析した.結果:全データ約269万件からキーワード検索と3名の研究者による直接レビューで707件を選択,形態素解析で語を抽出した.単純集計では皮膚,食事に関連する語が多く,多次元尺度構成法では,これらと呼吸器症状関連語が治療関連語,何らかの答えを求める語を取り囲む形で分布した.コード定義を行い分類すると,頻度は不安・疑問,病院受診のコードに続き,皮膚症状が多かった.コード間の共起では不安・疑問,病院受診に皮膚症状,アトピー,食事,環境,睡眠,家族関係が互いに関連していた.呼吸器関連コード群は互いに強く共起し,他コード群とは弱い共起であった.結語:SNSでの養育者ニーズは生活の諸側面につながっている皮膚の問題が大きい可能性がある.
著者
出村 佑史 藤澤 誠 三河 正彦
雑誌
研究報告コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2018-CG-169, no.5, pp.1-6, 2018-02-24

本論文では,パーマや寝癖の表現を可能とする毛髪の塑性変形シミュレーション手法を提案する.毛髪のシミュレーションはコンピュータグラフィクスの分野において人間等のキャラクタを表現するのに必要不可欠なものであるが,ほとんどの場合シミュレーションが容易な弾性体としてその挙動が計算され,寝癖や整髪料の影響のような塑性変形は考慮されていない.提案手法では,毛髪の主成分であるケラチンと呼ばれるタンパク質内で結びついている側鎖結合を考慮し,実際の毛髪と同じように各結合で切断及び再結合を繰り返すことによって塑性変形を再現する.これらを,位置ベース法に組み込むことで高速かつ安定したシミュレーションを実現した.
著者
森 貴裕 佐野 正弥 杉山 悟 吉原 四方 寺邑恵 里香 門馬 牧子 水上 創 中原 史雄 羽田野 敦子 藤澤 美亜 小池 潤 鈴木 孝良 松嶋 成志 鈴木 秀和
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.73-75, 2020-12-18 (Released:2021-01-08)
参考文献数
5

A 22-year-old woman who had abdominal pain and diarrhea from 5 days ago got a CT scan in the hospital of origin and had a tumor about 5 cm in the stomach and bleeding. Upper gastrointestinal endoscopy revealed a large gastric submucosal tumor in pylorus. We considered it a malignant gastric submucosal tumor, and performed surgery, it was diagnosed as gastric plexiform fibromyxoma. Gastric plexiform fibromyxoma is a rare gastric mesenchymal tumor first reported by Takahashi et al. in 2007. Gastric plexiform fibromyxoma usually causes nonspecific symptoms of bleeding signs and is often operated on for that reason. However, surprisingly, plexiform fibromyxoma is a benign tumor with no reports of metastasis or recurrence.
著者
藤澤 知績 海野 雅司
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.331-333, 2022 (Released:2023-01-25)
参考文献数
9

左右円偏光の光をキラル分子に入射して得られるラマン散乱光の強度には微差が生じる.これはラマン光学活性と呼ばれて,溶液中の分子のコンフォメーションを鋭敏に反映した分光スペクトルを示す.本稿では,ラマン光学活性を利用したプロテオロドプシン(バクテリアの光駆動型H+ポンプ)の活性部位の構造解析を紹介する.
著者
吉田 高幸 藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.14-21, 2020 (Released:2020-12-16)
参考文献数
24

[目的]ケイデンスを規定した平地上での膝歩きの運動学的特徴を明らかにすること。[対象]健常男性20名。[方法] メトロノーム音によってケイデンスを40, 60, 80, 100, 120[steps/min]に設定した。各ケイデンスにおける歩幅,歩行速度,立脚・遊脚期の所要時間,体重心移動量,各体節角度を三次元動作解析装置にて測定した。[結果] ケイデンス増加に比例して歩行速度は増加傾向を示したが,歩幅には直線的な増加傾向が認められなかった。歩幅に関与する股関節屈曲角は増加傾向を示したが,骨盤回旋角は減少傾向を示した。一方,体重心側方移動量,体幹側屈角,骨盤挙上角,大腿骨外側傾斜角は明らかな減少傾向を示した。また,立脚時間は減少傾向であったのに対し,遊脚時間は増加傾向を示した。[結語] ケイデンス増加に伴う歩幅の制御は歩行と異なるものであり,エネルギー損失を抑制するためと考えられた。一方,左右への身体運動量を減少させることは,速度増加に適した制御であった。
著者
齋藤 佑輔 堀田 栄治 上阪 友基 林 由紀子 海崎 佳史 細田 清美 高嶋 孝次郎 藤澤 克憲
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.94-99, 2014-02-10 (Released:2015-02-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3 2

There is less emergence of renal toxicity in Liposomal-amphotericin B (L-AMB) than amphotericin B (AMPH-B). However, there have been few reports on the analysis of this factor. I examined the factors involved in renal function decline via the creatinine clearance (Ccr) for 44 cases of L-AMB administered in our hospital. Reduced renal function was observed in 15 cases (34.1%). Multivariate logistic regression analysis for each factor revealed that Ccr ≧ G 1 (P = 0.006, odds ratio: 12.968, 95% confidence interval: 2.085 - 80.643) was a factor in the occurrence of decreased renal function. Results were subjected to multiple regression analysis of the dependent variable amount of change in Ccr before and after administration, and a significant statistical effect was shown by two factors. One is administration at the start of Ccr (P = 0.007); the other is the administration of concomitant medications (P = 0.04). Pharmacists used L-AMB administration to predict in advance the degree of renal function decline, and a regression equation was obtained. As pharmacists prescribe administration depending on the results, L-AMB is prescribed by doctors. For cases which can be a first choice, more aggressive? We believe that establishment of such a system would be ideal.
著者
我妻 昂樹 鈴木 博人 川上 真吾 鈴木 さゆり 佐藤 清登 松坂 大毅 嶋田 剛義 榊 望 藤澤 宏幸
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.579-584, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
17

〔目的〕運動器疾患患者の治療場面を観察し,理学療法士の言語指導の実態を明らかにすることとした.〔対象と方法〕理学療法士13名,患者11名が参加し,19場面を測定した.測定後,言語指導を言語教示,フィードバック,言語強化に分類した.〔結果〕理学療法士による言語指導の43.0%が言語強化であった.また,理学療法士が使用した言語教示の69.1%,フィードバックの89.0%がInternal Focus of Attentionであった.〔結語〕理学療法士は,言語強化を無自覚に多用している可能性が示唆された.動作指導では目標物を設置しづらいが故に,Internal focus of attentionが多用される可能性が示唆された.
著者
藤澤 直武
出版者
日本ビジネス・マネジメント学会
雑誌
ビジネス・マネジメント研究 (ISSN:13493566)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-86, 2018 (Released:2021-03-18)

In Japan, the relationship between people and the horse largely differs in regions. The horse has the potential to play an important role in various areas in the local society such as social welfare, industry, and tourism, in addition to enabling people’s richness in mind. This research note reveals the research process of the author in relation to the importance of management in city development in which the horse has been the theme. It identifies the motivation for various activities of local people and researchers. It aims to contribute to develop the horse culture and inherit its history.
著者
井上 功 山本 砧三 武嶋 寛剛 中小 路澄子 貞岡 達也 坂哲 郎 垣鍔 典也 坂倉 淳 牧本 一男 高橋 宏明 和田 公平 大森 研史 林 伊吹 藤田 隆夫 渡辺 猛世 藤澤 俊二 宇野 功 野中 隆三郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.985-995, 1994-07-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

The effectiveness, safety and usefulness of ketotifen nasal spray were investigated in 163 patients with allergic rhinitis. Ketotifen nasal spray (0.05mg/puff) was given four times daily for 4 weeks or more. “Slight to high” improvement was recorded in 92.4% of patients and “moderate to high” improvement in 61.0%.Overall usefulness was very high for both perennial and seasonal allergic rhinitis. Side effects were noted in six patients (3.7%). Drowsiness was noted in five patients and nasal mucosal pain in only one.The results of this study suggest that ketotifen nasal spray is very useful in the treatment of allergic rhinitis.
著者
中野 雅徳 藤島 一郎 大熊 るり 吉岡 昌美 中江 弘美 西川 啓介 十川 悠香 富岡 重正 藤澤 健司
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.240-246, 2020-12-31 (Released:2021-04-30)
参考文献数
17

【目的】聖隷式嚥下質問紙は,摂食嚥下障害のスクリーニング質問紙であり,15 の質問項目に対して重い症状:A,軽い症状:B,症状なし:C の3 つの選択肢がある.「一つでも重い症状A の回答があれば摂食嚥下障害の存在を疑う」という従来の評価法は,高い感度と特異度を有している.本研究では,回答の選択肢をスコア化し評価する方法を新たに考案し,従来の評価法と比較する.また,本法を健常者に適用し,嚥下機能が低下した状態のスクリーニングツール開発のための基礎資料を得ることをあわせて行う.【方法】聖隷式嚥下質問紙開発時に用いた,嚥下障害があるが経口摂取可能な脳血管障害患者50 名,嚥下障害のない脳血管障害患者145 名,健常者170 名を対象に行った調査データを使用した.選択肢を,A:2 点,B:1 点,C:0 点,およびA の選択肢に重みをつけ,A:4 点,B:1 点,C:0 点としてスコア化した場合の合計点数に対して,カットオフ値を段階的に変えそれぞれについて感度,特異度を算出した.ROC 分析により最適カットオフ値を求め,このカットオフ値に対する感度,特異度を従来の方法と比較した.また,健常者170 名のデータについて,年齢階層ごとの合計点数に解析を加えた.【結果】ROC 分析の結果,A:4 点としてスコア化し,8 点をカットオフ値とする評価法が最適であることが示された.本評価法は,感度90.0%,特異度89.8% であり,従来法の感度92.0%,特異度90.1% に匹敵するものであった.健常者における年齢階層別の比較では,75 歳未満と75 歳以上で明確なスコアの差が認められた.【結論】スコア化による聖隷式嚥下質問紙の評価法は,A の回答が一つでもあれば嚥下障害の存在が疑われるという従来の評価法とほぼ同程度の感度,特異度を有していた.一般高齢者では,75 歳以上になるとスコアが有意に高くなることが確認され,嚥下機能が低下した状態を評価するためのスクリーニングツール開発の基礎資料が得られた.
著者
園木 一男 高田 豊 藤澤 聖 福原 正代 脇坂 正則 黒川 英雄 高橋 哲 冨永 和宏 福田 仁一
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会総会抄録プログラム 第65回九州歯科学会総会
巻号頁・発行日
pp.16, 2005 (Released:2006-06-25)

グレリンは、胃から分泌される消化管ホルモンであり、ヒトの摂食行動、エネルギー代謝に深く関与しているホルモンである。一方、口腔外科では術後に経鼻経管栄養が行われているが、この摂食形態は咀嚼することなく栄養摂取ができるもので、無歯顎者の摂食形態に類似していると思われる。そこで摂食形態の変化がグレリン分泌に影響するのか検討するため、入院患者の血中グレリン濃度を術前の経口摂取時と術後の経鼻経管時で比較した。対象者は女性5名、男性1名である(平均年齢53.0歳)。朝食前のグレリン濃度を経口摂取時と経鼻経管栄養時で比較すると、経鼻経管栄養時で有意に低下した(経口時175.5±72.8 (mean±SD) fmol/ml vs 経鼻経管栄養時113.7±42.5 fmol/ml, p‹0.05)。朝食後2時間後のグレリン値は朝食前より低下するが、経口摂取時の朝食後2時間後のグレリン値と経鼻経管栄養時の朝食前のグレリン値はほぼ同程度であった。経鼻経管栄養はグレリン分泌を抑制させる機序があるものと考えられ、咀嚼なしに摂食することは、グレリン低下を介して代謝の面から全身状態と密接に関係している可能性が示唆された。
著者
石黒 泰 崔 广宇 藤澤 智成 安福 克人 奥村 信哉 玉川 貴文 Joni Aldilla FAJRI 李 富生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.III_415-III_422, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2

合併処理浄化槽の処理水槽内水の残存有機物に関連すると報告されている粒径0.5-1 μmの粒子の構成を明らかにするため,処理水槽内水中の粒子と細菌が水質に与える影響を調査すると共に浄化槽内の粒子と細菌の量的変動を解析した.処理水槽内水の細菌数とBODの間に有意な相関がみられ,細菌が残存有機物に関連していることが示された.浄化槽内の粒子数と細菌数の変動から,嫌気ろ床において細菌以外の有機性粒子の多くが除去され,処理水槽内水に存在する粒径0.5-1 μmの粒子の多くが細菌であることが示された.クラスター分析から接触ろ床槽内水,処理水槽内水では細菌が残存有機物に最も強く関連する因子であることが示された.これらのことから浄化槽処理水の残存有機物を減らすためには,細菌を減らす必要があることが示唆された.
著者
八木 麻理子 川田 洋平 藤澤 誠 三浦 憲二郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.97-101, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1

美的曲線は,対数(等角)らせん,クロソイド曲線,さらにインボリュート曲線を含むとともに,接線ベクトルの積分形式としてのみ与えられている場合であっても対話的な生成,変形が可能であり,実務への応用が期待されている.しかしながら,これまでに提案された3点による美的曲線セグメントの入力法では,曲率が単調に増加,または減少する美的曲線セグメント1本しか入力することができず,曲率が増減し曲率の極値を持つ曲線や曲率の正負が反転する変曲点を持つ曲線を入力することができない.そこで,本研究で液晶ペンタブレット等で入力された点列からの$G^1$連続性を持つ美的曲線セグメント列の生成法を提案する.
著者
東島 仁 藤澤 空見子 武藤 香織
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.97-107, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
16

研究への患者・市民参画(Patient and Public Involvement;PPI)とは,研究開発を,患者・市民の意見や視点を吟味した上で進めることを目指す実践であり,研究者と患者や市民が協働して社会的,科学的,倫理的によりよい成果を生み出すための手段として国内外で期待を受けている.本稿では,国内の研究者と患者団体への調査結果を紹介するとともに,特に人の試料・情報を用いる観察研究におけるPPIの現状と今後のより良い展開に向けた課題について検討する.国内のPPIをめぐる状況は,関連する施策の登場や,PPIや類する活動を重視する国際動向を受けて大きく変わろうとしており,PPIの趣旨と現状の双方を踏まえた将来図の検討と具体的な支援が望まれるところである.
著者
藤澤 潤
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.1-35, 2021 (Released:2022-01-20)

本稿は、1990年から91年にかけてのコメコン改革ないしはコメコン後継組織の設立をめぐるソ連の方針とコメコン内の交渉過程について分析したものである。コメコンに関する研究史では、この時期のコメコン内の動向を扱った研究はほとんどなく、1989年の「東欧革命」以降、コメコンは自然消滅したとする見方が今なお有力である。これに対して本稿は、旧ソ連・東ドイツのアーカイヴ史料をもとに、この時期のコメコン内の交渉過程を実証的に分析し、以下の結論を得た。 1990年以降のコメコン改革をめぐる交渉で、当初、ソ連はコメコンの枠内で経済統合を進めようとしたが、中欧3国(チェコスロヴァキア、ハンガリー、ポーランド)の反対を受けて大幅に譲歩し、協議を主目的とする権限の弱い国際経済関機構(OMES)をコメコンの後継組織として設立することに同意した。しかし、コメコンには欧州域外の国々も加盟しており、とくにキューバが非欧州加盟国に対する特別の配慮を求めてOMES規約案に反対し続けたことから、合意形成は遅れた。最終的に、1991年2月初頭には全ての加盟国がOMES規約案への調印に同意したものの、その直後に中欧3国は欧州共同体との個別交渉を優先することを決定し、非欧州諸国がOMESに参加することを理由に規約案への同意を撤回した。この中欧3国の方針転換の結果、コメコンは何らの後継組織を残すことなく解散した。このように、コメコンは求心力を失って自然消滅したのではなく、欧州情勢の急変やそれに伴う加盟国の方針の変化、さらには非欧州加盟国との関係などが複雑に絡み合って解散へと行きついたのである。