著者
朝日 吉太郎 鈴木 啓之 上瀧 真生 金谷 義弘 西原 誠司 丹下 晴喜 八木 正
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,今日のグローバル化が日本とドイツの経済の変容をどのように促進しているかを様々な分野から比較研究することを目的とし,日独それぞれ2回づつの調査旅行,研究交流を行った。初年度は,日独それぞれの経済システムの基本的特徴と,その今日的制限,新たな対応戦略とその影響の基本的把握を目的に,2年目は,その成果にたって,より専門的,典型的な部門への調査をおこなった。以上の研究から,(1)経済のグローバル化に関する日本とドイツにおける共通性と民族的特殊性を.特に欧州通貨統合とドイツ金融・財政当局の主権の制限との関係を調査したこと,(2)ドイツの財界のグローバル化戦略が,従来型の実体経済の強化から金融的利得を求めるマネーゲーム的な蓄積方式へと進みつつあるが,同時にそれに対する社会システムがまだ十分対応できていないこと,(3)ドイツの経済界がこのグローバル化の中で目指す次代の経済構造として,ドイツ産業連盟の「オランダ型シナリオ」を提唱している理由を解明し,欧州大での労使関係の変容をとらえてきたこと。また,(4)ザクセン州の詳細な調査の中で,旧東ドイツ地域が国際的資本融資や新規技術利用,東中欧を含むあらたな産業地域として国際的インフラ整備の対象とされ,さらに従来の西ドイツとは異なる新たな労使関係形成の実験場として位置付けられ,ドイツ全体の将来戦略の柱として位置づけられていることを解明し,東西ドイツの統一や経済発展について独自の視点をもったこと。(5)日本のJITシステムにかわるJISシステムによる効率化が進められる中で,ドイツの産業資本の企業間ネットワークが変化しつつあること等を明らかにしてきた。一方,日本のグローバル化の進展については,(1)日本の従来的な産業政策とその変容について,一国的レベルを超えた分析方法を提起し,(2)従来の日本のプロフィット形成システムの実態とその制限について,産業構造,企業間関係,技術的特徴,労使関係等の側面から調査・分析し,生産主義的に日本の企業社会を評価しがちなドイツでの,研究に対して論点を提起してきた。この成果は,ドイツ・日本での独日グループの3回にわたる講演会を通じ社会還元されており,また,今後平成14年と平成15年に予定している両国での出版によって公表される。以上の研究はかなり徹底した調査を行いつつも,一定の限界を持つ。第一に,調査研究の対象が今のところドイツ・日本に限定されているという点にある。上掲のオランダ型シナリオの様に,欧州にはアメリカ型とは異なる独自のグローバル化に対する戦略があある。さらに,グローバル化の中で,ドイツ経済界は,中東欧の将来の発展可能性を持つ地域に隣接する地歩の優位性を利用しようとしてる。この点での認識はこの研究を通じて始まったばかりであり,今後の調査・研究が不可欠である。こうした地域を視野に入れて,広域の地域市場圏と企業間関系の形成をハイテク産業分野等を事例に把握しようとするのが,次の国際共同研究の課題である。
著者
鈴木 盛久 刑部 哲也
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.21, pp.37-49, 1982-04

飛騨変成帯西部地域の岐阜県吉城郡月ケ瀬地域から含亜鉛スピネルを産する変成岩を見出し,それを記載した。本岩は,カリ長石+珪線石の組合わせで特徴づけられる泥質片麻岩中に10×15m程度のレンズ状岩体として出現する。本岩の鉱物組合わせは,ざくろ石・黒雲母・珪線石・カリ長石・石英・スピネル・石墨・チタン鉄鉱であり(タイプA),それらに斜長石が加わることもある(タイプB)。スピネルは,タイプAの岩石中のものではHe_<39.7-41.O> Ga_<52.3-540> Sp_<6.3-6.7>,タイプB中のものではHe_<60.0-61.7> Ga_<26.6-28.9> Sp_<10.8-11.7>の組成範囲を示す。全岩化学組成,鉱物組合わせ,構成鉱物の化学組成等の検討から,含亜鉛スピネルを産する岩石は,泥質岩或いはそれに関連した原岩から角閃岩相以上の変成条件下で生成されたものと結論づけられた。
著者
平井 正志 久保 中央 寺林 敏 松元 哲 鈴木 徹
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

アブラナ科野菜の根こぶ病は病原菌(Plasmodiophora brassicae)が長年土壌中に生存し、野菜産地が壊滅的な打撃を受けるほど重要な問題である。抵抗性ハクサイ品種はいくつか発表され、利用されているが、近年これら抵抗性品種の罹病化が問題になっており、新たな抵抗性品種育成のために、抵抗性の遺伝解析が望まれている。本研究ではBrassica rapaにおける、根こぶ病抵抗性遺伝子座の比較解析を行った。ヨーロッパ原産カブSilogaに由来する抵抗性遺伝子座Crr1及びCrr2を同定した。またMilan Whiteに由来する抵抗性遺伝子座Crr3を同定し、これらが互いに独立した座であることを明らかにした。さらにGelria Rに由来する抵抗性遺伝子座を解析した。その結果、最近韓国のグループより発表された抵抗性遺伝子座、CRbとほぼ同一の座であることが明らかになった。以上より少なくとも4座の根こぶ病抵抗性遺伝子座がB.rapaにあることが明らかになった。またマイクロサテライトマーカーに基づいたBrassica rapaの詳細な連鎖地図を作製し、シロイヌナズナゲノムとのシンテニーを明らかにした。それによるとCrr1,Crr2およびCRb座の近傍はシロイヌナズナ第4染色体長腕部と相同性のある部分であり、これらの3つの抵抗性遺伝子座が祖先ゲノムの同一部分に由来するものであることが明らかになった。しかし、Crr3座近傍はシロイヌナズナ第3染色体と相同性があり、他の抵抗性遺伝子座と由来を異にすることが明らかになった。Crr3座近傍を詳しくマッピングするためにシロイヌナズナのゲノム情報をもとにBrassica rapaで利用できるDNAマーカーを多数作成した。これらのマーカーを用いてF2集団(n=800)からCrr3近傍で組み換えを起こしている約80個体を選抜し、マーカーのみによるマッピングを行った。またCrr1付近についても詳細なマッピングを行った
著者
工藤 信樹 鈴木 亮 山本 克之 岡田 健吾 坂口 克至 八木 智史 渡辺 典子 千田 裕樹 奥山 学 松井 智子 吉松 幸里
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究の最終的な目的は,パルス超音波と微小気泡を用いることにより,効率が良く生体に対する安全性が高いin vivoソノポレーション手法を開発することにある.今回の研究では,手法の効率向上を主な目的として,ソノポレーションに伴う細胞変化をタイムラプス観察する光学顕微鏡システムを開発した.また,気泡位置を制御できる光ピンセット装置も開発し,細胞膜損傷の程度や発生部位の制御を実現した.開発した装置を用いて,数10分間の比較的早い時間内に起きる細胞の損傷と修復を観察し,その発生機序について検討した.また,気泡に取り込まれた薬剤の効果発現をとらえるために観察チャンバを改良し,最大20時間程度にわたって細胞に生じる変化を連続観察する手法を確立した.さらに,特定の細胞にのみ付着するターゲティング気泡とシェルに薬剤を付着した気泡を作製し,提案するソノポレーションにおけるこれらの気泡の有用性を確認した.
著者
迫田 和之 國弘 卓志 藤田 千裕 石見 英輝 鈴木 三博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.435, pp.75-80, 1998-11-27
被引用文献数
9

PDCシステムをベースとしたFrequency Hopping(FD)システムについて検討した。PDCシステム(ハーフレート)のTDMAフレーム長は40[ms]で6TDMAを構成しているが、充分なインターリーブを行っておらず, また強力な符号化がなされていない。そこで, 短いTDMAフレームを定義し, FHを伴うスロット間インターリーブを行うSFHシステムを検討した。なお, 検討したシステムにおいては結合力の強い強力な符号化と精度の高いパワーコントロールを採用する。変更したパラメータを用いてリンクレベルおよびシステムレベルのシミュレーションを行った。実用のためには解決しなくてはならない問題が存在するものの, 原理的にはSFHシステムが従来に比べて大きなシステム容量を実現できる可能性があることが確認できた。
著者
新野 宏 伊賀 啓太 中村 晃三 鈴木 修 石部 勝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

水平格子間隔70m、鉛直方向45層、領域サイズ66.4km×66.4km×15.1kmの非静水圧準圧縮系のメソ数値モデルを用いて、1977年にアメリカ・オクラホマ州のデル・シティで発生した竜巻の環境場の高層観測デーダを水平一様に与えたところ、スーパーセル型積乱雲とこれに伴う竜巻の現実的な再現に成功した。積乱雲が発生して50分が経つと、水平風の鉛直シアと積乱雲の上昇気流との相互作用で高度2km付近に気圧の低下が生じ、この層の下で上昇流が強化される。これに伴って、60分頃になると高度1.2km付近で、水平渦度の立ち上げとその引き伸ばしにより下層のメソサイクロンが形成され、この回転場により1.2km付近での気圧降下が起こって、更に下層の上昇流を加速し、高度1kmでは40m/を越える上昇流が形成される。一方、地表面付近にはストームの降水域から流れ出す冷気流と周辺から吹き込む暖湿な気流のぶつかるガスト・フロントが形成されているが、ガスト・フロント上の水平シアに伴う鉛直渦度が丁度この強い下層の上昇流の下に来て引き伸ばされることによって竜巻が発生することが明らかとなった。このことは、スーパーセルに伴う竜巻が、定性的にはlandspoutと呼ばれる局地前線に伴う竜巻に似た機構で発生することを示している。本研究では、この他、日本付近の積乱雲を含むメソスケール対流の環境場を記述する環境パラメータの気候学的調査、竜巻ないしはダウンバーストと思われる突風被害をもたらした亜熱帯低気圧の構造とライフサイクルの解析、激しい積乱雲を生ずることの多い梅雨期のメソαスケール低気圧の力学の解析も行なった。
著者
塩澤 真人 戸塚 洋二 鈴木 厚人 中村 健蔵 伊藤 好孝 久嶋 浩之 西川 公一郎 塩澤 真人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、100万トン実験装置のための、安価で高性能な光センサーを開発するものである。13インチのハイブリッド光センサーの試作をし、動作試験から、改良研究を行った。いくつかの問題点が見つかったが、それに対する解決方法を明らかにした。1.高電圧(25キロボルト)印加できず放電してしまう。-->光電面を製造中にセラミック絶縁体を加熱し、耐電圧を向上させる。2.ダイオードの短時間での劣化がおきる。-->新たに5mmφの光ダイオードを開発した。寿命は改善したようである。3.有効面積が小さい(240mm)-->ダイオードの位置と光電面の曲率を最適化することにより、300mmまで改善できることがわかった。4.HPDの構造全体の最適化-->部品の効率化、フランジの強度改善、光電面の曲率の最適化案を作成した。以上の開発により、致命的な技術的困難はなく、大型ハイブリッド光センサーの優れた基本特性と製作可能性が確かめられたと考える。今後の課題としては、生産性の向上のための光センサーと電子回路の最適なデザイン検討と開発がある。また、コスト低減のために、さらなる大型化の可能性の追求も必要である。
著者
鈴木 厚人 井上 邦雄 末包 文彦 白井 淳平 古賀 真之 斎官 清四郎 山口 晃 阿部 浩也 吉村 太彦 橋本 治
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1997

研究代表者が率いるカムランド実験は,中核的研究拠点形成プログラムの支援(平成9年度〜平成15年度)を得て,平成13年度に1000トン液体シンチレータニュートリノ/反ニュートリノ観測装置を神岡鉱山の地下に完成させた。そして,平成14年1月よりデータ収集を開始し,現在継続中である。この間,平成14年12月に,原子力発電所の原子炉から生成される反電子ニュートリノ(原子炉起源)の消失現象を世界で初めて検出した。この現象は,ニュートリノが質量を持つことに起因するニュートリノ振動を強く示唆し,その証拠は次の論文(平成16年7月予定)で公表する予定である。また,原子炉反電子ニュートリノ消失現象の発見に関する論文(Phys.Rev.Lett.90,021802,2003)は,現在までに被引用数537となっており、Thomson ISI Web of Scienceデータに基づくScience Watch誌の最新号(March/April,2004)では本論文は月間被引用数で物理学分野の世界第1位、医学、化学、生命科学・物理学を合わせた総合順位でも世界第2位となっている。本研究では,反電子ニュートリノスペクトルにおけるウラン及びトリウム・ピークの同定による地球反ニュートリノ検出の挑戦も行なわれた。これまでの実験で検出器の充分な性能が示され、世界初の検出が期待されている。実現すれば地球内部のウランやトリウムの存在量、ウラン/トリウム比の測定など地球内部のエネルギー生成機構や地球進化史の解明に不可欠の情報が期待される。また検出器を更に高感度化し^7Be太陽ニュートリノの未曾有の高感度測定を目指した研究が進行中である。
著者
鈴木 一成 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎 小池 義和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.81, pp.7-10, 2009-06-04

半導体枚葉洗浄において,石英導波路管を伝搬体とした新しい超音波洗浄機用振動子を提案する.中実棒を伝搬体とした場合,超音波は縦振動で伝搬し,定在波による振動分布が生じる.一方で導波路管壁での超音波は横(屈曲)振動で伝搬し,進行波成分が増す.また,導波路管壁は伝搬液を経由した音源振動により間接的に駆動する,導波路管壁面振動には伝搬液内で生成された高調波成分が観測される.枚葉スピン洗浄機に導波路管型振動子を搭載し,CMP後洗浄での微粒子除去率(PRE:Particle removal efficiency)との関連を評価した.
著者
鈴木 一成 小池 義和 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.17, pp.23-28, 2009-04-17
被引用文献数
1

半導体ウェーハの枚葉洗浄処理にスピン洗浄機が使用されており,1MHz程度の流水式高周波超音波振動子は微粒子除去に有効である.流水中の超音波は伝搬距離が短いが,内径4mm程度の石英ガラス製導波路管を適用することで伝搬距離が延長される.本稿ではCMP後洗浄での微粒子除去率(PRE)および導波路管内の音波伝搬について評価を行う.導波路管内の音波伝搬は壁面吸収による減衰が支配的となる.音源入力5Wでの壁面吸収係数は計算値と一致するが,30Wでは異なる.このとき音源近傍の音圧は578kPa(235.2dB)に達し,導波路管出口での受波音圧レベルは非線形吸収に伴う飽和現象を示す.高調波成分の観測や衝撃波形成距離についても検討する.
著者
鈴木 参朗助 佐賀 正道 成田 正弥 安藤 靖恭 真島 行彦
出版者
慶応義塾大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

難治性網脈絡膜炎、特にヘルペスウイルス性ぶどう膜炎におけるPCR法の診断的意義および病態との関連性を解明するために、以下の研究を行った。家兎を用いて実験的単純ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎を発生させ、その網脈絡膜炎の病態、病期とPCR法の検出感度およびウイルス抗体価の変動を検討した。抗体価の上昇は硝子体内へのウイルス接種後7日より上昇し始め、21〜28日にピークを示した後、低下した。PCR法による前房水中のウイルスDNAの検索では、接種後3〜7日に検出され、その陽性率は30%であった。ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎の臨床症例の検討では、前房水におけるPCR法によるウイルスDNAの検出は、硝子体に比べ、検出率が低かった。しかし、2週間の抗ヘルペス剤投与後にも眼内液から検出することが可能であった。免疫抑制患者においては、眼内液のウイルス抗体価よりもPCR法によるウイルスDNAの検出が有用であった。免疫抑制患者における水痘・帯状ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎の検討から、免疫能の低下が網脈絡膜炎の病態に関与していることが示唆された。ヘルペスウイルス性網脈絡膜炎の診断における眼内液のPCR法によるウイルスDNAの検出率は、必ずしも高率ではなかった。生体の免疫能を考慮し、眼内液のウイルス抗体価と併せて評価すべきと考えられる。免疫抑制患者では、健常者と比べ免疫能の低下していることから、眼内液のウイルス抗体価は低く、PCR法によるウイルスDNAの検出率が高くなると考えられた。ウイルス性網脈絡膜炎患者においては、その免疫能を考慮し、ウイルス学的検索結果と臨床所見を詳細に検討する必要がある。
著者
鈴木 亜夕帆 杉崎 幸子 寺嶋 敦子 郡山 真由美 土橋 昇 渡邊 智子
出版者
千葉県立衛生短期大学
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.15-18, 2000

The study was undertaken to determine the effects of ginger on the boiled mackerel used dark yellow type miso. Boiled mackerels were added ginger each of 0 %, 3 %, 5 %, 10% and 20% of mackerel weight. The evaluation on appearance of meat, appearance of the whole, color, aroma, flavor, taste of first, taste of after and overall acceptance were best in 5 % ginger group. Salt content volume decreased along with the addition ginger content.
著者
横山 幸満 石井 紘 鈴木 将之 上野 勝利
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.大谷石の間隙は全体の40%で、間隙中の水と気体の挙動が強度に影響を及ぼす。岩というより超過圧密土としての性質が卓越する。2.地下水面下にある大谷石を地上で自然状態に放置すると、急速に脱水が進行する。これを吸収させても飽和度は80%にしか戻らない。3.完全飽和及び完全乾燥状態の大谷石の一軸圧縮強度は共に100kgf/cm^2程度で大きいが、上記の乾燥履歴を受けたものは強度が50%以下になる。4.大谷石は多孔質材料であるコンクリートと同様にクリープ挙動をする。50年以上安定している残柱の応力状態を考えると、応力比70%がクリープ破壊のめやすとなる。5.深い陥没は、残柱の逐次クリープ破壊に起因するもので、広い範囲の支持体を失った天盤が曲げ破壊することによって生じるものである。6.浅い陥没は、残柱破壊を必ずしも伴わず、地下水位上で風化を受け易い天盤の曲げ破壊によるものである。7.天盤のドーム状崩落やせん断破壊は曲げ破壊より起こりにくい。8.陥没・落盤等の事故の時系列解析の結果、これらのイベントは地球潮汐応力の球テンソル成分が圧縮の時に起こり易いことが分かった。限界状態にある天盤に対して、地球潮汐応力がトリガー効果を与えたものと考えられる。9.陥没前の地盤振動を解析した結果、約15日の卓越周期を得た。これも地球潮汐応力の影響を示している。10.実際の空洞直上のボーリング孔に高感度ひずみ計を埋設して計測を続けているが、地球潮汐力によるひずみを明確に捉えている。付近の地震計の動きとの相関を追っている状況である。
著者
小杉 康 佐々木 亨 橋本 雄一 鈴木 正章 瀧川 渉 山崎 京美 富岡 直人
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「噴火湾北岸縄文エコ・ミュージアム」の基本計画を作成し、小幌洞窟遺跡、有珠6遺跡の発掘調査による学術成果に基づいて、それぞれの遺跡をサテライトとして整備して、コア・ミュージアムを開設した。
著者
鈴木 英一
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

最終年度の本年度には,過去二年間の研究を踏まえ,インターネット上の英語データから作製する言語データベースを英語研究・英語教育に利用し易いフォーマットに変更する方法を検討し,インターネットから良質の英語のウェブページを収集し,それから英語のデータベースを作成するための方法を検討した.このような方法をできる限り容易に実現できるように次のような検討を行った.(1)どのようなフォーマットをもつ言語データベースが一般的に最も柔軟で多目的であるかの検討(2)これまでの言語データベースを使用した経験に基づいた,言語研究・言語教育に最適なフォーマットの検討(3)データベースのフォーマットを使用者の希望に応じて再構成できるプログラムの検討(4)英語データの検索→英語文の抽出→英語データベースの作製→データベースのフォーマットの変更という手続きを簡単に行う方法の検討英語研究と英語教育に最も適切なデータベースの形式は,一つの文が一行になっている,すなわち,一つの英文が改行によって複数の行に分けられていないフォーマットであることが確認された.このような形でインターネットのウェブページを最も容易に利用できる方法は,MicrosoftやGoogleやYahooが提供する,いわゆるDesktop Searchと呼ばれるものである.これは,使用者のハードディスクの内容とインターネットのウェブページをシームレスに検索してくれるものである.また,データベースを作成するためにはhtmlファイルを効果的にテキストファイルに変換する必要があるが,最近,「html→テキスト変換」のソフトウェアがフリーウェアを含めて,かなりのものが出回っているので,どれがより使いやすいかを詳細に検討した.Desktop searchや「html→テキスト変換」によって得られたデータは,出典をタグとして付加し,さらに,行数も付け加えることによって,使い易くなることが明らかになった.今後は,3年間の研究を踏まえて,データベースの作成のためのプログラムの紹介や利用方法,作成された英語データベースのサンプル,英語データベースを利用した英語研究や英語教育への応用にいてまとめて,公刊したいと考えている.
著者
荒木 誠一 鈴木 護 藤本 昌俊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1055-1056, 1992-10-15
被引用文献数
9

鶏卵白由来の卵白粗製物(AEWP)に経口投与で生体防御能を増強する作用を見出した. マウスにAEWP500mg/kg〜2g/kgを大腸菌感染1日前に予防的に投与することにより, 用量依存的な感染防御効果が認められた. また, AEWP12mg/kg〜1.5g/kgを黄色ブドウ球菌感染直後から14日間毎日治療的に連投することにより, 用量依存的な延命効果および生存率の上昇が認められた. 食品由来のAEWPは, 経口投与によって感染抵抗性を増強した.