著者
佐野村 誠 國弘 真己
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.617, 2017-05-24

定義 Crohn病に合併する上部消化管病変は,Crohn病の診断基準の副所見のひとつとして取り上げられている(Table 1).その中でも胃・十二指腸病変に特徴的な所見は,胃病変である“竹の節状外観”と十二指腸病変の“ノッチ様陥凹”である.いずれもインジゴカルミン撒布によりわずかに認識できる程度のものから,通常観察でも明らかに認識できる高度なものまでさまざまである. 十二指腸の“ノッチ様陥凹”は球部から下行部のKerckring皺襞(輪状ひだ)に数本の切れ込みを呈する所見である1).輪状ひだ上の陥凹をノッチ(Fig. 1)と呼び,縦に配列した“ノッチ様陥凹”を呈し,さらに高度になると,ひきつれ所見を伴う(Fig. 2,3).
著者
野村 孝一 受田 浩之 松本 清 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.916-919, 1985
被引用文献数
1 2

電導度検出型糖含量測定用フローインジェクション分析(FIA)装置の汎用化の一環として,リンゴ果汁およびビート汁中の糖含量測定,並びに牛乳の全固形分(TS)含量の測定を試みた。本FIA装置を用いた場合,各試料ごとに専用の算出式を用いることにより全く同一のFIA運転条件下で糖含量あるいはTS含量の測定が可能であった。本法により算出した糖含量は平均0.24%の偏差でフェノール硫酸法により求めた値と一致した。一方,TS含量の測定においてはAOAC法と平均0.19%の偏差で一致する値を与えた。
著者
神原 知佐子 野村 希代子 中磯 知美 岡 壽子 杉山 寿美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.320-329, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
22

【目的】医療施設における栄養管理において,管理栄養士・栄養士がどのような目的と意識を持って治療食献立に牛乳を組み込んでいるのかを明らかにするために治療食献立への牛乳の使用実態を調査した。【方法】関東・関西・中国・四国地方の200床以上の医療施設967施設に,常食,糖尿病食,腎臓病食,高血圧症食,高中性脂肪血症食,高コレステロール血症食における牛乳使用を郵送による無記名紙面自記式アンケート調査を行った。【結果】234施設から回答を得た(回収率24.2%)。牛乳は毎日朝食時に提供されることが多く,その理由として「院内約束食事箋の栄養基準に適合させるため」「その時間での摂取が一般的」「その時間の食事の栄養量が少ない」「その時間の食事の品数が少ない」が多く回答された。また,管理栄養士・栄養士は,献立作成や栄養教育の場面では,嗜好性よりも牛乳に含まれる栄養素の量を優先していた。しかし,患者からの要望への対処方法としては「代替食品を利用する」との回答が多く,「牛乳提供の理由を説明する」は少なかった。【結論】医療施設の管理栄養士・栄養士は,牛乳に含まれる栄養素を患者に摂取させるために,治療食献立に牛乳を組み込んでいた。患者個人の嗜好に配慮した場合には,栄養学的な役割を患者に説明することは少なく,牛乳でない代替食品を提供していた。
著者
Kenyon Peter 野村 裕知
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1178, pp.98-101, 2003-02-10

問 日本でのデビッド・ベッカム選手の人気を挙げるまでもなく、マンチェスター・ユナイテッドは世界各国で大変人気があります。なぜ、このチームはそんなにたくさんの人を引きつけるのでしょうか。 答 2つの段階に分けてお話ししましょう。ちょっと古い話なんですが、まず1958年のことです。
著者
野村 民也 松尾 弘毅 雛田 元紀
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.87-91, 1979-03

東京大学宇宙航空研究所では,単段式の観測ロケットS-500型の開発を進めている.これは従来のK-9 M, K-10型の代替機となるもので,高度350kmに100kgのネットペイロードを打ち上げることが可能である.現在54年度冬期の初飛行を目標としており,完成のあかつきには南極での使用も期待できる.
著者
加藤 宏一 比嘉 隆 中野 紘 野村 俊介 中川 将徳 門山 茂 氏家 弘 寺本 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.185-189, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
17

出血発症の椎骨動脈解離(vertebral artery dissection: VAD)において,前脊髄動脈(anterior spinal artery: ASA)が解離側VA から2 本分岐しY 字型にfusion している症例を経験したので報告する.症例は43 歳男性.くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)で発症した破裂VAD で,解離部から1本,解離部より末梢の正常部位から1 本ASA が分岐し,fusion 後に下行していた.マイクロカテーテルを3 本使用しASA を温存しVAD のinternal trapping を行った.片側VA から2 本のASA が分岐しfusion するタイプの血管走行は今まで報告がなく本症例が初めてである.ASA の起始部にはvariationがあり,VA union 近くの塞栓術では脳幹への穿通枝とともにASA 分岐の詳細な観察が必要である.
著者
勅使河原 彩織 茂木 義輝 阿部 真也 松井 洸 山口 浩 吉町 昌子 野村 和彦 富澤 明子 成井 浩二
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.61-71, 2021-08-31 (Released:2021-09-25)
参考文献数
6

Objective: There have been reports of health hazards caused by medical devices, cosmetics, quasi-drugs, daily necessities, hygiene products, etc. (health-related products) sold in pharmacies and drugstores. However, the role pharmacists play in dealing with the health hazards caused by health-related products has not been clarified. Therefore, we conducted a survey on the cases of health hazards related to health-related products and the views of pharmacists.Methods: A questionnaire was administered anonymously by email to 601 pharmacists working in community pharmacies or drugstores between December 11 and 20, 2019.Results: The number of valid responses was 585. The breakdown of health hazard cases where pharmacists counseled customers were 60 for medical devices, 31 for cosmetics, 18 for quasi-drugs, 9 for hygiene products, and 20 for daily necessities and others. Of those 138 cases, 19 cases of medical devices were estimated to have an intermediate risk as a health hazard, and the other 119 cases were all classified as low. Of the cases that the pharmacists were not approached for help, but were aware of, 57 were medical devices (21 high, 31 intermediate, 5 low), 44 were cosmetics (12 intermediate, 32 low), 12 were quasi-drugs (7 intermediate, 5 low), 7 were hygiene products (7 low), and 64 were daily necessities and others (26 high, 34 intermediate, 4 low). With regard to health-related products, 95% of the respondents indicated that they had responded to customer questions with advice.Conclusion: Our results show that there are various cases that could develop into health hazards due to health-related products, and most respondents felt a need to alert the public. As such, pharmacists and other staffs in drugstores will continue to provide health support functions to their customers by advising them on not only pharmaceuticals but also these health-related products.
著者
田野村 忠温 Tanomura Tadaharu
出版者
大阪大学大学院文学研究科日本語学講座
雑誌
阪大日本語研究 (ISSN:09162135)
巻号頁・発行日
no.32, pp.25-35, 2020-02

福沢諭吉編訳『増訂華英通語』(1860(万延1)年)の語彙集にカレーの項目が含まれ、curry の発音が「コルリ」と記されているという事実が多くの人の短絡的判断を招き、福沢が「カレー」の語を日本に初めて伝えたとする説が─さらには、福沢がカレーを日本に伝えたとか、カレーの調理法を伝えたといった話まで─広く流布している。しかし、『増訂華英通語』の理解を前提として言えば、それらの説はすべて誤っている。ここでは、『増訂華英通語』の「コルリ」の本性を明らかにし─その過程で、同書にカレーが「加兀」と書かれているという話の誤りも明らかになる─、併せて関連するいくつかの問題に考察を加える。
著者
野村 鮎子 野村 鮎子
出版者
奈良女子大学文学部
雑誌
奈良女子大学文学部研究教育年報 (ISSN:13499882)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-16, 2007-03-31

中國古典詩文中,有一部分是以自家女性為題的作品。 有悼亡詩、亡妻墓言志銘、先批行状、乳母墓銘、祭亡妾 文等等。這些描寫自家女性的作品都有個共通黠,即這 些女性親人皆己亡故。這是因為前近代的中國士大夫之 間,有著基於「内言不出於梱」(《禮記》)的儒教士規範 而沉默不語的共識,因此在表達親情戸気,往往不得不 透過哀悼的文學形式。 關於書寫女兒的文學,大部分也都是哀悼未婚女兒的 作品,但其中有若干是哀悼己出嫁的女兒之死的持文。 且談論到出嫁女兒之死的作品中,有些還提及女兒在夫 家遭到虐待一事,這點往往容易被人忽略。 本論將討論宋蘇洵〈自尤詩〉、明王樵〈祭女文〉、 明駱問禮〈章門駱氏行状〉等父親哀悼出嫁女兒死於非 命的作品。在〈自尤詩〉中,蘇洵用長達九十八旬的長 篇詩形式,道出季女八娘嫁往母相娘家-程家、卻在 夫家受虐而死的事由。<祭女文〉中,王樵以祭文的形 式描述女兒嫁給愛喝酒又素行不正的丈夫,最後在夫家 遭到虐待以至自殺的悲劇。駱問禮的〈章門駱氏行状〉 則以行状的文體,道出女兒駱復不斷被丈夫章其美施暴, 最後還被通姦罪殺害的經過,這些作品的共通點是:喪 女之痛、對虐待女兒至死的夫家之怨念、為女兒訂下這 椿親事的不是別人正是身父親自己的自責之情、以及 無法將女兒從虐待中拯救出來的悔恨。 無關男性的社會地位、學歴舆職業,虐待女性或家庭 暴力都有可能發生,這一點在今日已然廣為人知。在理 當體現儒家教誨的士大夫家庭中,實際上並非「父子兄 弟夫婦相和順」所言般理想,但虐待或暴力被認為只會 出現在平民或小説世界裡,所以士大夫階層的家庭暴力 幾乎不曾浮出檯面。這可謂為士大夫間一直以來巧妙隐 瞒的縁故。但本論所介紹的,都是士大夫階層的家庭裡 所發生的家庭暴力,而暴露這些暴力的父親也都是士大 夫階層。 前近代中國的女性因為受到「孝」或「從一而終」的 規範,出嫁後就算遭到婆婆或丈夫的虐待,也幾乎不可 的離婚。出身士大夫家庭、有教養的女性多以離婚為恥, 逃避之途唯有一死。而且殉夫之女或守潔自盡的女性往 往被稱為節婦或貞女,會受到朝庭的彰顯,也會被當成 兩家的榮譽,相對於此,身為家庭暴力被害者的女性, 即無法獲得這榮譽。她們反而會視為家門之恥,被虐 待的事實則被巧妙隐瞒。這種情况下,以詩人身份暴露 這些易於被粉飾太平的出嫁女兒受虐而死的經過,正是 身為一個父親對女兒的親情。
著者
野村 駿
出版者
東海社会学会
雑誌
東海社会学会年報 (ISSN:18839452)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.122-132, 2018

本稿の目的は,「音楽で成功する」といった夢を掲げ,その実現に向けて活動するロック系バンドのミュージシャン(以下,バンドマン)を事例に,夢を追う若者がフリーターを積極的に選択・維持するプロセスとその背景を,若者文化の側面に着目して明らかにすることである.若者の学校から職業への移行を扱ったこれまでの研究が,フリーターを積極的に選択・維持する若者の移行過程を看過してきたという問題意識から,バンドマンを対象とした聞き取り調査のデータを分析し,次の3つの知見を導出した.第1に,バンドマンはバンド活動を「やりたいこと」だと見なしながら,それと同時にバンドメンバー同士の相互作用の中でフリーターを選択していた.第2に,バンドマンはライブ出演に向けてメンバー間で場所と時間を共有する必要があることからフリーターを選択・維持していた.第3に,フリーターであることによって生起する金銭的困難が,バンドという活動形態の集団性とバンド単位で支払いを求める音楽業界の料金システムによって緩和されていた.以上の知見を踏まえ,バンドという活動形態の集団性と音楽業界の料金システムが若者文化の内部構造として存在するために,それに適応しなければ夢が追えないバンドマンは合理的な進路としてフリーターを積極的に選択・維持していると結論付けた.
著者
木ノ内 勝士 森田 紀代造 橋本 和弘 野村 耕司 宇野 吉雅 松村 洋高 中村 賢 阿部 貴行 香川 洋 佐久間 亨
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.328-332, 2006-11-15 (Released:2009-08-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

総肺静脈還流異常症(TAPVR)修復術術後の肺静脈狭窄(PVO)は重篤な合併症であり,術後の再燃も希ではない.今回われわれは,TAPVR1a+2a混合型術後PVOをくり返した14ヵ月,男児に対してsutureless in situ pericardial repair,および,左心耳-左肺静脈吻合を施行した.術後経過は良好であり,術後2年9ヵ月時に施行した心臓カテーテル検査では,右肺静脈に有意な再狭窄所見は認めず,左肺静脈に軽度再狭窄所見を認めた.また,術後3年1ヵ月時に施行したmultidetector computed tomography (MDCT)による3次元再構築像では,良好なPVO解除が長期に得られていることが示された.
著者
山田 哲治 塚本 浩史 白石 友紀 野村 哲也 奥 八郎
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.532-540, 1990-10-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
17 22

サクラてんぐ巣病菌(Taphrina wiesneri),モモ縮葉病菌(Taphrina deformans),スモモふくろみ病菌(Taphrina pruni)など,植物に増生病を引き起こすタフリナ属病原糸状菌はインドールピルビン酸(IPyA),インドールアセトアルデヒド(IAAld)を中間代謝物としてトリプトファン(Trp)からインドール酢酸(IAA)を合成する。これらの糸状菌はまた,インドールアセトニトリル(IAN)をIAAに転換する能力をもつ。IANをIAAに転換する酵素,IANニトリレースは基質誘導を受ける適応酵素であるが,TrpをIPyAに転換する酵素,Trpアミノトランスフェラーゼは基質によって誘導を受けない。
著者
野村 健太郎
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.625-630, 2016-12-10 (Released:2016-12-23)
参考文献数
38

Recent developments in the research field of Dirac and Weyl semimetals are reviewed. We introduce Weyl semimetal which has linear energy dispersion and nontrivial topology in the band structure. One of characteristic phenomena is negative magnetoresistance, which stems from three-dimensional linear dispersion. Another characteristic phenomenon is the anomalous Hall effect which occurs in Weyl semimetals with magnetic order. Fermi arc states appear as surface states localized at the boundary. Type II Weyl semimetals are also argued.
著者
野村 美千江 豊田 ゆかり 中平 洋子 柴 珠実 宮内 清子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.53-59, 2007-03-30

目的:認知症者の自動車運転は,公共安全の問題であると同時に病者の自立性に関わる問題である.本研究は,初期認知症者が自動車運転を中止する過程とその関連要因を記述することを目的とする.方法:対象は大学病院を受診し車の運転中止を勧告された初期認知症者13名とその介護者.平成15年10月〜17年12月の間,病者と介護者に半構造化面接と継続的な家族相談を実施した.カルテ・面接の逐語録・相談記録から病状経過,運転行動,中止要請への反応,介護者の認識と対応,生活環境等のデータを収集し,運転中止の過程と運転中止を困難にする要因を質的に分析した.結果:研究終了時点において,8名は運転を中止し5名は運転を継続していた.中止した8名は全員が自動車事故を起こし,診断から運転を断念するまでに5年を要した事例もあった.運転中止を困難にする要因は,同居家族の無免許や生活上の必要性,代替交通確保の難しさ,家族介護者の負担の増大などで,若年発症や身体能力が高い場合は中止がより困難であった.運転中止の過程において介護者は,病者の説得に苦労し,家族内の対立や近隣との軋轢など種々のストレスを体験していた.車のない生活への適応には家族の対応が影響していた.結論:認知症ドライバーを早期に発見し,病態や家族の問題解決力に見合った介護者相談や外出援助の資源開発等を行うことによって,運転中止後の生活適応を助ける必要がある.