著者
鈴木 利治 楊 治 胡 乃武 周 才裕 かく 燕書 児玉 光弘 上山 邦雄 三浦 東 HAU Yanshu 二瓶 敏
出版者
名古屋経済大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

1 調査研究の目的と方法1970年後半以降中国では、社会主義市場経済の構築という方向での経済運営が劇的に展開されてきている。それは、現実的には、企業改革と開放政策という、2つの政策を軸に進められてきた。企業改革については、国有制度を残しつつ、企業経営において、競争原理を積極的に導入し、計画経済的な集中計画/管理の持つ経済阻害要因の排除を試みてきた。そして、計画経済への回帰が不可能なところにまで進展してきている。このような経済運営を進めるに当たり、競争力の基礎を形成する機械設備と技術水準の面で、老朽化・数量不足と水準の低さが足枷となっている。また急激な経済成長を支えるためには、原材料と設備が必要であるが、それを確保するための資本蓄積が無いという状況で、外資導入と技術移転のためにはが開放政策は不可欠であった。しかし、中国経済は、潜在的経済発展の大きな可能性を秘めているにもかかわらず、現実の経済運営において、必ずしも、それを顕在化する能力を発揮しているとはいえない。産業の発展は、経済発展の原動力となるものであるので、産業の自律的発展なしには、経済成長も立ち枯れ状態となる危険がある。中国における産業の現状とその自律的発展の条件を整理し、その課題を乗り越えるための施策を検討することは不可欠といえよう。かかる視点に立ち、基礎的な産業構造の解明を通して、生産力拡大・国際競争力強化の可能性と条件を考察することに本研究の目的がある。本研究は、(1)日中の研究者で共同研究をする、(2)テレビ、自動車、工作機械、鉄鋼、電力の5産業を「鍵の産業」として中心に据える、(3)企業、工場それに施設でのヒヤリングと見学による実態調査を主要な研究手段とするという方法を重視して進めた。2 中国リーディング産業の現状2.1 テレビ組立産業90年代に入り、急激な市場経済化が進み、テレビ産業における企業間競争が激化し、企業の分化・合併・淘汰が進んだ。1996年春からは、「価格競争」が始まり、テレビ産業の再編成と両極化がいっそう進むこととなった。(1)長虹電子集団公司のような内部蓄積型企業拡大、(2)熊猫電子集団公司のような政治救済型吸収合併になる企業拡大(3)牡丹電子集団公司のような地域統合型吸収合併による企業拡大(4)康佳電子集団股分有限公司のような多省籍企業型吸収合併による企業拡大(5)「熊猫」-フィリ
著者
村下 博 西中 誠一郎 洪 貴義 近藤 敦 塩原 良和 近藤 敦 塩原 良和 鈴木 江理子 塩原 良和 近藤 敦
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、日本社会における非正規滞在外国人および在留特別許可申請者の生活状況の実態が社会学的調査によって明らかになり、また在留特別許可制度をはじめとした戦後日本における出入国管理体制の形成過程が歴史学的に再考され、さらに諸外国の移民受入れ制度や非正規滞在者政策との比較研究によって日本の制度や状況の特徴や課題が明確化された。
著者
片岡 和哉 井出 千束 鈴木 義久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

アルギン酸スポンジを用いた脊髄再生の研究を引き続き行った。生後4週令のWistar系の脊髄を2箇所切断し約2mmのギャップを作成し、そこにアルギン酸スポンジを移植し脊髄内軸索の再生を観察した。なにも移植しないもの、コラーゲンスポンジを移植したものをコントロールとし比較した。術後4週、8週のトルイジンブルー染色、免疫染色、電子顕微鏡等により評価した。アルギン酸スポンジを移植したものは、術後4週より、脊髄断端より伸長したアストロサイトの突起を伴って多数の脊髄内軸索の再生が見られ、アルギン酸内をシュワン細胞に取り囲まれ長く伸長していた。一方、なにも移植しないものでは、脊髄断端よりの軸索の伸長はほとんど見られなかった。コラーゲンスポンジを移植したものでは、脊髄断端よりフラーゲン内への軸索の伸長は一部見られたものの数は少なかった。また、コラーゲンtype IV、コンドロイチン硫酸の染色では、なにも移植しなかったものではグリオーシスと思われる厚い壁の様なものができていたが、アルギン酸を移植したものでは見られなかった。電子顕微鏡による観察では、アルギン酸を移植した群では伸長する軸索、アストロサイトの突起、シュワン細胞が接している所見、一本の軸索が近位ではオリゴデンドロサイトによる髄鞘をもち、遠位ではシュワン細胞による髄鞘を持っている所見も得られた。一方なにも移植しない群では脊髄断端に厚いアストロサイトの創が形成され、その表面は基底膜で覆われていた。以上のことより、アルギン酸が脊髄内軸索の再生に良好な環境を提供していることが証明された。この論文は2004年4月刊行の「Tissue Engineering」誌に掲載される予定である。
著者
鈴木 修 渡部 加奈子 野澤 秀樹 権守 邦夫
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

1. LC-TOFMS装置の立ち上げと習熟: 導入したLC-TOFMS装置は、最新鋭のもので、制御システムはかなり進化している。TOFMS装置自体も従来の四重極型やイオントラップ型とは原理的に異なっている。最近になって、ようやく本装置を自由に使いこなせるようになった。2. マジックマッシュルームからのサイロシンとサイロシビンの検出: きのこ毒の中で、低分子かつ強力な有害活性を有す物質である。まずこれらの物質の抽出法を確立し、LC-TOFMSとLC-Qq-TOFMSの両モードで分析比較したところ、両モードにおける検出限界に余り差はなく、いずれも注入量で約20pgであった。現在異性体であるブフォテニンを内部標準とし、実験を継続しているところである。3. 強力きのこ毒アマニチン類のLC-TOFMSによる分析: ドクツルタケやシロタマゴテングタケに含まれるアマニチン類は、特に毒性が強く、数ミリグラムでヒトを死亡させるほどである。従って、この毒素を生物学的化学兵器として使用する事も可能と考えられる。この毒素類は分子量900以上の環状ペプチドで独特の構造を持つ。従って、同じく環状ペプチド構造を持つシクロスポリンAを内部標準物質として用い、まずはα-アマニチンの分析法を構築した。検出限界は注入量で、50pgと高感度であった。4. MALDI質量分析イメージングシステムの立ち上げと法医学的応用: 本科学研究費補助金で導入したABI社製QSTAR XL TOFMS装置にはオプションとして、イメージングシステムを立ち上げる事が可能であるため、そのシステムを立ち上げた。現在慢性覚せい剤やコカイン中毒モデルラットを作製し、慢性中毒症状発現メカニズムを解明すべく、鋭意実験を行っている。
著者
寺井 隆幸 鈴木 晶大 田中 照也 星野 毅 久保 俊晴 志村 憲一郎
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

核融合炉ブランケットでの使用が検討されている各種トリチウム増殖材料候補中でのトリチウム挙動及びブランケット配管におけるトリチウム漏洩防止についての研究を実施し、液体リチウム及び流動下液体リチウム鉛中水素同位体の配管を通しての漏洩速度及び移行メカニズム、さまざまな酸化還元状態の溶融塩候補材料中のトリチウム化学形変化、固体酸化物候補材からの蒸発挙動を明らかにするとともに、トリチウム透過防止コーティング中のトリチウム移行メカニズム解明とコーティング作成手法の最適化を行った。
著者
藤野(隠岐) 知美 鈴木 真由美 山田 静雄
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-50, 2007 (Released:2007-07-19)
参考文献数
44
被引用文献数
3 2

ノコギリヤシ果実抽出液 (SPE) は,ヨーロッパでは前立腺肥大症 (BPH) に対する治療薬として用いられ本邦でも健康食品として汎用されている.SPE の薬理作用には抗アンドロゲン作用などがある.臨床的には,SPE (320 mg/day) の 6 ヶ月投与により BPH やそれに伴う頻尿に有効との報告がある.排尿機能及び下部尿路受容体に対する SPE の作用を調べたところ,酢酸誘発頻尿ラットシストメトリーにおいて,SPE は排尿間隔及び一回排尿量を有意に増加させ,頻尿改善作用を示した.さらに SPE は前立腺 α1 受容体,膀胱ムスカリン性及び 1,4-ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬受容体に対し結合活性を示した.SPE は反復経口投与により,テストステロン誘発肥大前立腺における α1 受容体数の増加を抑制した.また,SPE の反復投与はラットの血液臨床検査値,肝機能及び肝薬物代謝酵素活性に影響しなかった.以上,SPE は下部尿路受容体への直接作用による BPH の機能的閉塞の解除や頻尿の抑制などの薬理作用を示すことが示唆された.
著者
今井 弘道 鈴木 敬夫 安田 信之 岡 克彦 國分 典子 鈴木 賢
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

16年度は、このプロジェクトを中心として、第五回東アジア法哲学シンポジウムを開催した(9月・札幌)。これはすでに何回も報告した通りであるが、日本国内からの参加者を始め、中国、各国、台湾その他を含めて100人を優に超える参加者があった、その中で、2006年には台湾で、第6回大会を行うこと、併せてそれを東アジア法哲学会の発会大会とすることが決議され、準備委員長として、本プロジェクトの代表者である今井が選出された。17年度は、上記第六回東アジア法哲学シンポジウム/東アジア法哲学会の発会大会が、行われた(主催・台湾大学、3月・台北)。中国、韓国、台湾その他を含めて150人を超える参加者があった。そこで、今井が理事長に選出された。これで、このプロジェクトで目標としてきた東アジアの法哲学の共同研究体制は基本的には完成し、大きな可能性が保障されることになった。18年度は、北京大学法学院から朱蘇力・張騏両教授を招待し、シンポジウム《中国における「生ける法」と「司法」を通しての法形成の可能性》を、名古屋大学と北海道大学で共催した。また上海政法学院教授の倪正茂教授を招いて「上海における住民運動と市民的法文化」とシンポジウムを行った。個々の成果については別記する。
著者
鈴木 広光 津田 光弘
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、所謂「古活字版」のうち、特に日本で独自に技術的展開を見た平仮名交り文古活字版の活字規格、組版にはどのような種類のものがあるかを明らかにしようとするものである。古活字版における平仮名活字の使用を網羅的に調査した結果、平仮名活字の規格とその組版には三つの方式があることが確認された。最も一般的な方式は、大きさ(縦寸法)が全角の整数倍で、それをベタ組みするものである。また慶長初年頃刊『徒然草』を調査したところ、10mm×16.6mmの全角を基準にした縦寸法が整数倍の活字のほか、1.5倍の活字があることが判明した。この方式は極めて珍しい。一方、縦寸法が文字や文字列の丈に応じたプロポーショナルな活字で、字間調整を施す組版方式を採用するのは、『無言抄』、『徒然草寿命院抄』、伏見版『東鑑』、烏丸本『徒然草』の四点のみであった。さらに、従来の整版本の記述を基礎とした書誌学の方法では説明することが難しかった異版関係の判断を精密に行なうための分析方法を提唱した。
著者
鈴木 寛
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1.距離正則グラフの結合グラフの研究が進み、特に、よいクラスとして、既存のかなりのものを含む距離半正則グラフの概念を定義した。特に、位数が(s,t)で、s>tのものについては、結合グラフが常に距離半正則グラフになることが示され、それまで複雑な組合せ構造の議論に頼っていた部分が全く簡単に扱えるようになった。2.部分グラフの構成および部分グラフの束を調べることは距離正則グラフの研究でもっとも重要なことと思われるが、平木氏、Weng氏の研究も関連して、geometric girthが5のものについても結合グラフの束が構成できることを示した。この束自体が研究されそこから幾何を構成する事へと発展することが望まれる。3.距離正則グラフの表現論を進展させるためには、Q-多項式型のアソシエーションスキームの研究が欠かせないが、このパラメターが指標の積分解などと関連して非常に難しいことから今まで進展が見られなかった。今回、行列成分の等式を駆使することにより、いくつかの新しいパラメターの関係が示され、それによって長い間未解決であった、非原始的なQ-多項式型アソシエーションスキームの特徴付け、および、二つ以上もQ-多項式構造をもつアソシエーションスキームの特徴付けが得られた。表現論の進展が待たれる。4.上にの述べたように表現論は指標の積などとも関連が深いが、有限群の既約指標の積分解が、Q-多項式型の分解になる場合を考えそのクラスを分類することが出来た。このことは、距離正則グラフ、Q-多項式型アソシエーションスキームの研究が単に組み合わせ構造の中に留まるのではなく、群の表現や、鏡映群、不変式などとも深い関連があることを確認することともなっている。
著者
鈴木 淳生
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

売り手と買い手の両者が権利行使可能な金融派生商品のペイオフを一般化し、定式化および価格評価を行った。さらにいくつかの例として転換社債、仕組債(ダブルバリア型エクイティリンク債、パワー・リバース・デュアルカレンシー債)などを取り上げ、売り手および買い手が権利行使をすべき閾値(最適行使境界)の解析的な性質を導いた。
著者
鈴木 美季子 柴沼 真友美 香取 輝美 清水 通隆 木村 修一
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-16, 2010 (Released:2010-04-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

本研究はヤマブシタケおよびマイタケを飼料に添加しマウスに経口投与させることにより,EL4 腫瘍細胞の増殖を抑制するか否かを検討したものである.その結果,ヤマブシタケ単独添加およびマイタケ単独添加でも EL4 腫瘍細胞増殖抑制の傾向がみられた.また.フローサイトメトリーによって免疫担当細胞について検討したところ,マイタケの単独添加では,腫瘍細胞移植による脾臓でのキラー T 細胞・NK 細胞の減少を抑制した.ヤマブシタケ添加では腫瘍抑制の効果が得られたものの,マイタケ添加とは異なる免疫能の応答を示した.マイタケ 80%ヤマブシ 20%を混合し,飼料に 1%添加した群ではマイタケ,ヤマブシタケ単独よりも強い腫瘍細胞増殖抑制効果を示した.また,脾臓での NK 細胞・キラー T 細胞の減少抑制効果がマイタケ単独添加と同様に認められた.
著者
諸葛 宗男 城山 英明 交告 尚史 寿楽 浩太 鈴木 達治郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

巨大化技術の安全システムは現代社会が抱える大きな課題である。本研究では巨大化技術の代表例として原子力を取り上げ、その安全法システムの問題点を摘出しその解決方策を検討した。本研究の半ばの2011年3月11日に東京電力福島第一発電所事故が発生したため、事故で露呈した原子力法システムの問題点の検討を追加した。解決策の検討ではしたがって、事故前の研究で抽出した問題点と併せ、包括的に解決する解決方策を検討した。
著者
鈴木 裕志 蟹本 雄右 岡田 謙一郎 石井 靖
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.269-277, 1995-04

精巣の血流遮断と解除,放射線照射,およびホルモン投与の3つの条件下で31P MRSを測定した。1)血流遮断後,ATPはすみやかに減少し60分以内に完全に消失した。2) 3時間までの血流遮断では遮断解除後にATPの回復が認められたが,4時間以上の遮断では解除後もATPの回復は認められなかった。3)放射線照射2週間後ではPME/β-ATP比およびPME/PDE比の減少が認められ,PMEの減少は造精機能障害の指標として有用と考えられた。4)ホルモン投与によるgonadotropin抑制モデルでは,PME/PDE比の減少とPDE/β-ATPの増加を認め,PDEの増加も造精機能障害の第二の指標となりうるTo evaluate the efficacy of 31P magnetic resonance spectroscopy (31P MRS) as a diagnostic method for abnormal testicular function, we examined three conditions using rat testes, ischemia, irradiation, and hormone manipulation. 1) Ischemia: Immediately after clamping of the feeding vessels, ATP signals began to fall and disappeared within 60 minutes. With the release of blood supply after 3 hours of ischemia, ATP appeared within 2 hours. However, after more than 4 hours of ischemia, ATP did not recover within 2 hours and the testis became necrotic after 1 week. 2) Irradiation: 31P MRS of the testis 2 weeks after irradiation with 10 Gy., 9 MeV showed a significant decrease (P < 0.05) in the PME/beta-ATP ratio from 1.30 +/- 0.11 (control level) to 1.11 +/- 0.12 and a decrease in PME/PDE ratio from 1.43 +/- 0.17 to 1.13 +/- 0.20. However 3 weeks later, the PME/beta-ATP ratio recovered to a control level. 3) Hormone manipulation: In the testes 5 weeks after weekly intramuscular injections of estradiol benzoate and testosterone enanthate, PDE/beta-ATP ratio significantly increased (P < 0.01) from 0.83 +/- 0.09 (control level) to 1.03 +/- 0.19. 31P MRS is a non-invasive method for evaluation of various testicular abnormalities, and ATP signals may be useful to evaluate an acute ischemic change for example testicular torstion and the changes of PME, PDE signals may be useful parameters in the assessment of the status of spermatogenesis.
著者
岡田 尚武 西 弘嗣 沢田 健 川幡 穂高 大河内 直彦 坂本 竜彦 鈴木 徳行 北里 洋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

岡田尚武をリーダとする研究グループは,統合深海掘削計画(IODP)の先駆的研究として,平成11〜13年度の科学研究費補助金(課題番号11691113)でフランスプロバンス地方に露出するOAE1b層を研究し,エンジンカッターを用いて大型の柱状試料を採取すると共に,RosansのOAE1b最上部層準において試験的なボーリングを実施した。このボーリング試料に関する遺伝子学的解析の結果,地層中のバクテリア群集に関する興味深い新知見を得た(Inagaki, Okada et al., 2005)。フランスに於ける第2弾の国際学術研究となる本研究では,フランスの専門業者を雇ってOAE1aとOAE1bでの本格的ボーリングを実施し,極めて良質な連続コアを採取した。開封後にコアがバラバラになるのを防ぐため樹脂を用いてコア全体を保存する技術と,1mm間隔での試料採取のためのマイクロドリル法を新たに開発し,非破壊法での成分・構造分析に加えて,各種微古生物学的,有機化学的,無機化学的手法を駆使してOAE層の堆積メカニズムと古環境復元の研究を行ってきた。OAE1b層準全体から採取した地表試料の解析から,無酸素水塊が海洋表層まで達しなかった環境下での黒色頁岩と,表層まで到達して表層生物圏に大きな影響を与えた環境下での黒色頁岩のあることが分かった。また,Paquir層を鏡面研磨した結果,強い葉理が発達する部分,要理が擾乱されて不明瞭な部分,葉理のない部分,のセットが4回繰り返していることが分かった。1cm(約250年)間隔での分析結果では,ラミナの明瞭な部分では各種プランクトン,陸源性砕屑物,有機炭素含有量や黄鉄鉱が増加する一方で,底生有孔虫は多様性と個体数が減少する。これらのデータから,陸起源の栄養塩供給増加によって一次生産が増え,その結果として底層に無酸素環境が広がるという環境が4回発生したと考えられる。
著者
長谷川 真里 堀内 由樹子 佐渡 真紀子 鈴木 佳苗 坂元 章
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.105-108, 2006

本稿は,日本のテレビ番組の内容分析によって現在のメディア状況を明らかにし,メディア・リテラシー教育に必要な情報を得ることを目的としている.米国のNational Television Violence Study(1996-1998)をもとにコード化マニュアルとコード票を作成し,2003年と2004年の2時点,各1週間の中からフィクション番組を抽出し,向社会的行為にかかわるキャラクターの特徴について内容分析を行った.その結果,向社会的行為実行者はあまり魅力的なキャラクターとして描写されておらず,観察学習の促進要因は乏しかった.また,おおむね女性よりも男性の描写数が多く,現実との乖離も示唆された.最後に,悪人キャラクター,善悪複合キャラクターに対する報酬はほとんどなかった.