著者
島田 貴仁 鈴木 護 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.51-64, 2004-10-18
被引用文献数
1

本研究では,東京都大田区南部の104町丁目に住む3,120名を対象にした社会調査データに構造方程式モデリングを適用して,犯罪不安と被害リスク知覚の認知構造とその形成要因を検討した.調査では12罪種を提示し,犯罪に対する情動的な反応である犯罪不安と,主観的な発生確率の見積りである被害リスク知覚とを区別して測定した.まず,確認的因子分析により,犯罪不安・リスク知覚はともに財産犯と身体犯の2因子構造を有し,空き巣やひったくりなどの財産犯は,一般市民には身体犯としても認知されていることが示された.次に,被害経験・見聞,地域の無秩序性,富裕度,家族内弱者の有無が犯罪不安,犯罪リスク知覚にもたらす影響を検討した.これら形成要因は被害リスク知覚を媒介して間接的に犯罪不安を生起させていたのに加え,直接犯罪不安を喚起していた.また,ゴミや落書きなどの地域の無秩序性が財産犯被害不安を生起させていることや,子どもや高齢者を家族に持つ回答者は,身体犯被害の伝聞情報によって犯罪不安を生起させていることが明らかになった.
著者
奥田 一博 川瀬 知之 鈴木 啓展
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

歯周疾患により失われた歯肉および歯槽骨を成体由来細胞、増殖因子、マトリックスの三者を用いて組織工学的に再生させることを目的とした。とりわけ、細胞供給については少量の組織片から培養操作を経てシート状の大きさに拡大することにより初めて臨床応用が可能となった。具体的には歯肉組織片から上皮細胞と線維芽細胞に分離・培養して培養上皮シートと培養線維芽細胞シートを完成させた。また骨膜組織片から培養骨膜シートを完成させて、すでに報告済みの多血小板血漿(PRP)とハイドロキシアパタイト(HAp)顆粒混合物に被覆する形で歯槽骨欠損部に臨床応用を行った。基礎的研究成果として、培養上皮シートの細胞挙動、動物製剤を含まない培地で歯肉スポンジを培養する方法、骨芽細胞・歯根膜細胞における肝細胞増殖因子(HGF)の作用、細胞外ATPおよびATPγSの歯根膜細胞増殖に対する作用について検討した。臨床的研究成果として、培養線維芽細胞シートを従来の結合組織移植片の代替物として用い露出根面の歯肉被覆に成功した。培養骨膜シートを多血小板血漿(PRP)とハイドロキシアパタイト(HAp)顆粒混合物と用いることで、骨再生が飛躍的に向上した。今後、臨床研究については細胞プロセシングセンターでの培養を規格化し培養骨膜シートの症例数を増やしてかつ長期的予後を観察することで先進医療として申請したい。基礎的研究に関しては、さまざまな足場材料を検討するとともに細胞の播種方法に多血小板血漿やヒアルロン酸を応用することで細胞の更なる高密度の培養を図る予定である。
著者
栗山 直人 鈴木 基之 伊藤 彰則 牧野 正三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.442, pp.55-60, 2006-12-15

PLSAは言語モデルの文脈適応に一般的に用いられる手法である.このPLSAの新しい利用方法を提案する.PLSA言語モデルの語彙を「話題語」「文型語」「汎用語」の3クラスに分割し,話題語PLSAモデルと文型語PLSAモデルを別々に学習・適応した後に3つのモデルを統合する.また新聞記事とCSJ間での品詞分類の出現パターン変化に基づいた,語彙分割基準の自動生成を提案する.評価実験では話題と文型の特徴が学習データで共起していないテキストについて,従来のPLSA言語モデルと比べ15.48%のperplexity削減が得られた.
著者
鈴木 亮平
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成21年度は,当初の研究実施計画を拡張し,ノードのリアルタイム性を意識した転送ノードのスケジューリング手法(RT-Pipe)とシンクノードから任意の地点へのpipelineの構築手法(BS-Pipe)を提案した.上記提案手法の概要を以下に述べる.1.RT-Pipe:センサデータ送信元ノードとシンクノードとの間でデータ配送を行う配送ノードの往復時間と,ノードの加減速にかかる消費電力を考慮し,送信元ノードのストレージオーバフローによるデータロスを最小にする中で、消費電力を最小とする配送ノードのスケジューリング手法を提案し,平成20年度に提案したセッションプロトコルへの拡張を行った.2.BS-Pipe:平成20年度提案したセッションプロトコルは要求される転送レートが比較的大きいデータを送信する場合を想定しており,温度のモニタリング等,転送レートの小さいデータを送信するノードが比較的多い環境では,有効とは言えなかった,そのためBS-Pipeでは,シンクノードから事前に決定し地点への経路上に配送ノードを並べたpipelineを複数構築することで,領域全体に広がるセンサノードのデータ配送効率を向上させる提案を行った.ここで,BS-Pipeでは,利用可能な配送ノードの数と領域の広さ等のパラメータを元に最適なpipelineの長さ,また数を決定するアルゴリズムを提案した.また,平成21年度は,RT-Pipe,BS-Pipeに平成20年度に提案したセッション管理における経路統合アルゴリズムを加えた統合シミュレーションを行い,評価と議論を行った.さらに平成21年度は,SunSpotを基盤としたプロトタイプロボット7台の作成により、実験環境の構築と簡易実験を行った.
著者
藤森 勝也 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.420-425, 1997
被引用文献数
8

postinfectious chronic cough, すなわちかぜ症候群後慢性咳漱の報告は, 欧米では散見されるが, 本邦では少ない。本症の診断基準 (アレルギー44, 1418, 1995) に合致する22例の病態と治療成績を検討した。全例非喫煙者で, ACE阻害薬を内服せず, アトピー歴がない症例とした。検討対象は, 男4例, 女18例, 年齢中央値は65歳であった。胸部単純X線写真, 呼吸機能検査, 末梢血好酸球数, 血清IgE値, 肺炎マイコプラズマ抗体価, 10例で得られた喀痰検査, 2例で実施した気管支粘膜生検像のいずれにも異常所見を認めなかった。20例で咳日記を用いて, 咳漱の治療経過を評価した。臭化水素酸デキストロメトルファン (D) とオキサトミド (O) による治療で10例が軽快した。1例は脱落例で, 残り9例中, 3例は麦門冬湯 (B) 単独で, 4例はD+O+Bで, 2例はD+O+B+塩酸オザグレルで軽快した。本症は日常診療において重要であり, 標準治療の確立が必要であろう。
著者
鈴木 靖民 佐藤 長門 酒寄 雅志 石見 清裕 田中 史生 酒寄 雅志 石見 清裕 佐藤 長門 田中 史生 馬 一虹 王 海燕 葛 継勇
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

『入唐求法巡礼行記』を中心として古代の東アジア世界における交流・交通の諸相を研究することを目的として、第一に『入唐求法巡礼行記』自体の詳細かつ丹念な検討を進め、諸本の校訂を経て、データベースを作成した。また、『入唐求法巡礼行記』の記載と円仁の行程を追跡し、具体的な交通路を復原することを目的に現地調査を行った。それらの成果は研究会やシンポジウムで広く社会に公開し、その一端を『円仁とその時代』として一書にまとめた
著者
鈴木 康夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在、アジア、中近東、ヨーロッパ、アフリカにまで拡大と世界12力国においてヒトへ伝播した高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播機構の解明を目的とし、2年間で下記の結果を得た。1)中国およびベトナムでヒトから分離された高病原性トリインフルエンザウイルスは、ヒトの上気道に主に存在するウイルス受容体(シアル酸2-6ガラクトースを含む糖鎖)にも結合できる変異を遂げていることを初めて明らかにした。また、ベトナムの分離株はヒトーヒト感染が可能である臨床的成績を得た。2)抗インフルエンザ薬(タミフル:インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害薬)を予防的に服用した患者から分離されたウイルスにはタミフル抵抗性株が含まれることを見いだした。3)ヒトインフルエンザウイルスの機能的レセプターであるシアリル2-6ガラクトースを生成する酵素、ヒトシアル酸転移酵素(ST6Gal)の大量発現系の構築に成功し、これを高発現させた細胞にはヒトウイルスがより効率良く感染増殖することを見いだした。4)高病原性トリインフルエンザウイルスがヒト世界でパンデミックを起こすウイルスに変異するための分子変異シグナルを同定した。すなわち、様々な分離高病原性トリインフルエンザウイルス、その変異ウイルスを用いて、高病原性トリインフルエンザウイルスヘマグルチニン分子内のわずか1〜2ヶ所のアミノ酸置換がヒト気道上に存在するシアロ糖鎖受容体認識に関わることを発見し、そのアミノ酸(182,192,139番目など)を同定した。これらの成果により、パンデミック発生を事前に予知出来ることが初めて可能となった。5)ヒト気道上皮培養細胞にはヒト間で流行しているインフルエンザウイルス(IFV)のシアロ糖鎖受容体(sialy1α2-6Ga1-)の他に、高病原性鳥IFVの受容体(sialylα2-3Ga1-)も存在することを見いだした。6)高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視する新しい技術を開発した。本方法は、高価な機器を用いないので、東南アジア諸国でも、現在流行している高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視できるものであり、今後の有効利用が期待される。
著者
松山 久義 大野 弘 鈴木 和彦 柘植 義文 山下 善之 橋本 芳宏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

次のような成果を得た。各項目の番号は,研究報告書の章の番号に対応する。(1)2種類のCUSUM法(Crosier法とHealy法)が多数の外乱に晒されているプロセスの状態監視に有効であることを確かめることができた。(2)故障が致命的な事故を引き起こす恐れがある設備の管理において,次回の保全時期と作業内容を合理的に決定する組合せ論的アルゴリズムを開発した。(3)クラスタリング,ICA技術を利用して,汚れ,腐食の進展を検出するための新たな手法を開発し,故障した設備を取り除く作業手順の合成法を示した。(4)回分式プロセスの安全設計を支援するためのリスク評価システムを開発した。このシステムは,事象の深刻度と発生頻度から定量的にリスクを評価するだけでなく,回分式プロセスにおいて発生する可能性のあるあらゆる事故のシナリオを明確に与えることができる。(5)複合した原因によって発生した異常状態において原因を探索するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは,化学プロセスの状態変数間の因果関係の遅れをデータとして利用することにより高い精度で異常の原因を診断することが可能である。このアルゴリズムの有効性を流動接触分解装置の動的シミュレータを用いて確かめた。(6)異常になったプロセスを正常復帰させる対応措置の自動剛性を行うアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは異常診断システムと連携し,原因の候補集合に共通の対応措置が見いだされた場合には,それ以上候補を絞り込むことを中止する。また,異常診断のために高次統計量を利用する方法をも開発した。(7)統合的設備管理支援システムを構成する,ストレス排除,予防保全,冗長化,運転支援システムなどの合理的な役割分担を決定する方法を開発した。
著者
松村 武 稲見 俊哉 道村 真司 松岡 英一 椎名 亮輔 谷田 博司 世良 正文 伊賀 文俊 鈴木 博之 大坪 亨
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

強相関電子系物質におけるスピン・軌道の複合自由度が低温で示す様々な新奇秩序現象を研究する上で極めて強力な実験手法である共鳴X線回折実験を,最低温度0. 6 K,磁場8Tの環境で行うことができるシステムをSpring-8の日本原子力機構ビームラインBL22XUに構築した.典型3物質Ce0. 7La0. 3B6, PrPd3S4, DyPd3S4について実験を行い,いずれもf電子の多極子自由度が密接に関与した秩序を形成していることを観測した.
著者
鈴木 実佳
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

出版界が進取の気性に富み、印刷物の普及や知識・情報の伝達の迅速化と広範化の進展がみられた18世紀英国に注目し、書物を刊行した作家ばかりでなく、書簡や日記などの記録を残した人々について、「書く」あるいは「読む」ということが果たした役割を考察した。そこにみられるのは個人的感情・感性・感受性・観察・考察と、それを他者と共有しようとする方策であり、個別性や内密性の重視と、情報の伝達による他者との共同体的一体感希求が並行する。
著者
鈴木 とく
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.13-17, 1952-09
著者
鈴木 貢 藤波 順久
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1_65-1_81, 2008 (Released:2008-03-31)

最近公表されるマイクロプロセッサの殆どが具備するようになったメディア処理向けSIMD拡張命令セットは,ベクタ命令セットの特別な場合と考えられるが,従来のベクタ命令にはない特徴や制約があり,そのための最適化技術をそのまま流用するだけでは潜在能力を引き出すことができない.COINSプロジェクトではSIMD拡張命令セット向け最適化を,ベクタ化を軸としたソースコードレベルで可能な最適化と,そのような変換を施されたプログラムに対して適切なSIMD命令を生成する最適化の2段階に分割し,我々が「SIMD並列化」と呼ぶ後者を中心に研究を行った.本稿では,COINSにおけるSIMD並列化について報告する.
著者
立石 博高 相馬 保夫 佐々木 孝弘 金井 光太郎 鈴木 茂 鈴木 義一 新井 政美 藤田 進
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、文明の「辺境」と「マイノリティ」の生成を、近代ヨーロッパにおける市民社会の形成のメカニズムと関連させながら歴史的に解明することにある。平成17年度は、文献資料・文書館資料の収集(アメリカ合衆国、中東地域)、国際ワークショップ(イタリアの研究者)、および国際シンポジウム(アテネ、ポーランド、エストニア、デンマークの研究者)を共に東京外国語大学において開催し海外の研究者との研究協力関係の構築に努めた。平成18年度は、前年の研究成果にたち各種の研究会、国際シンポジウム(チェコ、ウクライナ、ポーランドの研究者)を東京外国語大学で開催し、また、およびチェコ・プラハで国際ワークショップを開催し、現地の研究者とともに、本科研研究代表者・分担者が報告等を行う同時に同地での文献資料・調査研究を精力的に行った。平成19年度は、本科研最後の年にあたるため、それまでの研究成果をまとめ、さらにそれを発展させるために、東京外国語大学海外事情研究所において市民社会論に関する研究会を開催し、国内から二名研究者を招請、ヨーロッパ市民社会とその周縁に存在する諸社会との比較・再検討が今日的視点から行なわれた。またスペイン・バルセローナとポンペウにおいて国際ワークショップを開き、「近現代ヨーロッパとアメリカ・ロシアの『市民権』」「ヨーロッパの国民形成と『市民社会』」等のテーマに関して本科研のメンバー及び同地の研究者が報告、議論するとともに、資料収集と現地調査を行った。また11月から2月にかけ本科研の成果である『国民国家と市民』(山川出版社、2008年11月出版予定)の準備研究会を東京外国語大学海外事情研究所で行った。これらの研究報告会、ワークショップ、シンポジウムなどは、本課題を解明し、検討・発展させるための有意義な場となり、その成果は、各年度の海外事情研究所『クァドランテ』(No.8〜10)成果報告書ならびに上記の論集で示されるであろう。
著者
小林 淳子 森鍵 祐子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 細谷 たき子 赤間 明子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

出産後の母親の喫煙予防に資する基礎資料を得るために,母子手帳交付に来所した妊婦をコホートとして母子手帳受領時,妊娠末期,出産後の3回縦断的に調査した。その結果母子手帳受領時,出産後ともに喫煙には出産経験有,身近な喫煙者有が関連し,母子手帳受領時にはさらに若年齢が関連した。妊娠を契機に禁煙した妊婦は79.2%,その内出産後の再喫煙率は15.8%であった。妊娠が判明しても喫煙を継続した妊婦5名中4名(80.0%)が出産後は禁煙した。また,妊娠初期の禁煙支援として「意識の高揚」,「自己の再評価」を活用する妥当性が示唆された。
著者
鈴木 泰
出版者
明治書院
雑誌
日本語学 (ISSN:02880822)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.212-214, 2000-04
著者
鈴木 宏昭 薬師神 玲子
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

人は意識的に把握できる情報以外の情報を積極的に活用して認知活動を行っている。しかしながらこの知見は主に知覚レベルの実験から得られたものであり、問題解決における潜在的情報の利用についての知見は少ない。本研究では、問題解決などの高次認知における無意識的な情報の利用についての検討を行った。2006年度は問題解決中にサブリミナル画像を提示し、それによる行為の変化を分析したが、実験群、統制群の間に有意な差が見られなかった。そこで2007年度はサブリミナル画像を視野のどの部分提示するかをコントロールした実験を行った。中心視野に収まる範囲、それを越える範囲、の2条件でサブリミナル画像を提示した。しかしながら双方の群ともに問題解決の促進は見られなかった。またサブリミナル画像の提示が被験者の意識しない眼球運動に現れる可能性を検討するため研究を行った。しかしながら実験群、統制群間に有意な差を検出することはできなかった。洞察問題とは異なる認知活動における潜在的な情報の利用を検討するために、ジェスチャーを用いた問題解決の分析も行った。その結果、問題解決者は問題解決の初期と後期に半ば無意識的にジェスチャーのタイプを変化させ、有用な情報を生み出していることがわかった。さらにスキル学習に無意識的な行為の変化を分析した。その結果、半ば自動的に生じる行為の熟達において、環境のセッティングの変化が重要な役割を果たすことが明らかにされた。
著者
井上 洋一 加島 勝 小林 牧 鈴木 みどり 白井 克也 神辺 知加 鷲塚 麻季 藤田 千織 鬼頭 智美 遠藤 楽子 田沢 裕賀 高梨 真行
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

アンケート調査に基づき抽出した国内外の主な博物館・美術館等における教育・普及事業の現地調査を通し、博物館教育・普及事業の現状と課題を明確化させた。また、国内外の博物館関係者らとの連携により、国の違いによる伝統と文化の多様性の意義を確認するとともに、そこから日本の伝統文化に関する先駆的教育・普及理論のあるべき姿を提示した。さらに、新たな古美術鑑賞法や実践的な博物館教育・普及プログラムを制作・実施した。