著者
岡田 翔一 田川 知嘉 鈴木 直人 樋口 貞行 片貝 富夫 山野辺 浩
出版者
日本家畜臨床学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-11, 2018 (Released:2018-10-02)

酵母細胞壁混合飼料は成牛および育成牛において抗ストレス作用が期待されており,寒冷地における子牛の発育増進に寄与する可能性がある。本研究では,寒冷期の子牛25頭を,酵母細胞壁混合飼料を給与する試験群13頭と給与しない対照群12頭とに分け,試験期間中のTemperature-Humidity Index(THI)を算出するとともに,体重測定および血液生化学性状検査を行った。THIは子牛が寒冷ストレスを受ける可能性が高い数値である50を下回る期間が長く,平均値は49.8であった。試験群と対照群の間で,試験期間内での増体に有意な差はなかったが,酵母細胞壁混合飼料給与から30日目に,対照群と比べ試験群の血清中ビタミンA濃度の有意に高い値を示した。酵母細胞壁混合飼料は寒冷ストレスによる影響を低減させることで,子牛の成長に伴う血清中ビタミンA濃度の上昇を維持することが示唆された。
著者
内山 香 山下 亮 鈴木 海渡 田上 翼 塙 一晃 乾 健太郎 小宮 篤史 藤村 厚夫 町野 明徳 楊井 人文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.4Pin126, 2018-07-30

<p>国内外を問わず誤情報の拡散が社会的な問題となっており,情報の真偽検証の必要性が急増している. そこで本研究では情報の真偽検証を効率的に行うための支援システムの構築を行った. 本システムではニュース記事に対して言及しているSNS上の投稿をもとに人手の検証を必要とするニュース記事を推定する. 作成したシステムを用いることで検証を必要とする記事の探索作業の効率化を期待できることが確かめられた.</p>
著者
島田 洋一 山口 輝正 鈴木 良次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.45, pp.39-44, 1997-05-16

等尺性収縮での親指と人差し指による把持力と関与する屈筋群の表面筋電図および指の関節角度を測定し、その実験データを用いて把持力を推定するための神経回路モデルを構築した。このモデルは入力層が8個、中間層が14個、出力層が1個の各ユニットで構成されており、中間層のユニットの入出力特性がシグモイド関数であり、他のユニットは線形の入出力特性である。学習に用いた教師データは異なる8種類の強度の把持力であり、モデルへの入力信号は4チャンネルの表面筋電図信号と4つの関節角度のデータを用いている。10万回の学習で得られた各ユニット間のウェイトを用いて別のテストデータで把持力を推定した結果、この神経回路モデルの有効性が確認され、それぞれの指関節におけるトルクも推定できた。
著者
鈴木 晶夫
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.61-73, 1995-03-25
被引用文献数
6

There are so many factors that have effects on facial recognition. We used three kinds of "Noh" masks, "Masu", "Chuujou", and "Fukai", to investigate the effects on facial recognition by changes in the shaddow of view of the masks. This study investigated two points, the relation between the shaddow of the face of "Noh" masks and the selection of emotional categories on facial recognition; and changes of impressions of the "Noh" mask due to changes in the shaddow of the mask. The results of ANOVA showed statistically significant differences in conditions of the shaddow and the kind of "Noh" masks. The selection of emotional categories and the changes of impression on each "Noh" mask depends not only on the shaddow, but on the combination of the kinds and the shaddow of view of the "Noh" mask. In the case of masks having some features in the facial shapel (e.g. a dimple, wrinkles), the features have effects on the selection of emotional categories and impressions of the "Noh" mask.
著者
鈴木 麻純
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-79, 2019-03-25

本論文では、ボードレールの「他処(ailleurs)」における「匂い/香り」の様々な機能を明らかにし、その重要性を探る。「他処」=「ここでないどこか」は、詩人ボードレールとその詩学において極めて重要なテーマの1つであり、ある種の強迫観念(オプセッション)として様々な作品のなかにあらわれている。現実世界という「今ここ」からの脱出を渇望する詩人は、自然豊かな異国の島や神秘的な未知の理想郷など、ありとあらゆる「他処」を描いていくのであるが、その「他処」には、必ずと言っていいほど香りが漂っている。記憶や想像力にはたきかけ、情景を一瞬にして喚起する「起動装置(déclenchement)」としての香りが動的に作用するのに対して、喚起された情景のなかを「漂う」香りの機能は限りなくささやかなものに見える。しかし、複数の詩篇において、このような「漂う」香りが描かれていることを見ると、「他処」には何らかの香りが漂っていなければならなかった、とさえ言える。したがって本論では、「記憶」と「夢想空間」をテーマとし、それぞれの「他処」のなかでどのように「匂い/香り」が機能しているかを考察する。第1章では「記憶」をテーマとする。第1節では、香りによる記憶の喚起が描かれる「髪」«La Chevelure»を取り上げる。この詩では髪の香りに解き放たれた詩人が、過去を見出すという物語が「航海」として描かれている。ここでは、「ほとんど死に絶えた(presque défunt)」世界までをも蘇らせる、香りの魔術性について論じる。第2節では、「憂愁」«Spleen»とともに『人工天国』の「記憶の羊皮紙」を扱い、まずは、詩人のなかに眠る記憶のあり方を考察する。これら2つのテクストの読解に加え、「記憶の羊皮紙」と、その原作であるトマス・ド・クインシー『深き淵よりの嘆息』を比較するなかで、記憶の膨大さ、不死性、未知性という3つの側面が明らかになる。また、「憂愁」を「漂う」香りは、記憶に「防腐処置をする(embaumer)」という機能をもつことがわかる。第3節では、「前世」«La Vie antérieure»を扱う。この詩では、神秘的で壮大な「他処」が、詩人の「長い間暮らした地」として表現されているが、ボードレールにおける「郷愁(ノスタルジー)」というフェリックス・リーキーの分析を中心に考察するなかで、それは記憶であるよりはむしろ「想像された前世」にちかいものであることがわかる。さらに、「他処」にいながら苦悩する詩人という「矛盾」に着目し、この詩では、「今ここ」の「他処」への侵入が現れていることを見る。この詩を漂う香りの機能は、ここでは曖昧なままであるが、夢想空間をテーマとした第2章のなかに、その鍵となる機能がある。第2章では「夢想空間」をテーマとする。第1節では、まず、記憶と想像力の不可分性について書かれたホフマンやバシュラールのテクストを考察し、そのことがあらわれている詩として「異国の香り」«Parfum exotique»を取り上げる。この詩では、恋人の乳房の香りによって夢想が始まり、詩人はそのなかで様々な情景を見る。自然豊かな島の景色は、若い頃のボードレールが滞在したモーリス島やブルボン島の風景を思わせるが、感覚描写などに注意して詩を読んでいくと、想像力の作用なしには、この詩の「生きた空間」は存在しえないことがわかる。最後に、夢想のなかに新しくあらわれる「緑のタマリンドの香り」がどのように作用しているかを考察する。第2節では、「旅への誘い」«L’Invitation au voyage»を取り上げる。ここでは、「匂い(odeur)」の語源である「満たす」という性質から出発し、ジョルジュ・プーレ、ミンコフスキー、テレンバッハのテクストを参考にしながら、夢想空間に「生命を吹き込む(animer)」という新たな機能について考察する。次に、«odeur»のもう一つの語源である「浸透する」という性質から、夢想を「深化させる(approfondir)」という香りの機能が明らかになる。第3詩節では、散文詩「二重の部屋」(La Chambre double)を取り上げ、より深くなった夢想のなかで香りの機能がどのように変化しているかを見る。まず、香りが観念に近いものとして表されていることから、香りと観念の関係について考察する。するとボードレールの美術批評の「香りが観念の世界を語る」という一節をはじめとして、「万物照応」«Correspondances»などでも、香りと観念の親和性があらわされていることがわかる。次に、匂いの表現が他の詩篇と比べて抽象的で曖昧であることに着目し、そこから、本来は繋がれていない2つの世界を「繋ぐ(relier)」という5つ目の機能が明らかになる。このように、香りは「他処」を喚起するだけでなく、過去の世界に「防腐処置(embaumer)」をし、それがいつか「他処」として、現在のなかに蘇ることを可能にする。空間を満たす香りは「生命を吹き込(animer)」み、浸透する香りは夢想を「深化させる(approfondir)」。そして最後に、香りは2つの世界を「繋ぐ(relier)」。つまり香りは、「今ここ」にいながら、あらゆる時空間で生きることを可能にするものだと言える。そして、それゆえに香りは、ボードレールの「他処」の詩学に欠くことのできないものなのである。
著者
鈴木 伸一 小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 小川 祐子 柳井 優子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.93-100, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究の目的は、英国のCBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法を明らかにすることであった。英国認知行動療法学会のLevel 2認証を得ているCBTトレーニングコースのカリキュラム責任者を対象に、CBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法に関する調査を実施した。その結果、英国認知行動療法学会のLevel 2の認証を受けたトレーニングコースにおいては、おおむねガイドラインに沿った包括的な教育がなされていた。特に、治療関係の構築やクライエントの個別性への対応、およびスーパービジョンの有効活用などについては、現場実習における実践的なトレーニングが重視されていることが明らかになった。最後に、本研究の結果を日本のCBTトレーニング・ガイドライン策定にどのように活用していくかについて考察された。
著者
佐藤 至 鈴木 忠彦 小林 晴男
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.731-734, 2005 (Released:2011-03-05)
著者
淺田 義和 村岡 千種 前田 佳孝 鈴木 義彦 川平 洋
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45072, (Released:2021-09-02)
参考文献数
7

脱出ゲーム(Escape Roon,以下ER)を用いた教育は近年で増加傾向にあり,医療分野を含めて種々の事例が報告されている.しかし,2020年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,従来の対面で行うER 活用教育は実践が困難となっていた.本稿では,従来は対面で実施していたER をMoodle 上でのオンラインER へと形式変更し,実践した結果を報告する.オンラインER としたことにより,密の状態を回避したうえでの運営が可能となった.また,対面とは異なる環境での意見交換の困難さを経験したことによる学びの省察も生じていた.今後はMoodle上でのログ解析などを通じ,ER の学習分析などにも視野を広げる必要があると考える.
著者
山本 博之 田中 篤 北川 諭 鈴木 高祐 藤田 善幸 丸山 正隆
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.579-585, 2003-11-25
参考文献数
22
被引用文献数
3 1

症例は35歳男性. 入院10カ月前から防風通聖散を服用していた. 入院3カ月前にはじめて肝機能異常が出現. 入院6週間前に近医受診, この時点で肝機能障害は増悪していたが, 5種の薬剤を新たに投与され, 防風通聖散はそのまま服用していた. 入院1週間前から黄疸・皮膚掻痒感が出現したため当院へ入院となった. 防風通聖散, および併用薬は入院前日まで服用していた. 入院時ALT 2996IU/<i>l</i>, AST 7174IU/<i>l</i>, T. Bil 15.1mg/d<i>l</i>, PT 30.6%であり, 第2病日肝性昏睡2度となったため劇症肝炎急性型と診断, 血漿交換および血液濾過透析とステロイドパルス療法を開始した. この結果意識清明となり肝機能も急速に改善したが, その後黄疸が遷延し, 肝機能は薬剤中止後4カ月に正常化した. 本症例ではもともと防風通聖散による薬物性肝障害が存在し, そこへ併用薬の影響が加わって最終的に劇症化に至ったものと考えられた.
著者
鈴木 曠二
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.50, no.457, pp.1736-1739, 1984

The Dynamic Soaring is the soaring technique making use of the wind gradient. The order, Albatross belongs to, includes several species which use this technique and have various scale. Main conclusion is as follows: They practice almost physically similar dynamic soaring. The larger one practices a larger dynamic soaring and requires a stronger wind than the smaller one does, in the wind near the sea surface. Such a scale effect corresponds with the fact that a Wandering Albatross lives in the zone of the westerlies of the Southern hemisphere; on the other hand, a Streaked Shearwater which is smaller than it lives in areas where it is not so windy. But if the wind profile was almost linear, the said relation between the scale of a bird and the wind strength would be reversed.
著者
篠原 信之 田中 博 斉藤 健 出口 順子 近藤 玲子 曽田 研二 鈴木 賢
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Medical Science and Biology (ISSN:00215112)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.385-392, 1981 (Released:2010-03-19)
参考文献数
9
被引用文献数
4 5

Since periodical survey of the sewage entering the sewage-farm in Matsuyama City revealed a high incidence of Salmonella typhi of different phage types, attempts were made to trace the upstream reservoir. It was found that S. typhi was drained into a particular manhole at a distance of about 5 km from the sewage-farm. Two members of two families were found to be carriers. Further investigation detected other 25 carriers. The 27 carriers were all pupils of the same primary school. Ten of them showed mild symptoms such as fever, abdominal pain and diarrhea; the remaining 17 were asymptomatic. The phage type of 24 isolates was of Vi degraded approaching phage type A [degraded Vi (A) ] and that of the other three was of type 53. The results coincided with those of the isolates from sewage.